雇用保険被保険者証とは?
必要になるケース・記載事項・保管方法・
再発行の手続きなどを解説!
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- この記事のまとめ
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「雇用保険被保険者証」とは、雇用保険に加入していることを証明する文書です。事業主が雇用した労働者について雇用保険への加入手続きを行った際、ハローワークから事業主に対して交付されます。
雇用保険被保険者証は、主に労働者が転職する場合などに必要となります。被保険者番号は転職の前後で変わらないので、同じ被保険者番号で手続きを行うために、転職先から雇用保険被保険者証の提出を求められることがあります。
事業主が交付を受けた雇用保険被保険者証は、すぐに労働者へ渡すのが原則です。しかし実際には、紛失を避けるなどの目的で事業主が保管し続け、労働者が退職する際に交付するケースもよく見られます。
雇用保険被保険者証を紛失した場合には、ハローワークで再発行の手続きを行うことができます。労働者本人が手続きを行うのが原則ですが、代理人による手続きも可能です。
この記事では雇用保険被保険者証について、必要になるケース・記載事項・保管方法・再発行の手続きなどを解説します。
※この記事は、2025年8月19日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
雇用保険被保険者証とは
「雇用保険被保険者証」とは、雇用保険に加入していることを証明する文書です。事業主が雇用した労働者について雇用保険への加入手続きを行った際、ハローワークから事業主に対して交付されます。
雇用保険被保険者証と健康保険証の違い
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明するものです。これに対して「健康保険証」は、健康保険に加入していることを証明する文書に当たります。
「雇用保険」は、労働者が失業した場合、自ら職業に関する教育訓練を受けた場合、育児休業を取得した場合などに必要な給付を行う保険です。働けなくなった労働者の生活保障や、再就職の促進などを目的としています。
「健康保険」は、医療費を補助する公的保険です。医療機関を受診する際や、医師に処方された薬剤を購入する際などには、原則として費用の7割が健康保険から補助されます。
このように、健康保険と雇用保険は役割や目的が異なっています。雇用保険の資格証明書が「雇用保険被保険者証」、健康保険の資格証明書が「健康保険証」です。
雇用保険被保険者証と離職票の違い
「離職票」は、雇用保険に加入している労働者が離職した場合に、ハローワークが発行する文書です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といいます。
離職票には、以下の2つの文書が含まれています。
(a)雇用保険被保険者資格喪失届(離職票-1)
離職者本人が失業給付金の振込先などを記入します。
(b)被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)
「被保険者離職証明書」は、離職者に関する情報を使用者が記入する3枚綴りの複写用紙です。そのうち1枚が離職者本人用の控えに当たり、離職票の一部として交付されます。
ハローワークは、事業主から提出された離職に関する届出書類を確認した後、離職票を事業主に対して発行します。事業主は離職者に対し、郵送などによって離職票を交付します。
離職者がハローワークに求職者給付(基本手当など)を申請する際には、離職票の提出が必要です。
離職票は離職時に交付されるのに対して、雇用保険被保険者証は入社して雇用保険の被保険者となったときに交付されます。
雇用保険の加入条件
雇用保険の加入対象となるのは、以下の(a)~(d)の要件を全て満たす人です。該当する労働者を雇用した事業主は、雇用保険への加入の手続きを行わなければなりません。
(a)雇用保険の適用事業所に勤務していること
労働者を1人以上雇用している事業所は、ごく一部の例外を除いて雇用保険の適用事業所です。
(b)1週間の所定労働時間が20時間以上であること
労働契約や就業規則で定められた1週間の労働時間が20時間未満の労働者は、雇用保険の加入対象外とされています。
ただし2028年10月からは、1週間の所定労働時間が10時間以上であれば、雇用保険の加入対象となる予定です。
(c)31日以上継続して雇用される見込みがあること
日雇い労働者など、雇用が継続する見込みの期間が30日以下の者は、原則として雇用保険の加入対象外とされています。
ただし、直前の2カ月間の各月において18日以上同一の事業主に雇用されている者は、雇用が継続する見込みの期間が30日以下であっても、雇用保険への加入義務が生じます。
(d)被保険者とならない者に当たらないこと
以下のいずれかに該当する者は、雇用保険に加入することができません。
・会社の役員
・会社代表者の同居の親族
・雇用期間4カ月以内で、季節的業務に使用される人
・学生、生徒(卒業後も継続雇用される予定の者など、一部の例外を除く)
・家事使用人
・海外で現地採用される者
・臨時または内職的に日雇い労働を行う者
など
雇用保険被保険者証が必要になるケース
雇用保険被保険者証は、主に以下の場面で必要になります。
① 再就職先に入社するとき
再就職先が雇用保険の手続きを行うに当たり、被保険者番号を確認するために雇用保険被保険者証の提示が求められます。
② 雇用保険の給付をハローワークに申請するとき
求職者給付(基本手当など)、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付および育児休業等給付を申請する際には、被保険者資格を確認するために雇用保険被保険者証の提示が求められます。
雇用保険被保険者証の記載事項
雇用保険被保険者証には、以下の事項が記載されています。
- 発行したハローワークの名称
- 被保険者番号
- 被保険者の氏名
- 被保険者の生年月日
雇用保険被保険者証の保管方法|本人保管が原則
雇用保険被保険者証は、ハローワークから事業主に対して交付されますが、事業主は被保険者(労働者)に交付すべきものとされています。
本来はハローワークから労働者に直接交付すべきところ、事務処理の便宜のため事業主を介しているに過ぎないためです。
