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特許権の侵害とは? 侵害の要件・判断手順・ 対抗手段などを分かりやすく解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2022/05/26)
この記事のまとめ

特許権の侵害とは、特許権の登録がなされている発明(特許発明)を、特許権者に無断で業として実施(使用など)することを意味します。

特許権侵害には「直接侵害(文言侵害)」「均等侵害」「間接侵害」の3種類があり、いずれかに該当すると差止請求・損害賠償請求・刑事罰の対象となります。特許権侵害を巡る紛争に発展した場合、示談交渉・ADR・民事調停・訴訟などの手続を通じて、できる限り迅速な解決を図りましょう。

今回は特許権の侵害について、侵害の要件・判断手順・対抗手段などを解説します。

特許権侵害の被害を受けていたことが分かったら、どうしたらいいんでしょう?
ヒツジ
ムートン先生
まずはこれ以上被害を拡大させないため、差止請求を行う必要がありますね。

特許権の侵害とは

特許権の侵害とは、特許権の登録がなされている発明(特許発明)を、特許権者に無断で業として実施(使用など)することを意味します。

特許権侵害の要件

特許権侵害の要件は、以下の3点に細分化されます。

✅  「実施」行為に該当すること
✅  実施が「業として」行われたこと
✅  実施された発明が「特許発明の技術的範囲」に属すること

各要件について詳しく見てみましょう。

「実施」とは

「実施」とは、発明について以下のいずれかの行為をすることを意味します(特許法2条3項)。

✅  物(例:機械や化学物質、薬剤など)の発明の実施
→その物に係る以下の行為
・生産
・使用
・譲渡、貸渡し
・輸出
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)

✅  方法(例:自動運転の方法、測定方法、修理方法など)の発明の実施
→その方法を使用する行為

✅  物を生産する方法(例:スマートフォンの製造方法、薬の製造方法など)の発明の実施
→その方法を使用する行為、又はその方法により生産した物に係る以下の行為
・使用
・譲渡、貸渡し
・輸出
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)

「業として」とは

「業として」とは、実施行為が個人的・家庭的なものでないことを意味します。特許権は発明の産業利用を保護するために認められているため、個人的・家庭的な実施を除外する趣旨で「業として」の要件が設けられています。

反復継続性が認められる必要はなく、単発の実施行為であっても事業上なされた場合には、発明を「業として」実施したと判断されます。

「特許発明の技術的範囲」とは

「特許発明の技術的範囲」とは、特許権者の独占的な実施が認められる発明の範囲を意味します。特許権者に無断で実施された発明が、特許発明の技術的範囲に属する場合に、初めて特許権侵害が成立します。

特許発明の技術的範囲は、出願時の願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定められます(特許法70条1項)。また、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈する際には、願書に添付した明細書の記載及び図面が考慮されます(同条2項)。

特許発明の技術的範囲に関する解釈は、人によって結論が分かれ得るため、特許権侵害訴訟において大きな争点になりやすいポイントです。

特許権侵害の要件まとめ

以下の3つの要件を全て満たした場合、特許権の侵害となります。

✅  「実施」行為に該当すること
✅  実施が「業として(=個人的・家庭的な目的以外で)」行われたこと
✅  実施された発明が「特許発明の技術的範囲」に属すること

特許権侵害は3種類に分類される

特許権侵害は、「直接侵害(文言侵害)」「均等侵害」「間接侵害」の3種類に分類されます。

直接侵害(文言侵害)

「直接侵害(文言侵害)」は、無断で業として実施された発明が、特許発明として登録されている技術的範囲の構成要件をすべて満たしている(=同じである)場合に成立します。反対に、特許発明の技術的範囲の構成要件を一つでも満たしていない場合には、文言侵害は成立しません。

