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【2020年10月施行】 著作権法法改正とは?改正点を解説! (新旧対照表つき)

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2020/10/07(公開:2020/08/28)
この記事のまとめ

改正著作権法(2020年10月1日施行)のポイントを解説!!

「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和2年6月12日公布)では、次の3点について、著作権法が改正されました。

1.インターネット上の海賊版対策の強化(2020年10月1日、2021年1月1日施行)
2.著作物の円滑な利用を図るための措置(2020年10月1日施行)
3.著作権の適切な保護を図るための措置(2021年1月1日施行)

この記事では、2020年10月1日に施行される点について解説します。改正ポイントは3つです。

ポイント1

リーチサイト対策

ポイント2

写り込みにかかる権利制限規定の対象範囲の拡大

ポイント3

著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入

それぞれのポイントを分かりやすく解説します。

新旧対照表のダウンロードはこちらから

 【2020年10月施行】著作権法の新旧対照表 (解説つき)

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 著作権法…2020年10月施行後の著作権法(昭和45年法律第48号)
  • 旧著作権法……2020年10月施行前の著作権法(昭和45年法律第48号)
先生、今回の著作権法改正をふまえて、契約レビューに影響がある点はありますか?
ムートン先生
改正点にうち、ポイント3│著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入については、契約書レビューに少し関連しますよ。実務の影響という見出しで説明しているのでぜひご覧くださいね。

2020年の改正著作権法とは?

改正の目的

今回の改正の目的は、①海賊版被害への早急な対応、②社会の変化の応じた著作物の利用の円滑化、③著作権の適切な保護です。

①海賊版被害への早急な対応

海賊版コンテンツによる被害は深刻であり、対策を講じない場合のクリエイター・コンテンツ産業への損害は計り知れないものです。 現行法では、「著作権者の許可なく著作物(全般)をアップロードすること」や、「違法アップロードされた音楽・映像を違法アップロードであることを知りながらダウンロードすること」は違法です。しかし、違法コンテンツへのリンクを集約したリーチサイトや、違法アップロードされた書籍・漫画・論文・コンピュータープログラムについてダウンロードが行われるような場面に対して対策が不十分でした。

このような場面に対応すべく、リーチサイト対策およびダウンロード違法化・刑事罰化を柱とした法整備を行い、海賊版被害の拡大を防止し、もって、産業の振興および著作権法の目的である「文化の発展」を図ることが今回の改正の目的の一つです。

②社会の変化に応じた著作物の利用の円滑化

写り込みにかかる権利制限規定の対象範囲の拡大について、文化庁の立法担当者は以下のように説明しています。

スマホやタブレット端末等の急速な普及や、動画投稿・配信プラットフォームの発達など、社会実態が大きく変化している中で、従来の規定では不都合が生じる場面が顕在化して来たことから、スクリーンショットや生配信を行う際の写り込みも対象に含めるなど、規定の対象範囲の拡大を行う。

引用元│ 文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」27頁

また、著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入について、文化庁の立法担当者は以下のように説明しています。

また、著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入について、文化庁の立法担当者は以下のように説明しています。

引用元│文化庁 「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」31頁)

これらの立法担当者の説明から分かるように、今回の改正は、社会の変化に順応し、著作物の利用をより円滑に行えるようにすることを目的としているのです

③著作権の適切な保護

従前の制度では、「著作権侵害訴訟における証拠収集手続が不十分で、適切な権利保護がなされないことがあり得る」ことや、「コンテンツ提供に関するライセンス認証について不正利用を防止するアクセスコントロールについて現行著作権法では十分な保護ができない」ことなど、権利保護に関して不十分な面が残っていました。 そこで、今回の改正により、制度の改善を図り、著作権の適切な保護を行うことを目的としています。


公布日・施行日

改正の根拠となる法令名は、「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和2年法律第48号)です。 施行日は、改正点によって、異なりますので注意しなければなりません。

著作権法の「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」の公布日と施行日は、次のとおりです。

公布日・施行日

公布日|2020年6月12日

施行日|2020年10月1日

その他の改正点の施行日は、それぞれ次のとおりです。

著作権法だけではなくて、「プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律」も改正されるのですね。それぞれ、改正の施行日は、いつなのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
次の表に、改正点と施行日をまとめましたよ。 契約ウォッチ編集部は、施行日が分かりましたら、情報を更新いたしますのでお見逃しなく!

