契約締結とは?
電子契約の場合のフロー・契約締結日の決め方・
効力発生日を変える方法などを分かりやすく解説!

この記事のまとめ

契約締結とは、契約審査・交渉を経た契約内容につき、当事者全員が合意することをいいます。

契約を締結する際は、
書面での契約
電子契約
でフローが異なります。

契約締結業務を効率化したい場合は、電子契約を活用するのがおすすめです。

今回は、契約締結について、基本を分かりやすく解説します。

昨今は、電子契約による契約締結がはやっていますよね。

そうですね。コロナ等もあり電子契約に注目が集まっています。ただ、書面での契約締結もまだまだ行われているので、法務担当者は、両方のフローをきちんと把握しておきましょう。

※この記事は、2023年1月11日時点の法令等に基づいて作成されています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
・電子署名法…電子署名及び認証業務に関する法律

契約締結とは

契約締結とは、契約審査・交渉を経た契約内容につき、当事者全員が合意することをいいます。契約締結の方法には主に「書面での契約」と「電子契約」の2つがあり、それぞれ締結のフローが異なります。

書面で締結する場合のフロー

書面で契約を締結する場合のフローは、以下のとおりです。

(1)契約審査・契約交渉
取引を担当する所管部門の依頼により、法務部門が契約審査を行います。契約審査の結果を踏まえて相手方と契約交渉を行い、最終的な契約書の内容を調整していきます。

(2)最終版契約書(書面)の作成
契約内容が決まったら、最終版契約書を書面で作成します。

(3)署名捺印・記名押印・サインによる締結
最終版契約書に、全ての当事者が以下のいずれかの方式により調印を行い、契約が成立します。当事者が一堂に会して調印を行う場合と、郵送などで最終版契約書を回覧して個々に調印を行う場合があります。
・署名捺印……自署(サイン)+押印
・記名押印……印字された当事者名+押印
・サイン……自署のみ

(4)原本保管
全ての当事者が調印した契約書の原本を、適切な方法により保管します。また、後から内容を確認しやすいように、原本とは別にスキャンし、PDFファイルを作成するのが便利です。

電子契約で締結する場合のフロー

電子契約を締結する場合のフローは、以下のとおりです。

(1)契約審査・契約交渉
取引を担当する所管部門の依頼により、法務部門が契約審査を行います。契約審査の結果を踏まえて相手方と契約交渉を行い、最終的な契約書の内容を調整していきます。

(2)最終版契約書(電子ファイル)の作成
契約交渉を通じて契約条件が全て決まったら、締結用に最終版契約書を電子ファイルで作成します。

(3)電子署名による締結
最終版契約書のファイルに、全ての当事者が電子署名を行い、契約が成立します。電子署名を付す方法には、「当事者型」と「事業者型(立会人型)」があります。
※これらの違いは、「電子契約の2つの締結方法|『当事者型』と『事業者型(立会人型)』」で解説します。

(4)原本ファイルの保存
電子署名が付された契約書ファイルは、電子契約の原本として取り扱われます。原本ファイルは、電子帳簿保存法に従った適切な方法により保管します。

書面での契約と電子契約で、証拠力はどう変わる?

基本的に、書面での契約と電子契約で、契約締結の事実と内容を立証する証拠力に差はありません。法律上も、契約締結の方式は原則自由とされており、書面での契約・電子契約のいずれも認められています。

ただし、裁判(訴訟)で契約書の証拠力が争われた場合に備えて、書面での契約・電子契約ともに、法令に基づく「推定効」が認められる方法にのっとり締結すべきです。

裁判になった場合に備えて、書面での契約・電子契約それぞれで、どのような手続きをする必要があるのかみていきましょう。

書面|本人(または代理人)の署名または押印が必要

書面での契約については、本人(または代理人)の署名または押印があることで、文書が真正に成立したもの(=その文書の作成者の意思に基づいて作成されたもの)推定されます。

推定って、どういう意味ですか?