ムートン先生
具体的には、自社で持つ特許権の技術と全く同じ技術を用いて、他社が模倣品を製造していた場合などに、直接侵害に該当します。

直接侵害は、特許権侵害の最も原則的な形態と言えます。

均等侵害

「均等侵害」は、厳密には特許発明の技術的範囲の構成要件を満たしていないものの、実質的には特許発明と同一の発明を実施していると評価できる場合に成立します。

特許発明の内容をほんの少し変更しただけで、特許権侵害の責任を免れてしまう事態を防ぐため、最高裁判例によって均等侵害が認められています。

最高裁平成10年2月24日判決では、均等侵害の成立要件として、以下の5点を挙げています。

均等侵害成立の5つの要件

①特許発明と侵害が疑われる発明の相違点が表面的な部分のみであり、本質的部分は同じであること

②相違点を侵害が疑われる発明の仕組みに置換しても、特許発明の目的を達成でき、同一の作用効果があること

③特許発明の属する技術分野において通常の知識を有する者(以下、当業者)であれば、侵害が疑われる発明の製造時点において、置換を容易に思いつくことができたこと

④侵害が疑われる発明が、特許発明出願時における公知技術と同一でなく、かつ当該出願時において当業者が公知技術から容易に考えつくことができないものであること

⑤侵害が疑われる発明が、特許発明に係る特許請求の範囲から意識的に除外されたものではないこと

間接侵害

「直接侵害(文言侵害)」にて解説したとおり、特許権の侵害が成立するためには、特許発明として認められた技術的範囲の構成要件を“全て”満たす必要があります。

しかし、特許発明の技術的範囲の構成要件をすべて満たさないとしても、特許権侵害を誘発する可能性が高いと思われる行為(=間接侵害)については、特許権によって保護すべき場合があります。

そこで特許法101条では、以下の行為を業としてすることを間接侵害として、特許権侵害に該当すると定めています。

✅  物の発明の間接侵害
(a)その物の生産のみに用いる物に係る以下の行為
・生産
・譲渡、貸渡し
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)

(b)その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であって、特許発明による課題の解決に不可欠なものに係る以下の行為
・生産
・譲渡、貸渡し
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)
※特許発明であること、及びその物が特許発明の実施に用いられることを知っていた場合に限る

(c)その物を以下の目的のために所持する行為
・譲渡、貸渡し
・輸出

✅  方法の発明の間接侵害
(a)その方法の使用にのみ用いる物に係る以下の行為
・生産
・譲渡、貸渡し
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)

(b)その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であって、特許発明による課題の解決に不可欠なものに係る以下の行為
・生産
・譲渡、貸渡し
・輸入
・譲渡又は貸渡しの申出(そのための展示を含む)
※特許発明であること、及びその物が特許発明の実施に用いられることを知っていた場合に限る

✅  物を生産する方法の発明の間接侵害
→その方法により生産した物を以下の目的のために所持する行為
・譲渡、貸渡し
・輸出

頭がこんがらがってきました…!
ヒツジ
ムートン先生
特許権侵害の種類については、以下のとおり覚えておきましょう!
特許権侵害の種類まとめ

①直接侵害(文言侵害)
特許権者に無断で、特許発明として登録されている技術をそのまま実施すること

②均等侵害
多少の違いはあるものの、実質的には特許発明と同一の発明を無断で実施すること

③間接侵害
直接侵害はしていないが、直接侵害を誘発する可能性が高いと思われる行為を無断で実施すること

特許権侵害に当たる行為の具体例

直接侵害・均等侵害・間接侵害のいずれかに該当すれば、特許権侵害が成立します。特許権侵害に当たる行為の例は、以下のとおりです。

(直接侵害の例)
✅  特許権の対象となっている機械の仕組みを、特許権者に無断で自社製品に組み込んで販売した。
✅  特許権の対象となっている通信方法を、特許権者に無断で模倣し、顧客向けにサービス提供した。
✅  特許権の対象となっている食品の生産方法を、特許権者に無断で用いて食品を生産・販売した。

(均等侵害の例)
✅  特許権の対象となっている機械の仕組みのうち、些末な部分だけをアレンジしたうえで、特許権者に無断で自社製品に組み込んで販売した。
✅  特許権の対象となっている通信方法のうち、特許権者に無断で些末なアレンジを除いてほとんど模倣し、顧客向けにサービス提供した。
✅  特許権の対象となっている食品の生産方法のうち、些末な部分だけをアレンジしたうえで、特許権者に無断で用いて食品を生産・販売した。

(間接侵害の例)
✅  特許権の対象となっている機械の仕組みを機能させるための専用部品を、特許権者に無断で生産・販売した。
✅  特許権の対象となっている通信方法を実用化するために不可欠な部品を、特許権者に無断で生産・販売した。
✅  特許権の対象となっている方法により生産した食品を、輸出目的で所持した。

特許権侵害の有無を判断する手順

他社から特許権侵害のクレームを受けた場合、以下の手順で特許権侵害の有無を判断しましょう。

①特許公報を入手・確認する

まずは、問題となっている特許発明について、特許発明の技術的範囲を確認する必要があります。

特許発明の技術的範囲は、出願時の願書等の記載によって確定されます。そのため、まずは出願情報が記載されている特許公報を取り寄せて、問題となっている特許発明の出願内容を確認することが必要です。

②特許発明の技術的範囲を確定する

特許公報を入手したら、願書に記載された請求項を参照して、特許発明の技術的範囲を確定します(特許法70条1項)。その際、願書に添付された明細書の記載や図面も、請求項に記載された用語の意義を解釈するために参照します(同条2項)。

