ハラスメントハラスメント(ハラハラ)とは?
具体例・職場への悪影響・対策などを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」とは、正当な行為をハラスメントだと主張する嫌がらせ行為です。
セクハラやパワハラをはじめとして、近年多様な種類のハラスメントが問題になっていることを逆手に取り、自分の権利を過剰に主張する問題行動の一種と理解されています。
ハラハラのターゲットになりやすいのは、
・部下の不適切な行為に対する改善指導
・スキルアップのための厳しいノルマ設定
・プライベートに関するコミュニケーション
などです。いずれも業務の改善や円滑化のために必要な場合がある行為ですが、過敏に反応してハラスメントだと主張するハラハラが横行しています。
この記事ではハラハラについて、基本から分かりやすく解説します。
※この記事は、2023年11月27日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
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目次
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)とは
「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」とは、正当な行為をハラスメントだと主張する嫌がらせ行為です。
ハラハラが行われるようになった背景
ハラハラが行われるようになったのは、セクハラやパワハラをはじめとして、近年多様な種類のハラスメントが問題になっていることが背景にあると考えられます。
ハラスメントが社会的に広く非難の対象となったことは、確実に被害者の保護へとつながっています。しかしその一方で、他人による干渉に対して過剰に反発するための道具として、ハラスメントの考え方が悪用されるケースが増えました。
特に相手に対して弱い立場にある側は、従来は強い立場の相手に対して反発する術をあまり持っていませんでしたが、最近ではハラスメントを主張して相手に攻撃を加えるケースがよく見られるようになりました。
ハラハラのターゲットになりやすい行為の具体例
ハラハラのターゲットになりやすい行為としては、以下の例が挙げられます。
例1|部下の不適切な行為に対する改善指導
例2|スキルアップのための厳しいノルマ設定
例3|プライベートに関するコミュニケーション
例1|部下の不適切な行為に対する指導
上司が部下に対して指導をすることは、部下のパフォーマンスを改善させ、または会社組織全体の統率を行う観点から必要な場合があります。例えばミスをした従業員に是正を促したり、仕事のパフォーマンスが悪い部下を叱咤したりすることは、業務上必要かつ相当な範囲で行われる限り、正当な指導であるといえるでしょう。
しかし近年では、上司による指導に対して不快感を覚えた部下が、正当な指導に対しても「パワハラだ」と騒ぎ立てる例が見られます。
(例)
・仕事をなかなか覚えない部下に対して上司が注意をしたところ、部下が上層部に対してパワハラをされていると告発した。
・重大なミスによって会社に損害を与えた部下に対して、同じことを繰り返さないように上司が厳しめの注意を与えたところ、パワハラを受けたと内部通報をした。
例2|スキルアップのための厳しいノルマ設定
部下の成長を促すため、上司がよかれと思って厳しいノルマを設定するケースがあります。到底達成できない厳しすぎるノルマを設定することはパワハラに当たる可能性がありますが、能力よりもやや高いレベルのノルマを課すことは、スキルアップのために合理的といえるでしょう。
しかし、上司からノルマを課されることに不快感を覚えた部下が、合理的なノルマ設定に対しても「パワハラだ」と主張するハラハラが増えています。
(例)
・部下の営業スキルをアップさせるため、月間のノルマを前月よりも少し上の水準に設定したところ、部下が「こんな無理なノルマを設定するなんてパワハラだ」と反発した。
・部署のメンバーは仕事量に余裕があるようなので、部署全体のノルマを少し引き上げて会社への貢献を促したところ、部下が結託して「長時間労働を強いるパワハラだ」と主張してきた。
例3|プライベートに関するコミュニケーション
従業員間の関係性を良好なものとするため、時には、プライベートな事柄について会話することもあるかと思います。
踏み込み過ぎたり、相手が嫌がっている話題なのにやめなかったりした場合には、ハラスメントになる可能性がありますが、日常会話程度の当たり障りがない内容であれば問題ありません。
しかし、昨今、プライベートに一切踏み込まれたくないと考える人が増えているようです。常識的な範囲内の質問であっても、プライベートに少しでも関わる事柄だと過剰に反発し、「パワハラだ」「セクハラだ」と大げさに主張する例がしばしば見られます。
(例)
・部署のメンバー同士の関係性を強化するため、上司が部下に対して「今度ホームパーティをするけど来ないか? 気が進まないなら来なくても構わないので、よかったら考えてみて」と誘ったところ、「上司からの誘いは断りづらいのをわかっていて誘ってきている、パワハラだ」と過剰に反発された。
