不動産登記とは?
登記が必要な理由・手続き・費用・
登記簿の見方などを分かりやすく解説!

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東京八丁堀法律事務所弁護士
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【2024年4月施行】 不動産登記法の新旧対照表 (解説つき)
この記事のまとめ

不動産登記とは、不動産の状況と権利関係を、「登記簿」という公的な帳簿により明確にする制度です。

不動産登記は、その状況など一定の事項については登記申請をする法的義務が定められ、これを怠った場合には過料10万円の制裁が課されています(不登法164条)。
また、所有権などの権利関係については、不動産登記を経なければ、自分の権利を第三者に対して主張(対抗)することができず(民法177条)、予測外の損害を負うリスクがあります。

2021年4月の不動産登記法の改正により、相続登記と所有権者の住所等変更登記が義務付けられるなど、不動産登記に関するルールを正しく理解する重要性が高まっています。

本記事では、不動産登記の制度や、必要とされる理由・費用、登記簿の見方などについて解説を行います。

ヒー

不動産の登記ってほぼ全て司法書士さんにお願いしているので、詳しく知りません…

ムートン

どんなときに登記をする必要があるのか、登記事項証明書の見方などは知っておいて損はありません。確認していきましょう。

※この記事は、2023年12月25日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 不登法…不動産登記法

不動産登記とは

不動産登記とは、不動産の状況(所在地・大きさ・用途など)と権利関係(所有権・抵当権など)を、「登記簿」という公的な帳簿により明確にする制度です。

この「登記簿」は、国(法務局)の磁気ディスクにおいてデータとして管理されています。
また、「登記簿」には、一筆(区画)の土地、一個の建物ごとに記録が作成されており、これを「登記記録」といいます。

所定の請求手続を行えば、誰でも登記情報が記載された「登記事項証明書」や「登記簿謄本」、「登記簿抄本」等を取得することができます。

ヒー

登記情報は誰でも見られるのですか? 本人だけとかじゃなくて?

ムートン

地番や会社名を特定すれば、登記されている事項は誰でも見ることができます。

登記とは

登記」とは、特定の財産や事項について、その内容・権利関係等を社会的に公示する制度です。

誰がどのような権利を有しているのか分からない事項や権利関係について、外部からも迅速・正確に分かるようにしなければ、安心して取引をすることができません。

そこで、国が管理する帳簿(登記簿)に、その内容や権利関係等を登録して公開することで、取引の安全や円滑に資することを目的としています。

登記制度の対象となるものは不動産以外にもさまざまですが、例として以下のようなものがあります。

登記の例

(1) 不動産登記|不動産の現況と権利関係に関する登記
(2) 商業登記・法人登記|会社・法人の存在を明確にするために一定事項を記録して公示する登記
※会社(株式会社、合同会社、有限会社など)の登記を「商業登記」、法人(一般社団法人、医療法人など)の登記を「法人登記」といいます。
(3) 船舶登記|総トン数20トン以上の船舶の所有権・賃借権・抵当権に関する登記
(4) 債権譲渡登記|法人の行う債権譲渡についての登記
(5) 動産譲渡登記|法人が行う動産の譲渡についての登記
(6) 成年後見登記|民法の後見・保佐・補助などについて、後見人の権限内容や任意後見契約の内容などを記録して公示する登記

不動産とは

不動産」の定義は、民法と不動産登記法で異なります。

民法では、土地及びその定着物と定められています(民法86条1項)。

これに対して、不動産登記法では、土地又は建物を指すと定めており(不登法2条1号)、土地の「定着物」のうち「建物」のみが「不動産」であるとして、民法よりも狭く定義し、登記の対象としています。