「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」による各改正点の施行日

改正される法令 改正点 施行日
著作権法 ・リーチサイト対策
・写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大
・行政手続きに係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)
・著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入
2010年10月1日
・侵害コンテンツのダウンロード違法化
・著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化
・アクセスコントロールの関する保護の強化
2021年1月1日
プログラム登録特例法 ・プログラム登録に関する新たな証明制度の新設 公布日から1年以内で政令で定める日
・国と独立行政法人が登録を行う場合の手数料免除規定の廃止 2021年1月1日

著作権改正の概要

今回の著作権法改正により、リーチサイト対策による海賊版コンテンツの流通の減少、および著作物のより円滑な利用が期待されます。 概要は、大きく3つのポイントとなります。

改正ポイント(3つ)

ポイント1

リーチサイト対策

ポイント2

写り込みにかかる権利制限規定の対象範囲の拡大

ポイント3

著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入

改正のポイント

以下、改正のポイントをそれぞれ解説します。

ポイント1│リーチサイト対策

リーチサイト・リーチアプリとは、違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を集約したサイト・アプリです。侵害コンテンツを直接サイト・アプリに掲載しているわけではないものの、侵害コンテンツへのアクセスを誘導し、容易にするサイト・アプリがこれに当たります(詳しい定義は著作権法113条2項1号・2号)。

改正により、 ①リーチサイト・リーチアプリにおけるリンク提供行為、②リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者がリンク提供行為を放置する行為、がいずれも違法とされ、 民事措置・刑事罰の対象となることになります。以下、それぞれ解説します。

リーチサイト・リーチアプリの定義

「リーチサイト」「リーチアプリ」とは何を指すのか、について、著作権法113条2項1号2号で定義が新設されています。

第113条(略)

⑴ 次に掲げるウェブサイト等
イ 当該ウェブサイト等において、侵害著作物等に係る送信元識別符号等(以下この上及び第119条第2項において「侵害送信元識別符号等」という。)の利用を促す文言が表示されていること、 侵害送信元識別符号等が強調されていることその他当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の態様に照らし、公衆を侵害書作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等
ロ イに掲げるもののほか、当該ウェブサイト等において提供されている侵害送信元識別符号等の数、当該数が当該ウェブサイト等において提供されている送信元識別符号等の総数に占める割合、 当該侵害送信元識別符号等の利用に資する分類又は整理の状況その他当該ウェブサイト等における侵害送信元識別符号等の提供の状況に照らし、主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等
⑵ 次に掲げるプログラム
イ・ロ 略*

*1号と同様

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」

113条2項1号イ、同2号イでいうリーチサイト・リーチアプリは、サイト運営者が、侵害コンテンツへの誘導のためにデザインなどを作り込んでいるサイト・アプリを想定しています。いわゆる「海賊版サイト」といわれるものがこれに当たると考えられます。
113条2項1号ロ、同2号ロでいうリーチサイト・リーチアプリは、掲示板などのサイトでユーザーが違法リンクを多数掲載した結果、主に侵害コンテンツの利用を助長するものとなっているサイト・アプリを想定しています。

なお、著作権法113条2項1号にいう「ウェブサイト等」とは何を指すのか、について著作権法113条4項で定義が新設されています。

第113条(略)

前2項に規定するウェブサイト等とは、送信元識別符号のうちインターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために用いられる部分が 共通するウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の集合物(当該集合物の一部を構成する複数のウェブペー ジであつて、ウェブページ相互の関係その他の事情に照らし公衆への提示が一体的に行われていると認められるものとして政令で定める要件に該当するものを含む。)をいう。