かみ砕いていうと、相手方から反論がされない限り、積極的に証明しなくても、その文書の作成者の意思に基づいて作成されたものと認められる、ということです。

電子契約|電子署名法上の電子署名が必要

電子契約は電子ファイルであるため、署名または押印を行うことができません。

その代わりに、当事者全員が電子署名法上の電子署名を付すことで、文書が真正に成立したもの(=その文書の作成者の意思に基づいて作成されたもの)と推定されます。

電子署名法が定める、電子署名の要件は、以下のとおりです。

電子署名の要件

・本人による電子署名(①本人性「当該電子署名が本人によって作成されたことを示せること」、②非改ざん性「当該電子署名について改変が行われていないか確認できること」を満たすもの)があって、

・その電子署名について本人だけが行うことができるものであること

契約締結日の決め方

契約締結日は、特段の事情がない限り、当事者全員の調印が完了した日にするのが一般的です。

契約締結日と効力発生日との違い

契約締結日と混同されがちな言葉として、「効力発生日」があります。効力発生日とは、実際に契約書の効力が発生する日を指します。

一方、「契約締結日」は、当事者間において契約内容の合意が成立した日のことです。バックデート(後述)の処理をしない限り、契約締結日は調印日と一致します。

実務では、契約締結日と効力発生日を同日とするケースがもっとも多いですが、契約締結日と効力発生日を別日とするケースもあります。

そのため、契約締結日と効力発生日は、区別して理解しなければなりません。

契約締結日と効力発生日を変える方法

契約締結日と効力発生日を別日にする場合は、契約期間に関する条項を設け、契約の有効期間を記載する必要があります。

記載の仕方としては、効力発生日を契約締結日よりも、
過去に設定するか
未来に設定するか
で異なります。

以下、それぞれ解説します。

①効力発生日を過去に設定する(遡及効)

効力発生日が先、契約締結日が後の順とするのは、例えば契約書を作成しないまま事実上始まってしまった取引について、後から契約書を作成する場合などです。

取引に関する契約書が存在しない期間が生じるため、本来であればこのようなかたちは避けるべきですが、実務上やむを得ない場合もあるでしょう。

この場合、契約締結日よりも前から契約が発効することを明確化する必要があります。つまり、契約書に遡及効があることを明記しなければなりません。

例文

「本契約は、△年△月△日(=契約締結日より前の日、以下同じ)に遡って効力を生じるものとする。」
「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず、△年△月△日から1年間とする。」
「本契約の有効期間は、契約締結日にかかわらず、△年△月△日から〇年〇月〇日までとする。」

※契約締結日は、後文で別途記載

②効力発生日を未来に設定する

契約締結日が先、効力発生日が後の順とするのは、例えば実際に取引が開始する前の段階で、当事者のコミット(=取引に参加するという約束)を確保しておきたい場合などです。

この場合、契約の有効期間の初日として効力発生日を記載し、契約締結日と効力発生日が別日であることを明確化しましょう。

例文

「本契約は、△年△月△日(=契約締結日より後の日、以下同じ)から効力を生じるものとする。」
「本契約の有効期間は、△年△月△日から1年間とする。」
「本契約の有効期間は、△年△月△日から〇年〇月〇日までとする。」

※契約締結日は、後文で別途記載

契約締結日から効力発生日までの期間は、原則として契約は発効しません。

ただし、取引を阻害するような行為については、契約締結日から効力発生日までの期間においても禁止する旨の特約(順守事項)が設けられることが多いです。

契約締結を進める上で留意すべきポイント

契約締結を進めるに当たっては、契約締結日を実態に沿って明記する必要があります。特に、契約締結日に関する以下の2点に注意しましょう。

・契約締結日をバックデートしない
・契約締結日を確実に明記する|記載漏れがないか要確認

契約締結日をバックデートしない

契約書上の契約締結日を、実際の調印日よりも遡らせる(前の日付とする)ことをバックデート(back date)といいます。

契約書がない状態で既に始まっている取引につき、取引開始日と契約締結日を一致させるなどの目的で、バックデートを行う例が見受けられます。

しかしバックデートは、契約締結の経緯について、事実に反する記載をすることを意味します。万が一後から契約の有効性などが争われた場合、いつ契約が締結されたのか、いつから発効したのかなどを、後から検証することが困難になってしまいます。

