BCP(事業継続計画)研修とは?
取り上げるべき主な事項・実施方法・
効果を高めるためのポイントを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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「BCP(事業継続計画)」とは、災害などの危機的な状況が生じた際に、重要な事業の中断を防ぎ、仮に中断しても短期間で復旧させるための方針等を示した計画です。
危機発生時にBCPを機能させるためには、平時からBCPに関する研修を実施することが大切です。座学・グループディスカッション・図上訓練・実動訓練などを組み合わせて、全社的なBCP研修を定期的に実施しましょう。
この記事ではBCP研修について、取り上げるべき主な事項・実施方法・効果を高めるためのポイントなどを解説します。
※この記事は、2026年7月22日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
BCPに関する研修とは
危機発生時にBCP(事業継続計画)を機能させるためには、平時からBCPに関する研修を実施して周知することが大切です。
特に災害拠点病院や介護事業所には、BCPの策定や実際の被災を想定した研修・訓練の実施が義務付けられています。その他の事業所においても、いざというときにBCPを機能させることができるように、従業員に対する研修を適切に行いましょう。
BCP(事業継続計画)とは
「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」とは、自然災害・テロ・システム障害・情報漏えい・感染症の流行などの危機的な状況が生じた際に、重要な事業の中断を防ぎ、仮に中断しても短期間で復旧させるための方針等を示した計画です。
災害等によって重要な事業が長期間停止すると、収益性が悪化して財務状況が危機に陥ったり、顧客離れを招いたりするおそれがあります。企業にとって致命的な事態を防ぐには、いち早く重要な事業を立て直して再開させなければなりません。
BCPは、災害等が実際に発生した場合の対応手順等をあらかじめ定めることにより、迅速かつ的確に重要な事業の復旧に向けた対応ができるようにするためのものです。
BCP研修の目的
企業が策定したBCPを、実際に災害等が発生した際に適切に機能させるためには、従業員に対して研修を行うことが欠かせません。
BCP研修の目的は、個々の従業員がBCPの内容を理解し、災害等が発生した状況において迅速かつ的確な行動できるようにすることです。
重要な事業の早期復旧に必要な対応につき、研修を通じて役割分担・連絡体制・手順などを確認し、企業全体の危機対応力を高めます。
災害拠点病院・介護事業所ではBCP策定が義務
災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する「災害拠点病院」については、業務継続計画の策定が指定要件とされています。災害拠点病院における業務継続計画は、BCPに相当するものです。
さらに災害拠点病院には、整備された業務継続計画に基づき、被災した状況を想定した研修・訓練を実施することも求められています。
厚生労働省は、災害拠点病院を含む医療機関がBCPを策定する際に参考となる手引きを公表しています。
介護事業所においても、介護保険法に基づく各種サービスの運営基準を定めた省令により、BCPに相当する業務継続計画の策定が義務づけられています。
策定した業務継続計画は職員に対して周知するとともに、必要な研修・訓練を定期的に実施することや、定期的に見直しを行い必要に応じて変更することが求められています。
介護事業所が業務継続計画を策定していない場合は、介護報酬の減算や行政指導・監査の対象となるほか、介護事業所としての指定を取り消されるリスクもあるので注意が必要です。
BCP研修で取り上げるべき主な事項
企業が実施するBCP研修において取り上げるべき事項としては、主に次の例が挙げられます。
① BCPにおける基本方針
② 危機発生時の初動対応|安否確認・情報共有・指揮命令系統など
③ 重要業務の継続方法と代替手段
④ 危機時の情報セキュリティ
⑤ 【人事担当者・管理職向け】危機時の労務管理
BCPにおける基本方針
まずは自社のBCPの基本方針を共有し、災害等の発生時において意識すべき考え方を理解させることが重要です。根幹的な事業はどれか、何を優先して行動すべきかなどの基本的な考え方が共有されていれば、緊急時にも正しい方向性の対応がとりやすくなります。
危機発生時の初動対応|安否確認・情報共有・指揮命令系統など
災害等が発生した直後の初動対応の適否は、その後の事業活動に大きな影響を及ぼします。そのためBCP研修において、危機発生時の初動対応を確認しておくことがきわめて重要です。
例えば従業員や家族の安否確認方法、災害等が事業活動に及ぼしている実際の影響についての情報共有方法、企業全体での指揮命令系統などを、座学や実動訓練などを通じて確認します。誰が何を判断し、どのような手順で行動するのかを具体的に確認することが、迅速かつ的確な初動対応につながります。
重要業務の継続方法と代替手段
重要な事業の中断を防ぎ、仮に一時的に中断しても早期に復旧するための具体的な方法を確認します。
本来の形で事業を実施することができない場合は、代替手段を検討しなければなりません。
例えばオフィスが機能不全に陥った場合の対策としては、代替拠点での業務の実施やテレワークへの切り替えなどが考えられます。設備や外注業者についても、代替策を検討しておくべきです。
これらの代替手段をBCPにおいて定めたうえで、危機的状況においてどのように選択・判断するかを研修の中で確認しましょう。
危機時の情報セキュリティ
災害等によって通常とは異なる環境で業務を行う場合は、サイバー攻撃や人為的ミスによる情報漏えいのリスクが高まります。BCP研修においては、危機的状況でも情報セキュリティを確保するための対応についても確認しておきましょう。
