パロディとは?
パクリとは違う?
パロディに関係する法律や
裁判例について分かりやすく解説!

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弁護士法人NEX弁護士
2015年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。経済産業省知的財産政策室や同省新規事業創造推進室での勤務経験を活かし、知的財産関連法務、データ・AI関連法務、スタートアップ・新規事業支援等に従事している。
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この記事のまとめ

パロディとは、一般的には、他者の文芸・美術作品等の原作や、有名ブランドのロゴ等滑稽化したり、茶化した作品を指し、原作・有名企業の揶揄や、社会の風刺、またはユーモアを表現することを目的とするものなどと言われています。

パロディは、他者の作品やロゴ等を改変して創作されることが多いため、著作権法商標法不競法違反が問題となることが多いですが、各法とも、「パロディであれば権利侵害とならない」といった規定を設けているわけではないため、一般的な侵害品や模倣品の場合と同様の基準で、各法違反にならないかが判断されることになります。

この記事ではパロディについて、基本から分かりやすく解説します。

ヒー

わが社の広告が注目され、イラストや文言を真似たり変えたりしたものがネット上に増えています。パロディとして許容すべきなのか、法的な対応の必要はあるでしょうか?

ムートン

商品などにされることは望ましくないですから、線引きを検討しましょう。パロディでも著作権法違反などを主張することはもちろん可能です。裁判例などをご紹介しますね。

※この記事は、2024年3月27日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 不競法…不正競争防止法

パロディとは

パロディとは、一般的には、他者の文芸・美術作品等の原作や、有名ブランドのロゴ等滑稽化したり、茶化した作品を指し、原作・有名企業の揶揄や、社会の風刺、またはユーモアを表現することを目的とするものなどと言われています。

パロディは、原作等を参照しているものの、風刺やユーモアが取り入れられており、新たな表現がされていることから、自由に行っても問題ないのではないかと言われることもありますが、法律上は「パロディだから許される」などということはありません。後述のとおり、一般的な模倣品侵害品と同様の判断基準で、著作権法商標法不競法等に違反していないかが判断されます。

オマージュとの違い

パロディと似た概念として「オマージュ」が取り上げられることも多いです。オマージュとは、一般的には、原作等への敬意や賛意を表現するために、他者の原作等を利用して新たな作品を作ることなどと言われています。パロディの目的が、揶揄や風刺等にあるのに対し、オマージュは原作への敬意の表明等をその目的とすることが異なる点といえます。

パロディは、原作への揶揄等を目的とすることから原作者等から嫌がられることも多い一方、オマージュは原作への敬意の表明等をその目的とし原作者からも好意的にみられることが多いことをもって、オマージュであれば自由に行っても問題ないのではないかという誤解が生じることも多いですが、オマージュも、パロディと同様、法律上は、「オマージュだから許される」等といったことはありません。一般的な模倣品類似品と同様の判断基準で侵害かどうかが判断されることになります。

パクリ(盗用)との違い

パロディとパクリ(盗用)との違いが問題となることもあります。一般的には、パロディがその目的を揶揄・風刺等におき、原作等の表現を取り入れたうえ新たな表現を行うのに対し、パクリ(盗用)の場合、原作等の表現をそのまま、または少しだけ変えるなどしただけのコピー品を指すことが多いです。

パクリ(盗用)についても、パロディやオマージュと同様、一般的な判断基準で侵害かどうかが判断されることになります。

パロディに関する法律

次に、パロディに関係する法律について見ていきます。パロディとの関係では、特に、著作権法商標法不競法が問題となることが多いため、各法の基本に触れつつ、パロディと各法との関係について見ていきます。

著作権法

著作権法は、著作物を創作した者(著作者)と著作物を利用したい者(利用者)との関係を調整するために定められた法律です。

著作者以外の人が、著作者に無断で、著作物(著作権法2条1項1号)を利用する場合であって(著作権法21条~27条)、著作権制限規定にも該当しないときに(著作権法30条~47条の7)、著作権侵害が成立することになります。また、著作者には著作者人格権も認められており(著作権法18条~20条)、著作物の利用行為が著作者人格権を侵害していないかにも留意が必要になります。

