法定休日とは?
法定外休日との違い・いつが法定休日になるか・
出勤した場合の取り扱いなどを分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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法定休日とは、労働基準法に基づき、使用者(会社)が労働者に与えなければならない休日です。1週間に1日、または4週間を通じて4日の法定休日を付与することが義務付けられています。
法定休日以外に、使用者が独自に定めた休日を「所定休日(法定外休日)」といいます。法定休日に働いた場合は休日労働となりますが、所定休日に働いた場合は時間外労働などとして取り扱われます。
法定休日と所定休日の区別は、原則として労働契約または就業規則の定めに従います。定めがない場合は、対象期間(1週間または4週間)において後ろに位置する休日が順に法定休日となります。
使用者が労働者に休日労働を命じるためには、労働組合等との間で「36協定」を締結しなければなりません。36協定では休日労働に関するルールが定められ、使用者はその内容を遵守する必要があります。
休日労働には、通常の賃金に対して135%以上の割増賃金が発生します。
なお、振替休日によってあらかじめ法定休日と労働日を入れ替えた場合には、休日労働の割増賃金が発生しません。これに対して、休日労働をした後で代休を取得した場合には、休日労働の割増賃金が発生します。この記事では法定休日について、基本から分かりやすく解説します。
※この記事は、2023年8月10日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
目次
法定休日とは
法定休日とは、労働基準法に基づき、使用者(会社)が労働者に与えなければならない休日です。
法定休日の付与が使用者に義務付けられているのは、過度な連続勤務を防止し、労働者の健康を維持するためです。
法定休日に関する労働基準法の定め(ルール)
労働基準法35条に基づき、法定休日は以下のいずれかの頻度で付与することが義務付けられています。
①毎週少なくとも1回(週1日)
②4週間を通じて4日
法定休日を特定する必要はなし
会社によっては、法定休日を超える日数の休日が付与されています(例:週休2日制の会社など)。
この場合、週1日または4週間を通じて4日の休日のみが法定休日となり、それ以外の休日は法定外休日(所定休日)となります。
法定休日と法定外休日は、各会社が就業規則などで定めをおくことで、区別(特定)できます。
しかし、区別の定めを置くことが法的に義務付けられているわけではありません。区別の方法が定められていない場合は、「法定休日と法定外休日を判別する方法」にて解説する方法によって法定休日と法定外休日が区別されます。
法定休日を特定しなかった場合のリスク
しかし実務上は、法定休日と法定外休日を区別する方法を就業規則などで定めておくことが望ましいです。
区別の方法の定めがない場合、人事担当者や経理担当者などが、法定休日と法定外休日の区別を誤ってしまうリスクが高まります。
法定休日と法定外休日では、36協定における取り扱いや割増賃金に関するルールなどが異なります。両者を適切に区別して取り扱わなければ、後日に労働者との間でトラブルに発展しかねません。
法定休日に関するトラブル事例
法定休日に関しては、以下のような不適切な取り扱いがよく見られます。
・36協定(後述)を締結していないにもかかわらず、労働者を法定休日に働かせている
・法定休日に働いた労働者に対して、正しく割増賃金が支払われていない
・労働者に対してキャパシティを大きく超える労働を課し、法定休日を含めて連日働かせた結果、労働者が健康を害して休職した
など
企業が法定休日について不適切な取り扱いをした場合、労働基準監督署による行政指導などの対象となります。
その他の休日(休暇)の種類|法定休日との違いを含め解説!
法定休日以外にも、休日には以下のような種類があります。
- 法定外休日(所定休日)
- 振替休日
- 代休
- 祝日
また、会社における休日とは異なりますが、「年次有給休暇」も一般に広く浸透しています。
これらの休日(休暇)について、その位置づけや法定休日との違いを正しく理解しておきましょう。
法定外休日(所定休日)とは
法定外休日とは、労働契約や就業規則によって定められた、法定休日以外の休日です。「所定休日」とも呼ばれます。
法定外休日は、労働基準法によって付与が義務付けられたものではありません。そのため、法定外休日における労働は、「休日労働」に当たりません。
ただし、法定労働時間(原則として1日8時間・1週40時間)の範囲内で法定外休日に働いた時間は「法定内残業」、法定労働時間を超えて法定外休日に働いた時間は「時間外労働」となります。
法定内残業・時間外労働・休日労働の間では、使用者が労働者に支払うべき賃金の割増率につき、以下の違いがある点に注意が必要です。
振替休日とは
振替休日とは、労働日と法定休日をあらかじめ入れ替えることにより、労働日から休日になった日をいいます。
就業規則などによって、振替休日の制度が定められることがあります。
振替休日の代わりに労働日となった日(=もともと法定休日)については、その日の労働には休日労働の割増賃金でなく、通常の賃金が発生します。
代休とは
代休とは、法定休日に働いた労働者に対して、事後的に与えられる代わりの休日です。
振替休日は労働日と法定休日をあらかじめ入れ替えるのに対して、代休は事後的に付与されるという違いがあります。
また、代休の場合は振替休日と異なり、法定休日の労働について休日労働の割増賃金が発生します。
祝日とは
祝日とは、国民の祝日に関する法律で定められた日(=国民の祝日)です。現在のところ、以下の休日が定められています(同法2条)。
①元日(1月1日)
②成人の日(1月の第2月曜日)
③建国記念の日(2月11日)
④天皇誕生日(2月23日)
⑤春分の日(春分日:3月20日~21日ごろ)
⑥昭和の日(4月29日)
⑦憲法記念日(5月3日)
⑧みどりの日(5月4日)
⑨こどもの日(5月5日)