本記事では、不動産登記法の定義を前提に、「不動産」とは、土地・建物を指すものとして解説します。

「建物」とは

建物」とは、「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」をいいます(不動産登記規則111条)。

例えば、建築中の建造物は、屋根や壁がない状態では登記の対象となりませんが、それらが完成して使用できる状態に至った場合には「建物」として登記が可能となります。

不動産登記法とは

不動産登記法とは、①不動産の表示と、②不動産に関する権利関係を公示するための登記制度について定めた法律です。

その目的は、「国民の権利の保全」を図り、「取引の安全と円滑に資すること」にあります(不登法1条)。

不動産登記法は、所有者が不明な土地の解消を目的として、2021年4月改正されています

この改正により、相続登記や所有権者の住所等変更登記が義務化されました。

相続登記の義務化(不登法76条の2)…2024年4月1日施行
住所等変更登記の義務化(不登法76の5)…2026年4月1日施行

ムートン

改正の詳しい内容については、以下の記事をご参照ください。

不動産登記の種類

不動産登記は、「土地登記」と「建物登記」の大きく2つに分類されます。

また、登記事項による分類として、「表示に関する登記」と「権利に関する登記」とに分けられます。

登記の名称・種類はさまざまありますが、例として以下のような種類があります。

不動産登記の名称・種類

設定登記・保存登記|権利を設定した場合、建物を新築した場合
変更登記|既存の登記事項を変更した場合
抹消登記 ・滅失登記|権利が消滅した場合、建物を取り壊した場合

不動産登記の記載事項と見方

不動産登記(登記記録)は、大きく以下4つの項目に分けて記載されています。

① 表題部|不動産の物理的状況
② 権利部(甲区)|所有権に関する事項
③ 権利部(乙区)|所有権以外の権利に関する事項
④ 共同担保目録|ある債権の担保として複数不動産に抵当権が設定される場合の担保事項

なお、①は全ての不動産登記に必ず記載されていますが、②③④は記載されていない場合もあります。

以下は、土地の登記事項証明書(全部事項証明書)のサンプルです。

法務省ウェブサイト「不動産登記のABC」より「登記事項証明書」の例

①表題部

表題部は登記記録の一番上部にあり、不動産の物的な状況が記載されています。

表題部の記載事項

土地登記:所在、地番、地目(用途)、地積、登記原因とその日付などが記録されます。
区分所有建物(マンションなど)の場合は、「敷地権の目的たる土地の表示」として敷地権の種類・割合なども記録します。

建物登記:所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積、取得原因と日付などを記録します。
区分所有建物の場合は、表題部が「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」の2つに分かれ、建物の名称などが記録されます。

※ 区分所有建物(マンションなど)の場合
マンションなどの「区分所有建物」の場合は、土地(敷地の利用権)と建物(専有部分)を分離して処分(売買等)することができません(「分離処分の禁止」、区分所有法22条)。

これに伴い、不動産登記も、土地・建物が一緒に記録されます。

表題部は、

  • 敷地・建物の全体(「一棟の建物の表示」と「敷地権の目的である土地の表示」)
  • 専有部分(「専有部分の建物の表示」と「敷地権の表示」)

の2つに分けて記載されます。

法務省ウェブサイト(区分建物の全部事項証明書の見本)

②権利部(甲区)

権利部」には、権利に関する登記が記録され、不動産の権利関係が示されます。

登記ができる権利は、所有権・抵当権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・賃借権・配偶者居住権・採石権と定められています(不登法3条)。

権利部の「甲区」には、「所有権」に関する事項のみが記載されます。
具体的には、所有者の氏名・住所、登記の目的、取得年月日、取得原因などが時系列に沿って記録されています。
共有不動産の場合は、共有者ごとに、その共有持分の割合(2分の1など)も記載されます。

これにより、いつ・誰が・どのような原因(売買、相続など)で所有権を取得したのかという所有権者の情報が分かるようになっています。

例として、所有権を取得した場合の所有権保存登記、その後に所有権が移転した場合の所有権移転登記、強制執行による差押えがなされた(所有権の制限がなされた)場合の差押登記などが、この「甲区」に記録されます。

相続登記、住所等変更登記の義務化

2021年4月の法改正により、相続登記と所有権者の住所等変更登記が義務化されましたが、これらは所有権に関する事項ですので、「甲区」に記載されます。
✅ 相続登記の義務化(不登法76条の2)…2024年4月1日施行
✅ 住所等変更登記の義務化(不登法76の5)…2026年4月1日施行

③権利部(乙区)

権利部の「乙区」には、所有権以外の権利(抵当権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・賃借権・配偶者居住権・採石権)の情報が記載されます。

具体的には、登記の目的(・原因・権利者〔氏名・住所〕)などが時系列に沿って記録されます。
これにより、いつ、どのような原因で、どんな権利が設定されているのかという情報が分かるようになっています。