パロディは、原作を改変等して利用することが多いため、著作権との関係では、複製権(著作権法21条)や翻案権(著作権法27条)の侵害が問題となることが多いです。具体的には、原作品とパロディ作品とが類似であるか、パロディ作品から原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるかが問題となることが多く、これが認められる場合、パロディ作品を創作した側からは、適法な引用(著作権法32条)に該当するなどとの反論がされることが多いです。

また、同様に、パロディは、原作を改変等して利用することが多いため、著作者人格権のうち、同一性保持権(著作権法20条)の侵害が問題となることも多いです。

商標法

商標法は、自己の商品・サービスと他社の商品・サービスとを区別するために使用するロゴマーク商標)を保護するための法律です。

商標は、特許庁による商標登録を受けてはじめて、商標法上の保護を受けることが可能になります。商標登録の要件として、他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいものではないことが求められているため(例えば、商標法4条1項10号、11号、15号、19号等参照)、パロディ商標はこの要件を満たさず、商標登録を受けることができないのではないかという点も問題となりえます。

商標権者の許諾なく、特許庁による商標登録を受けた登録商標と同一・類似の商標を、指定商品・役務と同一・類似の商品・役務について使用すると商標権侵害となります(商標法25条本文、37条1号)。

パロディでは、有名ブランドの商標を改変して利用することが多く、特にパロディ商標と元となった商標の類似性が問題とされることが多いです。また、有名ブランドの商標の商標権者が、パロディ商標を使用する者に対して、商標権の侵害を理由に差止請求等を行う場合も同様に、両者の商標の類似性が問題となることが多いです。

商標の類似性は、一般的に、対比される両商標が同一・類似の商品・役務に使用された場合に、出所の誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって判断されることとされており、この判断に当たっては、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象等を、取引の実情も踏まえながら、全体的に考慮すると考えられていますので、このような判断基準に沿って両商標の類似性が判断されることとなります。

不競法

不競法は、事業者間の公正な競争の確保等を目的とする法律です。

不競法ではさまざまな類型の不正競争が規定されており、その中には、他人の周知な商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用等し他人の商品等と混同を生じさせる行為(不競法2条1項1号)や、他人の著名な商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用等する行為(同項2号)があります。

パロディでは、有名ブランドのロゴ等を改変して利用することが多いため、不競法2条1項1号や2号の不正競争が成立するかが問題となることが多く、この際、パロディ商標と元となった有名ブランドのロゴ等の類似性が問題となることが多いです。

パロディに関する裁判例

次に、パロディが問題となった実際の裁判例について、適宜写真等も交えながら紹介していきます。

著作権法

最高裁昭和55年3月28日判決(モンタージュ写真事件)

本件は、下記本件写真の撮影者であるX(原告・被控訴人・上告人)が、下記モンタージュ写真(本件写真の一部を切り取ったうえ他の広告写真から切り取った写真を合成して作成したモンタージュ写真)を作成したY(被告・控訴人・被上告人)に対し、Yの行為が同一性保持権侵害(著作権法20条)に当たるなどとして、損害賠償請求等を求めた事件です。

【本件写真】

【本件モンタージュ写真】

東京地裁昭和47年11月20日判決(添付文書1)

本判決は以下のとおり、Yの行為は、Xの同一性保持権侵害するものであり、引用も成立しないと判示しています。この際、Yの行為にパロディの要素があったとしても、Yによる同一性保持権侵害は否定されないと判示している点にも留意が必要です。

