食品衛生法とは?
―概要・目的・重要改正の内容など
事業者の押さえるべきポイントを
分かりやすく解説!―

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三浦法律事務所弁護士
University of Pennsylvania Law School(LL.M. with Wharton Business & Law Certificate)修了。 2012年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)、ニューヨーク州弁護士、公認不正検査士(CFE)、中級食品表示診断士。長島・大野・常松法律事務所、Wilmer Cutler Pickering Hale and Dorr 法律事務所(ワシントンD.C.)、三井物産株式会社法務部出向を経て、2021年3月より現職。 危機管理・コンプライアンス、コーポレートガバナンス、ESG・SDGs、紛争解決等を中心に、広く企業法務全般を取り扱う。
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この記事のまとめ

食品衛生法は、飲食による健康被害の発生を防止するための法律です。

食品安全基本法食品表示法などとともに、食品に関する法律として、食品や包材、表示等について事業者の義務や規制の基準を定めており、食品等を扱う事業者としては、押さえるべきポイントが複数あるといえます。

また、食品衛生法は2018年に大きな改正がなされました。15年ぶりの改正では、衛生管理や安全性確保のための施策が行われ、事業者にも大きな影響を与える内容となっています。

この記事では、食品衛生法の概要・目的・重要改正の内容など事業者の押さえるべきポイントを分かりやすく解説します。

ヒー

食品衛生法って、食品業界とか飲食店でなければ、あまり関係ないですか?

ムートン

食品等事業者の範囲は、製造・輸入・加工・調理・販売などのほか、社員食堂なども含まれており、実は結構広いのです。「衛生」を規律する食品衛生法の内容を確認していきましょう。

※この記事は、2023年7月11日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

食品衛生法とは

食品衛生法の概要・目的

食品衛生法は、飲食による健康被害の発生を防止するための法律であり、1947年に「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ること」(食品衛生法1条)を目的として、制定されました。

食品に関するその他の法律

食品安全基本法食品表示法など、食品に関する法律はさまざまなものがあります。

食品安全基本法とは

食品安全基本法は、食品の安全性確保に関する基本理念や施策策定に係る基本的な方向性を定めるとともに、内閣府の食品安全委員会設置の根拠となる法律であり、2003年に成立・施行されました。

食品安全基本法制定の背景事情として、牛海綿状脳症(BSE)の発生、残留農薬問題、食品の偽装表示問題など、食の安全を脅かす事象の発生などがあったと言われています。
食品安全委員会については、下記をご参照ください。

参考|内閣府食品安全委員会ウェブサイト

食品表示法とは

食品表示法は、
・JAS法(改称を経た現在の正式名称は「日本農林規格等に関する法律」)
・食品衛生法
・健康増進法
の3つの法律における食品表示」に関する規定を整理・統合した法律であり、2013年に成立し、2015年に施行されました。

食品表示法制定の背景事情として、2009年に消費者庁が設置され、JAS法・食品衛生法・健康増進法の食品表示制度を消費者庁が所管することになりました。
食品表示法制定前は、食品衛生法は食品の「安全」・「衛生」の確保、JAS法は「品質」に関する表示の適正、健康増進法は国民の「健康増進」という目的で、それぞれの法律でさまざまな食品表示に関する規定を置いていましたが、消費者庁において食品表示の一元化を図ることを目的とする法律を制定することになり、食品表示法が成立するに至りました。

このような経緯により、食品表示法では、「一般消費者の利益の増進」、「国民の健康の保護及び増進」、「食品の生産及び流通の円滑化」、「消費者の需要に即した食品の生産の振興」といった広範な目的が定められています(食品表示法1条)。

その他にも健康増進法JAS法など食品に関する法律はさまざまあります。

また、食品の産地偽装については不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、不正競争防止法の適用がなされることがあるなど(「食品の産地偽装とは?関連する法規制と偽装の予防策を解説!」参照)、状況や場面に応じて適用される法令は多種多様なため、食品に関する事業者は、自身に適用される法令を適切に把握する必要があります。