例えば、VPN等による安全な通信環境の確保や端末の管理、部署間における資料の受渡方法などを確認します。顧客情報・個人情報・営業秘密などを適切に保護するため、どのような行動が求められるかを従業員に周知しましょう。
【人事担当者・管理職向け】危機時の労務管理
災害等の危機が発生している状況でも、労働基準法などの法令は適用されます。人事担当者や管理職は、重要な事業の維持・復旧という命題を意識しつつも、法令を遵守した労務管理を行わなければなりません。
例えば労働基準法では、労働時間・休憩・休日・年次有給休暇などについてのルールが定められています。人事担当者・管理職向けに実施するBCP研修では、これらのルールについて改めて確認しつつ、危機発生時において生じやすい違反についても理解を深めながら、適切な労務管理の方法について学びましょう。
BCP研修の主な実施方法
BCP研修の実施方法にはさまざまなパターンがあります。各方法の特徴を踏まえて、バランスよくBCP研修に取り入れましょう。例えば、次の実施方法が挙げられます。
① 座学|講師による講義・eラーニング
② グループディスカッション
③ 図上訓練
④ 実動訓練
座学|講師による講義・eラーニング
座学による研修は、BCPに関する基本的な知識を習得するために役立ちます。他の方法による研修(グループディスカッション・図上訓練・実動訓練)へとつなげるためにも、まずは座学による知識の習得を目指しましょう。
座学の実施方法としては、主に講師による講義とeラーニングの2つが挙げられます。講師による講義は、質疑応答や他の受講生との会話を通じて理解を深めやすく、eラーニングは時間や場所を問わず受講できるというメリットがあります。
グループディスカッション
グループディスカッションは、一定の課題につき、研修の参加者同士で話し合って対応策などを検討する研修方法です。自分とは異なる考え方や知識を吸収するためのよい機会となります。
災害等の発生時においては、部署間で適切に連携を行うことも重要なテーマとなります。同じくグループに連携が必要な異なる部署の従業員を入れて議論させれば、連携の確認やコミュニケーションの円滑化などの観点からも研修の効果を得られるでしょう。
図上訓練
図上訓練は、施設の図面などを用いて、災害等が発生した際の対応手順を机上で確認・検討する訓練です。例えば避難経路や安否確認の方法、職員の役割分担、代替設備の利用方法などを実際の施設レイアウトに沿って確認することができます。
図上訓練は実動訓練に比べてコストがかからず、比較的実施しやすいのが大きな特徴です。ただし、実働訓練ほど具体的なイメージを喚起することは難しいため、重要な対応については実動訓練と併用するのがよいでしょう。
実動訓練
実動訓練は、災害等の発生時における対応を実際に行う訓練です。避難誘導や安否確認、災害対策本部の設置や部署間の連携、代替拠点への移動、設備や機器の操作などを実際に行って、対応手順や注意点などを確認します。
実動訓練の大きな特徴は、危機発生時の対応について具体的なイメージを喚起できる点です。その反面、多くの従業員を動員した大掛かりな訓練であるためコストがかかります。網羅的に実動訓練を行うことは難しいとしても、重要な対応については実動訓練を行っておくことが望ましいでしょう。
BCP研修を効果的に実施するためのポイント
企業がBCP研修を効果的に実施するためには、次のポイントを意識するとよいでしょう。
① 幅広い研修方法をバランスよく取り入れる
② 経営層や管理職も含めて、全社的に研修を実施する
③ 定期的・継続的にBCP研修を実施する
④ 訓練による反省を反映する
幅広い研修方法をバランスよく取り入れる
BCP研修の効果を高めるためには、複数の研修方法をバランスよく取り入れることが大切です。
例えば座学で講義を行うだけでは、危機的状況に対する具体的なイメージを持ちにくく、理解の向上や定着もあまり期待できません。
グループディスカッションで他の人の考え方も聞くこと、図上訓練で現場の状況をイメージすること、実動訓練で実際に身体を動かして対応手順を確認することにより、BCPに対する理解がさらに深まります。
一つの研修方法だけに偏らず、狙いを持って複数の研修方法を組み合わせることで、BCP研修の効果を高めましょう。
経営層や管理職も含めて、全社的に研修を実施する
BCPに沿った対応を迅速かつ的確に行うためには、社内全体の連携が必要不可欠です。したがってBCP研修も、上層部から現場の従業員に至るまで全社的に実施することが求められます。
BCPに関して果たすべき役割は、構成員の立場によって異なります。経営層は事業継続に関する意思決定、管理職は部署内および部署間における指揮・調整、一般従業員には担当業務における危機対応などをそれぞれ担います。全参加者に対して共通で実施する講義等に加えて、部署別の研修や連携確認を目的とした研修も実施し、組織全体の危機対応力を高めましょう。
定期的・継続的にBCP研修を実施する
人事異動や設備の更新、法令改正などにより、BCPに基づいてとるべき対応の内容や構成員の役割は変化していきます。また、時間が経過するとともに、研修受講者の理解や意識も薄れてしまいます。
そのため、BCP研修を定期的・継続的に実施し、社内全体のBCPに関する理解をアップデートすることが大切です。一般企業では少なくとも年1回程度はBCP研修を実施することが望ましいでしょう。
訓練による反省を反映する
BCP研修を実施する中では、BCPの中で検討が甘い部分が判明することもあるでしょう。例えば役割分担が曖昧である、連絡体制に不備がある、人員が足りない、備品が不足しているなどの問題点が判明したときは、その反省を活かすことが重要です。
BCPやマニュアルの更新、人員の増強や備品の購入などの必要な対応を行い、よりよい危機対応体制の構築を図りましょう。
BCP研修の方法についても、理解の促進につながるよう改善に取り組むことが大切です。受講者からフィードバックを受けて、分かりにくい部分は理解が深まるように修正するなど、よりよいBCP研修の実施方法を検討しましょう。
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