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(新旧対照表)」

「ウェブサイト等」には、同一のURLで特定されるウェブページの集まりとしてのウェブサイト、のみならず、 ウェブサイトや掲示板において特定のカテゴリーの下に分類されたページのまとまり、SNSやブログにおける特定のアカウントによる投稿のまとまり、も含みます(著作権法施行令65条、著作権法施行規則25条)。

リーチサイト・リーチアプリにおけるリンク提供行為

1つ目の改正点は、 ①リーチサイト・リーチアプリにおけるリンク提供行為に対する規制です(著作権法113条2項)。 改正により、次のような条文が新設されました。

第113条(略)
送信元識別符号又は 送信元識別符号以外の符号その他の情報であつてその提供が送信元識別符号の提供と同一若しくは類似の効果を有するもの (以下この項及び次項において「送信元識別符号等」という。)の提供により 侵害著作物等(著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この項及び次項において同じ。)、出版権又は著作隣接権を侵害して送信可能化が行われた著作物等をいい、国外で行われる送信可能化であつて国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきものが行われた著作物等を含む。以下この項及び次項において同じ。) の他人による利用を容易にする行為(同項において「侵害著作物等利用容易化」という。) であつて、第一号に掲げるウェブサイト等(同項及び第百十九条第二項第四号において「 侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等」という。) において又は第二号に掲げるプログラム(次項及び同条第二項第五号において「 侵害著作物等利用容易化プログラム」という。) を用いて行うものは、 当該行為に係る著作物等が侵害著作物等であることを知つていた場合又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、当該侵害著作物等に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」

今回の改正で規制された「リーチサイト・リーチアプリにおけるリンク提供行為」は、⑴規制対象行為、⑵手段、⑶主観要件、の3つで成り立っています。

著作権法113条2項で規制されている行為

規制対象行為

・リーチサイト・リーチアプリにおいて、他人による侵害著作物の利用を容易にする行為であること

手段

・侵害著作物へのURLやURLの一部を記号に置き換えたものを提供すること
・クリック等により侵害著作物への到達を容易にするボタンの設置すること

主観要件

・行為者が、誘導した著作物等が侵害著作物であることを知っていた、もしくは知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合であること

たとえば、サイトを運営している人が「今なら無料で読み放題!下のボタンをクリック!」という誘い文句を用いて、違法アップロードされた侵害著作物であることを知りながらその侵害著作物へ飛ぶボタンを設置しているような場合には、著作権法113条2項の定める行為に当たることになります。

著作権法113条2項に違反した場合は、どうなるのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
著作権法113条2項に該当した場合、民事措置・刑事罰双方の対象になります。

まず、著作権法113条2項に該当した場合、「著作権、出版権又は隣接著作権を侵害する行為をみなす」と定められているため、著作権侵害行為として差し止め請求・損害賠償請求が可能となります。また、著作権法120条の2第3号は、以下のように定めて、113条2項に該当し著作権等の侵害とみなされた場合には、法定刑として3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科が刑事罰として科されるとしています。

第120条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 ⑴・⑵(略) ⑶第113条第2項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者 ⑷~⑹(略)

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」8頁

以上のように、113条2項に該当する行為をおこなった場合、民事措置・刑事罰双方の措置が取られる可能性があります。

リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者がリンク提供行為を放置する行為

2つの目の改正点は、②リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者がリンク提供行為を放置する行為です。

今回の改正により、侵害著作物等にリンクを提供した者だけでなく、リンク提供行為を放置したリーチサイト運営者・リーチアプリ提供者に対しても規制されるに至りました。

第113条(略)
2 (略)
侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つている者(…中略…) 又は侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つている者(…中略…)が、当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等において又は当該侵害著作物等利用容易化プログラムを用いて他人による侵害著作物等利用容易化に係る送信元識別符号等の提供が行われている場合であつて、かつ、 当該送信元識別符号等に係る著作物等が侵害著作物等であることを知つている場合又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合 において、 当該侵害著作物等利用容易化を防止する措置を講ずることが技術的に可能であるにもかかわらず当該措置を講じない行為は、当該侵害著作物等に係る著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」8頁