事業者の押さえるべき食品衛生法のポイント

食品衛生法は多岐にわたるルールを定めていますが、事業者としては、最低限以下の6つのポイントを押さえておくとよいでしょう

ムートン

前提として、基本的な用語については、食品衛生法において以下の定義付けがなされています。

用語定義条文
食品等事業者食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しくは法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する人若しくは法人食品衛生法3条1項
食品全ての飲食物
※ただし、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)に規定する医薬品、医薬部外品および再生医療等製品は含まない。
食品衛生法4条1項
添加物食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物食品衛生法4条2項
天然香料動植物から得られた物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用される添加物食品衛生法4条3項
器具飲食器、割ぽう具その他食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他の物
※ただし、農業および水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物は含まない。
食品衛生法4条4項
容器包装食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すもの食品衛生法4条5項
食品衛生食品、添加物、器具及び容器包装を対象とする飲食に関する衛生食品衛生法4条6項
営業業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売すること。
※ただし、農業および水産業における食品の採取業は含まない。
食品衛生法4条7項
営業者営業を営む人又は法人食品衛生法4条8項
登録検査機関第33条第1項の規定により厚生労働大臣の登録を受けた法人食品衛生法4条9項

食品等事業者の責務

食品等事業者は、食品衛生法に定めるルールを遵守しなければならず、食品衛生法60条に列挙された条項に違反すると、営業許可の取消し営業停止命令等の行政処分を受けるリスクがあります。
また、食品衛生法81条以下では違反条項に応じた罰則も定められており、法人への両罰規定の条項も存在します(食品衛生法88条)。

また、食品衛生法は、食品等事業者の責務として、以下の努力義務を定めています。

・採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、販売し、不特定もしくは多数の者に授与し、または営業上使用する食品、添加物、器具または容器包装(販売食品等)について、自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識および技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努める(食品衛生法3条1項)

・販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生の防止に必要な限度において、当該食品等事業者に対して販売食品等またはその原材料の販売を行った者の名称その他必要な情報に関する記録を作成し、これを保存するよう努める(食品衛生法3条2項)

・販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため、食品衛生法3条2項に規定する記録の国、都道府県等への提供、食品衛生上の危害の原因となった販売食品等の廃棄その他の必要な措置を適確かつ迅速に講ずるよう努める(食品衛生法3条3項)

ヒー

食品衛生法に違反すると行政処分を受けたり、刑罰が科されたりする可能性があるんですね?

ムートン

そうです、衛生面が食品等事業者にとって非常に重要なことの証左ですね。きちんとルールを理解して遵守することがとても大切です。

食品・添加物に関するルール

食品衛生法5条では、「販売(不特定または多数の者に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)」の用に供する食品または添加物の採取、製造、加工、使用、調理、貯蔵、運搬、陳列および授受は、清潔」で「衛生的」に行わなければならないという、まさに食品衛生法の核心ともいえる取扱原則が定められています。

その上で、食品衛生法6条では、具体的な禁止規定として、以下の食品または添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、もしくは陳列してはならないと定めています。

腐敗し、もしくは変敗したものまたは未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
有毒な、もしくは有害な物質が含まれ、もしくは付着し、またはこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
病原微生物により汚染され、またはその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
不潔異物の混入または添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

食品衛生法第2章では、この他にも、厚生労働大臣による販売等禁止措置、指定成分等含有食品を取り扱う業者の届出など、食品・添加物に関するさまざまなルールが定められています。

器具・容器包装に関するルール

食品衛生法は、営業上使用する器具および容器包装についても、「清潔」で「衛生的」でなければならないという取扱原則を定めています(食品衛生法15条)。

その上で、食品衛生法16条は、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装または食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装」を販売し、販売の用に供するために製造し、もしくは輸入し、または営業上使用することを禁止しています。

食品衛生法第3章では、この他にも、厚生労働大臣による販売等禁止措置など、器具・容器包装に関するさまざまなルールが定められています。

表示・広告に関するルール

上記のとおり、食品表示に関するルールは食品表示法に一元化されましたが、食品衛生法20条に表示・広告に関するルールとして、「食品、添加物、器具又は容器包装に関し、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない」という定めが残っている点は、注意が必要です。

