育児休暇(育児目的休暇)とは?
2025年育児・介護休業法改正の影響・
育児休業との違い・運用例などを解説!

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この記事のまとめ

「育児目的休暇」とは、育児に関する目的のために利用することができる休暇です。小学校入学前の子を養育する労働者に関して、使用者は育児目的休暇を与えるための措置を講ずるように努めなければなりません。

育児目的休暇制度の内容は、企業によって異なります。
例えば配偶者の出産前後の時期に休暇を付与する、子どもの行事に参加するための休暇を付与する、失効した年次有給休暇の育児目的による取得を認めるなどの運用が考えられます。

この記事では育児目的休暇について、育児休業との違い・運用例・企業の注意点などを解説します。

ヒー

育児休暇とはなんでしょう。育児休業と違うのでしょうか?

ムートン

正確には育児目的休暇と言い、法律で義務付けられた育児休業と違い、企業が独自で定める休暇のことです。2025年の法改正の影響などについても解説しますね。

※この記事は、2025年11月12日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • ・育児・介護休業法、法…育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
  • ・規則…育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
  • ・パートタイム・有期雇用労働法…短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律

育児休暇(育児目的休暇)とは

育児目的休暇」とは、育児に関する目的のために利用することができる休暇です。使用者は、小学校入学前の子を養育する労働者に関して、育児目的休暇を与えるための措置を講ずるように努めなければなりません(法24条1項)

2025年育児・介護休業法改正の影響

2025年4月1日から施行された育児・介護休業法改正により、育児休業等の取得状況の公表義務が拡大されました。
従来は常時雇用する労働者の数が1,000人を超える事業主に年1回以上の公表が義務付けられていましたが、改正後は常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主が公表義務を負っています。

対象となる事業主が公表すべき事項は、公表前事業年度における以下の①または②の割合です。

【図版】

引用元|厚生労働省「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます(令和6年5月作成)」

育児目的休暇を取得した男性労働者の数も、取得割合の計算に含めることができます。男女共同参画に関する取り組みのアピールにつながるので、積極的に育児目的休暇の導入をご検討ください。

育児目的休暇と育児休業の違い

育児目的休暇と育児休業は、いずれも育児・介護休業法で定められた制度ですが、両者は異なるものです。育児目的休暇の付与は事業主の努力義務にとどまりますが、育児休業の付与は事業主に義務付けられています

育児目的休暇の付与は努力義務|制度内容も企業によって異なる

育児目的休暇の付与は、事業主の努力義務にとどまります
労働者に育児目的休暇を付与していなくても、育児・介護休業法違反には当たりません。事業主が制度を設けていなければ、労働者は育児目的休暇を取得することができません。

また育児・介護休業法では、育児目的休暇の内容が具体的に定められているわけではありません。事業主においては、育児をする労働者の働きやすさなどの観点から、自社に合った形で育児目的休暇の制度設計を行うことが求められます

育児休業の付与は義務|育児・介護休業法の最低ラインが適用される

育児目的休暇とは異なり、育児休業は事業主に付与が義務付けられています

育児休業の内容は育児・介護休業法によって具体的に定められており、最低限その規定に従って付与しなければなりません。会社が独自に制度を設けていなくても、労働者は育児・介護休業法の規定に従い、育児休業を取得することができます。

育児・介護休業法におけるその他の育児関連休暇

育児をする労働者が短期的に取得できる休暇の制度としては、育児目的休暇のほかに「子の看護等休暇」と「養育両立支援休暇」があります。

子の看護等休暇

子の看護等休暇」とは、子の看病や学校行事の出席などのために取得できる休暇です

小学校3年生修了までの子を養育する労働者は原則として、以下のいずれかに該当する場合には子の看護等休暇を取得することができます。

(a) 負傷し、または疾病にかかった子の世話をする必要がある場合

(b) 子に予防接種または健康診断を受けさせる場合

(c) 子が感染症の疑いで出席停止になった場合

(d) 子の学校が閉校になった、またはクラスが学級閉鎖になった場合
※子自身が感染症に罹っていなくても取得できます。

(e) 子の入園式・卒園式・入学式、その他これに準ずる式典に出席する場合
※上記以外の学校行事(運動会など)は対象外です。

子の看護等休暇の1年度当たりの上限日数は、対象となる子が1人なら5労働日まで、2人以上なら10労働日までです。

育児目的休暇とは異なり、子の看護等休暇の付与は事業主に義務付けられています。要件を満たす労働者から申し出があった場合は、子の看護等休暇を与えなければなりません。

養育両立支援休暇

養育両立支援休暇」とは、就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇です

2025年10月1日から施行された育児・介護休業法改正により、事業主に対し、3歳以上の未就学児を育てる従業員を対象として、柔軟な働き方を実現するための措置を講ずることが義務付けられました(法23条の3)。

具体的には、以下の5つの措置から2つ以上を選択して講じなければなりません。

(a) 始業時刻変更等の措置
(b) 在宅勤務等の措置(テレワーク)
(c) 育児のための所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度、時短勤務)
(d) 養育両立支援休暇を与える措置
(e) 保育施設の設置運営等

養育両立支援休暇を与える措置を講ずる場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇とは別に与えること
  • 1日の所定労働時間を変更することなく利用できる
  • 1年間に10労働日以上利用できる
  • 原則として、時間単位で利用できる
  • 取得理由は、就業しつつ子を養育するのに資するものである限り、労働者に委ねる