今回の改正で規制された「リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者がリンク提供行為を放置する行為」は、⑴主体、⑵規制対象行為、⑶主観要件の3つより成り立っています。

著作権法113条3項で規制されている行為

主体

・リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者であること

規制対象行為

・これらの者が、サイト・アプリ上でのリンク提供行為について削除等の措置が可能であるにも関わらず放置する行為

主観要件

リンク提供行為者が誘導した著作物等が侵害著作物であることを、リーチサイト運営者・リーチアプリ提供者が知っていた、もしくは知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合であること

著作権法113条2項に違反した場合は、どうなるのでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
著作権法113条3項に該当した場合も、民事措置・刑事罰双方の対象になります。

まず、著作権法113条3項に該当した場合、「著作権、出版権又は隣接著作権を侵害する行為をみなす」と定められているため、著作権侵害行為として差し止め請求が可能となります。また、著作権法119条2項4号・5号は、以下のように定めて、法定刑として5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科が刑事罰として科されるとしています。

第119条(略)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
⑴~⑶(略)
⑷侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等の公衆への提示を行つた者(…中略…)
⑸侵害著作物等利用容易化プログラムの公衆への提供等を行つた者(…中略…)
⑹(略)

引用元│ (引用元:文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」10頁)

4号がリーチサイト運営者、5号がリーチアプリ提供者について定めています。なお、リーチサイトに関連する今回の改正は、基本的にプラットフォーマーには及ばないことが著作権法119条2項4号に明記されています。


ポイント2│写り込みにかかる権利制限規定の対象範囲の拡大

まず、旧著作権法は、写り込みに関する著作権の権利制限について、旧著作権法30条の2で定めていました。旧著作権法30条の2は、平成24年改正で追加されたものです。

著作権の権利制限ってなんでしょうか?
ヒツジ
ムートン先生
一定の例外的なケースでは、誰でも著作権者の許諾なく自由に著作権が使えることを認める制度をいいますよ。本来、著作権は、著作権者の許諾を得なければ使用できません。 しかし、いかなる場合であっても、著作権者の許諾が必要となるとすると不都合なケースがあるので、法が例外的に認めているのです。たとえば、入学試験の試験問題として複製したり、視覚障碍者のために複製したりなど。著作権法30条以下に定められていますよ。

旧著作権法30条の2は、写真撮影・録画・録音による著作物の創作(写真等著作物)に伴って付随的に写り込んだ著作物(付随対象著作物)については、例外的に、付随対象著作物の複製・翻案権侵害とはならない、と定めるものでした。 しかし、 あくまで写真撮影・録画・録音という行為に限定されており、また 著作物の創作に伴って写り込んだ場合のみがその対象(創作に当たらない場合は適用外、例えばスマートフォンのスクリーンショットなど)となっていました。

今回の改正では、スマートフォンやタブレット等のデバイスの普及、動画・配信プラットフォームの発達拡大など、社会の変化に合わせて、 写り込みに関する権利制限規定についてその対象範囲を拡大することになりました。

著作権法30条の2は、写り込みに関して、以下のように規定しています。

第30条の2 写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となる場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達物において当該付随対象著作物が果たす役割その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により利用された付随対象著作物は、当該付随対象著作物に係る作成伝達物の利用に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の能様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではない。

引用元│ (引用元:文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」10頁)

まず、著作権法30条の2は、写り込みによる権利制限の対象として、 「複製伝達行為」全般が対象行為であるとしました。 これにより、スクリーンショットや生配信、CG化等の行為も写り込みによる権利制限の対象に含まれうることになります。

