エイジハラスメントとは?
具体例・リスク・予防策・
発生時の対応などを分かりやすく解説!

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- この記事のまとめ
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「エイジハラスメント」とは、年齢を理由として不当な取り扱いや嫌がらせをすることをいいます。例えば、高齢の従業員に対して「時代遅れだ」などと嘲笑したり、若い従業員に対して「体力があるんだから」と過剰な残業を強いたりすることはエイジハラスメントに当たる可能性があります。
職場におけるエイジハラスメントを放置すると、世代間のコミュニケーションが減少し、技術やノウハウの継承がうまくいかなくなったり、情報伝達の齟齬が発生したりするおそれがあります。また、被害者がメンタル不調を来して休職や離職に追い込まれたり、企業が被害者から損害賠償を請求されたりすることもあり得るので要注意です。
このような事態を防ぐため、エイジハラスメントの予防策を適切に講じたうえで、万が一エイジハラスメントが発生したときは速やかに収拾へ向けた対応を行いましょう。
この記事ではエイジハラスメントについて、具体例・リスク・予防策・発生時の対応などを解説します。
※この記事は、2026年5月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
・労働施策総合推進法…労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
目次
エイジハラスメントとは
「エイジハラスメント」とは、年齢を理由として不当な取り扱いや嫌がらせをすることをいいます。さまざまなハラスメントが取り沙汰されるようになった近年、新たに提唱され始めたハラスメントの一つです。
特に多様な年齢層の従業員が混在する職場では、エイジハラスメントが問題になるリスクがあります。企業としては、エイジハラスメントの原因や問題点を正しく理解したうえで、予防策を適切に講じることが求められます。
エイジハラスメントの具体例・事例|「おじさん」はNG?
エイジハラスメントに当たる言動としては、例えば次のようなものが挙げられます。
- エイジハラスメントの例
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・「もう若くないからこの仕事は無理だ」など、年齢だけを理由に業務から外す。
・高齢の従業員に対して「頭が固い」「仕事の覚えが悪い」などと侮辱する。
・若手の従業員に対して「経験が足りないから」などの理由で発言機会を奪う。
・「その年で転職は無理」「もうキャリアは終わり」など、将来を否定するような発言をする。
・昇進させるかどうかを、能力を度外視して年齢だけで判断する。
・定年が近いことを理由に、本人の意思に反して退職を強要する。
・年齢を理由に、教育や研修を受ける機会を与えない。
・若い従業員の意見を尊重する一方で、高齢の従業員の意見を軽視する。
・「まだ子どもじゃん」「おじさんはこれだから……」などと、年齢を揶揄する発言を繰り返す。
など
エイジハラスメントが発生する理由・原因
エイジハラスメントの主な原因としては、年齢と能力を短絡的に結び付ける固定観念が挙げられます。
例えば「若い人は経験不足だから物の見方が浅い」「年配の人は変化に弱く吸収が遅い」といった考え方は、全体的な傾向としては妥当かもしれませんが、すべての従業員に当てはまるわけではありません。若くても思慮深く視野が広い人はいますし、年配でも新しい知識をどんどん吸収する人はいます。
年齢と能力を短絡的に結び付ける考え方を持っていると、個々の従業員の資質に着目する視点が欠落しがちです。その結果として、異なる世代の従業員の間で分断が生じ、年齢を理由とする差別や不当な取り扱いといったエイジハラスメントが発生しやすくなってしまいます。
エイジハラスメントを放置した場合のリスク
職場において生じているエイジハラスメントを放置すると、企業は次のリスクなどを負ってしまいます。
① 世代間のコミュニケーションが減少する
② 被害者のメンタル不調などにより、休職や離職につながり得る
③ 損害賠償責任を負う|安全配慮義務違反・使用者責任
世代間のコミュニケーションが減少する
エイジハラスメントを放置すると、年齢を理由とした偏見や遠慮が職場全体に広がり、異なる世代の従業員の間で自然なコミュニケーションが減少します。例えば、若手の従業員は「意見を伝えても否定される」と感じて発言を控えるようになり、年長の従業員は「若手と話しても理解してもらえない」と感じて関与を避けるようになってしまいます。
このような傾向が進むと、若手と年長者が相互不信の状態となり、業務に関する情報の共有やノウハウの継承が適切に行われなくなります。その結果、企業全体の生産性や将来的なポテンシャルが下がり、業績の悪化につながりかねません。
被害者のメンタル不調などにより、休職や離職につながり得る
年齢を理由とした侮辱や排除を受けた従業員は、職場において強いストレスや孤立感を抱き、メンタルヘルス不調に陥るおそれがあります。
「年齢のせいで評価されない」という経験は自己肯定感を大きく損ない、業務意欲の低下にも直結します。メンタルヘルス不調と相まって、エイジハラスメントの被害者である従業員が休職や離職に追い込まれてしまうケースも散見されます。
特に、ハラスメントに関する相談窓口が十分に機能していない職場では、被害者に対するフォローを適切に行うことができないため休職や離職につながりやすく、人材流出や組織力の低下を招くリスクが高いと考えられます。
損害賠償責任を負う|安全配慮義務違反・使用者責任
職場においてエイジハラスメントが発生した場合、企業はその状況を解決するために適切な措置を講じなければなりません。
企業としてとるべき対応を怠った場合は、安全配慮義務違反(労働契約法5条)や使用者責任(民法715条1項)に基づき、被害者に対して損害賠償責任を負うことがあるので注意が必要です。
