中小企業におけるコンプライアンスとは?
主な違反例や取り組むべき強化策を
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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法令などの社会規範を遵守する「コンプライアンス」は、大企業だけでなく中小企業も積極的に取り組むべき重要課題です。
中小企業では、次に挙げるようなコンプライアンス違反がしばしば発生します。
・ハラスメント
・個人情報や営業秘密の流出
・労働基準法違反
・他社の知的財産権の侵害
・不適切な会計処理
・会社の資金の横領
・SNSアカウントの不適切な運営これらのコンプライアンス違反を防止するため、社内ルールの整備やコンプライアンス研修の実施、内部通報制度の導入といった対策を講じましょう。実際にハラスメントが発生した場合に備えて、迅速かつ適切に対応できる体制を整備することも大切です。
この記事では中小企業におけるコンプライアンスについて、主な違反例や取り組むべき強化策などを解説します。
※この記事は、2026年7月22日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- ・個人情報保護法…個人情報の保護に関する法律
目次
中小企業におけるコンプライアンスとは|なぜ軽視されやすい? 義務化に対応できている?
「コンプライアンス」とは、法令などの社会規範を遵守することをいいます。企業は法令のほか、ガイドライン・社内規程・企業倫理・社会道徳などを遵守することが求められます。
大企業だけでなく、中小企業にとっても、コンプライアンスは積極的に取り組むべき重要課題です。法令上のルールの多くは企業規模を問わず適用されますし、社会の監視の目は中小企業に対しても向けられています。
しかし中小企業においては、「人手が足りないから無理」「従業員数が少ないから大丈夫」「家族経営なので問題は起きない」などと、コンプライアンスが軽視されるケースが散見されます。
楽観的な見通しを根拠にコンプライアンスの取り組みを怠ると、予期せぬきっかけで違反が発生し、深刻な不祥事へと発展しかねません。行政処分や刑事罰、被害者からの損害賠償請求などを受け、企業の存続が危うくなってしまうおそれもあります。
中小企業にとっては、一度の不祥事が致命傷になってしまうリスクがあります。コンプライアンスを重要課題として位置づけ、違反のリスクを最小限に抑えるための取り組みを行いましょう。
中小企業で起こりやすいコンプライアンス違反の例
中小企業では、次のようなコンプライアンス違反がしばしば発生します。
① ハラスメント|セクハラ・パワハラなど
② 個人情報や営業秘密の流出
③ 労働基準法違反|残業代の未払いなど
④ 知的財産権の侵害|著作権・商標権など
⑤ 不適切な会計処理
⑥ 会社の資金の横領
⑦ SNSアカウントの不適切な運営
ハラスメント|セクハラ・パワハラなど
近年では、職場におけるさまざまな種類のハラスメント(=嫌がらせ行為)が問題視されています。特に中小企業では、経営者や管理職と一般従業員の距離が近いため、日常的にハラスメントが発生してしまいがちです。
職場におけるハラスメントの主な種類としては、次の例が挙げられます。
(a) セクシュアルハラスメント(セクハラ)
職場における性的な言動により、労働者に対して不利益や不快感を与えること
(b) パワーハラスメント(パワハラ)
職場における優越的な関係を背景とした言動により、労働者の労働環境を害すること
(c) マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産・育児に関する言動により、女性労働者の就業環境を害すること
(d) パタニティハラスメント(パタハラ)
育児に関する言動により、男性労働者の就業環境を害すること
(e) ケアハラスメント(ケアハラ)
介護休業などの制度の利用に関する言動により、労働者の就業環境を害すること
(f) カスタマーハラスメント(カスハラ)
顧客が労働者(従業員など)に対して不当な内容・方法による要求を行い、その労働者の就業環境を害すること
