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基礎知識

会社で脱ハンコ・ハンコレスを 実現するために必要なこと

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2021/03/03)
この記事のまとめ

この記事では、会社で脱ハンコ・ハンコレスを実現するために必要なこと、というテーマについて解説します。

「脱ハンコ・ハンコレス」を実現することで、①業務効率化、②働き方改革の推進、 ③ガバナンス・コンプライアンス強化、④コスト削減、 といった様々なメリットを生み出すことができます。

そこで、「脱ハンコ・ハンコレス」のメリットの詳細や実現に向けた検討課題についてみていきます。

新型コロナウイルスの流行から、テレワーク・リモートワークを導入する企業が増えた中で、押印のためだけに出社する「ハンコ出社」が話題になりましたね。
ヒツジ
ムートン先生
そうですね。外出自粛が要請される中で、日本企業には、 本当に「ハンコ出社」が必要なのかを検討し、そのような状況を改善していくことが求められています。

脱ハンコ・ハンコレスのメリット

最近は、企業がITツールの利用を推進しており、法務業務においてもリーガルテックサービスの利用が広がってきています。

リーガルテックとしては、現在、電子契約、契約書のAI自動レビューや電子法務書籍といったサービスが提供されていますが、脱ハンコ・ハンコレスとの関係では、電子契約が特に注目されています。

ここでは、コロナ禍で急速にニーズが拡大している「脱ハンコ・ハンコレス」のメリット、について解説していきます。

「脱ハンコ・ハンコレス」のメリット

1 業務効率化
2 働き方改革の推進
3 ガバナンス・コンプライアンス強化
4 コスト削減

業務効率化

「ハンコ出社」など押印作業の問題点の一つは、業務の効率化を妨げることにあります。

文書にハンコを押すためには、最低限、以下の押印条件を満たす必要があります。

押印条件
① 押印する対象の文書 が同じ時間・場所に揃っていること。
② ハンコ(印章)
③ 押印者

また、企業の規模や稟議体制によっては、押印前の役職者への根回し・調整や、押印記録のための台帳記入・その回覧待ち、 押印後の書類管理など、押印者のみならず多くの関係者の時間を拘束してしまいます。

押印自体をそもそもなくし、また、文書が電子化できたとするならば、押印のために使っていた時間を、本来取り組むべき業務やプロジェクトに使うことができ、 会社全体として業務効率化、生産性の向上につながることが期待できます

働き方改革の推進

「脱ハンコ・ハンコレス」は、コロナ禍でさらに注目されている「働き方改革」を大きく前進させます。

上で述べた押印条件には時間だけでなく場所の制約も含まれており、押印する場合には、必ず押印対象の文書、ハンコ(印章)と同じ場所に押印者がいる必要があります。

しかし、「脱ハンコ・ハンコレス」を実現すると、押印のために出社する必要がなくなり、業務場所の制約がなくなります。
また、電子契約を導入すれば、業務場所を問わず文書を管理することが可能となり、テレワークの推進やサテライトオフィスの利用といった働き方改革につなげるをことが期待できます。

ガバナンス・コンプライアンス強化

脱ハンコ・ハンコレス」を実現することは、紙文書の削減に直結します。従来、紙で締結していた契約書を電子化したり、 紙で行っていた稟議申請を電子ワークフローに変更することで、書面の作成・管理が必要なくなるためです。

そもそも、書面の作成・管理は以下のようなリスクをはらんでいます

書面管理のリスク

① 内容の改ざん可能性
② 書面の紛失

① 内容の改ざん可能性
書面で文書を作成した場合、たとえその編集を行ったとしても、書面上には編集者と紐づいた編集の証拠が残りません。

他方、電子的に作成した文書であれば、編集者と紐づいた編集の証拠を残しておくことができ、また、当該文書へのアクセス制限も行うことができるため、内容の改ざんを防止することができます。

② 書面の紛失
書面という「モノ」(有体物)を管理している以上、それが紛失してしまう可能性は存在します。

他方、それを電子的に保管しておけば、「モノ」の管理と比較して紛失のリスクは軽減されるでしょう。

特に契約書は「取引のルールブック」であるため、取引先との関係上厳重な管理を行う必要があります。

契約書管理の重要性とその方法については、以下の記事で解説しています。

「脱ハンコ・ハンコレス」の実現により書面の作成・管理が不要になることで、上記のリスクが軽減され、会社としての ガバナンス・コンプライアンスの強化につながるといえます。

コスト削減

「脱ハンコ・ハンコレス」やペーパーレス化を進めることで、全社的なコスト削減にもつながります。
具体的には以下のようなコストを削減できるでしょう。

印刷費と印刷に要する人件費

ハンコ(印章)の維持費

印紙代

郵送費と郵送に要する人件費

書類保管に要するスペースコスト

書類保管に要する人件費

書面の作成・管理に伴い発生していた上記のような費用をまとめて削減することができ、その分の費用をその他の業務やプロジェクトに費やすことが可能になります。

なお、書類のペーパーレス管理については、以下の記事で解説しています。ご覧ください。

なぜ押印をしているの?日本に根付くハンコ文化

上記のように、「脱ハンコ・ハンコレス」を実現することによるメリットは無視できないものがありますが、実現に向けて動き出せていない企業もまだ多いのはなぜでしょうか。

ここでは、日本に根付いてきた「ハンコ文化」と「脱ハンコ・ハンコレス」実現のためのハードルについて解説します。

押印を前提とした取引関係

「個人や法人がいつ押印をするのか」を考えたときに、最初に思い浮かぶのは契約締結時ではないでしょうか。
契約書は、契約当事者双方の合意(契約)を証する文書であり、その契約書締結の証として押印を行います。

