アルバイトとは?他の雇用形態との違いや
雇用するメリット・デメリットを
分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

アルバイトとは、短時間勤務をする労働者のことです。

・一般的には「パートタイム・有期雇用労働法」にもとづく「短時間労働者」にあたります。
・具体的には、正社員に比べて所定労働時間が短い働き方です。
・アルバイトとパートに明確な違いはありません。

本記事では、アルバイトについて、基本から詳しく解説します。

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アルバイトってパートとは違うのでしょうか?

ムートン

アルバイトとパートに厳密な違いはありません。派遣社員や契約社員といった雇用形態の違いや、アルバイトを雇うメリットを詳しく見ていきましょう。

※この記事は、205年6月30日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

アルバイトとは

アルバイトの基本的な定義と意味、そして最新の社会保険制度について紹介します。

アルバイトの意味と定義

アルバイトとは、ドイツ語の「Arbeit(労働)」を語源とする言葉で、日本では一般的に短時間勤務をする労働者を指します。学生の仕事というイメージが強いかもしれませんが、実際には年齢や職業にかかわらず、さまざまな人が従事しています。

法律上では「パートタイム・有期雇用労働法」にもとづく「短時間労働者」として分類され、正社員に比べて所定労働時間が短い働き方です。

アルバイトへの社会保険適用拡大

2022年10月より、従業員数101〜500人の企業で働く短時間労働者(アルバイト・パート)にも社会保険加入が義務化されました。そして2024年10月には、さらに対象事業所が「従業員数51人以上」に拡大されています。なお、将来的にはさらに小規模な事業所への適用拡大も検討されていますが、具体的な時期は未定です。また、2027年10月からは50人以下の事業所に対しても段階的に適用拡大される見込みです。

【加入要件(すべて該当する場合)】

  • 週20時間以上の勤務
  • 月収88,000円以上
  • 雇用見込みが2カ月超
  • 学生でない(夜間・定時制学生は対象) 

従業員数50人以上の企業で働き、かつ上記の加入要件全てに該当するアルバイトは、後述する「106万円の壁」を超えると社会保険への加入が必要となります。

対象者には、手取りが減ることや扶養から外れる可能性がある点を丁寧に説明し、納得の上で社会保険の加入手続きを進めることが大切です。あわせて、入社時に働き方の希望を確認し、年収の壁を超えないよう勤務時間を調整できる体制を整える必要があります。

対象者を見落とさないためには、勤怠や給与システムの見直しが必要です。

アルバイトとその他の雇用形態との違い

アルバイトと以下の雇用形態との違いについて解説します。

  • パート
  • 派遣社員
  • 契約社員

それぞれの働き方には雇用契約や勤務条件に特徴があるため、違いを理解しておくことが大切です。

アルバイトとパートの違い

アルバイトとパートは呼び方こそ異なりますが、法律上はどちらも「短時間労働者」として扱われます。パートタイム・有期雇用労働法では、正社員より所定労働時間が短い労働者を一括して短時間労働者と定義しており、呼称による区別はありません。

企業によっては「学生はアルバイト」「主婦はパート」といった呼び分けが慣習的に行われていますが、法的な違いを示すものではなく、実際の雇用管理上の扱いも同じです。労働基準法や最低賃金法、有給休暇の付与なども、アルバイト・パートを問わず同様に適用されます。

そのため、求人票や雇用契約書では呼称にとらわれず、労働時間や賃金、福利厚生などの労働条件を明確に記載し、応募者にも正確に伝えることが大切です。

アルバイトと派遣社員の違い

アルバイトと派遣社員の主な違いは、雇用関係と指揮命令の仕組みにあります。アルバイトは企業と直接雇用契約を結び、業務指示や給与の支払いも自社で行います。

一方、派遣社員は派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、給与も派遣会社から支払われるのが特徴です。企業は「派遣先」として業務の指示を出しますが、雇用主ではありません。

また、派遣社員には原則3年までという派遣期間の上限があり、専門的なスキルを活かす職種での活用が多いのも特徴です。即戦力を求める事務職や技術職などでは、派遣社員を活用することで効率的な人材確保につながります。