上記のハラスメントについてはいずれも、法令によって事業主に防止措置を講ずることが義務付けられています(カスハラについては2026年10月から義務化)。中小企業においても、ハラスメント相談窓口の設置や対応フローの整備などを通じて、適切に防止対策を講じなければなりません。
個人情報や営業秘密の流出
顧客や取引先の個人情報を不正に外部へ流出させることは、個人情報保護法違反に該当します。
また、従業員が自社の営業秘密を不正に使用・開示することは、不正競争防止法違反に該当します。
個人情報や営業秘密の流出は、企業の信頼を大きく損なうコンプライアンス違反です。しかし中小企業においては、情報管理の方法が不適切である例が散見されます。漏えいのリスクを正しく理解したうえで、情報セキュリティの強化に取り組みましょう。
労働基準法違反|残業代の未払いなど
労働基準法では、事業主(使用者)が遵守すべき雇用のルールが定められています。事業主は、労働時間の制限、休憩・休日・年次有給休暇の付与、残業代の支払いなどのルールを遵守しなければなりません。
しかし中小企業においては、労働時間を適切に管理していない、残業代を正しく支払っていないなどの労働基準法違反に当たる行為がよく見られます。この場合、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、労働者から未払い残業代や損害賠償を請求されたりするおそれがあるので要注意です。
知的財産権の侵害|著作権・商標権など
他人の著作物を使用する際には、著作権者の許諾を得なければなりません。また、登録されている他社の商標(商品やサービスの名称・ロゴ・マークなど)を使用する際にも、商標権者の許諾を得るべき場合があります。
著作権や商標権などの知的財産権について正しい知識を持っていないと、気づかないうちに他人の知的財産権を侵害するおそれがあるので要注意です。
特に中小企業においては、知的財産権に関する教育や周知が十分に行われていないケースがよく見られます。権利者に無断でインターネット上のコンテンツをコピーして業務に使用するなど、知的財産権の侵害に当たる行為がしばしば行われています。
このような状態にあるとすれば、侵害の責任を問われるリスクがきわめて高いです。従業員研修などを通じて、知的財産権に関する正しい知識の周知と注意喚起を行いましょう。
不適切な会計処理
企業は、取引の内容を正確かつ適切な方法で会計上記録しなければなりません。しかし中小企業では、法人とオーナー経営者のお金が混同されているなど、不適切な会計処理がなされているケースがしばしば見られます。
オーナー経営者以外にも株主がいる場合は、その株主から不適切な会計処理の責任を追及されるおそれがあるので注意が必要です。また、オーナー経営者が100%株主であっても、税務署に不適切な会計処理を指摘されて追徴課税を受けるリスクがあります。
不適切な会計処理が判明した場合に、違反企業が受ける経済的なインパクトは甚大です。財務的な体力に乏しい中小企業は、一度の違反によって経営破綻に追い込まれることも十分考えられます。信頼できる税理士のサポートを受けるなどして、適切な会計処理を徹底しましょう。
会社の資金の横領
中小企業では、経営者や経理担当者などが一人で経理業務を担っているケースがよくあります。この場合、会社の資金管理に関する相互監視が働きません。その結果、現金の着服や不正な振込、会社のクレジットカードの不正利用などの横領が行われることがあります。
会社の資金を横領した人は業務上横領罪の責任を問われるほか、会社から損害賠償請求を受ける可能性があります。会社としても、多額の資金が横領されると、経営に対して大きな悪影響が生じてしまいます。
経営者や従業員による横領のリスクを防ぐためには、会社資金の管理について相互監視を行うことが大切です。一人だけに経理業務を任せず複数人で担当する、出金時には複数人の承認を必要とするなどの対策を講じましょう。
SNSアカウントの不適切な運営
近年では、SNSへの不適切な投稿が原因で、企業の評判が大きく失墜するリスクが高まっています。
例えば企業アカウントにおいて、顧客情報や未公表の情報、他社に対する誹謗中傷、差別的な表現、著作権侵害に当たる内容などの不適切な投稿をすると、企業の社会的信頼は大きく損なわれてしまいます。
