第三者委員会とは?
設置目的・内部調査委員会との違い・
委員の選定基準・ガイドラインのポイントなどを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「第三者委員会」とは、企業における不祥事の原因や経緯などを調査するため、企業から独立した第三者によって組織された委員会です。
第三者委員会の役割は、ステークホルダーのための調査を実施しそれを対外公表することで、不祥事が発生した企業の信頼と持続可能性を回復することにあります。
このような第三者委員会の性質上、委員は対象企業との利害関係がなく、法令・コンプライアンス・ガバナンスや調査対象事項に関する専門的知識を有する人から選ぶのが適切と考えられます。
第三者委員会については、日本弁護士連合会がガイドラインを公表しています。実際に第三者委員会を組織する際には、同ガイドラインに準拠することが求められます。
この記事では第三者委員会について、基本から分かりやすく解説します。
※この記事は2024年1月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
第三者委員会とは
「第三者委員会」とは、企業における不祥事の原因や経緯などを調査するため、企業から独立した第三者によって組織された委員会です。
第三者委員会の設置目的・役割
第三者委員会を設置する目的は、ステークホルダーのための調査を実施しそれを対外公表することで、不祥事が発生した企業の信頼と持続可能性を回復することにあります。
社内のメンバーを中心に構成された内部調査委員会などとは異なり、第三者委員会は企業からの独立性・中立性を確保された第三者だけで構成されるのが大きな特徴です。その特徴を生かして、客観的・専門的な視点から不祥事を検証することが期待されます。
第三者委員会の費用は企業が負担する
第三者委員会は、企業が自社内で発生した不祥事について調査する目的で自主的に設置するものです。そのため、公費の助成などを受けることはできず、第三者委員会の設置にかかる費用は企業が全額負担することになります。
第三者委員会と内部調査委員会の違い
企業不祥事について調査・検討は、第三者委員会のほかにも「内部調査委員会」が担当するケースがあります。内部調査委員会は、企業内部の経営者や従業員などを中心に、弁護士などの外部有識者を加えて組織する委員会です。
第三者委員会のメリット・デメリット
第三者委員会は内部調査委員会と異なり、企業と利害関係をもたない純粋な外部者だけで構成されます。そのため、内部調査委員会よりも独立性・中立性を確保しやすく、調査の客観性を担保できる点が大きなメリットです。
その一方で、企業の内部者を含まない第三者委員会は、経営陣の協力を得られなければ適切な調査・検討を行うことができません。したがって経営陣には、第三者委員会の調査に対して積極的に協力する姿勢が求められます。
- 被害額が大規模な不祥事
- 大々的に報道された不祥事
などについては、透明性が確保されたかたちで調査を行うのが望ましいため、第三者委員会を組織することが望ましいでしょう。
内部調査委員会のメリット・デメリット
内部調査委員会の場合、第三者委員会に比べて社内の実情を踏まえた詳細な調査を行いやすいメリットがあります。また、外部委員の数は第三者委員会よりも少なくなるため、設置のコストを抑えられる点もメリットの一つです。
その一方で、不祥事の当事者でもある内部者が委員に含まれることについて、委員の独立性・中立性や調査の客観性に疑問を呈されるリスクがあります。
- 比較的規模が小さい不祥事
- 大々的な報道の対象になっていない不祥事
などについては、第三者委員会を設置するコストの大きさを踏まえて、内部調整委員会による調査で済ませることも考えられるでしょう。
第三者委員会の委員を選ぶ際の基準
第三者委員会の委員を選ぶ際は、企業に対する独立性・中立性が確保されており、かつ調査に必要な専門的知識を有する人にすべきです。
具体的には、以下の各点を念頭に置いて、第三者委員会の委員を選ぶとよいでしょう。
①対象企業との利害関係がない人
②法令・コンプライアンス・ガバナンスに関する知識を有する人
③調査対象事項に関する専門的知識を有する人
対象企業との利害関係がない人
調査対象企業に対する独立性・中立性を確保する観点から、第三者委員会の委員は、全て対象企業との間に利害関係がない人にしなければなりません。
(例)
・現職の役員、従業員
・元役員、元従業員
・取引先の役員、従業員
・過去に重要取引先の役員または従業員であった人
・対象企業と顧問契約を締結している専門家(顧問弁護士など)
など
法令・コンプライアンス・ガバナンスに関する知識を有する人
企業不祥事に関する調査は、法令・コンプライアンス・ガバナンスの観点を踏まえて行うことが求められます。したがって、第三者委員会の委員にも、法令・コンプライアンス・ガバナンスに関する専門的知識を有する人を入れるべきです。
・弁護士(対象企業の顧問弁護士を除く)
・大学教授などの学識経験者
・監査業務を主に取り扱う公認会計士
・上場企業等において法務、コンプライアンス業務、監査業務に関して責任ある立場を経験した人
など
調査対象事項に関する専門的知識を有する人
企業不祥事について詳細な調査を行うためには、調査対象事項について専門的知識を有する人を第三者委員会の委員に加えることが望ましいです。
例えばハッキングによる情報漏えいが問題になった場合は、IT関係の専門家を委員に選任するのがよいでしょう。建築物に関する安全基準の不備が問題になった場合には、建築士を委員に選任することが考えられます。
企業不祥事の内容に応じて、必要な専門的知識を有する委員を選任しましょう。