本件写真は……本件モンタージユ写真に取り込み利用されているのであるが、利用されている本件写真の部分(以下「本件写真部分」という。)は、右改変の結果としてその外面的な表現形式の点において本件写真自体と同一ではなくなつたものの、本件写真の本質的な特徴を形成する雪の斜面を……シユプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーの部分及び山岳風景部分中、前者についてはその全部及び後者についてはなおその特徴をとどめるに足りる部分からなるものであるから、本件写真における表現形式上の本質的な特徴は、本件写真部分自体によつてもこれを感得することができる……。そして、本件モンタージユ写真は、これを一瞥しただけで本件写真部分にスノータイヤの写真を付加することにより作成されたものであることを看取しうるものであるから……シユプールを右タイヤの痕跡に見立て、シユプールの起点にあたる部分に巨大なスノータイヤ一個を配することによつて本件写真部分とタイヤとが相合して非現実的な世界を表現し、現実的な世界を表現する本件写真とは別個の思想、感情を表現するに至つているものであると見るとしても、なお本件モンタージユ写真から本件写真における本質的な特徴自体を直接感得することは十分できる……。……本件写真の本質的な特徴は、本件写真部分が本件モンタージユ写真のなかに一体的に取り込み利用されている状態においてもそれ自体を直接感得しうるものであることが明らかであるから、被上告人のした……本件写真の利用は、上告人が本件写真の著作者として保有する本件写真についての同一性保持権を侵害する改変である……。
本件モンタージユ写真に取り込み利用されている本件写真部分は、本件モンタージユ写真の表現形式上前説示のように従たるものとして引用されているということはできないから、本件写真が本件モンタージユ写真中に法30条1項第2号にいう意味で引用されているということもできない……。 このことは……本件モンタージユ写真作成の目的が本件写真を批判し世相を風刺することにあつたためその作成には本件写真の一部を引用することが必要であり、かつ、本件モンタージユ写真は、美術上の表現形式として今日社会的に受けいれられているフオト・モンタージユの技法に従つたものである、との事実によつても動かされるものではない。

最高裁昭和55年3月28日判決(判時967号45頁)

東京地裁平成13年12月19日決定(「バターはどこへ溶けた?」事件)

本件は、「チーズはどこへ消えた?」という題名の書籍(本件著作物)を出版するX(債権者)らが、「バターはどこへ消えた?」という題名の書籍(債務者書籍)を販売するY(債務者)らに対し、Yの行為がXの翻案権を侵害する等として、Yの書籍の廃棄を求めた仮処分事件です。

本判決は、Xらが、Yらが本件著作物を翻案した根拠として指摘する各具体的部分について、翻案権侵害が認められるかを検討したうえ、表現が全く同一の部分があること等を根拠に翻案権侵害を肯定しました。そのうえで、以下のとおり、債務者書籍はパロディではあるものの、著作権侵害は否定されない旨判示しています。

パロディーは、もとになる著作物の内容を踏まえて、これを批判等するものであるから、もとになる著作物を離れては成立し得ないものであり、内容的にも読者をしてもとになる著作物の思想感情を想起させるものである。しかし、パロディーという表現形式が文学において許されているといっても、そこには自ずから限界があり、パロディーの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されない……。
債務者書籍は本件著作物を前提にして、その説くところを批判し、風刺するものであって、債務者らの主張するとおりパロディーであると認められるが……債務者書籍は、本件著作物とテーマを共通にし、あるいはそのアンチテーゼとしてのテーマを有するという点を超えて債権者……の本件著作物についての具体的な記述をそのままあるいはささいな変更を加えて引き写した記述を少なからず含むものであって、表現として許される限界を超える……。

東京地裁平成13年12月19日決定(裁判所ウェブサイト)

商標法

知財高裁平成25年6月27日判決(KUMA事件)

本件は、X(原告)が保有する本件商標の商標登録を無効とした審決の取消訴訟です。本件商標の登録無効審判において、特許庁は、引用商標を根拠に本件商標が商標法4条1項7号、15号に該当すると判断し本件商標の商標登録を無効としていました。