アルバイトと派遣社員、それぞれの特徴を理解し、業務内容や期間、コスト面を踏まえて最適な雇用形態を選ぶことが大切です。

アルバイトと契約社員の違い

アルバイトと契約社員はどちらも有期雇用ですが、勤務形態や業務内容に明確な違いがあります。

アルバイトは短時間勤務で補助的な業務を任されるのが一般的ですが、契約社員はフルタイム勤務を前提とし、より高い専門性や責任を伴う業務を任される傾向があります。

また、契約社員は月給制が多く、社会保険への加入も義務づけられています。たとえば、IT企業では契約社員がプロジェクトに参加して開発業務を担当し、アルバイトはデータ入力などを時給制で行うといった役割分担がされるケースがあります。

契約社員は正社員登用の対象になることもあり、企業にとっては中長期的な人材育成の観点からも重要なポジションといえます。

アルバイトを雇用するメリット

企業がアルバイトを雇用する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 人件費を抑えて労働者を雇用できる
  • 人員調整がしやすい
  • 業務の分担ができる

人件費や業務効率の面で多くのメリットがあり、状況に応じて柔軟に人材を活用できるのが特徴です。

人件費を抑えて労働者を雇用できる

企業がアルバイトを雇用するメリットは、人件費を抑えて労働者を雇用できることです。アルバイトは時給制が基本で、働いた分だけ賃金を支払えばよく、賞与や退職金が不要なケースも多くあります。そのため、正社員と比べてコストをかけずに人材を確保しやすいのが特徴です。

また、週の勤務時間が20時間未満のスタッフや、学生アルバイトの場合は社会保険の加入義務もありません。

とくに飲食店や小売業では、アルバイトの活用によるコスト削減の効果が大きいため、時給の設定や働きやすい職場環境づくりを工夫することで、経営の安定と人材の定着を両立させることが大切です。

人員調整がしやすい

アルバイトの雇用形態には、企業が業績や季節ごとの変動に応じて、柔軟に人員を調整できるというメリットがあります。

たとえば、年末年始に売上の増加が見込まれる小売店では、11月から1月にかけて短期アルバイトを追加採用し、繁忙期が終われば雇用契約を終了するといった対応が可能です。

アルバイトと適切な労使関係を保つためには、「契約期間」「更新の有無」「業務内容」などの雇用条件をあらかじめ雇用契約書や労働条件通知書に明記し、明確に伝えることが重要です。また、日頃から丁寧なコミュニケーションを心がけ、シフト変更や業務量の調整にも配慮することで、スタッフとの信頼関係を築きやすくなります。

繁忙期や突発的な人手不足に対応するためにも、採用ルートを確保しておく、職場環境を整えるといった準備が、安定した運営につながります。

業務の分担ができる

業務を明確に分担して補助的な作業をアルバイトに任せることで、正社員は専門業務に集中できるようになり、組織全体の生産性と効率の向上が期待できます。

たとえば、飲食店では、正社員が調理や運営に集中し、アルバイトがホールや清掃を担当することで、サービス品質の安定につながります。

業務の分担体制を効果的に機能させるには、業務の難易度や重要度を整理したうえで、アルバイト向けの研修やマニュアルを整備することが大切です。

アルバイトを雇用するデメリット

アルバイトを雇用する主なデメリットは以下のとおりです。

  • 定着率が低くなりやすい
  • 人材育成が難しい
  • 責任感が薄くなりやすい

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

定着率が低くなりやすい

アルバイトは正社員に比べて定着率が低い傾向があります。定着率が低いと採用や研修のコストがかさむため、現場への負担も大きくなりやすいでしょう。

たとえば、大学生アルバイトは卒業や就職活動を理由に2〜3年で退職せざるを得ないケースが多く見られます。また、有期契約時給制が多く、昇給・昇進の機会や福利厚生が限られていることも、定着しにくい理由です。

アルバイトの定着率を高めるには、時給やシフト体制の見直し、働きやすい職場環境の整備に加え、正社員登用制度の導入など、長く働き続けられる工夫が求められます。

人材育成が難しい

アルバイトは勤務時間や雇用期間が限られているため、計画的な人材育成が難しいケースがあります。一般的な勤務は週20〜30時間ほどで、研修にあてる時間も限られます

有期契約で長期雇用が見通せないことから、企業側は本格的な育成に踏み切りづらく、本人の学習意欲も高まりにくい傾向があります。たとえば、正社員に半年かけて研修を行う一方、アルバイトは数日の研修にとどまることもあります。

