同意書とは?
承諾書との違い・書き方・テンプレート・作成時の注意点などを解説!

おすすめ資料を無料でダウンロードできます
法務担当者なら知っておきたい「法律文書の違い」徹底解説ハンドブック
この記事のまとめ

「同意書」とは、相手による将来の行為(法律行為・事実行為)について、あらかじめ同意する旨を表明する書面です。「承諾書」という名称で作成されることもありますが、同意書であっても承諾書であっても、内容は基本的に同じです。

同意書を提出する側・提出を受ける側のいずれであっても、同意内容が適切に記載されているかどうかをきちんと確認する必要があります。ひな形をベースとしつつ、個々の取引などに応じて、必要となる同意内容を精査したうえで記載しましょう。

この記事では「同意書」について、承諾書との違い・ひな形・作成時の注意点などを解説します。

ヒー

「同意書」「承諾書」など、似たような名前でいつも混乱します。

ムートン

たしかに似たような名前の書面も多いですね。ただ、法務担当者として各用語の定義をきちんと把握しておきましょう。

※ この記事では、法令名を次のように記載しています。
・個人情報保護法…個人情報の保護に関する法律

(※この記事は、2022年3月2日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。)

同意書とは?

「同意書」とは、相手による将来の行為(法律行為・事実行為)について、あらかじめ同意する旨を表明する書面です。何らかの事項について、提出者が同意していることを証する役割をもっています。

同意書の提出を求める目的

同意書の提出を求める目的は、法令や契約によって本人の同意を取得することが必要な場合において、同意を得た事実を明確化することです。

そのため、同意が必要な事項を網羅したうえで、自署・押印によって本人が作成することが大切になります。

同意書の提出を求めるべき場合の例

同意書の提出を求めるべき場面には、様々なパターンが考えられます。その中でも以下の3つは、同意書の取得が必要になる場合の典型例です。

同意書の法的効力

同意書がどのような法的効力を有するかは、同意の対象となる事項によって異なります。主に想定される同意書の法的効力の内容としては、以下の3つのパターンが挙げられます。

説明義務を果たしたことを証明する

事業者が消費者と契約を締結する際には、消費者に対して、契約内容等を十分に説明することが求められます。同意書の作成・取得が必須でなくとも、消費者に説明した内容を列挙した同意書を作成・取得しておけば、事業者は説明義務を果たしたことを証明しやすくなります

後で紹介するインフォームド・コンセントに関する同意書は、「医療機関側が説明義務を果たしたこと」を明確にするのを、主たる目的とした書面です。他にも、不動産取引や金融商品取引において取り交わされる同意書なども、このパターンに該当します。

不完全な法律行為を完全に有効化する

未成年者や、後見・保佐・補助の審判を受けた者は、単独で有効に法律行為を行うことができない場合があります。この場合、有効に法律行為を行うためには、法定代理人や後見人・保佐人・補助人の同意が必要です。

法定代理人や後見人・保佐人・補助人の同意書は、不完全な本人の法律行為を補完し、完全に有効なものとして成立させる効果があります。

業法上求められる「同意の取得」の要件を満たす

本人からの同意を取得することが、業法上の要請である場合もあります。

「業法」とは、特定の業種や業務について、公共の福祉の観点から規制を行う法律のことです。業種を規制する業法には金融商品取引法・銀行法・宅地建物取引業法など、業務を規制する業法には個人情報保護法などが挙げられます。

例えば個人情報保護法では、個人データを第三者に提供する場合は、原則として、事前に本人の同意を得ることが要求されています(個人情報保護法23条1項)。事業者としては、本人から同意を取得することによって、個人情報保護法によって課された第三者提供の要件を満たすことができるのです。

同意書と承諾書・誓約書の違い

同意書と似ている書面として、「承諾書」や「誓約書」があります。同意書・承諾書・誓約書は、いずれも契約の一方の当事者が、他方当事者に対して提出する書面である点で共通しています。