企業アカウントでなくとも、不適切な投稿をした個人アカウントの管理者が自社の従業員であることが判明すると、自社のレピュテーションにも悪影響が及んでしまうことがあります。
こうした事態を防ぐため、企業はSNS利用に関するガイドラインを策定したうえで、従業員に対して周知・教育をすることが求められます。
企業アカウントの運営方法はもちろん、個人アカウントの利用に関しても一定のルールを設けておくべきです。業務で知り得た情報を公開しない、誹謗中傷を行わないなど、不適切な投稿を例示したうえで禁止するなどの対策を講じましょう。
中小企業が取り組むべきコンプライアンス強化策
中小企業がコンプライアンス強化に取り組むに当たり、具体的に講ずべき対策としては、次の例などが挙げられます。自社に合った内容・方法によるコンプライアンス強化策を実践してください。
① コンプライアンスに関する方針を明確化し、社内ルールを整備する
② 定期的にコンプライアンス研修を実施する
③ 内部通報制度を導入・整備する
④ コンプライアンス違反発生時の対応体制を整備する
コンプライアンスに関する方針を明確化し、社内ルールを整備する
コンプライアンスを定着させるためには、まず経営トップが基本方針を明確に示すことが重要です。コンプライアンスを徹底する旨を宣言し、社内報などを通じて周知しましょう。
そのうえで、就業規則やコンプライアンス規程などの社内規程により、業務の中で起こりやすいコンプライアンス違反を防止するための具体的なルールを定めましょう。ハラスメント防止、情報管理、経費精算、接待・贈答、SNS利用など、幅広い事項をカバーすることが求められます。
社内ルールの整備に当たっては、従業員が日々の業務の中で参照できるように、分かりやすく合理的なルール作りを心がけましょう。法改正や事業内容などの変化に応じて、定期的にルールを見直すことも大切です。
定期的にコンプライアンス研修を実施する
コンプライアンスを実現するためには、個々の従業員までその理解と意識を浸透させる必要があります。そのために、従業員向けのコンプライアンス研修を定期的に実施しましょう。
コンプライアンス研修の内容は、受講者の業務や立場などに応じて設計することが大切です。
ハラスメント防止・情報管理・労働基準法・SNS利用などの全従業員に共通するテーマに加えて、管理職向けにはマネジメントの要素を取り入れるなど、受講者に身に着けてほしい内容をカバーします。
コンプライアンス研修の実施頻度は、できれば3カ月~半年に1回以上、少なくとも1年に1回程度確保することが望ましいです。単発で終わらせるのではなく、定期的に研修を実施することにより、最新の法改正や事業環境の変化などにも対応できるようになります。
内部通報制度を導入・整備する
社内におけるコンプライアンス違反を早期に発見して対処するため、内部通報制度の導入を検討しましょう。
「内部通報制度」は、社内または社外に通報窓口を設けて、違法行為に関する従業員などの通報を受け付けるものです。一定の要件を満たす通報については、通報者は不利益な取扱いを受けないことが保障されます。
内部通報制度がきちんと機能していれば、従業員は安心して違法行為の通報ができるようになり、早期の発見・対処につながります。通報窓口を経営陣などから独立させたうえで、解雇などの不利益な取扱いを禁止する旨をルール化し、従業員に対して内部通報制度の周知を行いましょう。
コンプライアンス違反発生時の対応体制を整備する
コンプライアンス違反が発生した場合に備えて、対応体制を整備しておくことも重要です。
対応を担当する人員や組織、事実関係の調査方法、関係者に対する処分の基準、再発防止策の検討方法、外部に対する発信の要領などをあらかじめ定めておきましょう。
コンプライアンス違反への対処に当たっては、短期間で迅速かつ多角的な検討を行うことが必要不可欠です。社内の連携体制を整備するとともに、弁護士や税理士などの専門家とも平時から連携し、違反発覚時には速やかに相談できるようにしておくことをお勧めします。
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