秘密保持契約(NDA)とは?
締結のメリットや機密保持契約との違いを解説!

この記事のまとめ

秘密保持契約(NDA)とは何か」について解説!!

多くのビジネスにおいて締結される「秘密保持契約(NDA)」。
見慣れた契約書である秘密保持契約(NDA)にも多くの注意点やリスクが潜んでおり、締結される目的や、注目すべき条項について正しく理解する必要があります。

この記事では、秘密保持契約(NDA)の締結目的や、注目すべき条項について解説します。

ヒー

商談や取引を開始する場合は、必ず秘密保持契約(NDA)を締結しなければならないのでしょうか。

ムートン

いえ、そのような場合であっても「必ず」秘密保持契約(NDA)を締結しなければならないとは限りません。その商談や取引の中で、秘密情報のやり取りが発生するかによって締結の要否を判断する必要があります。

※この記事は、2021年6月16日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

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秘密保持契約(NDA)とは?機密保持契約との違いは?

秘密保持契約(NDA)とは、相手方に開示する自社の秘密情報について、契約締結時に予定している用途以外で使うことや、他人に開示することを禁止したい場合に締結する契約書です。

秘密保持契約は、英語で「Non-Disclosure Agreement」といいます。その頭文字をとって「NDA」とも呼ばれます。また、「機密保持契約」と呼ばれることもありますが、内容や法的効力に違いはありません。

ビジネスにおいては、商談や取引などの前段階やその中で、自社の秘密情報を互いに、あるいは一方が開示する場合があります。したがって秘密保持契約にも双方が情報開示をするパターン(双務契約)と一方が開示するパターン(片務契約)があります。

秘密保持契約(NDA)はなぜ必要か?

ビジネスの中では、自ら保有する情報を他者に開示することが必要な場合があります。

例えば、業務提携の可能性を検討するにあたって自社の事業内容を相手方に開示するときや、共同研究を始めるにあたって自社の有する技術情報等を相手方に開示するときなど、様々な場面が想定されます。

こういった場合に開示される秘密情報について、双方にとって適正かつ合理的な管理を実現するために、秘密保持契約は締結されます。

一方が情報を開示する場合では、開示側は「漏えいしたら自社の競合優位性が低下するため、不必要に利用してほしくない」と考え、受領側は「有益な情報であれば自社のビジネスのためにも利用したい」と考えるのが通常です。

このような双方の立場による考え方の違いを調整して、双方でビジネスを推進するためにはどのような情報管理が必要かを検討し、契約を締結することになります。

秘密保持契約(NDA)はいつ締結すべきか?

秘密保持契約は、秘密情報のやり取りが発生する前の段階で締結することが望ましいです。開示される情報の管理体制や権利義務関係について双方が合意した後に、情報が開示されなければ、その合意前に開示された情報が秘密として取り扱われない、それを受領者に利用されてしまうなどのリスクが生じうるためです。

秘密情報を開示したものの、最終的に商談や取引が成立しなかった場合は、情報の開示側としては、受領側に一方的に自社の秘密情報を利用されてしまうというリスクも生じます。

秘密情報は、秘密保持契約が締結されてから開示するようにしましょう。

なお、やむなく秘密保持契約の締結に先立って秘密情報の開示がなされた場合であっても、もちろん秘密保持契約の締結が可能であれば締結することが望ましいです。
当該契約においては、契約締結前に開示された情報も秘密情報として取り扱うようにするなどの定めを記載することで、リスクを軽減することが可能となります。

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秘密保持契約(NDA)のメリット

秘密保持契約を締結することには、主に以下のメリットがあります。

①秘密情報の流出防止
②情報漏えい時に損害賠償請求ができる
③保護する営業秘密の範囲を指定できる

秘密情報の流出防止

秘密保持契約では、秘密情報の無断開示が原則として禁止されます。さらに、秘密情報の目的外利用の禁止や、取引等が終了した際の秘密情報の返還等についても規定されます。
これらの規定は、いずれも秘密情報の予期せぬ流出を防ぐ方向に機能するものです。

