パラリーガルとは?
役割・主な業務・求められるスキル・
役立つ資格などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

パラリーガル(法律事務職員、法律事務員)」とは、法律事務所において、弁護士を補佐して法的な事務を取り扱う職員です。通常の事務員や秘書などとは異なり、法律に関連する事務を取り扱うのがパラリーガルの特徴です。
特に中規模以上の法律事務所において、弁護士の業務を円滑化するための補佐的な事務を担当させるため、パラリーガルを雇用する例がよく見られます。

パラリーガルは、法令や裁判例のリサーチ、契約書のドラフト作成などを取り扱います。また、法律事務所において大量に取り扱う種類の案件(破産・債務整理・交通事故など)については、パラリーガルが初動対応を担うケースもあります。
さらに、来客対応・電話対応・ファイリングなど、一般的な事務対応をパラリーガルが兼任する例もあります。

この記事ではパラリーガルについて、役割・主な業務・求められるスキル・役立つ資格などを解説します。

ヒー

「法務とパラリーガルの仕事って似てますか?」と聞かれました。パラリーガルってどんなことをしているのでしょうか?

ムートン

パラリーガルは弁護士のサポートとして事務作業を行う仕事です。業務範囲は事務所や弁護士によってさまざまですが、一般的な例をご紹介します!

※この記事は、2024年11月26日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

パラリーガルとは

パラリーガル(法律事務職員、法律事務員)」とは、法律事務所において、弁護士を補佐して法的な事務を取り扱う職員です。

パラリーガルの役割

パラリーガルの役割は、法律事務所における弁護士の業務を補佐することです。

弁護士は依頼者のために、高度な法律的判断を含めたアドバイスやサポートを行う使命を担っています。しかしその前提として、書類の作成リサーチなど、たくさんの基礎的な事務や検討を行わなければなりません。

パラリーガルは、主に弁護士業務の基礎となる事務や検討をサポートします。パラリーガルのサポートにより、弁護士は弁護士にしかできない業務に集中できるようになり、法律事務所のサービスの質が向上します。

パラリーガルと事務員・秘書の違い

パラリーガルは、通常の事務員や秘書などとは異なり、主に法律に関連する事務を取り扱います。

パラリーガルの具体的な業務の詳細については後述しますが、一例として法令や裁判例のリサーチ、法律文書のドラフト作成、各種案件の初動対応などが挙げられます。パラリーガルはこれらの業務を、弁護士の指導・監督の下で行います。

これに対して通常の事務員や秘書は、来客対応・電話対応・ファイリングなど、法律とは関係がない補助的な業務を担当します。

パラリーガルを雇用する法律事務所の傾向

パラリーガルは、主に中規模以上の法律事務所において雇用されています。

中規模以上の法律事務所では、弁護士以外の従業員を雇用する経済的余力が出てくる反面、取り扱う業務が多数に及び、専門性の高い業務も多くなってきます。
そこで、弁護士の業務を円滑化する目的で、基礎的な法律事務や案件の初動対応などを担当させるため、パラリーガルを雇用する例がよく見られます。

パラリーガルの待遇

パラリーガルの待遇は、雇用先の法律事務所によって異なります。一般的には、パラリーガルには法的素養が求められる分、通常の事務員や秘書よりも好待遇が与えられる傾向にあります。

パラリーガルが担当する主な業務

パラリーガルが担当する主な業務としては、以下の例が挙げられます。パラリーガルが実際にどのような業務を取り扱うのかは、法律事務所によって異なりますので、採用面接などの際に確認しましょう。

① 法令や裁判例のリサーチ
② 契約書のドラフト作成
③ 裁判所や官公庁に提出する書類のドラフト作成
④ 大量に処理する案件の初動対応|破産・債務整理・交通事故など
⑤ 来客対応・電話対応・ファイリングなどの事務

法令や裁判例のリサーチ

弁護士が案件対応を行う際には、法令や裁判例のリサーチが欠かせません。

しかし、法令や裁判例のリサーチをゼロから行うのは、かなり手間がかかります。そこで、パラリーガルがいる法律事務所では、基礎的なリサーチをパラリーガルが担当すケースが多いです。