【本件商標】

【引用商標】

知財高裁平成25年6月27日判決

まず、本判決は、商標法4条1項15号との関係で、以下のとおり本件商標と引用商標の類似性を認定したうえ、その他の要件も肯定し、同号該当性を認めました

【本件商標と引用商標との類似性】
本件商標と引用商標とを対比すると、両者は、4個の欧文字が横書きで大きく顕著に表されている点、その右肩上方に、熊とピューマとで動物の種類は異なるものの、四足動物が前肢を左方に突き出し該欧文字部分に向かっている様子を側面からシルエット風に描かれた図形を配した点において共通する。両者の4個の欧文字部分は、第1文字が「K」と「P」と相違するのみで、他の文字の配列構成を共通にする。しかも、各文字が縦線を太く、横線を細く、各文字の線を垂直に表すようにし、そして、角部分に丸みを持たせた部分を多く持つ縦長の書体で表されていることから、文字の特徴が酷似し、かつ、文字全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した点で共通の印象を与える。文字の上面が動物の後大腿部の高さに一致する位置関係が共通しており、足や尾の方向にも対応関係を看取することができる。
本件商標の上方にゴシック体で小さく表した「KUMA」の欧文字や、引用商標の「A」の欧文字の右下に非常に小さく、円内にアルファベットの大文字の「R」を記した記号は、目立たない位置にあることや表示が小さいこと等により看者の印象に残らない。
……以上、共通する構成から生じる共通の印象から、本件商標と引用商標とは、全体として離隔的に観察した場合には、看者に外観上酷似した印象を与える……。

知財高裁平成25年6月27日判決(裁判所ウェブサイト)

次に、本判決は、商標法4条1項7号該当性について、以下のとおり判示して同号該当性を認めています。

A社(※筆者注:Xは同社のライセンス管理会社)は引用商標の著名であることを知り、意図的に引用商標と略同様の態様による4個の欧文字を用い、引用商標のピューマの図形を熊の図形に置き換え、全体として引用商標に酷似した構成態様に仕上げることにより、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想、想起させ、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で採択・出願し登録を受け、原告は上記の事情を知りながら本件商標の登録を譲り受けたものと認めることができる。
そして、本件商標をその指定商品に使用する場合には、引用商標の出所表示機能が希釈化(ダイリューション)され、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力、ひいては被告の業務上の信用を毀損させるおそれがある……。
そうすると、本件商標は、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的(商標法1条)に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反する……。

知財高裁平成25年6月27日判決(裁判所ウェブサイト)

なお、上記【引用商標】と下記商標との類似性が問題となった知財高裁平成22年7月12日判決(SHI-SA事件)では、両商標の類似性が否定されていますので、上記知財高裁平成25年6月27日判決と比較してみると面白いかと思います。

知財高裁平成22年7月12日判決(判タ1387号311頁)

知財高裁平成28年4月12日判決(フランク三浦事件)

本件は、X(原告)が保有する本件商標の商標登録を無効とした審決の取消訴訟です。本件商標の登録無効審判において、特許庁は、引用商標を根拠に本件商標が商標法4条1項10号、11号、15号、19号に該当すると判断し本件商標の商標登録を無効としていました。

【本件商標】

【引用商標】
[引用商標1]

[引用商標2]

[引用商標3]

知財高裁平成28年4月12日判決(裁判所ウェブサイト)

本判決は、以下のとおり本件商標と引用商標との類似性否定し(なお、以下の引用部分は本件商標と引用商標1との類似性の判断部分ですが、引用商標2・3との関係でも同様に類似性が否定されています。)、その結果、商標法4条1項10号、11号、19号該当性を否定しています。

本件商標と引用商標1を対比すると、本件商標より生じる「フランクミウラ」の称呼と引用商標1から生じる「フランクミュラー」の称呼は、第4音までの「フ」「ラ」「ン」「ク」においては共通するが、第5音目以降につき、本件商標が「ミウラ」であり、引用商標1が「ミュラー」であって、本件商標の称呼が第5音目と第6音目において「ミ」「ウ」であり、語尾の長音がないのに対して、引用商標1においては、第5音目において「ミュ」であり、語尾に長音がある点で異なっている。しかし、第5音目以降において、「ミ」及び「ラ」の音は共通すること、両者で異なる「ウ」の音と拗音「ュ」の音は母音を共通にする近似音である上に、いずれも構成全体の中間の位置にあるから、本件商標と引用商標1をそれぞれ一連に称呼する場合、聴者は差異音「ウ」、「ュ」からは特に強い印象を受けないままに聞き流してしまう可能性が高いこと、引用商標1の称呼中の語尾の長音は、語尾に位置するものである上に、その前音である「ラ」の音に吸収されやすいものであるから、長音を有するか否かの相違は、明瞭に聴取することが困難であることに照らすと、両商標を一連に称呼するときは、全体の語感、語調が近似した紛らわしいものというべきであり、本件商標と引用商標1は、称呼において類似する。
他方、本件商標は手書き風の片仮名及び漢字を組み合わせた構成から成るのに対し、引用商標1は片仮名のみの構成から成るものであるから、本件商標と引用商標1は、その外観において明確に区別し得る。
さらに、本件商標からは、「フランク三浦」との名ないしは名称を用いる日本人ないしは日本と関係を有する人物との観念が生じるのに対し、引用商標1からは、外国の高級ブランドである被告商品の観念が生じるから、両者は観念において大きく相違する。
そして、本件商標及び引用商標1の指定商品において、専ら商標の称呼のみによって商標を識別し、商品の出所が判別される実情があることを認めるに足りる証拠はない。
以上によれば、本件商標と引用商標1は、称呼においては類似するものの、外観において明確に区別し得るものであり、観念においても大きく異なるものである上に、本件商標及び引用商標1の指定商品において、商標の称呼のみで出所が識別されるような実情も認められず、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るともいえないから、本件商標及び引用商標1が同一又は類似の商品に使用されたとしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない。
そうすると、本件商標は引用商標1に類似するものということはできない。