・結婚している部下(男性)に対して「奥さんは元気?」と軽く問いかけたところ、部下は「プライベートなことを聞いている、気持ち悪いセクハラだ」と過剰に騒ぎ立てた。
ハラハラが職場に与える悪影響
職場におけるハラハラを放置すると、会社全体に以下の悪影響が生じる恐れがあります。
①上司が部下に対して指導しにくくなる|部下が成長しない
②上司の労働時間が長くなりやすい
③職場の雰囲気が悪くなる|従業員のモチベーション低下
上司が部下に対して指導しにくくなる|部下が成長しない
ハラハラへの警戒感が強くなりすぎると、上司は部下に対して適切な指導を行うことができなくなります。少しでも部下の機嫌を損ねると、パワハラだと主張されてトラブルになりかねないからです。
一方、部下の視点から見ても、上司から適切な指導を受けられために、自身の能力の向上が遅くなるといったデメリットがあります。
また、指導不足によって従業員が成長しないと、会社の中長期的な業績が下降していく可能性が高いです。
上司の労働時間が長くなりやすい
ハラハラを避けようとする上司は、部下に対して労力のかかる仕事を任せたり、残業を指示したりすることが難しくなる傾向にあります。部署として対応しなければならない業務の量が変わらないのに、部下に任せられる仕事が減ると、必然的に上司が自ら対応する業務が増えてしまいます。
特に部下をたくさん抱えている上司は、何人もの部下の仕事を引き取っているうちに、長時間の労働を強いられる恐れがあります。その結果、健康を害して休職に追い込まれてしまうケースもあるので注意が必要です。
もし上司が業務上の原因によって健康を害した場合には労災(労働災害)に当たり、会社が損害賠償責任を負うこともあり得ます。
また、労働時間は労働基準法によって規制されており、上限は原則として「1日8時間・1週間40時間」です(=法定労働時間。労働基準法32条)。36協定を締結すれば時間外労働をさせることができますが、36協定で定められた上限を遵守する必要があります(同法36条)。
部下の仕事を引き取っているうちに、上司の労働時間が法定労働時間や36協定の上限を超えてしまうと、会社が労働基準法違反の責任を問われるので要注意です。
職場の雰囲気が悪くなる|従業員のモチベーション低下
他の従業員に話しかけたらハラハラを受けるのではないかと恐れる人が増えると、従業員間のコミュニケーションは激減することになるでしょう。
従業員同士が適切なコミュニケーションをとれていれば、会社への帰属意識などが高まり、進んで仕事に取り組む気持ちが育っていきます。反対に、従業員同士のコミュニケーションがなくなると、従業員の仕事に対するモチベーションが低下する可能性が高いです。
従業員のモチベーションが低下すれば、仕事のパフォーマンスは落ちてしまい、会社の業績への悪影響は避けられません。ハラハラへの懸念によってコミュニケーションが阻害されることは、会社にとって大きなダメージとなります。
職場におけるハラハラを防止するための対策
職場におけるハラハラを防止するため、会社としては以下の対策を行いましょう。
対策1|ハラスメントの基準を明確化し、従業員に対して周知・啓発する
対策2|ハラスメント相談窓口を設置する
対策3|ハラハラをする従業員への対応体制を整備する
対策1|ハラスメントの基準を明確化し、従業員に対して周知・啓発する
ハラハラを防止するためには、どのような行為がハラスメントに当たり、どのような行為がハラスメントではないのかを判断できる基準を明確化することが大切です。
特にパワハラ・セクハラ・マタハラについては、厚生労働省によって指針が公表されています。これらの指針を参考にして、会社としてハラスメントに関する基準を策定し、従業員に対して周知・啓発しましょう。
対策2|ハラスメント相談窓口を設置する
ハラハラもハラスメントの一種なので、被害を受けた従業員からの相談を受け付けて、会社として一緒に解決を目指すことが求められます。
パワハラ・セクハラ・マタハラなどのほかのハラスメントと併せて、総合的に相談を受け付ける窓口を設置しましょう。社内窓口のほか、外部機関に相談対応を委託することも選択肢の一つです。
社内においてハラスメント相談窓口を設置する場合は、相談担当者と人事部門の連携を確保しつつ、マニュアルの整備や担当者向け研修などを行い、どのような相談にも適切に対応できる体制を整えましょう。
対策3|ハラハラをする従業員への対応体制を整備する
社内においてハラハラの被害が増えてくるようであれば、ハラハラに特化した対応体制を整備することも検討すべきでしょう。
一般的なハラスメント対策としては、
- 事実関係を確認する担当者や手続きを明確にする
- 被害者をケアできるような仕組みを整備する
などが挙げられます。
これらに加えて、部下から上司に対して行われることが多いというハラハラの特徴を踏まえ、上司以外の者による改善指導の仕組みなどを整えることも考えられます。
実際にハラハラが発生する都度、その経験を反映した再発防止策を策定し、ハラハラへの対応体制のブラッシュアップに努めましょう。
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