企業の行動規範とは?
メリット・定めるべき事項・例文・
策定時に留意すべきポイントなどを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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企業の「行動規範」とは、役員や従業員が日々の業務を行うに当たって準拠することが求められる規範です。
行動規範を定めておけば、企業としての理念や価値観を、トップから末端の従業員まで浸透させることに繋がります。また、迷った際には行動規範を参照することで、企業としての方向性に沿った判断がしやすくなります。
企業が行動規範を策定する際には、目指すべき理念や価値観を反映した内容とすることが大切です。また、策定した行動規範は、社内研修などを通じて十分に周知する必要があります。
この記事では企業の行動規範について、メリット・定めるべき事項・策定時に留意すべきポイントなどを解説します。
※この記事は、2026年4月14日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
企業における行動規範とは
企業の「行動規範」とは、役員や従業員が日々の業務を行うに当たって準拠することが求められる規範です。業務を遂行するうえで守るべき価値観や、行動の指針を明文化したものに当たります。
行動規範には、企業が大事にしている基本原則や、顧客・取引先・社会・職場づくりに関する姿勢、判断に迷った際に従うべき指針などが明示されます。コンプライアンスや意思決定の一貫性などの健全な企業文化を形成するうえで、行動規範は重要な基盤となります。
企業が行動規範を定めるメリット
行動規範を定めておけば、企業としての理念や価値観を、トップから末端の従業員まで浸透させることができます。役員や従業員が判断に迷った際には、行動規範を参照することで、企業としての方向性に沿った判断がしやすくなります。
さらに、企業の価値観を明示する行動規範を対外的に公表することは、取引先や社会全体からの信頼向上にも繋がると考えられます。
企業の行動規範に定めるべき事項|例文も紹介!
企業の行動規範には、次の事項などを定めます。例文を示しつつ解説します。
① 代表取締役などのトップメッセージ
② 基本原則
③ 顧客・取引先に対する姿勢
④ 社会に対する姿勢
⑤ 職場づくりに関する姿勢
⑥ 管理職(上司)の役割と責任
⑦ 判断・行動に迷ったときの指針
⑧ 行動規範への違反に対する注意喚起
⑨ 行動規範への違反等に関する通報先
代表取締役などのトップメッセージ
| (例) 当社は○○という目標を掲げています。法令その他の社会規範を遵守しつつ、この目標に基づく行動を実践することで、社会からの信頼を得ながら企業としての安定した成長を実現します。 この行動規範は、当社の役員や従業員が従うべき判断と行動の指針です。迷ったときは行動規範に立ち返り、当社の理念や方向性に沿った判断と行動をして、社会から信頼される会社であり続けることを目指しましょう。 代表取締役 ○○ ○○ |
企業の構成員である役員や従業員に対し、経営トップのメッセージを伝える部分です。トップが自ら企業の価値観や姿勢を明確に示すことで、行動規範の重要性や遵守の必要性を社内に浸透させる狙いがあります。
基本原則
| (例) 本行動規範は、当社の役員および従業員(以下「役職員」といいます。)を対象とする判断と行動の指針です。すべての役職員は、本行動規範を尊重し、遵守する必要があります。 当社の目標は○○です。役職員はこの目標を実現すべく、次の基本原則に従って業務を行います。 基本原則1:法令、社内規程その他の規範を遵守し、公正かつ誠実に行動する。 基本原則2:社内外を問わず、他者の人権を擁護および尊重し、差別、ハラスメントその他の人権を害する行為を一切許容しない。 基本原則3:顧客や取引先に対し、誠実かつ透明性のある対応を行う。 基本原則4:機密情報、個人情報その他事業において取り扱う情報を適切に管理し、漏えいを防止する。 基本原則5:当社構成員としての社会的責任を自覚し、地域社会への配慮および貢献に努める。 …… |