秘密保持契約を締結して、上記の契約上の義務を負うことにより、当事者はいっそう強い意識をもって秘密情報の流出防止に努めるようになるでしょう。その結果、秘密情報流出のリスクを大きく減らすことができます。

情報漏えい時に損害賠償請求ができる

秘密保持契約を締結していれば、相手方の責めに帰すべき事由によって秘密情報が流出した場合には、契約違反(債務不履行)に基づく損害賠償を請求できます。

秘密情報の流出による損害は、時として非常に大きな金額となります。

秘密情報の流出による損害の例

・営業秘密の流出によって他社にノウハウが奪われ、基幹商品の売り上げが大幅に低下した。
・顧客情報の流出が報道されて、企業としての評判が大きく悪化し、業績が低迷した。

秘密保持契約を締結して、相手方に損害賠償を請求できるようにしておくことは、秘密情報流出のリスクをヘッジする意味でも非常に重要です。

なお、秘密保持契約では損害賠償だけでなく、秘密情報流出に繋がり得る行為を認めた際の差止請求権などを規定することもできます。差止請求権を適切に行使すれば、秘密情報流出による損害を最小限に食い止めることにつながります。

保護する営業秘密の範囲を指定できる

一定の要件を満たす営業秘密については、不正競争防止法によっても保護されています。

しかし、企業が流出を防ぐべき秘密情報は、不正競争防止法によって保護される営業秘密に限りません。その他の秘密性が高い情報についても、取引相手の故意・過失による流出をできる限り防ぐ必要があります。

秘密保持契約では、当事者が流出を防止すべき「秘密情報」の範囲が定義されます。
どの程度の範囲を秘密情報として保護するについては、当事者の意向や予定される取引の内容によってまちまちです。しかし少なくとも、不正競争防止法上の営業秘密よりは広い範囲とするのが通常ですので、より実効的な秘密保持につながります。

秘密保持契約(NDA)と関連する法律

秘密保持契約に関連する法律として、不正競争防止法があります。

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争の実現を目指し、不正な競争を防止するために設けられた法律です。
不正競争防止法において、「不正競争行為」として取締りの対象となっている行為の1つが「営業秘密の不正利用行為」です。

不正競争防止法

(定義)
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
1
①~⑤ (略)
⑥ その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
⑦~㉒ (略)
2~11 (略)

不正競争防止法(平成5年法律第47号) – e-Gov法令検索 –電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

この不正競争防止法2条1項6号の「営業秘密」に該当するための要件は以下となります。

不正競争防止法の「営業秘密」

①秘密管理性(情報保有者の社内で秘密として管理されている情報であること)

②有用性(製造技術上のノウハウ、顧客リスト、販売マニュアル等の有用な技術上・営業上の情報であること)

③非公知性(公然と知られていない情報であること)

法律で「営業秘密」の不正利用行為が取締りの対象となっていますが、秘密保持契約では、秘密情報の範囲を不正競争防止法上の「営業秘密」の範囲より広げることが可能です。

秘密保持契約を締結しなかった場合は、不正競争防止法上の「営業秘密」のみが秘密として保護される対象となるため、保護される範囲を広げたい場合は、秘密保持契約を締結する必要があります。

不正競争防止法上の「営業秘密」については、以下の記事で解説しています。

秘密保持契約(NDA)の条項

秘密保持契約を作成・審査する上で、特に重点的に確認が必要な条文として、以下の6つが挙げられます。

秘密保持契約(NDA)の主な契約条項

秘密情報の定義・除外事由
秘密保持義務
目的外使用の禁止
秘密情報の返還・破棄
損害賠償・差止め
有効期限・存続条項

秘密情報の定義・除外事由

開示者が開示する情報のうち、どこまでの情報を「秘密情報」として取り扱わなければならないか、を明らかにするための条文です。

一般的には、以下の内容を「秘密情報」として定めるケースが多いです。

☑ 開示者が開示する情報

☑ 秘密保持契約の存在および内容、ならびに取引に関する協議・交渉の存在および内容

開示を受けた時に公知だった情報、開示を受けた時に受領側が保有していた情報、開示を受けた後に、受領側の帰責性なく公知となった情報、受領側が正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に取得した情報など、「秘密情報」に該当しない例外についても定めるのが一般的です。