そのため、契約締結日を意図的にバックデートすることは避け、契約の遡及効を明記する方法により対応すべきでしょう。

契約締結日を確実に明記する|記載漏れがないか要確認

契約締結日は、契約書において確実に記載しなければなりません。後に契約の有効性などが争われた場合に、当事者の合意がいつ成立したのかが重要な論点になり得るためです。

また、契約締結日の記載が漏れていると、関連する覚書を締結する際に、契約書の特定がしづらくなります。覚書を締結する際は、「○○年○月○日付けで締結された、○○契約に関し、覚書を締結する」といった書き方をするケースが多いためです。

調印の段階で、契約締結日を確実に明記しておきましょう。

契約締結業務を効率化する方法|電子契約を活用する

契約締結業務を効率化するためには、電子契約を導入するのが良いでしょう。電子契約は、紙の契約書に比べて締結・管理上の利便性が高いほか、印紙税節約にもつながるためです。

電子契約を利用するメリット

電子契約を利用するメリット(書面での契約よりも優れている点)は、以下のとおりです。

・郵送する手間を省くことができる
→電子契約は、オンライン上の操作によって締結できます。紙の契約書とは異なり、契約書の原本を郵送してやり取りする必要がなく、事務的な労力を大幅に削減できます。

・保管場所を取らない
→電子契約の原本ファイルは、クラウドサーバーやローカルサーバーなどで管理します。紙の契約書の場合、キャビネット・棚・部屋などの保管スペースを用意する必要がありますが、電子契約の場合はその必要がなく、保管コストの削減やオフィススペースの有効利用につながります。

・紛失リスクが少ない
→電子契約の原本ファイルは、バックアップを容易に作成することができます。メールなどを通じて、複数人が原本ファイルを保有することも可能です。そのため、原本の数が限られている紙の契約書に比べて、紛失リスクが少ない点も電子契約のメリットの一つです。

・印紙が不要なので印紙代の節約になる
→書面であれば収入印紙の貼付が必要となる種類の契約書であっても、電子契約であれば収入印紙の貼付は不要なので、印紙税の節約につながります。

電子契約に印紙税がかからないのは、電子書面を作成することが、印紙税法が定める課税文書の「作成」に当たらないと理解されているためです。

より詳細に知りたい方は、以下の記事を参照ください。

電子契約の2つの締結方法|「当事者型」と「事業者型(立会人型)」

電子契約を締結する際には、原本ファイルに電子署名を行うのが一般的です。電子署名を付す方法は、「当事者型」と、「事業者型(立会人型)」の2つに大別されます。

(1)当事者型
当事者が事前に、認証局で電子証明書を取得して保有・管理する電子署名を自ら付ける方法です。事前準備として、電子証明書の取得が求められること、そして電子証明書の取得のために、さらに印鑑証明などの取得が必要になります。また、相手方にも同様の手続きをしてもらわねばならず、難易度が高くなっています。

(2)事業者型(立会人型)
電子契約などのクラウドサービスを提供する事業者が、当事者の代わりに電子署名を付ける方法です。当事者型のような事前準備が不要であり、簡便に導入・運用できるというメリットがあるため、「事業者型」を用いて電子署名を行うのが主流となっています。

「当事者型」よりも、「事業者型(立会人型)」の方が、利便性が高いといえるでしょう。

この記事のまとめ

契約締結の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!