知財高裁平成28年4月12日判決(裁判所ウェブサイト)

また、商標法4条1項15号該当性についても、主に本件商標と引用商標とが非類似であることを理由に混同を生じるおそれを否定し、同号該当性を否定していますが、これにあわせ、パロディとの関係について以下のとおり判示しています。

……本件商標が商標法4条1項15号に該当するか否かは、飽くまで本件商標が同号所定の要件を満たすかどうかによって判断されるべきものであり、原告商品が被告商品のパロディに該当するか否かによって判断されるものではない。……
……商標法4条1項15号は、飽くまで同号に該当する商標の登録を許さないことにより、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止するものであるから、抽象的に商標の出所の不鮮明化や、商標の稀釈化が生じると主張するのみでは、本件商標が同号に該当することを根拠付ける主張となるものではない。

知財高裁平成28年4月12日判決(裁判所ウェブサイト)

不競法

知財高裁平成30年10月23日判決(ルイ・ヴィトン事件)

本件は、X(原告・被控訴人)が、Y(被告・控訴人)がY各商品(被告各商品)を譲渡等した行為が、Xの商品等表示として著名な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用したものであり不競法2条1項2号の不正競争に該当するなどとして、損害賠償請求等をした事案です。

【Xの商品等表示(原告標章)】

【Y各商品(被告各商品)】

他5点

東京地裁平成30年3月26日判決(裁判所ウェブサイト)

本判決は、原告標章と被告各標章の類似性について以下のとおり判示した原判決を引用するなどし、不競法2条1項2号の適用を認めた原判決の判断を是認しています。

原告標章と被告各標章(筆者注:被告各商品に付された原告標章の一部)は数種類の記号の集合体であり、特段の称呼及び観念は生じないから、それらの外観について検討する。そして、被告標章1ないし7は、原告標章を構成する原告記号aないしdと同一の記号により構成され、その配置も原告標章と同一なものの一部分であり、被告標章8は、被告記号eや、被告記号aないしdをカラーにした点が異なるが、それらの記号が原告標章と同一の配置とされたものの一部分であり、原告標章と同様に、被告各商品に応じて被告各標章の一部を切り取って商品に付されて使用されている。そうすると、原告標章と被告各標章とは、一般の需要者が外観に基づく印象として、全体的に両者を類似のものと受け取るおそれがある……。
これに対し、被告は、取引の実情として、被告各商品が「JUNKMANIA」とのウェブページにおいて、「REMAKE」や「CUSTOM」との表示とともに販売されており、いかなる取引者・需要者も被告各商品の出所が原告であると誤認混同するおそれはない旨主張するが……同項2号の不正競争行為にあっては、著名な商品等表示とそれを有する著名な事業主との一対一の対応関係を崩し、稀釈化を引き起こすような程度に類似しているような表示か否か、すなわち、容易に著名な商品等表示を想起させるほど類似しているような表示か否かを検討すべきものであるから、被告指摘の事情は類似性の判断に影響を与えるものではなく、失当である。

知財高裁平成30年10月23日判決(裁判所ウェブサイト)
ムートン

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