実際には、紛失防止や離職手続きの都合などの観点から、雇用保険被保険者証を労働者に渡さず、事業主が保管し続けるケースも多いようです。しかし、雇用保険被保険者証は労働者に交付するのが正しい取り扱いであることを理解しておきましょう。
労働者が入社した際の雇用保険被保険者証交付の手続き
雇用保険の適用対象となる労働者を雇い入れた場合、事業主はハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。雇用保険被保険者資格取得届の様式は、ハローワークの窓口で交付を受けるか、またはハローワークのウェブサイトからダウンロードします。
対象労働者が前職で雇用保険に加入していた場合は、「3.取得区分」に「2(再取得)」と記載します。対象労働者に雇用保険被保険者証の提示を求め、被保険者番号を確認して記載しましょう。再取得の場合、雇用保険被保険者証が新たに発行されることはありません。
対象労働者がまだ雇用保険に加入していない場合は、「3.取得区分」に「1(新規)」と記載します。被保険者番号はまだないので、記載する必要はありません。
新規の場合、加入手続きが完了した段階で速やかに、ハローワークから雇用保険被保険者証が発行されます。資格取得確認通知書とともに事業主へ交付されるので、いずれも労働者に対して交付します。
雇用保険被保険者証を紛失した場合の再交付手続き
雇用保険被保険者証を紛失した場合は、ハローワークに対して再交付を申請することができます。本人による再交付申請のほか、事業主などが代理人として行う再交付申請も認められています。
従業員本人による再交付申請の手続き
雇用保険被保険者証の再交付申請は、ハローワークの窓口または郵送で受け付けています。
窓口で申請する場合は、即日で雇用保険被保険者証の再交付を受けられます。
これに対して郵送申請の場合は、再交付まで1~2週間程度を要します。また、普通郵便ではなく記録の残る郵便(特定記録郵便や簡易書留など)によることが推奨されています。
被保険者(従業員)本人が再交付申請をする場合の必要書類は、以下のとおりです。
- 本人申請の必要書類
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(a)ハローワークの窓口で申請する場合
・本人確認書類(顔写真付きのものは1種類、顔写真なしのものは2種類)(b)郵送で申請する場合
・雇用保険被保険者証再交付申請書
・本人確認書類の写し
・返信用封筒(切手貼付)
事業主が代理人として行う再交付申請の手続き
事業主による雇用保険被保険者証の再交付の代理申請も、被保険者本人が行う場合と同じく、ハローワークの窓口または郵送にて行います。
事業主が代理人として再交付申請をする場合の必要書類は、以下のとおりです。
- 代理人申請の必要書類
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(a)ハローワークの窓口で申請する場合
・雇用保険被保険者証再交付申請書
・代理人の本人確認書類(顔写真付きのものは1種類、顔写真なしのものは2種類)
・被保険者の本人確認書類の写し
・委任状(様式は任意)(b)郵送で申請する場合
・雇用保険被保険者証再交付申請書
・代理人の本人確認書類の写し
・被保険者の本人確認書類の写し
・委任状(様式は任意)
・返信用封筒(切手貼付)
雇用保険に加入している労働者が退職した場合の手続き
雇用保険に加入している労働者が退職した場合、事業主は以下の手続きを確実に行いましょう。
① ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を提出する
② 雇用保険被保険者証を保管している場合は、労働者に交付する
ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を提出する
雇用保険の被保険者である労働者が退職した際には、事業主はハローワークに対して以下の書類を提出する必要があります。提出期限は、労働者が退職した日の翌日から起算して10日以内です。
(a)雇用保険被保険者資格喪失届
退職によって雇用保険の被保険者資格を失ったことを届け出る書類です。被保険者の基本情報(個人番号・被保険者番号・氏名・性別・住所・生年月日など)に加えて、資格喪失の原因(=退職)や離職年月日などを記載します。
参考:ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者資格喪失届」
(b)離職証明書
離職した事実を証明する書類です。離職者の基本情報(氏名・住所・生年月日など)、離職年月日、賃金の支払いに関する情報、離職理由などを記載します。
参考:厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」
雇用保険被保険者証を保管している場合は、労働者に交付する
雇用保険被保険者証は、本来であれば事業主がハローワークから交付を受けた後、速やかに被保険者(労働者)に対して交付すべきものです。しかし実際には、紛失防止や手続き上の都合などの観点から、事業主が雇用保険被保険者証を保管し続けているケースも多く見られます。
雇用保険被保険者証は、退職した労働者が求職者給付を申請する際や、再就職先で雇用保険の手続きを行う際などに必要となります。退職する労働者に対しては、事業主が保管している雇用保険被保険者証を速やかに交付しましょう。
雇用保険に関する手続きを怠った事業主が受けるペナルティ
雇用保険に関する手続きを怠った者には「6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科される場合があります(雇用保険法83条)。
また、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、法人の雇用保険に関する手続きを怠ったときには、法人も「30万円以下の罰金」に処される可能性があります(同法86条1項)。
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参考文献
厚生労働省ウェブサイト「雇用保険の手続きはきちんとなされていますか?~被保険者記録に誤りがないことを確認するために~」
ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者資格取得届」
ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者証再交付申請書」