人材育成の課題に対応するには、段階的な研修やOJT(On-the-Job Training)の仕組み、スキルに応じた昇給制度を導入し、従業員の意欲を引き出す環境を整えることが大切です。

責任感を持たせづらい

アルバイトは非正規雇用という立場から、正社員に比べて企業への帰属意識や仕事への責任感を持たせづらい傾向があります。そのため、業務の質や顧客満足度に影響が出ることもあります。

アルバイトは「一時的な仕事」という認識を持ちやすく、企業の成長や成果を自分ごととして捉えにくいのが実情です。また、昇進や昇給のチャンスが少ないことで、やりがいや責任感を持ちにくくなるケースもあります。

そのため、アルバイトにも裁量を与えたり、成果に応じたインセンティブを用意したりすることで、やる気や責任感を高める工夫が大切です。

アルバイトを雇用する際に確認すべき労働条件

アルバイトを雇用する際に確認すべき労働条件には主に以下の内容があります。

  • 有給休暇の付与条件
  • 社会保険への加入条件
  • 残業代の計算方法
  • 労働契約時に明記すべき内容

それぞれのポイントについて、企業として押さえておくべき基本事項を詳しく解説します。

有給休暇の付与条件

労働基準法では、雇用形態に関係なくすべての労働者に対して年次有給休暇の付与が義務づけられています。アルバイトであっても、雇入れ日から6カ月以上継続して働き、出勤率が8割以上であれば、有給休暇が付与されます。

付与日数は週の所定労働日数に応じて決まり、たとえば週5日勤務であれば10日、週3日勤務なら5日が与えられます。勤続年数に応じて付与日数は増え、1年6カ月後には週5日勤務で11日、週3日勤務で6日になります。

法令に沿った労務管理のためには、有給休暇の管理台帳を作成し、入社日や出勤状況、残日数を正確に記録しておくことが大切です。

社会保険への加入の要否

2024年10月の法改正により、従業員数が51人以上の企業では、以下の条件をすべて満たすアルバイトにも社会保険の加入義務が発生するようになりました。

  • 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
  • 月収が88,000円以上
  • 雇用期間が2カ月を超える見込み
  • 学生ではない(ただし夜間・定時制・通信制の学生は対象になる場合あり)

企業には、社会保険の対象となるアルバイトを正しく把握し、必要な手続きを行う義務があります。もし対応を怠ると、厚生労働省からの指導や、遡って保険料の支払いを求められる可能性があります。

アルバイトを採用する際は、勤務時間や収入、学生かどうかといった条件をしっかり確認し、加入が必要かどうかを適切に判断できる体制を整えておくことが大切です。

残業代の計算方法

アルバイトに対しての残業代や深夜・休日勤務に対する割増賃金の支払いは法律で義務づけられています。労働基準法第37条により、雇用形態に関係なく、すべての労働者に割増賃金を支払う必要があります。「アルバイトだから残業代は出ない」という考え方は誤りです。

割増賃金が必要になるケースは以下のとおりです。

  • 時間外労働(1日8時間・週40時間のいずれかを超えた場合):時給の1.25倍
  • 深夜労働(22時~翌5時):時給の1.25倍
  • 休日労働(法定休日の勤務):時給の1.35倍

たとえば、時給1,000円のアルバイトが1日10時間働いた場合、8時間分で8,000円、残業2時間分は1,000円×2時間×割増賃金(1.25倍)で2,500円となり、合計で10,500円の支払いが必要です。

割増賃金の計算ミスや支払い漏れがあると、労働基準監督署からの是正勧告や、労働者から未払い賃金の請求を受けるおそれがあるため、正確な計算が求められます。

労働契約時に明記すべき内容

アルバイトを雇うときは、労働基準法第15条により、契約期間や勤務時間、賃金、休日などの労働条件を事前に明示する義務があります。伝え方は、紙の書面以外に電子メールやFAXでも可能ですが、その場合は本人の同意が必要です。

