金銭消費貸借契約(金消契約)とは?分かりやすく解説!

この記事のまとめ

この記事では、次の点を分かりやすく解説します。

・金銭消費貸借契約の要件・効果

・金銭消費貸借契約に一般的に定める条項

※この記事は、2021年5月20日時点の法令等に基づいて作成されています。

金銭消費貸借契約(金消契約)とは?

消費貸借契約とは、種類、品質及び数量の同じ物を返す代わりに金銭、その他の物を受け取ることができるという契約です(民法587条)。

(消費貸借)
第587条 
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

民法 – e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

金銭消費貸借契約とは、このうち受け取る物が「金銭」であるものをいいます。 すなわち、金銭を受け取る代わりに、それと同額の金銭(利息付の場合は利息も含む)を返すという契約になります。つまり、「借金」ということですね。

以下、消費貸借契約のうち金銭消費貸借契約について解説します。

金銭消費貸借契約の要件

金銭消費貸借契約が成立する要件は次の2つです。

金銭消費貸借契約の要件

① 借主が貸主に、同額を返還することを約束して
② 貸主から金銭を受け取る

②の要件があるため、貸主から、借主に金銭を交付しなければ、契約が成立しません。

「貸します」「返します」と約束するだけでは、金銭消費貸借契約は成立しないのですね。

そうなのです。このように、実際に物を渡さなければ契約が成立しないものを「要物契約」といいます。
しかし2020年4月の民法改正により、金銭の返還の約束をするだけで契約が成立する 「諾成的金銭消費貸借契約」 が新たに認められました。

民法改正(2020年4月施行)では、書面上で契約する場合に限り②の要件を不要とする 「諾成的金銭消費貸借契約」 というものが認められるようになりました。 金銭の交付がなくても、貸主が金銭を交付することを約束し、借主が金銭を返還することを約束しただけで契約が成立することになります(民法587条の2第1項)。

金銭消費貸借契約の効果

金銭消費貸借契約が成立した場合、諾成的ではない金銭消費貸借契約の場合は、 貸主が金銭を交付した後に契約が締結するため、貸主には金銭を貸す義務は生じません。 借主は、貸主に借りた額と同額の金銭を返還する義務を負います。 逆に、諾成的金銭消費貸借契約の場合、貸主は、借主に金銭を交付する義務が発生します。 借主が、貸主に借りた額と同額の金銭を返還する義務が生じる点は諾成的ではない金銭消費貸借契約と同様です。

また、利息付きの金銭消費貸借契約の場合は、借主は、さらに利息を返還する義務を負います。 金銭消費貸借契約には当然に利息が付いているわけではなく、契約で利息を定める必要があります。 多くの金銭消費貸借契約は、利息を定めています。

金銭消費貸借契約の効果

通常の(諾成的でない)金銭消費貸借契約の場合

・貸主│金銭を交付する義務は生じない。
・借主│貸主に借りた額と同額の金銭(利息付の場合は利息も)を返還する義務を負う。

諾成的金銭消費貸借契約の場合

・貸主│借主に金銭を交付する義務を負う。
・借主│貸主に借りた額と同額の金銭(利息付の場合は利息も)を返還する義務を負う。

金銭消費貸借契約の条項

一般的によく締結されている金銭消費貸借契約には、賃借する金額、返済期日、返済方法、利息、遅延損害金、 期限の利益喪失、相殺といった項目を定めます。また、金銭消費貸借契約を締結する際に、連帯保証人を付けたり、抵当権を設定したりすることがあります。 この場合は、あわせて連帯保証や抵当権の設定について定めることがあります。

金銭消費貸借契約に一般的に定められている事項

・賃借する金額
・返済期日
・返済方法
・利息
遅延損害金
・期限の利益喪失
・相殺
(連帯保証人がいる場合)連帯保証
(抵当権の設定がある場合)抵当権の設定

貸借する金額等

金銭消費貸借契約におけるもっとも基本的な事項として、貸主が借主に対して貸し付ける金額を記載します。

消費貸借の合意が成立したことを示すために、必要十分な事項を明記することが大切です。そのため、金額と併せて貸付実行日なども記載しておきます。

また、貸付の方法(銀行振込など)についても記載しておくのがよいでしょう。

貸借する金額に関する条項の記載例

1. 貸主は借主に対し、○年○月○日に金○円を貸付け、借主はこれを借り受ける。

2. 前項に基づく貸付は、貸主が前項に定める額の金員を、借主が別途指定する銀行口座に振り込む方法によって行う。なお、振込手数料は借主の負担とする。

返済期日

貸付元本の返済期日についても、金銭消費貸借契約に明記する必要があります。返済期日の設定方法は、「一括返済」と「分割返済」の2種類に大別されます。

返済種別

一括返済

→貸付元本の全額を、1回の返済期日に一括して返済する方法です。「ブレット(bullet)」とも呼ばれます。一括返済の場合、定期(毎月1回など)の弁済日に支払うのは利息のみです。