例として、抵当権を設定した場合の抵当権設定登記、ローン完済により抵当権がなくなった場合の抵当権抹消登記などが、この「乙区」に記載されます。

実際上は、抵当権・根抵当権は通常登記がされていますが、それ以外の賃借権などは登記されていないケースが多くあります
また、乙区に該当する登記事項がないとき(記載される権利関係がないとき)は、「ただし、登記の乙区に記録されている事項はない」と記載されます。

④共同担保目録

一つの債権の担保として、複数の不動産に抵当権が設定される場合に、その紐づけの情報として「共同担保目録」が記載されます。

例として、家(土地・建物)を購入して住宅ローンを組む際、銀行を抵当権者として、土地・建物の両方を担保にする(抵当権を設定する)ケースが多くあります。

共同担保目録には、「担保の目的である権利の表示」として、抵当権が設定されている不動産の所在や家屋番号が記載されています。
また、「順位番号」は、抵当順位を指しており、この番号が若い抵当権者が優先的に当該不動産の売却代金から金銭を回収できます。

登記事項証明書・登記簿謄本・登記簿抄本とは

登記情報を取得しようとする場合、「登記事項証明書」・「登記簿謄本」・「登記簿抄本」といった似た用語がありますが、その違いは以下のとおりです。

登記事項証明書|コンピュータでデータ記録されている登記情報を、専門用紙に印刷して証明するもの
登記簿謄本|コンピュータでデータ記録されていない登記情報は「紙」の登記簿で管理されているところ、この紙の登記簿の全部を複写(コピー)して証明するもの
登記簿抄本|紙の登記簿のうち、一部だけを複写して証明するもの

以上のとおり、「登記事項証明書」と「登記簿謄本」は、登記情報がデータ管理されているのか、それとも紙で管理されているのかという違いがありますが、その証明内容は同じです。

登記事項証明書の種類・登記事項要約書との違い

登記事項証明書」には、①「全部事項証明書」、②「現在事項証明書」、③「一部事項証明書」、④「閉鎖事項証明書」の4種類があります。

① 全部事項証明書|登記時から現在までの所有権・抵当権等の記録が抹消されたものも含めて全て記載されたもの
② 現在事項証明書|現在効力がある登記内容のみが記載されているもの
③ 一部事項証明書|登記記録の一部のみが記載されたもの
※マンションのように区分所有者が多いと登記記録が100頁を超える場合もありますので、必要部分だけを記載したものとして用いられます。
④ 閉鎖事項証明書|合筆(2つの土地を1つの土地にすること)などにより閉鎖する登記簿の登記情報が記載されたもの

また、「登記事項証明書」と似たものとして、「登記事項要約書」があります。
「登記事項要約書」は、登記記録の概要(表示に関する事項、権利関係のうち現在効力を有している事項など)が記載されており、「登記事項証明書」より記載情報が少ない書面です。

また、「登記事項証明書」は書面の末尾に登記官の証明が付されていますが、「登記事項要約書」では、この登記官の証明が付されていませんので、証明書として用いることができません
その分、取得費用が「登記事項証明書」より安いため、不動産の概要だけ知りたい場合に用いられます。

不動産登記が必要な場面

不動産登記は、

表題部に係る事項について発生・変更・消滅が生じた場合
権利部に係る事項について発生・変更・消滅が生じた場合

に必要となります。

このうち、表題部に係る事項について発生・変更・消滅が生じた場合は、その変更が生じてから1カ月以内に申請する義務があり、怠った場合は10万円以内の過料が定められています(不登法164条)。

これに対して、権利部に係る事項について発生・変更・消滅が生じた場合は、2021年4月1日の改正不動産登記法により義務化された、相続登記住所等登記以外を除いて、権利関係の登記について法律上の申請義務はありません。

ムートン

もっとも、自身の権利義務を第三者に明らかにして守るために登記をしておくことが求められます。

以下では、①②のそれぞれについて、具体的な場面と登記の種類をご紹介します。

1 表示事項について発生・変更・消滅が生じた場合に必要な登記の例
建物表題登記|建物が完成した時
土地表題登記|未登記の土地が生じた場合
分筆登記|一筆(区画)の土地を2つ以上に分筆する場合
合筆登記|2つ以上の隣接土地を1つに合筆する場合
土地面積変更登記|増築して床面積が変更になった場合
地目変更登記|用途(「地目」)を住宅から事業用に変更する場合
建物滅失登記|建物を取り壊した時

