年間休日とは?最低ラインや平均日数、
105日・110日・120日などの
設計例も分かりやすく解説!

無料で資料をダウンロード
 人事・労務部門ですぐに使えるChatGPTプロンプト集 >
✅ 副業解禁のために企業が知っておくべき就業規則の見直しポイント >
この記事のまとめ

年間休日とは、会社が就業規則で「労働の義務がない日」と定めた1年間の休日総数のことです。

労働基準法35条では、企業に対して「毎週少なくとも1回」または「4週間を通じて4日以上」の休日を与えることを義務づけています。
・年間休日は法定休日+法定外休日の合計によって日数が決まります。
・年間休日の最低ラインの目安は105日です。

本記事では、年間休日について、基本から詳しく解説します。

ヒー

年間休日をどのように設定するべきか知りたいです。

ムートン

年間休日は、週休(例:土日)、会社が休日と定めた祝日、そして年末年始休暇などの会社独自の休日の合計です。年間休日について、平均日数や最低ライン、日数例などを詳しく見ていきましょう。

※この記事は、2025年9月18日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

年間休日とは

年間休日の定義や、休暇との違いについて解説します。

年間休日の定義

年間休日とは、会社が就業規則で「労働の義務がない日」と定めた1年間の休日総数のことです。

労働基準法35条では、企業に対して「毎週少なくとも1回」または「4週間を通じて4日以上」の休日を与えることを義務づけています。しかし、国民の祝日を休みにするかどうか、夏季休暇・年末年始休暇を何日に設定するかは、各企業の判断に委ねられています。

そのため、週休(例:土日)、会社が休日と定めた祝日、そして年末年始休暇などの会社独自の休日を合計したものが、その企業の年間休日となります。

年間休日と休暇の違い

休日とは、労働契約上、もともと労働の義務がない日のことを指します。

一方で休暇とは、本来は労働義務がある日にもかかわらず、労働者が申請することによって、その労働義務が特別に免除される日のことです。

休暇には、法定休暇・法定休業と特別休暇の2つがあるため、それぞれ解説します。

法定休暇・休業

法定休暇・休業とは、労働基準法などの法律で定められ、企業に付与が義務づけられている休暇・休業のことです。

法定休暇・休業には、主に以下のような休暇制度があります。

  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業
  • 育児休業
  • 介護休業
  • 生理休暇
  • 子の看護休暇

これらは労働者が安心して働ける環境を守るために最低限保障される休暇であり、企業は必ず整備・運用しなければなりません。

特別休暇

特別休暇とは、法律上の設置義務はなく、企業が独自に就業規則や労使協定で定める休暇制度です。

  • 慶弔休暇
  • リフレッシュ休暇
  • バースデー休暇
  • ボランティア休暇
  • 創立記念日休暇
  • 災害休暇

企業によって内容や日数は異なり、従業員のモチベーション向上や福利厚生の一環として設けられることが多いのが特徴です。

特別休暇は義務ではありませんが、人材定着や採用の魅力向上に直結するため、導入が推奨されます。

年間休日の日数は法定休日+法定外休日の合計

年間休日の日数は、法定休日+法定外休日の合計によって決まります。法定休日と法定外休日から計算される最低ラインの日数について解説します。

法定休日の日数は最低52日

労働基準法35条では、すべての労働者に対して「毎週少なくとも1回の休日」または「4週間で4日以上の休日」を与えることが定められています。これは法定休日と呼ばれるものです。

1年間は約52週なので、この法律を日数に換算すると、年間で最低52日の法定休日を確保する必要があります。

これに加えて、法定外休日(企業が独自に定める休日(「所定休日」とも言います))を設けているケースも多く、一般的に「週休2日制」とされるのは、この法定休日と法定外休日を組み合わせたものです。

労働者に十分な休養を与えることは、心身の健康維持や業務パフォーマンスの向上にも直結するため、企業は制度の正しい理解と運用が求められます。

年間休日の最低ラインの目安は105日

法定休日は最低52日ですが、実務においては同時に法定労働時間(1日8時間・週40時間)も満たす必要があります。法定労働時間も考慮した年間休日の最低ラインの目安は105日です。

1年間は約52週であり、週40時間以内に収めるには「週5日勤務・1日8時間労働」が基本です。

1年間の最大労働日数を計算すると以下のようになります。

  • 1日8時間 × 5日 = 40時間/週
  • 40時間 × 365/7週 = 約2,085.7時間/年
  • 約2,085.7時間 ÷ 8時間 = 約260日

上記により、「週休2日制」を前提とするなら、年間365日から労働日数(260日)を引いた105日の休日が少なくとも必要となります。

企業の年間休日総数の平均は112.1日

厚生労働省の最新の調査「令和6年就労条件総合調査」(令和6年公表)によると、日本企業における年間休日総数の企業平均は112.1日でした。

また、同調査では労働者1人あたりの平均は116.4日、さらに企業規模別に見ると、従業員1,000人以上の大企業では平均117.1日、30~99人の中小企業では平均111.0日と、企業規模によって年間休日総数に差があることもわかります。