分割返済

→貸付元本を定期の弁済日において、利息とともに少しずつ返済する方法です。「アモチゼーション(amortization)」又は「アモチ」とも呼ばれます。

一括返済に関する条項の記載例

借主は貸主に対して、本件貸付に係る元本を、○年○月○日に一括にて返済する。

分割返済に関する条項の記載例

1. 借主は貸主に対して、本件貸付に係る元本を、○年○月○日以降、毎月○日に○万円ずつ返済する。

2. 借主は貸主に対して、○年○月○日時点における本件貸付に係る元本残高を、同日に一括にて返済する。

返済方法

貸付元本の返済方法を定めるに当たっては、具体的な支払の方法と期限前返済の可否がポイントになります。

具体的な支払の方法については、現金交付又は銀行振込とするのが一般的です。現金交付の場合は支払場所を、銀行振込の場合は振込先口座と振込手数料の取扱いを明記しておきましょう。

現金交付による返済に関する条項の記載例

借主の貸主に対する本件貸付に係る元本及び利息の支払は、貸主が別途指定する場所において現金交付により行う。

銀行振込による返済に関する条項の記載例

借主の貸主に対する本件貸付に係る元本及び利息の支払は、貸主が別途指定する銀行口座に振り込む方法により行う。なお、振込手数料は借主の負担とする。

期限前返済については、民法591条2項により可能であるのが原則ですが、契約の定めによって禁止し、又は条件を付すことができます。

期限前返済に関する条項の記載例

(期限前返済を自由に認める場合)
借主は、返済期日が到来していない本件貸付に係る元本についても、貸主に対して任意に返済できるものとする。

(期限前返済を禁止する場合)
借主は、返済期日が到来していない本件貸付に係る元本につき、貸主に対して返済することができないものとする。

(期限前返済について貸主の承諾を要求する場合
借主は、返済期日が到来していない本件貸付に係る元本につき、貸主の書面による承諾を得た場合に限り、貸主に対して返済できるものとする。

利息

貸主が借主から利息の支払を受けるためには、利息の計算方法などを金銭消費貸借契約に明記しなければなりません(民法589条1項)。

利息に関する条項の記載例

1. 借主は貸主に対して、○年○月○日以降、毎月○日(以下「利払日」という)に本件貸付に係る利息を支払う。

2. 前項に基づき、利払日において借主が貸主に対して支払うべき利息は、下記の計算式によって算出する。

利息=当該利息計算期間の初日における本件貸付の元本残高×適用利率×当該利息計算期間の実日数÷365
以上

3. 前項に定める利息計算期間は、当該利払日の直前の利払日の翌日(同日を含む)から、当該利払日(同日を含む)までとする。

4. 第2項に定める適用利率は、○%とする。

なお、金銭消費貸借契約の適用利率については、元本額に応じて以下のとおり上限が設けられています(利息制限法1条)。

元本額上限利率
10万円未満年20%
10万円以上100万円未満年18%
100万円以上年15%

遅延損害金

遅延損害金とは、借主による元本・利息等の支払が遅れた場合に、貸主に対して支払うべき損害賠償です。

遅延損害金の利率は、約定利率が契約に定められていればそれに従い、契約の定めがなければ法定利率(年3%)によります。実務上、金銭消費貸借契約を締結する際には、遅延損害金についての約定利率を定めるのが一般的です。

遅延損害金に関する条項の記載例

借主が本契約に基づき貸主に対して支払うべき金銭債務の弁済を一部でも怠った場合には、借主は貸主に対して、弁済期日(同日を含む)から当該未払額の完済に至る日(同日を含まない)までの期間につき、年○%の割合で遅延損害金を支払う。

なお、遅延損害金についても、以下のとおり上限利率が設けられています(利息制限法4条)。

元本額上限利率
10万円未満年29.2%
10万円以上100万円未満年26.28%
100万円以上年21.9%

ただし、債権者が業として行う「営業的金銭消費貸借」の場合、遅延損害金の上限利率は一律20%となります(利息制限法7条)。営業的金銭消費貸借に該当するのは、主に銀行や貸金業者による貸付です。

期限の利益喪失

「期限の利益」とは、借主が貸主から借りた金銭を、返済期日までの間利用できることを意味します。

しかし、もし借主が元本・利息の支払を怠るなど、金銭消費貸借契約上の債務不履行を起こした場合、借主が倒産する前に、貸主は一刻も早く債権を回収しなければなりません。そのため、債務不履行などの発生を条件として、借主の期限の利益を失わせる旨を金銭消費貸借契約で定めておきます。