開示側は、「開示した情報はすべて秘密として扱ってほしい」と考え、受領側は「開示された情報のうち、どれが秘密として管理すべきなのか明示してほしい」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(秘密情報の定義)
本契約において秘密情報とは、媒体及び手段(専用回線による通信、光磁気ディスク、印刷物等)の如何を問わず、開示者が受領者に開示、提供した、又は将来において開示、提供される技術、営業、人事、財務、組織その他の事項に関する一切の情報を意味する。

【受領側】記載例

(秘密情報の定義)
1 本契約において秘密情報とは、書面、電磁的記録媒体、その他の媒体に化体して情報を開示した場合には、「秘密」「秘」「Confidential」等の表示を当該媒体に付すことによって秘密情報である旨を明示した情報をいい、口頭又は視覚的に情報を開示した場合には、開示者が開示の際に当該情報が秘密である旨を口頭で明示し、かつ当該開示を行った日から1週間以内に秘密情報の内容及び秘密情報である旨を明示した書面にて受領者へ通知した情報をいう。
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に定める情報は秘密情報には含まれない。
(1)開示された時点において、受領者が既に了知していた情報
(2)開示された時点において、既に公知であった情報
(3)開示された後に受領者の責めに帰すべき事由によらずに公知となった情報
(4)正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく取得した情報
(5)秘密情報とは無関係に受領者が独自に開発した情報

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秘密保持義務

秘密情報について、管理する義務とその方法を定めるとともに、誰にまで開示してよいのか、について当事者間の認識相違を防ぐための条文で、秘密保持契約の中核をなす規定です。

秘密情報の受領者は、基本的には「第三者」には秘密情報を開示することができませんが、関連会社、委託先、弁護士などのアドバイザー等、例外的に開示できる第三者について定めることが一般的です。

契約当事者として、開示側は、「秘密情報にアクセスできる人を限定してほしい」と考え、受領側は「秘密情報にアクセスできる人を広げてほしい」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(秘密保持義務)
受領者は、開示者から開示、提供された秘密情報について厳に秘密を保持し、本契約の存在も含め秘密情報を第三者に開示又は漏洩したりしてはならない。

【受領側】記載例

(秘密保持義務)
1 受領者は、開示者から開示、提供された秘密情報について厳に秘密を保持し、開示者の事前の書面による承諾がない限り、本契約の存在も含め秘密情報を第三者に開示又は漏洩したりしてはならない。
2 受領者は、前項の定めにかかわらず、秘密情報の開示目的のために必要な範囲内において、親会社、子会社、兄弟会社、その他関連会社、自己及び関連会社の役員及び従業員、業務委託先並びに自己及び関連会社が依頼する弁護士、公認会計士、税理士、その他のアドバイザー(総称して以下「役職員等」という。)に対して、秘密情報を開示できる。

目的外使用の禁止

秘密情報について、どこまでの範囲で利用してよいのか、について当事者間の認識相違を防ぐための条文です。

前述した不正競争防止法に定める「営業秘密」に該当しない情報については、この目的外使用の禁止を定めない限り、受領者が受領した情報を使用することは通常妨げられないため、これも秘密保持契約の中核となる条項です。

開示側は、「秘密情報の利用範囲を限定してほしい」と考え、受領側は「秘密情報の利用範囲を広げてほしい」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(目的外使用の禁止)
受領者は、開示者から開示、提供された秘密情報を、●●の目的でのみ使用し、当該目的以外の目的ために使用してはならない。

