【最決令和8年4月21日】
予定価格等の事前公表前に
その近似額等を教示した行為が
「公正を害すべき行為」に当たるとされた事例
- この記事のまとめ
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最高裁令和8年4月21日決定では、宮崎県日南市の副市長(当時)であったXが、同市の発注する公共工事の指名競争入札等に先立ち、秘密事項である予定価格に近似するおおむねの査定決定額や工法を漏らした事案が問題になりました。
最高裁は決定でXの上告を棄却しつつ、職権でXの行為は「公正を害すべき行為」に当たると判断しました。その理由として、秘密情報を伝えた相手方が入札談合の主導者であったことや、公表前の秘密情報を漏えいさせることで一部の事業者が有利な立場を得ることなどが示唆されています。
行政機関や建設業を営む事業者は、これまで以上にコンプライアンスを徹底し、入札談合に関与しない姿勢が求められます。
※この記事は、2026年5月22日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- ・官製談合防止法…入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律
- ・独占禁止法…私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
目次
事案の概要
宮崎県日南市の副市長(当時)であったXが、同市の発注する公共工事の指名競争入札等に先立ち、秘密事項である予定価格に近似するおおむねの査定決定額や工法を漏らした事案です。
Xは、副市長や入札に関する委員会の委員長として、日南市が実施する指名競争入札の職務に従事していました。
日南市では、入札の予定価格と工法につき、一般競争入札の場合はインターネット等により公告し、指名競争入札の場合は指名業者に通知する運用を行っていました。
これらの公告や通知が行われる前の段階では、入札の予定価格と工法は公表されていません。予定価格の算定基礎となる近似値の査定決定額や工法は、関係職員しか知り得ない情報として管理されていました。
ところが日南市においては、Aが会長を務めるB地区建設業協会による主導の下で、入札に関する談合が横行していました。
Xは談合の主導者であるAに対し、少なくとも2度にわたり、予定価格に近似するおおむねの査定決定額や工法を教示しました。
2度にわたる教示はいずれも「公正を害すべき行為」(1度目の教示は官製談合防止法8条違反、2度目の教示は官製談合防止法8条違反および公契約関係競売入札妨害罪)に当たるとして、Xは検察官に起訴されました。
これに対してXは、予定価格と工法が入札前に公表されるため、一部の業者がこれらの情報を公表前に知っても、入札の公正は害されないなどとして無罪を主張しました。
審理の結果、第一審では懲役2年・執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。Xは無罪を主張して控訴しましたが、控訴審は第一審判決を支持してXの控訴を棄却しました。
Xは控訴審判決を不服とし、引き続き無罪を主張して最高裁に上告しました。