⑩海の日(7月の第3月曜日)
⑪山の日(8月11日)
⑫敬老の日(9月の第3月曜日)
⑬秋分の日(秋分日:9月22日~24日ごろ)
⑭スポーツの日(10月の第2月曜日)
⑮文化の日(11月3日)
⑯勤労感謝の日(11月23日)
国民の祝日は休日とされていますが(同法3条)、会社に対して休日とすることを義務付けるものではありません。各会社は、事業上の都合などを踏まえた上で、国民の祝日を労働日と定めることもできます。
年次有給休暇とは
年次有給休暇とは、一定の要件を満たす労働者に対して付与される有給の休暇(取得しても賃金が減額されない休暇)です。
年次有給休暇は、雇い入れの日から起算して6カ月以上継続勤務しており、対象期間中の出勤率が全労働日の8割以上である労働者に対して付与しなければなりません(労働基準法39条。なお、労働基準法の定めよりも良い条件、例えば、入社直後に一律で付与するといったことは可能です)。
フルタイム労働者に限らず、パートやアルバイトなどの短時間労働者についても、所定労働日数や所定労働時間に応じて年次有給休暇を付与しなければなりません。
法定休日と法定外休日を判別する方法(いつが法定休日か)
法定休日と法定外休日では、その日に労働した場合の賃金の計算方法(割増率)が異なります。そのため、法定休日と法定外休日は区別して取り扱わなければなりません。
法定休日と法定外休日は、以下の要領で区別します。
1|労働契約・就業規則の定めがある場合
法定休日と法定外休日を区別する方法について、労働契約または就業規則に定めがある場合は、その定めに従います。
(例)「休日は土曜日および日曜日とする。そのうち、法定休日は日曜日とする。」と就業規則に定められている
→土曜日が法定外休日、日曜日が法定休日
2|労働契約・就業規則の定めがない場合
法定休日と法定外休日を区別する方法について、労働契約または就業規則に定めがない場合は、以下の要領で法定休日と法定外休日を区別します。
週1日を法定休日とする場合
週1日を法定休日とする場合は、日曜から土曜を1週間として、もっとも後ろに位置する休日が法定休日、それ以外の休日が法定外休日となります。
(例)「休日は土曜日および日曜日とする。」と就業規則に定められているが、法定休日と法定外休日を区別する方法が定められていない場合
→土曜日が法定休日、日曜日が法定外休日
4週間を通じて4日を法定休日とする場合
4週間を通じて4日を法定休日とする場合は、その4週間のうち、もっとも後ろに位置する4日間の休日が法定休日、それ以外の休日が法定外休日となります。
(例)8月1日から28日の4週間において、8月10日から13日、8月25日から28日の計8日間が労働契約によって休日と定められているが、法定休日と法定外休日を区別する方法が定められていない場合
→8月25日から28日の4日間が法定休日、8月10日から13日の4日間が法定外休日
法定休日における休日労働のルール
休日労働を命ずるには「36協定」の締結が必要
労働者を法定休日に働かせる(=休日労働をさせる)ためには、事業場ごとに「36協定」を締結しなければなりません(労働基準法36条1項)。
36協定は、事業場の労働者の過半数で組織された労働組合、または事業場の労働者の過半数代表者との間で締結します。
事業場の労働者の過半数代表者は、投票や挙手などの方法で民主的に選出する必要があり、使用者の意向に基づいて選出することは認められません。
締結した36協定は、労働基準監督署に対して届け出ることにより、初めて効力を生じます。
36協定で定めるべき休日労働のルール
36協定では、休日労働に関して以下の事項を定める必要があります(労働基準法36条2項)。
- 休日労働をさせることができる労働者の範囲
- 休日労働をさせることができる場合(具体的な事由を記載する)
- 休日労働の上限日数(休日労働をさせることができる日を具体的に特定することも可)
- 休日労働の始業時刻および終業時刻(時間数の限度を定めることも可)
休日労働には割増賃金が発生|計算方法・計算例
休日労働をした労働者に対して、使用者は休日手当として、通常の賃金の135%以上の割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条1項、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。
休日手当=1時間当たりの基礎賃金×135%×休日労働の時間数
1時間当たりの基礎賃金
=1カ月の総賃金÷月平均所定労働時間
(例)
1時間当たりの基礎賃金:2,000円
休日労働の時間数:10時間
休日手当
=2,000円×135%×10時間
=2万7,000円
なお、以下の手当は1カ月の総賃金から除外されます。
- 1カ月の総賃金から除外される手当
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・時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
・家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
・通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
・臨時に支払われた賃金
・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
法定休日を付与する義務に違反した場合の罰則
使用者が、労働者に対して法定休日を付与する義務に違反した場合は、労働基準監督署による行政指導の対象となります。
さらに、悪質な場合は刑事罰の対象となり、行為者は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処されます(労働基準法119条1項1号)。
役員や従業員によって違反がなされた場合は、会社にも「30万円以下の罰金」が科されます(同法121条)。
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