【2023年施行】消費者契約法改正・
消費者裁判手続特例法改正とは?
改正点を分かりやすく解説!

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池田・染谷法律事務所弁護士
専修大学大学院法務研究科修了。2010年弁護士登録(63期、東京弁護士会所属)。消費者庁・表示対策課に勤務し、景品表示法に課徴金制度を導入する改正法や、課徴金制度のガイドライン等の立案を担当し、2018年に池田・染谷法律事務所を設立。 消費者庁の調査対応、広告・キャンペーン等のマーケティング法務戦略、ITビジネス等での最前線の経験を有している。
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池田・染谷法律事務所弁護士
東京大学大学院法学政治学研究科修了。2019年弁護士登録(72期、第一東京弁護士会所属) 2020年9月まで東京国際法律事務所に所属し、同月より現職。B to C ビジネス、ヘルスケアビジネス等を専門としている。
この記事のまとめ

事業者と消費者の契約に関する法律として、消費者契約法があります。

また、消費者被害を回復するための制度として消費者裁判手続特例法に基づく被害回復制度があります。

この記事では、2022年5月に成立した、この2つの法改正について、改正内容と実務対応のポイントを解説します。

ヒー

この法改正で、事業者がしなければならないことは変わったのでしょうか?

ムートン

消費者契約法も、消費者裁判手続特例法も、改正によって消費者保護が進められています。改正で新しく定められたことと、事業者が対応すべきことについて、順番に見ていきましょう。

※この記事は、2022年12月15日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。
・消費者裁判手続特例法…消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律

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【2023年施行】消費者契約法・消費者裁判手続特例法改正とは

公布日・施行日

公布日と施行日は、次のとおりです。

公布日・施行日

消費者契約法
公布日│2022年6月1日
施行日│2023年6月1日

消費者裁判手続特例法
公布日│2022年6月1日
施行日│2023年10月1日

【2023年6月1日施行】消費者契約法改正の目的・概要

消費者契約法は、事業者と消費者の契約(消費者契約)に適用される法律です。不当勧誘等による取消しや不当条項を無効とすることなどによって消費者保護を図っています。

コロナ禍によるオンライン取引の急増等により、消費者や消費者契約を取り巻く環境が急激に変化しました。それに伴い、消費者保護の在り方を見直し、環境の変化に対応した法とすべきという観点から、主に下記に関する改正が2022年に行われました(令和4年法律第59号)。

①契約の取消権
②解約料の説明の努力義務
③免責の範囲が不明確な条項の無効
④事業者の努力義務の拡充
⑤適格消費者団体の要請

【2023年10月1日施行】消費者裁判手続特例法改正の目的・概要

2016年に施行された消費者裁判手続特例法は、消費者団体訴訟制度のうち、被害回復制度について定めています。

消費者団体訴訟制度とは

内閣総理大臣が認定した消費者団体(適格消費者団体・特定適格消費者団体)が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をできる制度

1. 適格消費者団体による差止請求
事業者の不当な行為をやめるように求める(消費者契約法等)

2.特定適格消費者団体による被害回復
多数の消費者に生じた集団的な被害の回復を求める(消費者裁判手続特例法)
 2-1. 共通義務確認訴訟(第1段階):事業者の金銭支払義務の確認
 2-2. 簡易確定手続(第2段階):個々の消費者の誰にいくら支払うかを確定

しかし、被害回復制度の利用は大きくは進んでおらず、制度に期待される役割が十分発揮されているとは言い難いと指摘されてきました。
そのため、消費者裁判手続特例法による訴訟手続が利用されやすくなるよう、主に下記の改正が行われました。

①共通義務確認訴訟の対象範囲の拡大
②和解の柔軟化
③消費者への情報提供方法の拡充

消費者裁判手続特例法改正の詳細は、「【2023年10月1日施行】消費者裁判手続特例法改正のポイント」から解説します。

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