営業に関するルール

食品衛生法第9章では、営業者が飲食店等の「営業」を行う際に遵守すべきルールについてもさまざまな規定を置いています。

例えば、食品衛生法48条では、乳製品や、食品衛生法12条の規定により厚生労働大臣が定めた添加物その他製造または加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品または添加物であって食品衛生法施行令13条で定めるものの製造または加工を行う営業者は、その製造または加工を衛生的に管理させるため、その施設ごとに、専任の「食品衛生管理者」を置かなければならない(ただし、営業者が自ら食品衛生管理者となって管理する施設はこの限りではない)と定められています。

その他のルール

その他、第5章では食品添加物公定書への添加物の基準や規格の収載、第6章では国・都道府県等による食品衛生に関する監視指導、第7章では検査、第8章では登録検査機関に関するルールが定められているほか、第10章で雑則、第11章で罰則の規定が置かれています。

2018年改正の7つのポイント

2018年に、15年ぶりに食品衛生法の大きな改正がなされました。改正の背景・趣旨としては以下の点が挙げられています。

  • ・前回の食品衛生法等の改正から約15年が経過し、世帯構造の変化を背景に、調理食品、外食・中食への需要の増加等の食へのニーズの変化。
  • ・輸入食品の増加など食のグローバル化の進展といった我が国の食や食品を取り巻く環境が変化。
  • ・都道府県等を越える広域的な食中毒の発生や食中毒発生数の下げ止まり等、食品による健康被害への対応が喫緊の課題。
  • ・2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や食品の輸出促進を見据え、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められる。
厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「背景・趣旨」

大規模または広域に及ぶ「食中毒」への対策強化

第1に、食中毒事案における課題を踏まえ、大規模または広域に及ぶ食中毒の発生・拡大防止のための対策を強化する旨の改正がなされました。概要は以下の図のとおりです。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」1頁

具体的には、

① 国および都道府県等が、食中毒患者等の広域にわたる発生等を防止するために、また食品衛生に関する監視または指導(監視指導)が総合的かつ迅速に実施されるよう、相互に連携・協力を行うこと(食品衛生法21条の2)
② 厚生労働大臣が、監視指導の連携協力体制の整備を図るために、新たに国、都道府県等その他関係機関により構成される「広域連携協議会」を設置できること(同法21条の3)

などが定められました。

「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」の制度化

第2に、「HACCPに沿った衛生管理」を制度化する旨の改正がなされました。

HACCPとは

HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略であり、危害分析(Hazard Analysis)と重要管理点(Critical Control Point)を併せた言葉です。

HACCPは、
✅ 食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法

であり、

✅ 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたもの

と解説されており(厚生労働省ウェブサイト「HACCP(ハサップ)」)、以下の図を見るとイメージを持ちやすいと思います。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」4頁

食品衛生法51条2項では、営業者は、営業施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置について、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者等については、その取り扱う食品の特性に応じた取組)などの事項に関する基準(食品衛生法施行規則66条の2第1項・2項)に従い、食品衛生法施行規則66条の2第3項で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならないと定められています。

また、器具または容器包装を製造する営業者についても、同様に公衆衛生上必要な措置を講じなければならないと規定しています(同法52条、食品衛生法施行規則66条の5)。

大規模事業者等を対象とする「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」(HACCPに基づく衛生管理)、および主に小規模事業者等を対象とする「取り扱う食品の特性に応じた取組」(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)の概要は以下の図にまとまっていますが、実際には非常に詳細なルールが定められており、営業者としては、厚生労働省ウェブサイト「HACCP」内のコンテンツを確認するなどして、適切にルールを把握した上で履践する必要があります。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」2頁

特別の注意を要する成分等を含む食品による「健康被害情報の届出」の義務化

第3に、別の注意を要する成分等を含む食品による「健康被害情報の届出」を義務付ける旨の改正がなされました。概要は以下の図のとおりです。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」6頁

具体的には、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分または物であって、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定した「指定成分等」を含む食品(「指定成分等含有食品」)を取り扱う営業者は、取り扱う指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じ、または生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、当該情報を、都道府県知事等に届け出なければならないと定められています(食品衛生法8条1項)。

