情報セキュリティ研修とは?
意味・重要性・法令・
研修資料などを分かりやすく解説!

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片岡総合法律事務所弁護士
個人情報の利活用などの情報法分野、プロバイダ責任制限法などインターネット上の情報流通に係る法的問題への対応や、電気通信事業法上の規制対応などのIT・通信分野及び各種決済サービスやローン、クレジットなどの金融規制法分野、を中心に取り扱うと共に、契約書のレビューや紛争案件、不祥事対応などの様々な企業法務案件を取り扱う。

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この記事のまとめ

情報セキュリティ研修」とは、情報セキュリティ重要性と情報セキュリティを確保するために必要なことについて理解を深めるため、役員従業員に対して行う研修です。

情報セキュリティは、技術的な措置や組織的な対策も重要となりますが、個々の役職員が情報セキュリティの重要性を理解し、適切な情報資産の取扱いを行うことが非常に重要になりますので、情報セキュリティ研修では、情報セキュリティの意味や関連する法令などと共に、情報セキュリティの重要性や従業員が気を付けるべきことを理解することが大切です。

この記事では「情報セキュリティ研修」で伝えるべき内容について、基本から分かりやすく解説します。

ヒー

役員から「色々ニュースにもなってるし、うちも情報セキュリティ研修をやるべきだよね?」と指示がありました。でも、情報セキュリティは詳しくなくて…どんな研修を行えばよいのでしょうか?

ムートン

従業員の意識を変えるために、情報セキュリティについて研修を行うことは重要ですね、ポイントをご紹介します。実施の際は、専門家の解説する研修動画なども役立ちますよ。

※この記事は、2025年3月19日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名等を次のように記載しています。

  • 個人情報保護法…個人情報の保護に関する法律

情報セキュリティ研修とは

情報セキュリティ研修」とは、情報セキュリティ重要性と情報セキュリティを確保するために必要なことについて理解を深めるため、役員従業員に対して行う研修です。

情報セキュリティとは

情報セキュリティとは、一般に「情報の機密性Confidentiality)、完全性Integrity)、可用性Availability)の3要素を維持すること」をいうとされています。

機密性:許可された者だけが情報にアクセスできるようにすること
完全性:保有する情報が正確であり、完全である状態を保持すること
可用性:許可された者が必要なときにいつでも情報にアクセスできるようにすること

企業において情報セキュリティが確保されていないと、情報漏えい等のセキュリティインシデントが発生し、レピュテーションの低下や金銭的な損失など、事業活動に大きな影響を与えるおそれがあります。

情報セキュリティは、技術的な措置や組織的な対策も重要となりますが、個々の役職員が情報セキュリティの重要性を理解し、適切な情報資産の取扱いを行うことが非常に重要になります。
そこで、企業における情報セキュリティの重要性を理解し、情報セキュリティの確保のために気を付けるべき事項を学ぶことが情報セキュリティ研修の目的となります。

企業における情報セキュリティとは

企業における情報セキュリティの位置づけと対策

情報セキュリティ対策は、企業経営における重要課題であり、経営者がリーダーシップをとって推進すべき事項です。
それと同時に、個々の従業員が通常の業務において、適切な情報、情報資産の管理を行うことが重要です。

最も重要なこと

企業全体として体制を整備したり、不正アクセスを防ぐためのシステムを導入したりしていても、ヒューマンエラーによって情報漏えいなどのセキュリティインシデントは発生してしまいます。
そういう意味では、情報セキュリティにおいて、一番危険なのは「だといえます。

情報セキュリティを確保するためのルールが時に業務の効率性を損なう面があることは否めませんが、「少しくらいルールを守らなくても大丈夫」といった意識では、情報漏えい等のリスクは減りません。

情報を漏えいしない・させないために最も大事なことは役員・従業員の皆さんの意識のもち方を変えることです。

情報セキュリティの重要性

現代社会の特徴

現代社会は、情報通信ネットワークへの依存度が高まっており、情報通信ネットワークがないと成立しない社会になっているといえ、ひとたびセキュリティインシデントが発生した際の影響が大きくなりやすい状況になっているといえます。