また、旧著作権法で必要とされていた、 著作物の創作に伴って映り込む、という要件も不要となりました。著作物の創作に伴うかどうかは関係なく、無制限に認められます。

さらに、著作権法30条の2は、 「正当な範囲内」であれば利用可能とし、旧著作権法30条の2が要求していたような「メインの被写体と付随著作物の分離の困難さ」という要件は不要となりました。今後は、分離困難かどうかは「正当な範囲内」かどうかという要件の判断において考慮されることになります。

ポイント3│著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入

旧著作権法では、著作物の利用許諾に関する規定は存在していたものの、利用の許諾を受けた著作権の譲渡があった場合の定めはありませんでした。したがって、著作物の利用権の許諾を受けた者(ライセンシー)は、著作権が譲渡された場合、譲受人に対して著作物を利用する権利を対抗することができませんでした。

しかし、著作権の譲渡があった場合に利用を継続できないとすれば、安心して著作物の利用許諾を受けることができず、著作物の利用を促進する観点からも好ましくありません。

そこで、今回の改正では、特許法等における定めを参考にして、 許諾を受けて著作物を利用する権利(利用権)について、著作権の譲受人等に対抗できる制度が導入されました。 これにより、一度利用権の許諾を受けた場合、利用に係る著作権が譲渡された場合でも、利用を継続することができます。

著作権法63条の2は以下のように規定しています。

第63条の2 利用権は、当該利用権に係る著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

引用元│文化庁「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律(説明資料)」32頁

著作権法63条の2は、著作権法63条3項により定義された利用権について、利用権に係る著作物の著作権を取得した者や、その他の第三者(例えば著作権の相続人や破産管財人、差押債権者)に対して対抗できる、と定めています。 対抗するにあたり、登録等の手続きは不要で、利用権を取得した場合 当然に著作権の取得者その他第三者に対して 対抗することが可能となります。


【解説つき】改正前と改正後の著作権法の条文を新旧対照表で比較

それでは、改正点について、条文を確認しましょう。解説つきの新旧対照表をご用意しました。 以下のページからダウンロードできます。

新旧対照表のダウンロードはこちらから

 【2020年10月施行】著作権法の新旧対照表 (解説つき)

ムートン先生
ぜひ、業務のお供に!ご活用いただけると嬉しいです!

〈サンプル〉
新旧対照表
新旧対照表

実務への影響

今回の改正において実務に影響のあると考えられる点は2点あります。

第一に、著作権の使用許諾が関連する契約について、「使用する権利を第三者に対抗できる」旨を規定する必要がなくなります。

改正前は、著作権を譲渡した場合に、譲受人に著作権の利用許諾に関する権利を対抗できるか、について特段の定めがありませんでした。その結果、利用権を設定した著作権について、著作権者が著作権を譲り渡した場合(倒産やM&Aにより著作権が移転した場合も含みます)、利用権者は、利用権を著作権の譲受人その他第三者に対して対抗することができませんでした。 これを防ぐために、利用権者は、ライセンス契約(著作権利用許諾契約)において「ライセンサー(著作権者)は、著作権を第三者に譲渡する場合は、ライセンサーの地位(利用を許諾する地位)も譲渡先へ移転しなければならない」などと定め、手当しておく必要がありました。

著作権法63条の2は、利用権について、「著作権の譲受人その他第三者に対して対抗できる」と定めたため、利用権者がライセンス契約で手当しておく必要性はなくなりました。

第二に、漫画・小説・論文などの、音楽・映像以外の著作物についての違法アップロード・違法ダウンロードの減少が期待されます。

音楽・映像の違法ダウンロードについては、平成24年10月1日施行の著作権法改正で違法ダウンロードの刑事罰化が行われた結果、ファイル共有ソフト上(Winnyなど)における違法著作物の数が減少しました。今回の法改正でも、音楽・映像以外の著作物について、平成24年の法改正のように違法ダウンロードの減少をもたらす効果が期待されています。

参考文献

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