SNSのコンプライアンスとは?
よくある違反事例や企業が取り組むべき対策を
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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企業がSNSアカウントを運営する際や、従業員がSNSを利用する場合には、次に挙げるようなコンプライアンス違反に注意する必要があります。
・個人情報や営業秘密の漏えい
・誹謗中傷
・プライバシー権の侵害
・著作権侵害
・景品表示法違反
・差別的な表現これらのコンプライアンス違反が生じると、企業としての評判が大きく損なわれてしまうだけでなく、損害賠償・行政処分・刑事罰の対象にもなり得るので要注意です。
社内ガイドラインの整備や投稿前のチェック体制の整備、コンプライアンス研修などを通じて、SNS利用に関するコンプライアンス違反の予防に努めましょう。また、炎上などのトラブルが発生した場合に備えて、迅速かつ適切に対応できる体制を整備することも大切です。
この記事ではSNSの利用に関するコンプライアンスについて、よくある違反事例や企業が取り組むべき対策などを解説します。
※この記事は、2026年7月21日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- ・景品表示法…不当景品類及び不当表示防止法
目次
企業のSNS利用に関するコンプライアンスとは
「コンプライアンス」とは、法令などの社会規範を遵守することを意味します。企業は法令のほか、ガイドライン・社内規程・企業倫理・社会道徳などを遵守することが求められます。
SNSの利用に関しても、法令やその他の社会規範への違反が問題となることがあります。例えば個人情報や秘密情報の漏えい、誹謗中傷、著作権侵害などがその典型例です。
これらの違反を防ぐため、企業はSNSの利用に関するルールを定めて従業員に周知するなど、コンプライアンスの徹底に努めなければなりません。
実際に起きたSNSのコンプライアンス違反の事例
従業員によるSNSの不適切な利用が、大規模な企業不祥事に発展した事例はしばしば報道されています。例えば、過去には次に挙げる事例などが発生しました。
- SNSの不祥事事例
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① セブン-イレブンのバイトテロ事件
コンビニエンスストア「セブン-イレブン」のフランチャイズ加盟店の従業員が、店内でおでんを口に入れる姿などを撮影した動画をSNSに投稿しました。
本部事業者であるセブン-イレブン・ジャパン社は、公式のニュースリリースで不適切行為を認め、行為者を解雇した旨や従業員教育の再徹底を図る旨などを発表しました。
参考:株式会社セブン‐イレブン・ジャパンウェブサイト「当社加盟店従業員による不適切行為について」② 大正製薬のステルスマーケティング事件
大手製薬会社である大正製薬は、同社が販売する「NMN taisho」というサプリメントに関する広告をインフルエンサーに依頼しました。
依頼を受けたインフルエンサーは、同製品に関する投稿をInstagramに投稿したところ、大正製薬はその投稿の一部を抜粋して自社サイトに掲載しました。
大正製薬は、上記の投稿が自社の依頼したものであることを明らかにしていませんでした。そのため消費者庁長官は、景品表示法によって禁止されている「ステルスマーケティング」に当たることを指摘し、大正製薬に対して、違反行為の周知や再発防止策を内容とする措置命令を行いました。
参考:消費者庁ウェブサイト「大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
SNS利用についてよくあるコンプライアンス違反の例
SNSの利用に関しては、次に挙げるようなコンプライアンス違反がしばしば発生します。企業アカウントの運用や従業員による私的な投稿の中で、これらの違反が発生しないように対策を講じなければなりません。
① 個人情報や営業秘密の漏えい
② 誹謗中傷(名誉毀損・侮辱)
③ プライバシー権の侵害
④ 著作権侵害
⑤ 景品表示法違反|優良誤認表示・有利誤認表示・ステルスマーケティングなど
⑥ 差別的な表現
個人情報や営業秘密の漏えい
SNSへの投稿から、企業が管理している個人情報や営業秘密が漏えいすると、大規模な不祥事に発展するおそれがあります。