特許発明の技術的範囲の解釈・確定には、専門的・技術的な検討が必要となるため、弁護士や弁理士のサポートを受けることも効果的です。

③直接侵害・均等侵害・間接侵害の成否を検討する

分析を経て確定した特許発明の技術的範囲を踏まえて、特許権侵害が成立するかどうかを検討します。

相手方の主張が直接侵害・均等侵害・間接侵害のどれに当たるかを正しく把握したうえで、特許法や最高裁判例の要件に沿って、各侵害の成否を検討・判断することが大切です。

特許権侵害への対抗手段

自社の特許権を他社に侵害された場合、以下のいずれかの手段によって対抗することが考えられます。なお、複数の対抗手段を併用することも可能です。

✅  差止請求
✅  損害賠償請求
✅  刑事告訴

差止請求

特許権者は、自己の特許権を侵害する者・侵害するおそれがある者に対して、侵害の停止・予防を請求でき、これを差止請求と言います(特許法100条1項)。迅速に差止請求を行うことで、自社の特許製品のシェアや売上に対する悪影響を最小限に食い止められます。

なお、訴訟の結論を待っていては自社の損害が拡大してしまうため、民事保全法に基づく仮処分を申し立て、先に暫定的な差止めを求めるのが一般的です。

損害賠償請求

特許権侵害によって売上減少などの損害を被った場合、特許権者は侵害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求できます(民法709条)。

なお、通常の不法行為の場合、請求者の側が発生した損害額を立証しなければならないのが原則です。ただし特許権侵害の場合には、損害額の推定規定が設けられており、特許権者の立証責任が緩和されています(特許法102条)。

刑事告訴

特許権侵害は犯罪に該当するため、被害者である特許権者は、警察や検察に対して刑事告訴を行うことができます(刑事訴訟法230条)。刑事告訴を受けた捜査機関は、特許権侵害の有無について捜査を行ったうえで、侵害者を逮捕・起訴するかどうかを判断します。

特許権侵害について設定されている法定刑は、以下のとおりです。

✅  直接侵害・均等侵害の法定刑
→10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又は併科(特許法196条)

✅  間接侵害の法定刑
→5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科(特許法196条の2)

※法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、法人の業務に関して特許権侵害を犯した場合、法人にも3億円以下の罰金が科されます(特許法201条1項1号)。

特許権侵害に関する紛争の解決手続

他社との間で特許権侵害に関する紛争が発生した場合、以下の手続を通じて解決を図りましょう。

①示談交渉

当事者間で示談交渉を行い、損害賠償やライセンス料などについて合意することができれば、迅速な紛争解決を実現できます。

相手方の主張と自社の主張を比較したうえで、必要に応じて譲歩を行い、示談交渉の早期妥結を目指しましょう。

②裁判外紛争解決手続(ADR)

当事者間での示談交渉がまとまらない場合は、「裁判外紛争解決手続(ADR)」を利用することも考えられます。

裁判外紛争解決手続とは、裁判所以外の第三者機関の仲介又は判断によって、紛争解決を図る手続です。特許権侵害に関しては、日本知的財産仲裁センターの調停や仲裁を利用できます。

裁判外紛争解決手続のメリットは、裁判手続よりも柔軟な方式によりつつ、公正な紛争解決を図ることができる点です。ただし、裁判外紛争解決手続を利用するには、相手方の同意が必要となります。

③民事調停

特許紛争を話し合いで解決するには、裁判所に民事調停を申し立てることも考えられます。民事調停では、調停委員が仲介者として当事者間の調整を行い、紛争解決を目指します。

裁判官が作成した調停案に当事者双方が同意した場合、調停調書に紛争解決の内容が記載されます。その後、調停調書に従って和解金のやり取りなどが行われます。

民事調停のメリットは、客観的な仲介者の下で冷静な話し合いの場を設けることができる点です。裁判外紛争解決手続とは異なり、民事調停は相手方の同意がなくても開始できます。

ただし、最終的に調停を成立させるためには、相手方の同意が必要になります。もし調停が不成立となった場合、時間を空費することになってしまうので注意しましょう。

④訴訟

特許権侵害について、当事者双方の主張が激しく対立している場合には、訴訟で決着をつけるべきでしょう。

特許権侵害訴訟は、裁判所の公開法廷で行われます。当事者双方が主張・立証を尽くし、その内容を踏まえて、裁判所が特許権侵害の有無を判断します。

裁判所が心証を固めた段階で審理を終結させ、判決を言い渡します。確定した判決の内容は当事者双方を拘束し、後で紛争を蒸し返すことは認められません。

特許権侵害訴訟に発展する場合には、裁判実務に精通した弁護士や、特許実務に精通した弁理士のサポートを受けることをお勧めいたします。

この記事のまとめ

特許権の侵害の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

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