「食品衛生法第8条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する指定成分等(令和2年3月27日号外厚生労働省告示第119号)」において、「指定成分等」として、

① コレウス・フォルスコリー
② ドオウレン
③ プエラリア・ミリフィカ
④ ブラックコホシュ

が列挙されています。

「食品用器具・容器包装」へのポジティブリスト制度の導入

第4に、「食品用器具・容器包装」に関し、従前はネガティブリスト制度(規制対象になっていない物質については自由に使用可能という仕組み)であったところを、国際的な規制と整合的なポジティブリスト制度(安全性を評価した物質のみを使用可能とし、使用を認める物質以外は使用を禁止するという仕組み)に変更する旨の改正がなされました。概要は以下の図のとおりです。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」8頁

具体的には、ポジティブリスト制度の対象となる材質を「合成樹脂」と定めた上で(食品衛生法施行令1条)、その原材料に含まれる物質について、当該原材料を使用して製造される器具もしくは容器包装に含有されることが許容される量または当該原材料を使用して製造される器具もしくは容器包装から溶出し、もしくは浸出して食品に混和することが許容される量が食品衛生法18条1項の規格に定められていないものは、原則として使用禁止となりました(食品衛生法18条3項)。

「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設

第5に、従前の「営業許可制度」を見直すとともに、新たに「営業届出制度」を創設する旨の改正がなされました。概要は以下の図のとおりです。

厚生労働省ウェブサイト「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」

具体的には、営業を営もうとする者は、常温で保存可能な包装食品の販売等を行う場合を除き、あらかじめ「営業届出」をしなければならないと定められ(食品衛生法57条1項、食品衛生法施行令35条の2)、自治体が営業者を把握するとともに、監視指導をしやすくなりました。
また、従前より存在していた「営業許可」を要する業種についても、34種から32種に再編されました(食品衛生法55条1項、食品衛生法施行令35条)。

食品等の「自主回収(リコール)情報」の行政への報告の義務化

第6に、食品等の自主回収(リコール)情報の行政への報告を義務づける旨の改正がなされました。概要は以下の図のとおりです。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」12頁

詳細については、「食品コンプライアンスの新展開―食品衛生法・食品表示法改正に基づくリコール情報の届出義務化―」の記事をご参照ください。

「輸出入」食品の安全証明の充実

第7に、輸出入食品安全証明制度を充実させる旨の改正がなされました。

厚生労働省ウェブサイト「食品衛生法等の一部を改正する法律の概要」「改正の概要」14頁

輸入食品については、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための措置が講じられていることが必要なものとして厚生労働省令で定める食品または添加物は、当該措置が講じられていることが確実であるものとして厚生労働大臣が定める国もしくは地域または施設において製造し、または加工されたものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならないと定められており(食品衛生法11条1項)、獣畜および家きんの肉および臓器が対象とされています(食品衛生法施行規則11条の2第1項)。

また、食品衛生法6条各号に掲げる食品または添加物のいずれにも該当しないことその他厚生労働省令で定める事項を確認するために生産地における食品衛生上の管理の状況の証明が必要であるものとして厚生労働省令で定める食品または添加物は、輸出国の政府機関によって発行され、かつ、当該事項を記載した証明書またはその写しを添付したものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならないと定められており(食品衛生法11条2項)、生食用のかきおよびふぐが対象とされています(食品衛生法施行規則11条の2第2項)。

輸出食品については、輸入国側の衛生要件を満たすことを証明するための衛生証明書の発行手続等を定めた「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」が2020年4月1日に施行されました。

まとめ

以上のとおり、食品衛生法は事業者にとって多種多様なルールを定めており、事業者はこれらのルールをきちんと理解した上で、遵守・履践していく必要があります
そして、ルールへの対応を行う中で、食品を扱う事業者にとって最重要要素の1つといっても過言ではない衛生」面の価値を改めて認識し、食中毒や健康被害等を防止すべく万全な対策を講じることが肝要と考えます。

ムートン

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