基本原則は、行動規範全体に通じる判断や行動の指針を示すものです。法令遵守・人権尊重・社会貢献など、企業として目指すべき理念を反映した原則を明示しましょう。
顧客・取引先に対する姿勢
| (例) 当社は、お客様にとって信頼できるパートナーであり続けるため、常に誠実にお客様と向き合い、上質かつ最適なサービスを提供するよう努めます。具体的には、次の事項などを常に確認したうえで、お客様に対するサービスの提供を行います。 ・対話を通じて、お客様が真に求めているものを正しく理解し、それに合わせたサービスをオーダーメイドに提供します。 ・誤解を招く説明や、不当な表示を行いません。 ・提供するサービスは、品質や安全性に関する基準を満たしています。 ・契約条件や取引内容は、公正かつ合理的なものとします。 ・取引上の優越的地位を利用して、不当な要求を行いません。 ・過度な接待や贈答は行わず、お客様から過度な接待や贈答を受けることもしません。 …… |
顧客や取引先に対しては、そのニーズを汲み取ったうえでサービスを提供すること、品質や安全性を確保すること、不当な取引を行わないことなどが重要です。これらのポイントを行動規範に明記しておけば、取引の相手方に安心感を与えることができます。
社会に対する姿勢
| (例) 当社は、社会の一員として責任ある行動を徹底し、持続可能な社会の実現に貢献します。具体的には、次の事項などを常に確認したうえで、社会に対して良い影響を及ぼし、悪い影響を及ぼさないような行動を心がけます。 ・法令をはじめとする社会規範の遵守を徹底します。 ・資源の希少性を正しく認識し、使用量の削減や不適切な廃棄の防止に取り組みます。 ・反社会的勢力との関係を一切持たず、徹底的に排除します。 ・あらゆる観点からの不当な差別に反対し、多様性や人権を尊重します。 ・財務情報および非財務情報を適時に、適切な方法で開示し、社会的信頼の確保に努めます。 ・地域社会との共生に努め、各地域に有意義な取り組みに対して積極的に協力します。 …… |
近年ではSDGs(=持続可能な開発目標)の重要性が注目されており、企業にも社会の一員としての責任ある行動が求められています。コンプライアンス・環境への配慮・人権擁護・地域社会との共生などを盛り込んだ行動規範を明示し、社会的信頼の確保を目指しましょう。
職場づくりに関する姿勢
| (例) 当社の役職員同士は、互いを信頼できる最良のパートナーであるべきです。そのために、すべての役職員が十分に力を発揮できる職場づくりを目指します。具体的には、次の事項などを常に確認し、職場環境の維持および改善に取り組みます。 ・相手の人格を尊重しつつ、建設的なコミュニケーションを行います。 ・多様な意見やバックグラウンドがあることを理解したうえで、自分とは異なる意見や主張に対しても耳を傾け、よりよい解決を目指します。 ・労働基準法をはじめとする法令を遵守し、健全な労働条件や執務環境を確保します。 ・断固としてハラスメントに反対し、その防止および排除に努めます。 …… |
企業が十分にパフォーマンスを発揮するためには、役職員が安心して働ける職場づくりが欠かせません。人格の尊重や多様性に対する理解、法令遵守やハラスメント防止などに関する事項を宣言し、役職員に対して呼びかけましょう。
管理職(上司)の役割と責任
| (例) 当社の役員および管理職たる従業員(以下「管理職等」といいます。)は、本行動規範の実践を主導する責任を負います。管理職等は、次の事項などを常に確認しながら日々の業務に取り組み、責任あるリーダーシップを発揮します。 ・自らが行動規範を遵守および実践し、部下をはじめとする他の役職員の模範となります。 ・部下に対して、行動規範の内容を正しく伝え、その定着を図ります。 ・部下をはじめとする他の役職員から相談を受けた際には、誠実にコミュニケーションをとり、適切に対応します。 ・部下による不適切な言動を見過ごさず、必要に応じて指導を行います。 ・能力、成果、日々の業務に取り組む姿勢などを総合的に考慮し、公正に人事評価を行います。 …… |