同意書と承諾書は、名称が違うだけで、趣旨・内容については基本的に同じです。いずれも何らかの事項について、提出者の同意を明確にすることを目的としています。

したがって「同意書」と「承諾書」、どちらの名称を用いても構いません。ただ、法令や契約中で「同意」が要求されている場合には「同意書」、「承諾」が要求されている場合には「承諾書」とするのが通例です(「同意」と「承諾」の意味は同じです)。

これに対して誓約書は、提出者が何らかの行為または不作為(しないこと)を約束して、その内容に関連する義務を負う書面です。単に同意を与える書面である同意書に比べると、誓約書は重い義務を負うリスクが高いため、提出の際には注意しなければなりません。

同意書の書き方|内容別のひな形(テンプレート)と併せて紹介

同意書には決まった様式がないため、どのような形式で作成しても構いません。しかし、同意の対象となる事項によって、盛り込んでおいた方がよい事項、盛り込む必要がある事項は、ある程度決まっています。

以下では、前半で例に挙げた3種類の同意書について、ひな形に沿って書き方や記載内容を見ていきましょう。

個人情報の取扱いに関する同意書のひな形

個人情報の取扱いに関する同意書

株式会社 ●●は(以下「当社」という)は、貴殿よりお預かりした個人情報につき、下記のとおり適正かつ安全な管理・運用に努めます。



第1条 利用目的
当社は、収集した個人情報を、以下の目的のために利用します。
① ●●
② ●●
……

第2条 個人データの第三者提供
当社は、以下のいずれかに該当する場合に、個人データを第三者へ提供することがあります。
① ●●
② ●●
……
2. 前項の場合および個人情報の保護に関する法律第23条第1項各号に掲げる場合を除き、当社は、個人データを第三者に提供しません。

第3条 個人情報に関する相談窓口
貴殿は、個人情報の保護に関する法律に基づき、当社に対して、当社が保有する個人データの開示、訂正、追加、削除、利用停止、消去等を請求できる場合があります。個人情報保護法に関する各種請求、お問い合わせ等は、以下の個人情報相談窓口へご連絡ください。

〒●●●-●●●●
東京都●●
株式会社●● 個人情報相談窓口
TEL:03-●●●●-●●●●
FAX:03-●●●●-●●●●
E-mail:●●

以上

私は、上記の個人情報の取扱いに関する事項につき、同意します。

●年●月●日
(自署・押印)

個人情報の取扱いに関する同意書の場合、主な記載事項は「利用目的」「個人データの第三者提供」「相談窓口」の3点です。

利用目的については、個人情報保護法18条1項によって、本人への通知または公表が義務付けられています。そのため、利用目的を同意書に記載することで、本人に通知を行うのがよいでしょう。

個人データの第三者提供については、前述のとおり、本人の事前同意が必要です。個人情報保護法23条1項各号に定められる例外のほかに、第三者提供を行う可能性があるケースを具体的に列挙し、本人の同意を得ておきましょう。

相談窓口については、本人による同意の対象というわけではありません。しかし、本人の権利確保や、苦情処理体制の整備をきちんと行っていることを監督官庁に示すため、同意書の中に記載しておくことが望ましいです。

未成年者との契約における法定代理人同意書のひな形

法定代理人同意書

株式会社●● 御中

私は、下記本人の法定代理人として、本人が貴社との間で、下記契約の申込みおよび当該契約の締結を行うことにつき、異議なく同意いたします。



<本人>
氏名:●●
住所:●●
生年月日:●年●月●日
年齢:●●歳

<締結する契約>
●●

以上

●年●月●日
(自署・押印)

法定代理人同意書の場合、同意の対象となる契約を特定することが最も重要です。取引の内容・金額・目的物などを明記して、できる限り具体的に同意の対象となる契約を特定しましょう。

インフォームド・コンセントに関する同意書のひな形

インフォームド・コンセントに関する同意書

医療法人●● ●●病院 御中

私は、以下の留意事項について貴院から十分な説明を受け、その内容を十分に理解したうえで、貴院において下記手術または治療を受けることにつき同意いたします。



<手術または治療の内容>
●●

<留意事項>
(1) ●●
(2) ●●
……

以上

●年●月●日
(自署・押印)