育児目的休暇制度の運用例

育児目的休暇制度の内容は、各事業主において個別に検討することが求められます。例えば、以下のような形で運用することが考えられます。

① 配偶者の出産前の時期に休暇を付与する
② 子どもの行事に参加するための休暇を付与する
③ 失効した年次有給休暇につき、育児目的に限り取得を認める

配偶者の出産前の時期に休暇を付与する

出産前の時期では、出産後の養育環境を整えるための準備をしなければなりません。

女性は産前産後休業を取得できますが、臨月またはそれに近い段階では身体の自由が利きにくくなります。そのため夫のサポートが求められますが、育児・介護休業法で定められている育児休業は、出産前の時期に取得することができません。

そこで男性労働者に対し、配偶者の出産前の時期に育児目的休暇を付与することが考えられます。出産後の養育に向けた準備につき、夫婦共同で取り組めるようにすることが狙いです。

子どもの行事に参加するための休暇を付与する

子の看護等休暇は子の入園式・入学式・卒園式に参加する場合も取得できます。しかし、その他の学校行事は対象外とされており、子が小学校4年生以上になると取得できなくなります。

そこで、子の看護等休暇の対象にならないケースにおいても、学校行事などに参加する場合には育児目的休暇を付与することが考えられます。例えば授業参観・運動会・部活動の応援・習い事の発表会など、幅広い行事への参加時に利用できる育児目的休暇を付与すれば、労働者の家庭における思い出作りやコミュニケーションを促すことにつながります。

失効した年次有給休暇につき、育児目的に限り取得を認める

年次有給休暇は、付与されてから2年が経過すると時効によって消滅しますが、事業者が任意に取得を認めることは妨げられません。
時効によって消滅した年次有給休暇につき、育児目的に限って取得を認めることも、育児目的休暇の運用方法の一つです

育児目的休暇の運用に関する企業の注意点

育児目的休暇の運用に関して、企業は特に以下のポイントにご注意ください。

① 子が小学校に入学するまでは、育児目的休暇を付与する努力義務がある
② 育児目的休暇は無給でもよい
同一労働同一賃金に注意|有期雇用労働者にも付与すべき

子が小学校に入学するまでは、育児目的休暇を付与する努力義務がある

育児目的休暇を付与する努力義務は、労働者の養育する子が小学校に入学するまで続きます(法24条1項)。
努力義務にとどまるのでペナルティはありませんが、労働者にとって働きやすい環境を整えるためにも、使いやすい育児目的休暇制度の整備に努めましょう。

育児目的休暇は無給でもよい

育児目的休暇は、無給でも構いませんただし、事業主の判断で有給とすることもできます。労働者の働きやすさの観点や財務状況などを総合的に考慮して、無給・有給のどちらとするかを適切に判断してください。

同一労働同一賃金に注意|有期雇用労働者にも付与すべき

育児目的休暇についても、賃金など他の待遇と同様に「同一労働同一賃金」が適用されます。同一労働同一賃金とは、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を禁止するルールです(パートタイム・有期雇用労働法8条・9条)。

同一労働同一賃金により、育児目的休暇を付与する場合は、短時間労働者や有期雇用労働者も対象に含める必要があります。取得できる労働者を正社員に限定するなどの不当な制限を加えると、同一労働同一賃金違反によってトラブルに発展するおそれがあるので十分ご注意ください。

小学校入学前の子を育てる労働者のために、企業が講ずべきその他の措置

小学校入学前の子を養育する労働者のために、企業が講ずるよう努めるべき措置としては、育児目的休暇以外に以下のものが定められています。

① 始業時刻変更等の措置に準ずる措置
② 育児休業に関する制度に準ずる措置
③ 在宅勤務等の措置に準ずる措置

始業時刻変更等の措置に準ずる措置

1歳に満たない子(育児休業を延長できる場合は、最長で2歳に満たない子)を養育する労働者で、育児休業をしていないものについては、始業時刻変更等の措置に準じて必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(法24条1項1号)
また、上記の年齢に達してから3歳に達するまでの子を養育する労働者については、次の項目で解説する育児休業に関する制度に準じて必要な措置と、始業時刻変更等の措置に準じて必要な措置のいずれかを講ずるよう努めなければなりません(同項2号)

始業時刻変更等の措置」とは、以下のいずれかの方法により講じられる措置をいいます(法23条2項2号、規則74条)。対象となる労働者を雇用している事業主は、これらの措置か、またはそれに準じる措置を講じることが求められます。

(a) フレックスタイム制を設けること。
(b) 1日の所定労働時間を変更することなく、始業または終業の時刻を繰り上げ、または繰り下げる制度を設けること。
(c) 3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与を行うこと。

育児休業に関する制度に準ずる措置

1歳(育児休業を延長できる場合は、最長で2歳)から3歳に達するまでの子を養育する労働者については、育児休業に関する制度に準じて必要な措置と、前の項目で解説した始業時刻変更等の措置に準じて必要な措置のいずれかを講ずるよう努めなければなりません(法24条1項2号)
また、3歳から小学校に入学するまでの子を養育する労働者については、育児休業に関する制度に準じて必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(同項3号)

上記の年齢の子は、育児・介護休業法に定められた育児休業の対象外であるものの、できる限り引き続き育児休業を取得できるようにする配慮を求めるものです。

在宅勤務等の措置に準ずる措置

3歳に満たない子を養育する労働者で、育児休業をしていないものについては、在宅勤務等の措置に準じて必要な措置を講ずるように努めなければなりません(法24条2項)

在宅勤務等の措置」とは、労働者の申出に基づき、その労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするため、住居その他これに準ずるものとして労働契約等で定める場所で勤務させる措置です(法23条2項1号)。
対象となる労働者を雇用している事業主は、在宅勤務等の措置か、またはそれに準じる措置を講じることが求められます。

ムートン

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