例えば、企業アカウントに投稿したオフィスの写真や動画に、顧客名簿・契約書・業務中のパソコン画面などが映り込むと、個人情報や営業秘密の漏えいにつながります。
また、従業員の個人アカウントによる投稿からも、個人情報や営業秘密が漏えいしてしまうケースがあります。例えば著名人が来店した旨を投稿したり、取引先の社名を出して商談を行った旨を投稿したりするケースが典型例です。
誹謗中傷(名誉毀損・侮辱)
SNS上で他人に対して根拠のない批判をしたり、人格攻撃に当たる内容を投稿したりすると、誹謗中傷として刑事責任や民事責任を負う可能性があります。
例えば、対象者が特定できるような形で「○○社は詐欺まがいの行為をしている」「顧客の○○は非常識だ」などと投稿すると、名誉毀損罪による処罰や損害賠償責任のリスクを負ってしまいます。
企業アカウントによって誹謗中傷の投稿をしてはならないのは当然ですが、従業員個人のアカウントで誹謗中傷が行われた場合も、企業のレピュテーション低下につながり得るので要注意です。
プライバシー権の侵害
一般に広く知られていない私生活上の事実であって、本人が公開を欲しないと考えられるものを無断で暴露すると、プライバシー権の侵害として損害賠償責任を負います。
例えばSNS上で行われる次のような投稿は、プライバシー権侵害に当たる可能性があるので注意が必要です。
・顧客や取引先の写真を、本人に無断で投稿する
・顧客から受けた問い合わせの内容を、本人に無断で公開する
など
著作権侵害
他人が創作した動画・写真・イラスト・音楽・文章などを使用する際には、原則として著作権者の許諾を得なければなりません。無許諾でこれらの著作物を利用した場合は、一部の例外を除いて著作権侵害に当たり、差止請求・損害賠償請求・刑事罰の対象となります。
例えば、SNSの投稿に他人の著作物を無断で添付したり、他人の著作物を勝手に改変したものをSNS上に投稿したりすると、著作権侵害の責任を問われるおそれがあります。
景品表示法違反|優良誤認表示・有利誤認表示・ステルスマーケティングなど
企業がSNSを広告に利用する場合は、景品表示法にも注意しなければなりません。
景品表示法では、次に挙げる表示が不当表示として禁止されています。
- 景品表示法上の不当表示
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(a) 優良誤認表示
商品やサービスの品質・規格その他の内容につき、事実に反して、実際のものや競合他社のものよりも著しく優良であると示し、一般消費者を誤認させる表示
(例)客観的な根拠がないにもかかわらず、「絶対に痩せる」「業界No.1」「日本一の品質」などと投稿する(b) 有利誤認表示
商品やサービスの価格その他の取引条件につき、事実に反して、実際のものや競合他社のものよりも著しく有利であると示し、一般消費者を誤認させる表示
(例)定価販売の実績がないのに「限定50%OFF」と称した広告をする(c) その他の不当表示
次に挙げる表示
・無果汁の清涼飲料水等についての表示
・商品の原産国に関する不当な表示
・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
・不動産のおとり広告に関する表示
・おとり広告に関する表示
・有料老人ホームに関する不当な表示
・一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(ステルスマーケティング)
特にステルスマーケティングは、企業のSNSを通じた広告に関して近年よく問題となっています。インフルエンサーなどが企業から依頼を受けてSNS投稿をしたにもかかわらず、それが広告である旨を明示しない場合はステルスマーケティングに当たるので注意してください。
優良誤認表示や有利誤認表示をした企業は、消費者庁長官から措置命令や課徴金納付命令を受けるおそれがあります。
また、その他の不当表示をした場合には、消費者庁長官から措置命令を受ける可能性があります。
差別的な表現
人種・国籍・民族・性別・性的指向・性自認・障害・宗教などを理由に、特定の人や集団を侮辱・排除するような投稿は差別的であり、社会において受け入れられません。差別的な意図がなくても、特定の属性に対する偏見や固定観念を助長する表現が投稿に含まれている場合は、問題視されるリスクがあります。