第三者委員会を組織する際のポイント|日弁連のガイドラインに沿って解説
日本弁護士連合会は、「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「日弁連ガイドライン」)を公表しています。
日弁連ガイドラインでは、第三者委員会が活動するに当たって準拠すべき指針が示されています。
企業不祥事を調査するために第三者委員会を組織する際には、委員の独立性・中立性および調査の客観性などを確保するため、日弁連ガイドラインに準拠した対応を行いましょう。
日弁連ガイドラインにおいて示されている指針の概要は、以下のとおりです。
①第三者委員会の活動
②第三者委員会の独立性、中立性
③企業等の協力
④公的機関とのコミュニケーション
⑤委員等
⑥その他
ポイント1|第三者委員会の活動
日弁連ガイドラインでは、第三者委員会が行うべき活動として次の事項が示されています。
- 不祥事に関する調査を実施すること
- 事実認定を行うこと
- これらを評価して原因を分析すること
- 調査結果に基づいて再発防止策等の提言を行うこと
1.について、調査するのは、まずは不祥事を構成する事実関係であるとしつつ、不祥事の経緯・動機・背景や類似案件の存否、さらに不祥事を生じさせた内部統制・コンプライアンス・ガバナンス上の問題点や企業風土にも及ぶべき旨が示されています。
2.について、事実認定は、証拠に基づいて客観的に行う必要があります。また、認定された事実の評価と原因分析は、法的責任の観点に限らず、自主規制機関の規則やガイドライン、企業の社会的責任(CSR)、企業倫理等の観点から行うべきとされています。
ポイント2|第三者委員会の独立性、中立性
第三者委員会は、対象企業から独立した立場で、ステークホルダーのために中立・公正で客観的な調査を行うべきものとされています。
そのためには、委員全員を、対象企業と利害関係がない人から選任しなければなりません。また、現経営陣にとって不利な内容であっても、第三者委員会報告書等に記載することが求められます。
ポイント3|企業等の協力
第三者委員会は、その任務を果たすため、対象企業に対して、調査に対する全面的な協力のための具体的対応を求めるものとされています。対象企業は、第三者委員会の調査に対して全面的に協力しなければなりません。
第三者委員会には対象企業の内部者が含まれないため、調査を円滑に行うためには経営陣の協力が必要不可欠です。日弁連ガイドラインでも、対象企業側による調査協力の重要性が強調されています。
ポイント4|公的機関とのコミュニケーション
第三者委員会は、調査の過程において必要と考えられる場合には、捜査機関、監督官庁、自主規制機関などの公的機関と、適切なコミュニケーションを行うことができるとされています。
公的機関が保有する情報は、客観的かつ公正な調査を実施するために有用であることが多いため、第三者委員会が公的機関と適切にコミュニケーションをとることは非常に重要です。
また、公的機関が不祥事の関係者に対する捜査・調査・審査などを行っている場合には、第三者委員会によるヒアリングとの間でスケジュール調整を行い、公的機関側の活動に支障を及ぼさないように配慮することも求められます。
ポイント5|委員等
第三者委員会の委員数は、原則として3名以上とされています。
委員の適任者としては弁護士が挙げられていますが、当該事案に関連する法令の素養があり、内部統制・コンプライアンス・ガバナンスなどの企業組織論に精通していることが求められます。
さらに、学識経験者・ジャーナリスト・公認会計士などの有識者が委員として加わることが望ましい場合も多いとされています。
また第三者委員会は、調査における実働を担当する者として、調査担当弁護士や公認会計士・税理士・デジタル調査の専門家などを選任できるものとされています。これらの担当者(専門家)は、第三者委員会に直属した調査活動を行います。
ポイント6|その他
上記のほか、第三者委員会に関する事項として、以下の各点が挙げられています。
①調査の手法など
第三者委員会の心構えとして、事実をより正確・多角的にとらえるための努力を尽くさなければならないものとされています。そのための調査手法としては、以下の方法が例示されています。
・関係者に対するヒアリング
・書証の検証
・証拠保全
・統制環境等の調査
・自主申告者に対する処置
・第三者委員会専用のホットライン
・デジタル調査
②報酬
委員および調査担当弁護士の報酬は、時間制(タイムチャージ)が原則とされています。
③辞任
委員は、第三者委員会に求められる任務を全うできない状況に至った場合、辞任できます。
④文書化
第三者委員会の設置に当たり、第三者委員会と対象企業の間で、日弁連ガイドラインに沿った事項を確認する文書を取り交わすものとされています。
⑤日弁連ガイドラインの性質
日弁連ガイドラインはベスト・プラクティスを示した者に過ぎず、日弁連の会員(=弁護士)を拘束しないこと、および日弁連ガイドラインが内部調査委員会に準用されることも期待される旨が示されています。
第三者委員会による報告書の具体例
企業不祥事については、さまざまな企業が第三者委員会による調査を実施した上で、その結果をまとめた報告書をウェブサイト上で公表しています。
第三者委員会報告書を一部紹介しますので、適宜ご参照ください。
参考: 日本大学ウェブサイト「「アメリカンフットボール部薬物事件対応に係る第三者委員会」からの調査報告書の公表について」 ダイハツ工業株式会社ウェブサイト「第三者委員会による調査報告書公表のお知らせ」 関西電力株式会社ウェブサイト「再発防止に向けた業務改善計画について 第三者委員会報告書の概要」 |
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