2 権利関係について発生・変更・消滅が生じた場合に必要な登記の例
所有権保存登記|建物を新築した時
抵当権設定登記|住宅ローンの抵当権を設定した時
所有権移転登記|売買した時
登記名義人表示変更登記|登記名義人である所有者の住所・氏名などに変更が生じた場合…
相続登記|相続した時
所有権抹消登記|契約解除により所有権移転登記を元に戻す時
抵当権抹消登記|抵当権付きの住宅ローンを完済した時

不動産登記の対抗力とは

不動産登記の「対抗力」とは、登記をした権利については、第三者に対しても権利を主張(対抗)できるというものです(民法177条)。

ヒー

第三者に権利を主張できる、ってどういうことですか?

ムートン

例えば、自分が購入した不動産について、他の人から「この不動産は私が買ったものだ」と言われても、登記をしていれば、それが証拠となって所有権を主張できるということです。

不動産の権利関係については、2021年4月1日の改正不動産登記法により義務化された相続登記と所有権者の住所等登記の2つを除き、法律上の登記義務はありませんが、この「対抗力」を備えて自身の権利を守るために、権利関係の発生・変更・消滅があった場合は遅滞なく登記をしておくことが求められます。

民法
(不動産に関する物件の変動の対抗要件)
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(……)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

民法– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

必要な登記をしていない場合

ヒー

登記の手続きを怠った場合はどうなりますか?

表示の登記」(表題部登記)は法律上の義務ですので、登記を怠った場合は10万円以内の過料が定められています(不登法164条)。

これに対して、「権利に関する登記」(権利登記)は、これを怠ると、自身の権利を保存・対抗できず、第三者から侵害されてしまうリスクがあります。

例えば、不動産の売買成立後に、売主から買主への所有権移転登記を怠ってしまうと、以下のようなケースで自身の所有権が認められなくなるリスクがあります。

  • 売主が第三者に売却し、当該第三者に先に所有権移転登記をされてしまうケース(いわゆる「二重売買」)
  • 売主の債権者により当該不動産が差し押さえられ、強制競売されてしまうケース

不動産登記に必要な手続き・登記原因・費用など

不動産登記に必要な手続きの流れ、登記原因ごとの必要資料、費用の概要は以下のとおりです。

① 登記原因の発生
不動産登記の前提として、不動産に関する権利の移転などが発生します。

例:売買契約の成立、相続の発生(遺産分割協議の実施)、建物の完成等

② 登記原因に基づく書面の作成・収集
上記の権利移転に関する書面を作成・収集します。

例:売買契約の場合…売買契約書の作成
  相続の場合…遺産分割協議書の作成
  建物の完成の場合…建築確認済証等の取得

③ 登記申請書の作成・添付書類の収集
②で作成・収集した書面のほか、登記申請書委任状など、登記申請に必要な書面を準備します。

④ 登録免許税の納付
登記原因に応じて、登録免許税の有無・金額が変わります。
例えば、法律で義務付けられている「表題部」の登記だけであれば登録免許税はかかりませんが、所有権保存登記や相続登記は「不動産の価額(固定資産税評価証明書の課税評価額)×4/1000」、売買による所有権移転登記は「不動産の価額×20/1000」などと定められています。

⑤登記申請書・添付書類の提出
準備した登記申請書・添付書類を提出します。不動産を管轄する法務局の窓口での提出のほか、オンライン申請や郵送での提出もできます。

⑥ 申請された登記の審査
登記申請書に基づき登記の審査が行われます。審査の結果、申請内容に不備がある場合には、登記所から連絡があります。

⑦ 登記の完了
登記が完了すると、登記完了証が交付されます。
申請された登記により新たに権利を取得した者(例えば、不動産の売買による所有権の移転の登記における買主等)には、「登記識別情報」が通知されます。

登記識別情報とは

登記識別情報とは、12桁の英数字の羅列で、不動産登記が完了した際に登記名義人に対して「登記識別情報通知」が交付されます。
これは、かつての「権利証」に相当するもので、これを持っていることが当該不動産の登記名義人本人であることを事実上証明する資料とされています。
したがって、他人には教えてはならず、厳格な管理が必要となります。

ムートン

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