パラリーガルは、法令や裁判例をできる限り網羅的にリサーチし、その結果を弁護士に報告してチェックを受けます。弁護士はリサーチ結果をチェックした上で、追加の調査をパラリーガルに指示したり、弁護士自身でも調べたりして、リサーチの精度を高めていきます。

契約書のドラフト作成

契約書の作成は、企業法務を取り扱う弁護士の主要業務の一つです。

新しい種類の契約書をゼロから作る場合は、最初から弁護士が対応するのが一般的です。

これに対して、秘密保持契約書業務委託契約書など、定型的な契約書を繰り返し作成するケースもあります。この場合は、パラリーガルが最初のドラフトを作成した上で、弁護士のチェックを受けるという流れがよく見られます。

裁判所や官公庁に提出する書類のドラフト作成

パラリーガルは、訴状許認可の申請書類など、裁判所や官公庁に提出する書類のドラフトを作成するケースもあります。

裁判所や官公庁に提出する書類については、法令によって記載事項や形式などの細かいルールが定められていることが多いです。パラリーガルは、細部まで注意しつつ書類を作成した上で、弁護士に報告してチェックを受けます。

大量に処理する案件の初動対応|破産・債務整理・交通事故など

法律事務所によっては、同種の案件を大量に受任して処理するケースもあります。例えば破産債務整理交通事故などの分野は、集中的に取り扱っている法律事務所が散見されます。

事務所として大量に処理する案件の初動対応は、パラリーガルが担当するケースが多いです。過去の経験によってノウハウが蓄積され、初動対応が定型化されていれば、パラリーガルでも十分に対応することができます。
最終的な案件処理の方法や書面のチェックなどは、弁護士が行います。

来客対応・電話対応・ファイリングなどの事務

それほど規模の大きくない法律事務所では、パラリーガルが通常の事務員も兼ねているケースがあります。この場合、パラリーガルは来客対応電話対応ファイリングなど、通常の事務員が行う業務も担当することになります。

パラリーガルに求められるスキル

パラリーガルには、主に以下のようなスキルが求められます。

  • 法律に関する基本的な素養
  • 担当する分野や業界に関する実務経験
  • 弁護士とのコミュニケーション

法律に関する基本的な素養

パラリーガルは法律に関する事務を取り扱うため、法律に関する基本的な素養を備えていることが望ましいです。

例えば以下のような素養を備えていると、パラリーガルとして重宝されるでしょう。

・裁判例の調べ方が分かる
・法律に関する文献や裁判例を読み慣れている
・民法などの基本的な法律を理解している
・契約書などの法律文書を作成したことがある
など

担当する分野や業界に関する実務経験

法律事務所で担当する分野や業界に関する実務経験があると、パラリーガルとしての業務に役立つことがあります。

特に大手の法律事務所では、弁護士の専門領域が細分化されており、パラリーガルも専門領域ごとに配属が分かれるケースが多いです。
例えば、金融系の実務経験があれば金融部門、損害保険会社などで交通事故処理の実務経験があれば交通事故部門のパラリーガルとして採用される可能性が高くなります。

弁護士とのコミュニケーション

パラリーガルの役割は弁護士を補佐することなので、弁護士と適切にコミュニケーションをとる姿勢も重要になります。

弁護士とコミュニケーションをとるに当たっては、以下のようなポイントを心がけるとよいでしょう。

・分からないことがあれば、すぐに弁護士へ聞く
・リサーチや書面作成などの進捗状況を、随時弁護士に報告する
・案件対応の進め方について、自分の中で考えているアイデアがあれば、弁護士に提案してみる
など

パラリーガル志望者が持っているとよい資格

パラリーガル志望者は、以下のような資格スコアを持っていると採用されやすい傾向にあります。

  • 司法書士、行政書士、宅地建物取引士などの法律に関する資格
  • 秘書検定、簿記検定、MOSなどの事務に関する資格
  • 英検、TOEIC、TOEFLなどの語学に関する資格(スコア)