このデータから、年間休日105日は平均より少なく、逆に120日以上であれば平均を上回る休日が多い企業だと判断できます。

参考:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」

年間休日に含まれる日数・含まれない日数

年間休日に含まれる日数と含まれない日数について解説します。

含まれる日数

年間休日には、会社があらかじめ就業規則カレンダーで「休み」と定めた日が含まれます。

代表的なものは以下のとおりです。

  • 法定休日
  • 法定外休日
  • 国民の祝日や会社指定の休日
  • 年末年始休暇・夏季休暇・創立記念日など会社独自の休日

つまり「会社全体として労働義務がない日」が年間休日としてカウントされます。

含まれない日数

従業員が個別に取得する休暇や欠勤は、年間休日には含まれません。

代表的なものは以下のとおりです。

  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業
  • 育児休業
  • 介護休業
  • 生理休暇
  • 看護休暇
  • 慶弔休暇などの特別休暇(会社が認めるものでも個別の取得扱い)
  • 病欠・欠勤日

これらは休日ではなく休暇や欠勤として扱われるため、年間休日数には反映されません。

年間休日の日数例

年間休日を設定するにあたって、どのように設計すればよいかわかるように日数例ごとに紹介します(本記事では2025年の土日祝日の数を用いて、各休日日数を計算しています)。

105日

年間休日105日は、1日8時間・週40時間労働における最低ラインの目安です。

例えば、2025年の土日の日数は104日です。そのため、土日休みの場合は、土日以外の休日を1日追加することで、年間休日が105日となります。

110日

年間休日110日は、日本の平均年間休日に近い水準です。

設計方法としては、完全週休2日制(土日休み)を基本としつつ、祝日の一部を出勤日にして、その分を夏季休暇や年末年始休暇に振り分けるケースがあります。

また、祝日を休日としながら、月に1回程度の土曜出勤日を設ける方法もあります。

業種や繁忙期に合わせて休日の配分を調整しやすい点が特徴です。

120日

年間休日120日は、土日祝日を休日とすれば到達できる日数です。

具体的な年間休日の設計例は、以下のとおりです。

  • 完全週休2日制+祝日をすべて休みにするケース
    • ・土日休み(104日)+祝日16日 = 120日
  • 完全週休2日制+祝日+短めの長期休暇
    • ・土日休み(104日)+祝日12日+夏季休暇・年末年始休暇4日 = 120日
  • 日祝休み+月1〜2回の土曜出勤を組み込むケース
    • ・日曜(52日)+祝日16日+土曜(40日:月2回休み計算)+夏季休暇・年末年始休暇12日 = 120日
  • 完全週休2日制+祝日+独自の特別休暇を設定するケース
    • ・土日休み(104日)+祝日11日+創立記念日1日+夏季休暇・年末年始休暇4日 = 120日

設計にあたっては、繁忙期との兼ね合いでどの期間に休日を集中させるかを検討する必要があります。

125日

年間休日125日は、完全週休2日制+祝日+長期休暇や特別休暇5日程度を設定した場合の日数です。

具体的には以下のような休日設計ができます。

  • 土日休み104日+祝日16日+夏季休暇・年末年始休暇5日
  • 土日休み104日+祝日16日+会社創立記念日1日+夏季休暇・年末年始休暇4日

制度設計では、休日数が多い分、業務配分や納期調整の仕組みを整えることが重要です。

年間休日が105日を下回っても直ちに違法とならないケース

年間休日105日を下回っても、直ちに違法とは限らないケースについて解説します。

1日あたりの労働時間が短い場合

年間休日105日は「1日8時間・週40時間」という法定労働時間を前提に導かれた最低ラインです。しかし、労働基準法35条が定める休日の条件は「毎週少なくとも1日の休日、または4週間で4日以上の休日」とされており、法律上は年間52日の休日でも要件を満たします

そのため、労働基準法32条で定める「1日8時間、週40時間」の上限を超えなければ、年間休日が105日を下回っても直ちに違法にはなりません。

例えば、1日の所定労働時間を7時間30分に短縮すれば、週5日勤務でも「7.5時間×5日=37.5時間」となり、週40時間を下回ります。この場合、必要な年間休日は約87日で済みます。

さらに、1日6.5時間勤務で週6日働いた場合でも「6.5時間×6日=39時間」となり、休日は週1日(年間52日)であっても法定労働時間を超えません。つまり、1日の労働時間を短縮することで、年間休日数を105日未満に設定しても法令違反にはならないのです。

変形労働時間制を採用している場合

年間休日が105日を下回っても直ちに違法とならないケースのひとつが、変形労働時間制を導入している場合です。

変形労働時間制とは、一定期間を平均して週40時間以内に収まるように労働時間を調整できる制度のことです。繁忙期と閑散期のある業種で多く導入されており、業務の実態に合わせて休日や労働時間を柔軟に配分できます。

労働基準法32条では「1日8時間・週40時間」の労働を原則としていますが、同法32条の2〜5で、1カ月単位1年単位などの変形労働時間制が認められています。また、労働基準法35条の「4週4日以上の休日」も、この制度の枠組みで調整することが可能です。

具体的には、例えば1日の所定労働時間を7時間30分とした場合、年間労働時間が2,085.7時間以内に収まるように設計すれば、年間休日は約87日まで減らすことが可能です。また、繁忙期に所定労働時間を超えて働いても、平均で週40時間以内なら時間外労働には当たりません。

ただし、変形労働時間制を導入する際は、労使協定就業規則で明確に定める必要があり、厚生労働省も適正な運用を求めています。

参考:厚生労働省「労働時間・休日」
ムートン

最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

無料で資料をダウンロード
 人事・労務部門ですぐに使えるChatGPTプロンプト集 >
✅ 副業解禁のために企業が知っておくべき就業規則の見直しポイント >

参考文献

労働基準法

監修者

アバター画像
遠藤良介 社会保険労務士(愛知社労士会所属)
Reメンバー労務オフィス
労務相談、社会保険・労働保険手続き、社内規定類作成、ライフプランニング相談ほか