インフォームド・コンセントに関する同意書では、医療機関側が患者に対して行った説明内容を、わかりやすく具体的に列挙することが大切です。説明内容をきちんと記載しておけば、患者に対する説明を尽くしたことを後から立証しやすくなります。

同意書を作成する際の注意点

同意書を提出する側は、以下の事項に注意して同意書を作成しましょう。

想定外の同意事項が記載されていないか確認する

最も重要な注意点は、同意内容が必要十分なものになっているか、想定していない内容が記載されていないかを確認することです。

同意内容として過剰な記載がなされていると、後から予想だにしない義務を負ってしまうような事態になりかねません。相手方から同意書のひな形を渡された場合には、必ずその内容をよく読んで、違和感がある事項が含まれていないかをご確認ください。

コピーを作成しておく

同意書を提出すると、原本は相手方が保管するため、提出者の手元には残りません。しかし、取引について相手方とトラブルに発展した場合、同意書の内容を把握したうえで対応することは必須になります。

万が一のトラブルに備えて、相手方に提出した同意書は、コピーを作成して保管しておきましょう。

添え状を付ける

必須というわけではありませんが、同意書を郵送で提出する際には、添え状を同封した方が相手方にとって親切です。添え状を同封すると、どのような書類が送られてきたのかが分かりやすくなります。

<添え状のサンプル>

株式会社●● 御中

〒●●●-●●●●
東京都●●
(氏名)
TEL:03-●●●●-●●●●
FAX:03-●●●●-●●●●
E-mail:●●

法定代理人同意書送付のお知らせ

拝啓

●●の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

先日ご相談させていただきました●●契約の件につき、下記書類をご送付いたします。ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。

敬具



・法定代理人同意書   1通

以上

書留郵便で送付する

同意書を郵送する際、普通郵便扱いにすると、万が一郵便事故が起こった際に面倒な事態になってしまいます。

同意書が重要な書面である場合には、郵送時には書留郵便にするのがおすすめです。書留郵便であれば、引受けから配達までの送達過程が記録されるため、郵便事故のリスクを抑えることができます。

書留郵便は、数百円程度のプラス料金で利用できます。安全に同意書を郵送したい場合は、書留郵便の利用をご検討ください。

同意書を受け取る際の注意点

同意書は、提出する側よりも、むしろ受け取る側にとって重要な書面です。同意書を受け取る場合、以下のポイントに注目して、必要な同意の内容・形式が整っているかをチェックしましょう。

同意内容が法的に十分であるか確認する

各同意書のひな形を紹介する際にも述べたように、同意書に盛り込んでおくべき内容は、同意の対象事項によって、ある程度決まっています。特に、法令や契約によって同意の取得が求められている場合には、該当する条文に沿って、必要となる同意内容を漏れなく記載しなければなりません。

同意書のひな形を相手方に交付する段階で、内容の推敲を行うのは当然ですが、それに加えて、相手方が記載した事項についても、必要な内容に漏れがないかをチェックする必要があります。

同意書の内容にもれがあると、トラブルに発展した際に不利益を被りかねません。同意書は重要な書面であるという認識の下で、入念に確認作業を行いましょう。

同意を得た日付を明確にする

同意書の日付は、そのまま同意を取得した日を表します。

法令や契約で同意の取得が求められている場合、同意を取得すべき時期も決められていることが多いです。そのため、同意日が明確になっていることも、同意書を確認する際の重要なポイントとなります。

たまに相手方が、同意書の日付を記載せずに郵送してくるケースがありますが、いつ同意を取得したのか分からなくなってしまいます。そのため、同意書の日付がない場合には、再送してもらうように相手方へ依頼しましょう。

また、同意書の受領日を明確にするためには、相手方に対して受領確認のメールを送っておく方法なども有効です。

この記事のまとめ

「同意書」の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

おすすめ資料を無料でダウンロードできます
法務担当者なら知っておきたい「法律文書の違い」徹底解説ハンドブック