【受領側】記載例

(目的外使用の禁止)
受領者は、開示者から開示、提供された秘密情報を、●●の目的でのみ使用し、当該目的以外の目的ために使用してはならない。但し、別途開示者との間で正式契約を締結するに至った場合、又は、開示者から書面による承諾を得た場合はこの限りではない。

秘密情報の返還・破棄

契約の終了や開示側からの要請があった場合など、一定の事由が発生した場合において、受領側に対して、秘密情報の返還義務や破棄義務を根拠づけるための条文です。

開示側は、「受領側から秘密情報が漏えいすることを防ぐためにも、必要がなくなれば秘密情報を返還・破棄してほしい」と考え、受領側は「返還・破棄の作業を増やしたくない、複雑化したくない」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(秘密情報の返還又は破棄)
1 受領者は、本契約終了後又は開示者から要請があったときは、自己又は自己が開示した第三者が保持する秘密情報を速やかに返還又は破棄する。
2 受領者は、本契約が終了した場合には、速やかに前項に基づく受領者の義務が履行されたことを証明する書面を甲に対して提出する。

【受領側】記載例

当該条文はないことが望ましい。

損害賠償・差止め

秘密保持契約の条項に違反した場合に、どのような効果(ペナルティ)が発生するのかを根拠づけるための条文です。

損害賠償については、契約違反が発生してしまった場合の損害の回復を求めるという措置で、民法に規定があります。
他方、差止めについては、まだ発生していない損害を防ぐという事前の救済措置であり、民法の規定で請求できるかについて議論があるため、開示者としては契約に明記して差止めが認められる可能性を高めておくのが望ましいです。

開示側は、「契約違反があった場合に責任追及したい」と考え、受領側は「契約違反があった場合であってもできる限り免責してほしい」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(損害賠償)
受領者は、自らの帰責性の有無を問わず、本契約の違反に起因又は関連して開示者が被った通常損害及び特別損害(逸失利益、弁護士費用その他の訴訟関連費用を含む。)を賠償するものとする。
(差止め)
開示者は、受領者が、本契約に違反し、又は違反するおそれがある場合、受領者に開示した秘密情報の使用の差止め及び返還、又はその請求に係る仮の地位を定める仮処分を申し立てることができるものとし、これを受けた受領者は、これに従わなければならない。

【受領側】記載例

(損害賠償)
開示者及び受領者は、本契約条項の違反により相手方に損害を与えたときは、相手方が被った直接かつ現実の損害(特別損害、間接損害、付随的損害、逸失利益及び弁護士費用を除く。)を賠償する。
(差止め)
当該条文はないことが望ましい。

有効期間・存続条項

秘密保持契約上の義務をいつまで負担するのか、を明確にし、限定するための条文です。
開示側は、「なるべく長期間にわたって秘密にしてほしい」と考え、受領側は「秘密にしておく期間は短くしてほしい」と考えるのが通常です。

以下に開示側と受領側の立場に応じた条文例を記載します。

【開示側】記載例

(有効期間)
1 本契約の有効期間は、本契約締結日から5年間とする。
2 前項の規定にもかかわらず、本契約の終了後であっても、本条、第〇条(秘密保持義務)、第〇条(損害賠償)、本条、及び第〇条(準拠法・合意管轄)の規定は、引き続きその効力を有する。

【受領側】記載例

(有効期間)
1 本契約の有効期間は、本契約締結日から本契約の目的を達成した日、又は、開示者と受領者間で別途正式契約を締結した日のいずれか早い日までとする。
2 前項の規定にもかかわらず、本契約の終了後であっても、第〇条(秘密保持義務)、第〇条(損害賠償)、本条、及び第〇条(準拠法・合意管轄)の規定は、引き続きその効力を有する。但し、第〇条(秘密保持義務)については、本契約の終了後1年間に限り、その効力を有する。

