【2021年5月公布】商標法・意匠法改正 のポイントを解説!―個人使用目的の模倣品輸入にも対応―(新旧対照表つき)

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御池総合法律事務所弁護士
慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2013年弁護士登録。企業法務(会社法・労働法・知的財産法関係)、訴訟・紛争解決、債権保全・執行(金融機関)を中心として、家事事件など幅広い分野を取り扱う。
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この記事のまとめ

電子商取引の発展により、それまでは日本国内の事業者を通じて日本国内に流入していた模倣品が、海外事業者から日本国内の個人へ直接販売されるケースが増加しています。

模倣品が海外事業者から直接日本国内の個人へ販売される場合、輸入の主体が個人であることから「業として」したものとはいえず、商標権・意匠権侵害に問うことが難しい状況でした。

しかし、2021年の商標法・意匠法改正により、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為が「輸入」に該当することになり、商標権・意匠権侵害を問いやすくなりました。

本記事では、商標法・意匠法改正のポイントをわかりやすく解説します。

(※この記事は、2021年10月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。)

商標法・意匠法改正(2021年5月公布)の概要

経済がグローバル化したことにより、海外で自社製品を製造販売する日本企業が多くなりました。しかし、品質が高いとされる日本企業の製品が模倣され、グローバルなサプライチェーンを通じて、中国や東南アジアで販売されるだけでなく、安価な形で日本に流入することが後を絶ちません。

2019年には、税関における知的財産侵害物品に係る輸入差止件数が、2004年と比較して、大きく増加(約1万件から約2万件に増加)しているのに対し、差止点数は同程度(約100万点)になっており、輸入差止め1件当たりに含まれる侵害物品の数量が少なくなっているという侵害貨物の小口化の傾向が示されているといわれています。

その要因は、近年の電子商取引の発展により、海外事業者が直接日本国内の個人へ模倣品を販売することが増加したことにあると考えられました(「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における商標制度の在り方について」2021年2月産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会)。

一方で、個人使用目的による模倣品輸入は、輸入の主体が個人であり、特許権、商標権、意匠権などの産業財産権侵害に直ちに当たらないと考えられてきたため、模倣品による被害の防止や回復が困難でした。

以上をバックグラウンドとして、知的財産推進計画2020では、「越境電子取引の進展に伴う模倣品・海賊版の流入増加へ対応するため」「特に増加が顕著な模倣品の個人使用目的の輸入については、権利者等の被害状況等及び諸外国における制度整備を含めた運用状況を踏まえ、具体的な対応の方向性について引き続き検討する」こととされていました。

そして、2021年の商標法及び意匠法の改正により、増大する個人使用目的の模倣品輸入に対応して、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為が商標法・意匠法上の「輸入」行為に該当することになり、商標権及び意匠権侵害を問いやすくなりました。

公布日・施行日

改正の根拠となる法令名は、「特許法等の一部を改正する法律(2021年法律第42号)」です。 公布日と施行日は、次のとおりです。

公布日・施行日

公布日|2021年5月21日
施行日|公布日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日

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