【2026年1月等施行】
石綿障害予防規則の改正とは?
2020年から続く改正の内容・履歴を
分かりやすく解説!

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汐留社会保険労務士法人社会保険労務士
労務相談対応、社会保険、労働保険の事務代行、給与計算代行、就業規則の作成代行、助成金申請代行などを取り扱う。 顧問先多数。職場で生じる様々な問題に関するセミナーや研修、コラム執筆を行っている。
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この記事のまとめ

石綿障害予防規則」(石綿則)とは、特に危険かつ有害性の強い化学物質である石綿アスベスト)の個別具体的な管理方法を定めた特別規則です。事業者には予防対策の措置が義務付けられています。

石綿則は2020年7月に改正され、事前調査・届出・除去工事等に関する事項が段階的に施行されています。
直近では2026年1月1日に施行され、工作物の解体・改修工事における事前調査の強化や対象範囲の拡大が実施されました。

この記事では「石綿障害予防規則」と「その改正」について、基本から分かりやすく解説します。

ヒー

ビルの解体工事などに関わる「石綿則」のルールが変わったと聞きました。石綿は判例なども出ていますが、事業者が気を付けるべきことはあるのでしょうか?

ムートン

石綿は長い潜伏期間を経て、重篤な症状を引き起こします。被害を防ぐために「石綿則」が定められており、近年も規制が強化されてきました。内容を見ていきましょう。

※この記事は、2026年3月5日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名等を次のように記載しています。

  • ・石綿則…石綿障害予防規則

石綿障害予防規則(石綿則)とは

石綿則の位置づけと目的

位置づけ

石綿障害予防規則石綿則)は、石綿(アスベスト)にばく露する労働者の労働災害・健康被害を防止するための特別規則です。もともとは特定化学物質障害予防規則(特化則)の一部でしたが、石綿による被害の深刻さと、解体工事等における特殊な管理が必要なことから、2005(平成17)年に独立した規則となり、対策が強化された経緯があります。

その後、対策に必要な措置(作業開始前の石綿含有の有無の事前調査など)の実施を確実なものとするため、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(2020年7月1日公布)により、石綿則が改正され、段階的施行が続いてきました。

石綿の規制に関する法律には環境や周辺住民保護のための「大気汚染防止法」もありますが、「石綿則」は、現場で働く作業員を守るための省令です。
現在は石綿の製造・使用が全面的に禁止されているため、石綿則は「過去に作られたものの処理」に関する作業が対象となります。業種としては建設業解体業製造業倉庫業など、石綿含有建材・設備、保温材等に関わる可能性のある多数の事業が対象になります。

目的

石綿則の主たる目的は、下記の2つです。

① 今後、石綿による被害を拡大させないこと
石綿の粉じんを吸い込むことによって、肺がんや中皮腫などの深刻な病気になることを未然に防ぐこと、これが石綿則の第一の目的です。

② 過去の石綿被害への対応と未来への備え
石綿被害特有の「長い潜伏期間(15〜50年)」に対応した管理を行うことが第二の目的です。
数十年後に病気になった際、「いつ、どこで吸ったのか」が分からないと、適切な労災補償を受けられません。

そのため、作業や事前調査、健康診断の記録を40年間の長期にわたり保存し、離職後の健康管理手帳制度によって、長いスパンで労働者の健康を管理します。

石綿ばく露作業のイメージ

石綿へのばく露とは、目に見えない細かい繊維状の鉱物を、呼吸によって肺に吸い込んでしまう事を言います。
石綿は一度舞い上がると空気中に長く漂い、それを吸い込むと肺の組織の中に長く滞留します。
石綿を吸い込んだ量には、中皮腫や肺がんなどの発病との間に相関関係が認められています。

ばく露の危険のある作業

粉じんを発生させる恐れのある『壊す・削る・切る』等の作業、および吹付け石綿の除去(天井、梁など)作業が該当します。

対象となる建材は3つにレベル分けされており、レベル1が最も危険度が高いとされます。

レベル1:発じん性(飛散性)が著しく高い
レベル2:発じん性(飛散性)が高い
レベル3:発じん性(飛散性)が比較的低い

解体作業を行う際には、これらのレベルに応じた対策を講じる必要があります。

作業後に生じる危険

舞い上がった粉が浮遊する空間で、それを吸い込み、ばく露します。
換気の悪い部屋では、過去に剥がれ落ちた石綿が空気中に漂い続けています。

周囲へ拡散する被害

作業着に付いた粉じんを、休憩室や自宅でバサバサとはたいて吸い込んでしまう、普通のほうきで掃き掃除をしてしまい、余計に粉じんを広げてしまう等により、被害が周囲に拡がってしまいます。

石綿則の主な内容

①事前調査の実施

建築物や工作物を解体・改修(リフォームや設備の撤去など)する際は、有資格者により石綿の有無を目視、設計図書、分析調査などにより調べ、労働基準監督署に報告する義務があります。報告は、電子申請により行えます。

②作業計画の作成と届出

石綿の除去等を行う際は、どのように安全に作業を進めるかという計画書を作成し、14日前までに労働基準監督署に届け出る必要があります。
一定規模以上の建築物や特定の工作物の解体・改修工事は、事前調査の結果等を電子システムで届け出る必要があります。

③隔離・立入禁止

吹付け石綿の除去作業を行うときは、当該作業場所をそれ以外の作業場所から隔離しなければなりません。 石綿含有の保温材等の解体作業を行うときは、当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示しなければなりません。
また、その他の石綿を使用した建築物等の解体等の作業においても、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示しなければなりません。

④ばく露防止措置

石綿粉じんの発散を抑えるために、湿潤化(散水、薬液噴霧)等、作業員がアスベストを吸い込まないための具体的な措置を講じることが定められています。

⑤呼吸用保護具等の使用・作業方法の規制

石綿ばく露作業に従事する者には、作業の危険度(レベル)に応じた適切な防じんマスク保護衣を労働者に使用させることが義務付けられています。

⑥労働者へ特別教育

石綿ばく露作業に従事させる場合には、石綿の有害性(中皮腫・肺がんなど)、石綿等の使用状況、石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置、保護具の使用方等、あらかじめ安全衛生教育を実施することが必要です。

⑦健康診断(石綿健康診断)と記録の長期保存

石綿の粉じんを発散する場所での作業に常時従事する労働者、および過去に常時従事したことがある在籍労働者、石綿の粉じんを発散する場所における業務(周辺業務)に常時従事するまたは常時従事したことのある労働者については、石綿健康診断(特殊健康診断)の実施が義務付けられています。

実施時期は入社時、および当該業務への配置替えの際です。その後は6カ月以内ごとに1回、定期的な石綿健康診断を受けることが必要です。
石綿健康診断の結果は、対象者が石綿業務に従事しなくなってから「40年間」保存する義務があり、定期健診にかかるものは労働基準監督署に届け出なければなりません。

石綿則の改正の履歴

日本ではこれから解体工事の件数が増加しピークを迎えるとされています。
それを踏まえ、2020年7月以降、石綿則は大幅な改正が行われ、管理の網がかなり細かくなっています。

2026(令和8)年1月1日の施行内容

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