【最判令和8年2月13日】
賃金である一時金の不払いは
債務不履行に当たるが、
不法行為には当たらないとされた事例

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この記事のまとめ

最高裁令和8年2月13日判決の事案では、有期雇用契約社員であるAらに対して一時金が支払われなかったことにつき、Aらが勤務先のB社に対して不法行為に基づく損害賠償を請求しました。

原審の名古屋高裁は、不法行為の成立を認めてAらの請求を認容しました。
しかし最高裁は、賃金である一時金の不払いは契約に基づく金銭債務の不履行となるに過ぎず、不法行為には当たらないと判示し、原審判決を破棄してAらの請求を棄却しました。

労働契約に基づく賃金請求権については、現行の労働基準法において、権利を行使できる時から3年いう短い時効期間が設定されています。「3年が過ぎても、不法行為に基づく損害賠償を請求すればよい」という考え方は、本判決によって適切でないことが明確になったと言えます。

裁判例情報
最高裁令和8年2月13日判決(裁判所ウェブサイト)

※この記事は、2026年4月27日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

事案の概要

有期雇用契約社員であるAらに対して一時金が支払われなかったことにつき、Aらが勤務先のB社に対して不法行為に基づく損害賠償を請求した事案です

B社において雇用される労働者はもともと、期間の定めのない労働契約を締結した「正社員」と、期間の定めのある労働契約を締結した「準社員」の2つに区分されていました。
しかし、B社はAらを雇用するに当たり、新たに「有期雇用契約社員」という区分を設けることにしました。Aらは、有期雇用契約社員としてB社に雇用されました。

B社では、正社員に適用される「正社員就業規則」と、準社員に適用される「準社員就業規則」が定められていました。

Aらが新たなカテゴリーの有期雇用契約社員として雇用されても、有期雇用契約社員だけに適用される就業規則が直ちに定められたわけではありませんでした。
Aらが雇用された時期は2010年1月1日から2011年9月1日までの間であったところ、B社が「有期雇用契約社員就業規則」を作成したのは2011年11月3日でした。

本件で問題となった一時金は、正社員就業規則と準社員就業規則には定められていた一方で、有期雇用契約社員就業規則には定めがありませんでした
B社は有期雇用契約社員就業規則を適用し、Aらに対して一時金を支給しませんでした。これを不服としたAらは、準社員就業規則に基づく一時金相当額などの支払いを求め、裁判所に訴訟を提起しました。

一時金相当額の請求の法律構成として、Aらは不法行為に基づく損害賠償請求を選択しました。そのため、本件の主要な論点は次の2点となりました。

裁判の争点

① 一時金の支払義務の有無についてどの就業規則を参照するか(準社員就業規則または有期雇用契約社員就業規則)
② 一時金の不払いが不法行為に当たるか

原審の名古屋高裁は、有期雇用契約社員就業規則が作成されるより前の2011年11月2日までは準社員就業規則が適用されるとしたうえで、不法行為の成立を認めてAらの請求を認容しました。
B社はこれを不服として、最高裁に上告しました。

判決の要旨

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