役員や管理職は、他の役職員の模範となるべき存在です。管理職等が担う責任の内容を明記し、その自覚を促しましょう。
判断・行動に迷ったときの指針
| (例) 当社の役職員が判断や行動に迷ったときは、次の各点について自問自答してください。 一つでも答えが「No」である場合は、その判断や行動を思いとどまり、改善してください。もし少しでも疑問や懸念があるなら、上司、法務担当者またはコンプライアンス担当者に相談してください。 ・お客様の正当なニーズに対して、十分に応えられるだけの努力を払いましたか? ・お客様、当社、他の役職員などの利益を犠牲にして、自分や身内の利益を図ろうとしていませんか? ・法令、社内規程、本行動規範などの社会規範に違反していませんか? ・家族や友人に対して、自分の判断や行動について胸を張って説明できますか? ・社会に広く知られても、批判に耐えられる判断や行動だと言えますか? …… |
役職員が業務に取り組む中では、判断や行動に迷う場面も出てくるでしょう。その際、自分自身に問いかけるべき事柄を質問形式で明示します。自分だけで判断できない場合は、上司などに相談するよう促すことも大切です。
行動規範への違反に対する注意喚起
| (例) 行動規範に違反すると、お客様や社会の信頼を裏切り、ひいては当社の信用を毀損するおそれがあります。その場合、当社は懲戒処分を含む厳正な方法で対処します。 |
行動規範に違反した場合は、懲戒処分等を受ける可能性がある旨について注意喚起をします。行動規範が単なるスローガンではなく、役職員が遵守すべきルールであるというメッセージをしっかり伝えましょう。
行動規範への違反等に関する通報先
| (例) 行動規範に違反する行為、またはその疑いがあることを把握した場合は、速やかに所属部門の上司、または人事、法務もしくはコンプライアンスの担当部署に報告してください。 報告した内容の秘密は厳重に管理し、報告者は適切に保護されます。報告を理由として不利益な取扱いを受けることは一切ありません。迅速な報告が、違反による影響を早期に食い止めることに繋がります。 |
役職員が行動規範に違反する行為などを発見した際に、その事実を速やかに報告するよう促します。通報すべき部署も明示しておきましょう。安心して報告できるように、報告者が保護される旨も明記するのがよいでしょう。
企業が行動規範を策定する際のポイント
企業が行動規範を策定する際には、特に次の2点に留意してください。
① 企業として目指すべき理念や価値観を反映させる
② 行動規範の周知を十分に行う(社内研修など)
企業として目指すべき理念や価値観を反映させる
行動規範は、企業が大切にする理念や価値観を落とし込んだものです。そのため、自社の経営理念や目的との整合性を意識しつつ、従業員が日々の業務で実践できるような事項を示しましょう。
さらに、企業の成長や時代の変化などに応じて、行動規範をアップデートしていくことも大切です。経営層は常に社会の状況に注意を払い、自社が向かうべき方向性を適切に見定めながら、それを行動規範にも反映するよう努めてください。
行動規範の周知を十分に行う(社内研修など)
行動規範を策定したら、その内容を役職員に対して十分に周知しましょう。
行動規範の周知に当たっては、定期的に社内研修を実施することが効果的です。具体的な事例を用いて行動規範を解説することで理解が深まり、現場での適切な判断や実践に繋がります。単発ではなく、半年ごとや1年ごとなど定期的に研修を行うことが望ましいです。
行動規範を別の言葉で言い換えると?
行動規範は、次のような言葉に言い換えられることもあります。
・行動指針
・行動基準
・倫理規範
・企業倫理ガイドライン
・クレド
・バリュー
など
どのような名称を用いるとしても、企業の理念に沿った判断・行動の基準を示すべきことや、役職員に対して十分に周知すべきことは同じです。自社の目的や実態を踏まえて内容を検討し、役職員が誇りを持てるような行動規範を策定しましょう。
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