被害者である従業員から損害賠償を請求されると、企業はその対応に追われてしまいます。和解交渉や訴訟などの対応には労力とコストがかかりますし、際亜州的には数百万円以上の損害賠償の支払いを余儀なくされることもあります。
特に中小規模の企業にとっては、従業員とのトラブルに伴う人的・経済的なコストは大きな痛手となってしまうでしょう。
エイジハラスメントを予防するために企業がとるべき対策
企業としては、エイジハラスメントをできる限り未然に防ぐ取り組みを行うべきです。具体的には、次の予防策などを講じましょう。
① 年齢の異なる従業員の相互交流の促進
② エイジハラスメント防止の方針の明確化・周知啓発
③ エイジハラスメントに関する相談・対応体制の整備
年齢の異なる従業員の相互交流の促進
エイジハラスメントを予防するためには、世代が異なる従業員の相互理解を深めることが効果的です。コミュニケーションを通じて互いを理解し合うことが、年齢に関する固定観念の緩和や解消につながります。
例えば、年齢に差がある従業員が日常的に交流できるよう、部署横断プロジェクトやメンター制度、ワークショップなどを導入することが考えられます。また、業務上の役割分担も年齢ではなく能力や経験を基準とし、世代の異なる従業員が協力し合う状況を作るのがよいでしょう。
エイジハラスメント防止の方針の明確化・周知啓発
企業としてエイジハラスメントを容認しない姿勢を明確に示すことも重要です。
例えば、就業規則やハラスメント防止規程などの社内規程において、年齢を理由とした差別的言動や不利益な取り扱いを禁止する旨を明記し、従業員に対して周知しましょう。
また、従業員研修や社内広報などを継続的に行うことで、エイジハラスメントの問題点について従業員の理解を深めることができます。
エイジハラスメントに関する相談・対応体制の整備
エイジハラスメントが疑われる事案を早期に把握し、迅速かつ的確に対応するためには、相談窓口や対応体制の整備が必要不可欠です。
相談窓口を設置するに当たっては、従業員が安心して相談できる環境を整備することが大切になります。
具体的には、相談窓口の担当者に対して被害者ケアの観点から研修を行うことや、匿名での相談を受け付けることなどが考えられます。相談を理由に不利益な取り扱いをしないことも徹底し、その旨を従業員に対して十分に周知しましょう。
また、実際にエイジハラスメントが発生した場合に備えて、事実確認の手順や被害者・加害者への対応、再発防止策などの対応フローを定めておきましょう。
エイジハラスメントが発生した場合に企業がとるべき対応
もし職場でエイジハラスメントが発生したら、状況に応じて次の対応を的確に行ってください。
① 事実関係の確認|当事者や第三者からの事情聴取など
② 被害者への配慮
③ 加害者に対する処分
④ 紛争解決援助制度の利用
⑤ 再発防止策の検討・実践
事実関係の確認|当事者や第三者からの事情聴取など
エイジハラスメントが疑われる事案を把握したら、まずは事実関係の確認を行う必要があります。
事実関係の確認に当たっては、関係者に対する事情聴取を丁寧に行うことが大切です。被害者や加害者とされる人に加え、その周囲の上司や同僚などからも事情を聞き、公正かつ中立的な視点で何が正しいのかを判断しましょう。
関係者に対する事情聴取に加えて、エイジハラスメントに関する客観的な証拠もできる限り収集します。例えばチャットログや業務メールなどには、エイジハラスメントに関するやり取りが記録されていることがあるので、慎重に調べましょう。
被害者への配慮
エイジハラスメントの被害者は、精神的に傷ついていて、休職や離職のリスクが高い状態にあると考えられます。企業としては、被害者に対する配慮を十分に行い、精神的な負担の軽減に努めましょう。
特に優先度の高い対応としては、被害者を加害者から引き離すことが挙げられます。配置転換や在宅勤務への切り替えなどにより、被害者が加害者と接触せずに済む環境を速やかに整えましょう。
被害者のメンタルヘルス不調が深刻である場合は、産業医やカウンセラーとの連携も重要になります。医学的・心理学的アプローチによって被害者のケアを行い、安心して就労できる環境を整えましょう。
被害者が休職の希望を伝えてきたら、無理をさせないことが大切です。被害者の意思を尊重しつつ、休職を認めたうえで復職に向けたサポートを丁寧に行ってください。
加害者に対する処分
エイジハラスメントが実際に行われたことが分かったら、加害者に対する処分を検討しましょう。
加害者の言動がそれほど深刻なものでない場合は、注意や指導にとどめることも考えられます。
悪質な場合は懲戒処分を検討すべきですが、重すぎる懲戒処分は無効となるおそれがあるので注意が必要です(労働契約法15条)。戒告などの軽い懲戒処分から段階的に行うことも検討しましょう。
紛争解決援助制度の利用
被害者である従業員から損害賠償請求を受けた場合は、まず和解交渉によって解決を図りますが、交渉がまとまらないケースもあります。その場合は、法令に基づく紛争解決援助制度を利用することが選択肢の一つです。
例えば、エイジハラスメントがパワーハラスメント(=職場における優越的な地位を背景として行われる不当な言動)に当たるときは、労働施策総合推進法に基づく紛争解決援助の対象となります。都道府県労働局の職員から解決に向けた助言を受けることや、調停委員に解決案を作成してもらうことができます。
最終的には労働審判や訴訟といった裁判手続きで解決を図ることになりますが、その前に早期かつ穏便に解決したいときは、エイジハラスメントの内容に応じた紛争解決援助制度の利用を検討してください。
再発防止策の検討・実践
エイジハラスメントが再び起きないように、経験した事案の教訓を活かした再発防止策を講じることも大切です。具体的には、次のような対策を実践しましょう。
・エイジハラスメントが発生した原因の検証、分析
・年齢を理由とする不当な差別や取り扱いを認めない旨の明確化、周知
・異なる世代間の相互理解を促す取り組みの強化
など
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