たとえば、時給1,200円で週3日勤務の飲食店アルバイトの場合には、以下のような内容を雇用契約書(労働契約書)もしくは労働条件通知書に書面で伝えます。

  • 契約期間:2024年4月1日~2025年3月31日
  • 就業場所:○○店(「変更の範囲」があればその旨記載)
  • 業務内容:接客、レジ業務、清掃(「変更の範囲」があればその旨記載)
  • 所定労働時間:9:00~17:00(休憩1時間)
  • 賃金:時給1,200円
  • 支払日・支払方法:毎月末締め、翌月10日銀行振込
  • 休日:シフト制による週4日休み
  • 有給休暇:労働基準法に基づき付与
  • 社会保険の適用有無:勤務条件により判断
  • 昇給の有無:制度なし(※ある場合はその旨を記載)
  • 賞与・退職金の有無:支給なし

参考:厚生労働省「パート・アルバイトの雇用ルールを再確認」

厚生労働省が提供している労働条件通知書のひな形を使えば、必要な項目を漏れなく記載できるので安心です。

アルバイトの労務管理に関する注意点

アルバイトの労務管理において企業が注意すべきポイントについて紹介します。

  • 年末調整が必要なケース
  • 確定申告が必要なケース
  • 扶養内勤務希望者の取り扱い

それぞれのポイントについて解説します。

年末調整が必要なケース

企業は、12月31日時点で在籍しており、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているアルバイトに対して、年末調整を行う必要があります。所得税法では、給与を支払うすべての従業員に対して年末調整を行う義務があり、雇用形態による区別はありません。

たとえば、4月に入社して年末まで勤務しているアルバイトで、扶養控除等申告書を提出している場合は対象になります。一方で、複数の仕事を掛け持ちしていて申告書を提出していない場合や、12月の給与支払い日より前に退職した場合は、年末調整の対象外となり、自分で確定申告が必要です。

対象者を把握しやすくするためには、入社時に申告書の提出状況を確認し、一覧で管理することが大切です。

確定申告が必要なケース

アルバイトであっても、条件によっては自分で確定申告を行う必要があります。とくに、年末調整の対象外となる場合や収入が一定額を超える場合は注意が必要です。

確定申告が必要となる主なケースは以下のとおりです。

  • 年末調整を受けていないアルバイト
  • 複数の勤務先から給与を受け取っている場合
  • 年収が2,000万円を超える場合
  • 年間の収入が103万円を超え、扶養から外れる学生
  • 給与のほかに副収入がある場合

企業は、これらに該当するアルバイトに対して確定申告が必要であることを案内し、源泉徴収票を1月末までに交付する義務があります。

扶養内勤務希望者の取り扱い

扶養内で働きたいという希望があるアルバイトに対しては、年収の壁を正しく把握し、収入や勤務時間の調整を行うことが大切です。年収の壁とは、一定の金額を超えることで税金や社会保険に影響が出る基準を指します。

主な3つの年収ラインは以下の通りです。

年収の壁主な内容対象制度今後の流れ
106万円社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務が発生する目安社会保険2026年10月に撤廃予定
130万円社会保険の「扶養」から外れる上限。これを超えると自身で保険加入が必要健康保険の被扶養者認定2023年10月〜「一時的な超過」なら扶養継続可(最大2年)
160万円(改正後)配偶者控除を受けられる年収の上限(旧103万円基準)所得税・配偶者控除2025年以降、配偶者控除の適用上限が160万円に引き上げ予定
※106万円の壁は、週20時間以上・月収88,000円以上・従業員数51人以上・2カ月超の勤務見込み・学生でない、という条件をすべて満たす場合に適用されます。

たとえば、年収160万円以内での勤務を希望する主婦には、月収が約13.3万円を超えないようにシフトを調整する必要があります。

ただし、月収8.8万円以上・週20時間以上といった条件に該当する場合は、希望にかかわらず社会保険加入が必要と可能性があるため、事前の説明と同意が大切です。

入社時に年収の壁について丁寧に説明し、月ごとの収入も確認しながら、希望に応じた柔軟な対応を行うことが求められます。

ムートン

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参考文献

厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」

厚生労働省「パート・アルバイトの雇用ルールを再確認」

e-Gov法令検索「労働基準法」

監修

アバター画像
遠藤良介 社会保険労務士(愛知社労士会所属)
Reメンバー労務オフィス
労務相談、社会保険・労働保険手続き、社内規定類作成、ライフプランニング相談ほか