また、近年、サイバー攻撃やその被害の件数が増加しており、サイバー攻撃のリスクが拡大しています。
このような情報セキュリティインシデントのリスクの高まりに伴い、現代社会における情報セキュリティの重要性はますます高まっています。

情報漏えい等の影響

情報漏えい等が生じた場合における企業にとってのリスクとしては、被害者(漏えいした個人情報の主体や取引先など)への損害賠償法令違反(個人情報保護法上の安全管理措置義務違反、業法上の体制整備義務違反など)による行政指導行政処分などの措置が考えられます。

また、業務の停止・業務効率の低下、金銭的な被害、レピュテーションの低下などの影響が生じることもあります。

さらに、情報漏えい等を起こしてしまった従業員個人も、解雇等の懲戒処分を受けたり、被害者・企業からの金銭請求刑事罰などのリスクが生じるなどの大きなリスクを負うことになります。

情報漏えい等により大きな損害が発生した事例

実際にも、例えば以下のような事例が発生しています。

情報漏えいによって大きな損害が発生した事例

① 大手通信教育事業者から、約2800万件に及ぶ個人情報が漏えいし、裁判において1人当たり3300円の損害が認定された事例

ランサムウェア攻撃※により、財務管理や販売管理を行う基幹システムや、グループネットワーク内で運用していたシステムが暗号化されてしまい、システム等復旧費用等に多額の支出を余儀なくされた事例

※ ランサムウェア(パソコンなどに保管されたデータを、勝手に暗号化して、使用・操作を不可能にするマルウェアの総称)を使用して勝手に暗号化したデータの復元と引き換えに、身代金として金銭を脅し取ろうとする攻撃類型

情報セキュリティに関連する法令

サイバーセキュリティ基本法と情報セキュリティに関連する規定

サイバーセキュリティに関連する法律としては、まず、サイバーセキュリティ基本法があります。
サイバーセキュリティ基本法は、サイバーセキュリティを総合的かつ効率的に推進するため、基本理念や国の責務などを明らかにした法律です。

その他、さまざまな法律において、情報セキュリティに関する規定が散在しており、関連する法律は幅広く存在します。そのうち、個人情報保護法不正競争防止法が特に重要になります。

個人情報保護法

個人情報保護法は、個人情報」を取り扱う際の、事業者の義務を定めたものです。

情報セキュリティとの関係では、情報の管理に関するルールである安全管理措置義務や、情報漏えい等が発生した場合の対応に関するルールである漏えい等の報告義務が重要になります。

不正競争防止法

不正競争防止法は、企業などが事業活動を行う上で有用な営業上・技術上の情報である「営業秘密」の保護について定められています。

一定の要件を満たした情報は、営業秘密として保護の対象となり、侵害行為が行われた場合には、侵害行為に対する差止損害賠償請求という民事上の措置が可能です。また、営業秘密の侵害行為は刑事罰の対象となっています。

従業員の方が気を付けるべきこと

従業員の方が特に意識すべきこと

情報セキュリティを確保するために従業員が意識すべきことは、まず、自社の情報管理ルールをきちんと把握して、守ることです。
情報管理ルールは、取り扱う情報の性質や量、事業の性質などに応じて定める必要があり、会社ごとにルールが異なりますので、きちんと自社のルールを把握することが重要になります。

また、情報セキュリティインシデント発生した場合には、すぐに上司や社内の担当部署に報告することが大切です。

ヒー

情報セキュリティ研修のポイントがよく分かりました、わが社でもやろうと思います! でも、研修担当者も詳しくないので、先生に講義をしてもらえないでしょうか?

ムートン

そんなときは、Legal Learningなら、動画で手軽に上記内容の研修を実施することができます!

ヒー

説明する動画だけでなく、事例・具体例詳しい資料もあるんですね。早速見てみようと思います!

ムートン

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参考文献

内閣サイバーセキュリティセンター「サイバーセキュリティ関係法令 Q&AハンドブックVer2.0」

一般財団法人日本情報経済社会推進協会「メール誤送信事故を起こさないために」