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秘密保持契約(NDA)締結時のチェックポイントまとめ

秘密保持契約の各条項については、主に秘密情報を開示する側なのか、それとも受領する側なのかによって注意すべきポイントが異なります。
各自の立場に応じて、特に以下のポイントに留意して秘密保持契約をレビューしましょう。

共通

・不明確な規定が含まれていないか

開示側

・相手方とやり取りする営業秘密などが、秘密情報の範囲に含まれているか
・秘密情報を承諾なく開示できる場合が十分限定されているか
・目的外使用の禁止や秘密情報の返還など、受領側に対して十分な義務が課されて
いるか
・存続条項の対象および期間は、秘密情報の流出等を防ぐために十分か
・損害賠償の範囲が、民法の規定に比べて過度に限定されていないか

受領側

・秘密情報の定義(範囲)が広すぎないか
・自社や関連会社の役員、従業員に対する場合など、実務上開示が必要な場合について、相手方の承諾なく秘密情報を開示できるようになっているか
・受領側の義務が重すぎないか
・存続条項の対象および期間が十分限定されているか
・損害賠償の範囲が、民法の規定に比べて広範でないか

秘密保持契約(NDA)に収入印紙は必要?

秘密保持契約書には、収入印紙を貼付する必要はありません。

収入印紙を貼付する必要があるのは、印紙税の課税文書を書面で作成する場合に限ります。印紙税の課税文書は第1号文書から第20号文書まで20種類ありますが、秘密保持契約書はそのいずれにも該当しません。

したがって、秘密保持契約書を締結する際に収入印紙の貼付は不要です。

印紙税の課税文書については、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご参照ください。

秘密保持契約(NDA)は電子契約でも締結可能

秘密保持契約は、電子契約の形で締結することもできます。

電子契約は、契約締結業務の簡素化、郵送などにかかる時間やコストの削減、保管コストの削減、検索の利便性などの観点から、紙の契約書よりも優れていると考えられます。セキュリティ面でも、アクセス権限やパスワードを適切に設定すれば、紙の契約書よりも強固なセキュリティを得られます。

電子契約には、電子署名とタイムスタンプを付すことにより、紙の契約書と同等の証明力を付与できます。各社がリリースしている電子契約サービスを利用すれば、簡単に電子署名とタイムスタンプを付すことが可能です。

近年では、その利便性およびテレワークとの親和性などから、電子契約を導入する企業が増えています。秘密保持契約を電子化することは、自社のみならず取引先にとっても便利ですので、未導入の企業は電子契約の導入をご検討ください。

秘密保持契約(NDA)のひな形を紹介|経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」も参考になる

秘密保持契約のひな形については、以下のひな形が参考になります。

また、秘密保持契約のひな形を作成する際には、経済産業省が公表している「秘密情報の保護ハンドブック」も参考になります。

事業者が対応すべき事柄がフェーズ毎に解説されており、秘密保持に関する基本的・実務的な理解を深めるのに役立ちます。「秘密情報の保護ハンドブック」の内容を踏まえて秘密保持契約書のひな形を作成すれば、自社の実情に合った内容に仕上がる可能性が高いでしょう。

「秘密情報の保護ハンドブック」の「参考資料2 各種契約書等の参考例」では、契約書等を作成するシチュエーションに応じた文例が掲載されています。特に163~172頁にかけては、秘密保持契約書のサンプルが掲載されていますので、ひな形を作成する際のベースとして用いることもできるでしょう。

ただし秘密保持契約書の内容は、たとえひな形であっても、自社の実情や想定される取引の内容等に合わせて、オーダーメイドに作りこむことが大切です。サンプルをそのまま流用するのではなく、追加すべき条項・削除すべき条項はないかをきちんと検証する必要があります。

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この記事のまとめ

秘密保持契約(NDA)の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

参考文献

西村あさひ法律事務所 森本大介/石川智也/濱野敏彦「秘密保持契約の実務 第2版」(中央経済社)
萩原勇「契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版]」(秀和システム)
酒谷誠一「知財実務のツボとコツがゼッタイにわかる本」(秀和システム)

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