企業アカウントによる差別的な投稿はもちろん、従業員個人のアカウントによる差別的な投稿も、企業イメージの大幅な悪化につながるおそれがあります。炎上が大々的に広がると、取引先や顧客からの信用を失い、業績に深刻な悪影響が生じることもあり得るので要注意です。
SNSでのコンプライアンス違反によって企業が負うリスク
企業アカウントによるSNS投稿がコンプライアンス違反に当たる場合、企業は損害賠償責任を負う可能性があるほか、行政処分や刑事罰の対象になることもあります。
コンプライアンス違反の投稿が従業員個人のアカウントによってなされた場合でも、それが企業の業務に関連する場合は、企業も使用者責任などを負う可能性があるので注意が必要です。
さらに、コンプライアンス違反が発覚した場合の事後対応に要するコストや、社会的な信用の失墜も、企業経営に大きな悪影響を及ぼします。
SNSにおけるコンプライアンス違反は、企業の経営基盤を揺るがす重大なリスクとなるため、未然防止の取り組みを行うことが必要不可欠です。
企業が取り組むべきSNSのコンプライアンス対策
SNSの利用に関するコンプライアンスを徹底するため、企業は次に挙げる対策などを講じましょう。
① SNS利用に関する社内ガイドラインを整備する
② 投稿前のチェック体制を整備する
③ 従業員向けのSNSコンプライアンス研修を実施する
④ SNSに関するトラブルが生じた場合の対応体制を整備する
SNS利用に関する社内ガイドラインを整備する
SNSの不適切な利用を防ぐためには、社内ガイドラインを整備することが効果的です。
社内ガイドラインでは、企業アカウントの運用ルールに加えて、従業員が個人アカウントを利用する場合の遵守事項も定めておきましょう。遵守事項の内容としては、次の例が挙げられます。
・個人情報や営業秘密を投稿しないこと
・誹謗中傷や差別的表現を行わないこと
・著作権侵害に当たる投稿をしないこと
・顧客の氏名や取引先の社名を記載しないこと
など
策定した社内ガイドラインは、従業員に対して十分に周知し、SNS利用時のコンプライアンスの意識付けを行いましょう。
投稿前のチェック体制を整備する
企業アカウントから発信する内容は、実際に投稿する前に複数人で確認する体制を整えましょう。不適切な表現や秘密情報の写り込み、著作権侵害、景品表示法違反などの見落としを防ぎやすくなります。
運用を主に担当する広報部門などに加えて、法務部門やコンプライアンス部門も確認に加われば、コンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
投稿内容の確認に当たっては、確認すべき事項のチェックリストを作成しておくと、網羅的な観点から適否を検証することができます。
従業員向けのSNSコンプライアンス研修を実施する
社内全体にコンプライアンス意識を浸透させるためには、定期的にコンプライアンス研修を実施することが推奨されます。
特にSNSは多くの従業員が個人的に利用していると思われるため、全従業員向けのコンプライアンス研修における有力なテーマの一つです。
秘密情報の漏えい、著作権侵害、差別的な表現などによって炎上した実際の事例を紹介して、受講者の具体的なイメージを喚起しながらSNS利用時のルールや注意点を伝えましょう。
研修の実施方法としては、講義形式のほかeラーニングの利用も考えられます。できれば3カ月~半年に1回程度以上、少なくとも1年に1回程度はコンプライアンス研修を実施するとよいでしょう。
SNSに関するトラブルが生じた場合の対応体制を整備する
SNSでのコンプライアンス違反が発覚したときは、迅速に事態を収拾することが求められます。あらかじめ対応体制を整備しておきましょう。
具体的には、違反発覚時の報告ルートや対応責任者、投稿の削除・事実関係の調査・謝罪・対外的な発表などの手順や基準などを明確にすることが大切です。
SNSの運用担当者だけでなく、経営陣・法務部門・コンプライアンス部門や外部の顧問弁護士が緊密に連携し、信頼回復の観点から適切な対応がとれるような体制整備に努めましょう。
違反発覚時の対応をまとめたマニュアルを作成し、そのマニュアルを基にした訓練を定期的に行うと、実際のコンプライアンス違反に対して迅速かつ適切な対応がとれるようになります。
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