契約締結という行為は、一方のみの意思表示では成立しないため、どうしても「相手方に合わせる」という性質をはらんでいます。

つまり、契約当事者の一方がハンコ(印章)での押印を行い、もう一方の当事者が電子契約システムでの電子押印や電子署名を行うといった運用が難しく、 一方がハンコ(印章)での押印を選択すると、もう一方もそれに合わせなければならないという構図が成り立ってしまいます。

そして、日本ではまだまだ押印をする企業が多いので、どうしても押印が必要になる、ということが珍しくありません。

なぜ押印するのか(押印の法的効力)

契約そのものは、当事者間の意思表示の合致により成立するものであり、契約書の作成、および押印は契約が成立するための要件ではありません。

ただし、契約の存在や内容を明確にして、かつ証拠として残すために契約書を作成するのが通常です。

また、押印自体も、契約書に押印がなかったからといって、契約の有効性には影響を及ぼすものではありません。

押印が行われることによって、民事訴訟法228条4項および判例により、押印がなされた書面の「成立の真正」が認められやすくなり、当該書面が証拠として使われる可能性が高まります。

この「成立の真正」については、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)3条より、同法に定める電子署名がなされた場合にも同様に、認められます。

そこで、書面の証拠としての価値の担保という意味では、通常の押印でも、電子署名法に則った電子署名でも効果は変わりません。

押印されているという安心感

諸外国においては本人であることの証明として「署名」と(氏名などのサイン)が用いられることが多いですが、日本においては署名のみを行う文化が定着しておらず、 現在でも押印文化が根強く残っています。

対外的な文書のみならず、社内の稟議や簡単な承認行為においても、押印が日本の商慣習に広く浸透しています。
「ハンコが押してある」文書は意思表示を行う文書として安心感がある、という共通認識が、法的な論点とは別に、存在しているのです。

脱ハンコ・ハンコレスを実現するには

では、「脱ハンコ・ハンコレス」を実現するためにはどうすればよいのでしょうか。

ここでは、以下のようにハンコの使用場面ごとに分けて解説していきます。

 

1 社外文書
2 社内文書・決裁
3 行政向け文書

社外文書

社外文書には、契約書、見積書、請求書などがあります。

社外文書については、以下の2つの問いについて検討を行う必要があります。

Q1.「その押印や電子署名が本当に必要なのか?」
Q2.「紙で発行する必要があるのか?」

Q1について、とりわけ、見積書や請求書については、個別取引の都度発行されるものであり、 取引先としても押印や電子署名を必要としていない可能性があります

Q2について、紙での保管における煩雑さ、コストなどを考えると、電子契約ツール、電子化サービスなどを導入し、電子化することが考えられます。
ただし、法律上、書面での作成・保管が義務付けられているものもありますので注意が必要です。

押印や電子署名をすることが望ましく、かつ紙で保管する必要がないものについては、電子署名や電子契約を導入することが考えられます。

社内文書・決裁

社内文書には、社内の申請書、台帳、決裁・稟議書などがあります。

社内文書においても、社外文書と同じく、以下の2つの問いについて検討を行う必要があります。

Q1.「押印や電子署名が本当に必要なのか?」
Q2.「紙で発行する必要があるのか?」

Q1について、社内で完結する書類については、押印や電子署名をする必要性は、社外文書と比較すると低いことが多いです

Q2について、社外文書と同じく、法律上、書面での作成・保管が義務付けられているものか否かは確認する必要があります。 書面での作成・保管が義務付けられているもの以外については、電子的な運用をすることで正確な社内での履歴が残り、ガバナンス・コンプライアンスの強化につながることが期待できます。

その用途、関係者に応じて「脱ハンコ・ハンコレス」を実現しましょう。

社内の決済・稟議については、以下のような方法で脱ハンコ・ハンコレスを目指すことが考えられます。

電子ワークフローシステム

社内のネットワーク環境の中で、申請や承認ができるシステムを導入することが考えられます。 電子的に社内申請や承認を行うことができるため、押印作業を行う必要がなく業務効率化につながり、また、 履歴の管理によるガバナンス・コンプライアンスの強化、さらにはアクセス権限の管理によるセキュリティコントロールを行うことができます。

メールやチャットツール

メールやチャットツールを用いて、申請や承認を行う方法も考えられます。 例えば、メールやチャットの本文にて申請や承認を行い、それを申請・承認の証拠とするといった方法です。 また、関係者のみアクセス可能な環境をチャットツールなどで構築することで、上記電子ワークフローシステムと類似した環境を作ることも可能です。

行政向け文書

行政向け文書には、行政機関への届出書、申請書などがあります。

提出したい文書の取り扱いについて、法令の調査、担当する行政庁への問い合わせを行いましょう。

2020年以降、コロナ禍において、様々な行政向け文書の電子化が進んでいます。

その文書に押印する必要があるのか、書面で提出する必要があるのか、電子提出が可能であるのかを確認した上で、それに応じた対応を行ってください。

この記事のまとめ

「脱ハンコ・ハンコレス」を実現することで、①業務効率化、②働き方改革の推進、③ガバナンス・コンプライアンス強化、④コスト削減、といった様々なメリットを享受することができます。

そのためには、「本当にその押印は必要であるのか?」という視点での業務の棚卸・改善、電子署名や電子ワークフローシステムの導入が重要になってきます。

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