法律に関する資格|司法書士・行政書士・宅地建物取引士など

法律に関する資格を保有していれば、パラリーガルに求められる法律的な素養の証明になります。

例えば以下のような資格を保有していると、パラリーガルとして採用される可能性が高まります。

法律に関する資格の例

・司法書士
→主に登記や供託に関する業務を取り扱うことのできる法律資格です。法律資格の中では、弁護士に次いで取得難易度が高いため、保有しているとパラリーガル採用において非常に有利です。

・行政書士
→法律文書の作成を取り扱うことのできる法律資格です。弁護士や司法書士になろうとする方が、そのステップとして取得することもあります。
保有していれば高い法的素養の証明になるので、パラリーガル採用において有利です。

・宅地建物取引士
→宅地や建物の取引において、重要事項説明などを行うことのできる法律資格です。主に不動産会社の従業員などが取得しますが、法律資格の登竜門としても位置付けられています。
保有していれば一定の法的素養があることの証明になるため、パラリーガル採用において有利に働きます。

事務に関する資格|秘書検定・簿記検定・MOSなど

パラリーガルは、法律に関する業務だけでなく、通常の事務員が行うような業務を取り扱うケースもあります。特に中規模以下の法律事務所がパラリーガルを採用する際には、通常の事務員のような働きも求められるケースが多いです。

以下のような事務に関する資格を保有していれば、パラリーガル採用において一定程度有利に働くでしょう。

事務に関する資格の例

・秘書検定
→社会人に求められるマナーや一般常識を備えていることを示す検定資格です。1級・準1級・2級・3級があります。

・簿記検定
→会計に関する知識を備えていることを示す検定資格です。
日商簿記・全商簿記・全経簿記の3種類がありますが、一般社会人は日商簿記検定を受験することが多いです。日商簿記検定には1級・2級・3級・初級があります。

・MOS(マイクロソフト オフィススペシャリスト)
Microsoft Office(Word、Excel、PowerPointなど)の操作に関するスキルを備えていることを示す検定資格です。

語学に関する資格(スコア)|英検・TOEIC・TOEFLなど

海外向けの法務を取り扱う法律事務所では、語学に長けたパラリーガルを採用したいというニーズがあります。特に企業法務系の大手法律事務所では、パラリーガルにも語学の素養を求める傾向にあります。

例えば、以下のような英語に関する資格やスコアを保有していると、パラリーガルにおいて有利に働くでしょう。

英語に関する資格の例

・実用英語技能検定(英検)
→公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語検定です。日本では最もポピュラーな英語検定で、1級・準1級・2級・準2級・3級・4級・5級があります。
※2025年度からは「準2級プラス」が新設されます。

・TOEIC
→英語によるコミュニケーションとビジネス能力を測る英語検定です。リスニングとリーディングを行う「L&R」や、スピーキングとライティングを行う「S&W」などがあります。
日本では「L&R」がポピュラーで、10点から990点(満点)までの5点刻みのスコアで評価されます。

・TOEFL
→英語圏の大学への留学・研究希望者を主な対象とする英語検定です。国際的には最もポピュラーな英語検定の一つです。
リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4科目が実施され、0点から120点(満点)までの1点刻みのスコアで評価されます。

英語以外にも、中国語韓国語など別の言語の検定資格(スコア)を保有していると、対応する国に関する法務を取り扱うパラリーガルとして採用されやすくなるでしょう。

パラリーガルの将来性|ニーズの高さ・未経験者でもチャレンジ可能

法律事務所の大規模化・集中化は、近年いっそう進む傾向にあります。それに伴い、パラリーガルのニーズも今後増えていくことが予想されます。

法的素養や資格・スコアなどがなく、未経験の状態からでもパラリーガルにチャレンジすることは可能です。必要な経験や知識は、実際の業務に携わりながらでも身に着けることができます。

法律に関する業務を取り扱ってみたい方は、パラリーガルとしての転職に挑戦してみましょう。

ムートン

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