なお期限の利益喪失事由は、「当然喪失事由」と「請求喪失事由」の2種類を定めることが多いです。

期限の利益喪失事由

当然喪失事由

→発生した時点で、借主は直ちに期限の利益を失います(記載例1項)。

請求喪失事由

→発生後、貸主の請求を受けた時点で、借主は期限の利益を失います(記載例2項)。

期限の利益喪失に関する条項の記載例

1. 借主は、以下の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合には、本契約に基づく一切の債務について当然に期限の利益を失い、貸主に対して直ちに当該債務を弁済しなければならない。
(1)借主が支払不能若しくは支払停止の状態に陥ったとき、又は手形若しくは小切手が不渡りとなったとき
(2)借主について破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、特別清算開始その他の倒産手続開始の申立てがあったとき
(3)借主が解散し、合併、会社分割、株式交換、株式移転若しくは株式交付その他の組織再編を行い、事業を譲渡し若しくは事業を譲り受け、又は組織変更を行ったとき
(4)借主が貸主に対して有する預金債権につき、仮差押え、仮処分、強制執行又は公租公課の滞納処分があったとき
(5)借主が所在不明となったとき

2. 借主は、以下の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合には、本契約に基づく一切の債務について、貸主の請求により期限の利益を失い、貸主に対して直ちに当該債務を弁済しなければならない。ただし、前項に定める事由が発生した場合には、前項の規定を適用する。
(1)借主が貸主に対して、本契約に基づく債務を弁済期において支払わずに3営業日が経過したとき
(2)借主が本契約に基づく義務に違反したとき
(3)第〇条に規定する取引実行前提条件が、一つでも充足されていないことが判明したとき
(4)第〇条に基づく借主の表明及び保証が真実でなく、又は不正確であることが判明したとき
(5)貸主の借主に対する担保権が失効したとき。
(6)借主の財産のうち、借主が貸主に対して有する預金債権以外のものにつき、仮差押え、仮処分、強制執行又は公租公課の滞納処分があったとき

相殺

貸主が借主に対して債権を有する一方で、借主も貸主に対して債権を有する場合、双方の債務が弁済期にあれば、それぞれが相殺を主張して債務を消滅させることができます(民法505条1項)。ただし、契約によって相殺を禁止することも可能です(同条2項)。

特に銀行が債権者となる金銭消費貸借契約の場合、銀行の債務者に対する貸付債権と、債務者の銀行に対する預金債権の相殺が問題になり得ます。実務上は、銀行側からの相殺を認める一方で、債務者側からの相殺は認めないケースが多いです。

相殺に関する条項の記載例

1. 貸主は、本件貸付に係る債権を自働債権として、借主の預金口座に係る預金払戻請求権その他の貸主に対する債権を受働債権とする相殺を行うことができる。

2. 借主は、貸主に対する債権を自働債権として、本件貸付に係る債権を受働債権とする相殺を行うことはできない。

(連帯保証人がいる場合)連帯保証

金銭消費貸借契約では、借主が元本・利息等の支払を怠った場合に、代わりに支払を行う「連帯保証人」を設定することがあります。連帯保証人がいる場合、金銭消費貸借契約において連帯保証に関する条項を定めておきましょう。

連帯保証に関する条項の記載例

1. 連帯保証人は、貸主に対し、本契約に基づき生じる借主の一切の債務につき、借主と連帯してその完全な履行を保証する。

2. 前項に基づく保証債務の極度額は○万円とする。

3. 第1項に基づく保証債務の元本確定期日は、本契約締結日の5年後応当日とする。

なお、金銭消費貸借契約に基づく「借主の一切の債務」を連帯保証の対象とする場合、「根保証契約」として取り扱われます。

2020年4月1日に施行された改正民法により、個人を保証人とする根保証契約については、極度額の定めが必須とされました(民法465条の2第2項)。極度額の定めがない個人根保証契約は無効となるため、記載例2項のように極度額を定めておきましょう。

また、金銭消費貸借契約に関する個人根保証契約は、原則として金銭消費貸借契約の締結日から3年後に元本が確定します(民法465条の3第2項)。 ただし元本確定期日は、契約の定めによって契約締結日から5年後まで先延ばしにできます(同条1項)。よって、返済期間が3年を超える場合には、記載例3項のように元本確定期日に関する定めを置くのがよいでしょう。

(抵当権の設定がある場合)抵当権の設定

借主が元本・利息等の支払を怠った場合に、不動産を競売して弁済に充てられるように「抵当権」を設定するケースがあります。抵当権を設定する場合、被担保債権の内容や登記手続などについて、金銭消費貸借契約に明記しておきましょう。

抵当権に関する条項の記載例

1. 借主は、本契約締結日において、本件貸付に係る債権その他本契約に基づき貸主が借主に対して有する一切の債権を担保するために、借主が保有する別紙記載の不動産に、下記内容の抵当権(以下「本件抵当権」という)を設定する。

(1)原因
○年○月○日付金銭消費貸借契約

(2)債権額
金○円

(3)利息
年○%(1年を365日とする日割計算)

(4)遅延損害金
年○%(1年を365日とする日割計算)

以上

2. 借主は、本契約締結日において、貸主に対し、本件抵当権の設定に係る本登記の申請手続に必要なものとして貸主が指定する書類及び情報を引き渡すとともに、貸主と共同して当該本登記の申請手続を行う。

まとめ

金銭消費貸借契約の解説は以上です。金銭消費貸借契約の条項や、金銭消費貸借契約の民法改正点については、 またの機会に詳細を解説いたしますね。 最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!