コンプライアンス委員会とは?
役割・設置のメリット・
運営上の注意点などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

コンプライアンス委員会」とは、企業がコンプライアンスを徹底するため、社内に設置する委員会です。

コンプライアンス委員会を設置すると、コンプライアンス意識が普段から社内に浸透するとともに、違反が発生した際には適切に対応できるメリットがあります。また、コンプライアンス委員会の設置を対外的に発信すれば、企業イメージの向上も期待できます。

コンプライアンス委員会の委員は、コンプライアンスに関する知見や経験、バックグラウンドの多様性などに着眼して選定しましょう。外部有識者も委員に含めることが望ましいです。
また、コンプライアンス委員会の設置・運営に関する社内規程(=コンプライアンス委員会規程)も作成しておきましょう。

この記事ではコンプライアンス委員会について、役割・設置のメリット・運営上の注意点などを解説します。

ヒー

「当社のコンプライアンス委員会を立ち上げたい」という提案がありました。衛生委員会みたいに進めればいんでしょうか…?

ムートン

コンプライアンス委員会は、法令遵守やリスク管理などに寄与する重要な委員会です。設置のメリットや委員の選任方法などを分かりやすく説明していきますね。

※この記事は、2026年4月10日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

コンプライアンス委員会とは

コンプライアンス委員会」とは、企業がコンプライアンスを徹底するため、社内に設置する委員会です。

コンプライアンス」とは、法令をはじめとする社会規範を遵守することをいいます。特にSNSが普及した近年では、企業に対する社会の監視が強まったことに伴い、厳格なコンプライアンスが求められるようになりました。

コンプライアンス委員会は、法令違反等によるトラブルのリスクから企業を守るため、その予防対応などの業務を行います。

コンプライアンス委員会の役割

コンプライアンス委員会の役割は、企業におけるコンプライアンスを確保すべく、体制整備をはじめとする違反の予防策や、不祥事が発生した際の対応を行うことです。具体的には、次に挙げる役割などを担います。

・社内規程や行動指針の策定、見直し
・社内研修などの周知、啓発活動
・コンプライアンス違反に関する通報の受付、対応
・発生した不祥事に関する調査、対応、再発防止策
など

コンプライアンス委員会を設置するメリット

コンプライアンス委員会を設置することには、主に次のメリットがあります。

① コンプライアンス意識の社内への浸透
② コンプライアンス違反発覚時の適切な対応
③ 対外的な企業イメージの向上

コンプライアンス意識の社内への浸透

コンプライアンス委員会は、コンプライアンスの意識を社内に浸透させるため、研修などを通じた周知・啓発の活動を行います。役員などの上層部から末端の従業員まで、全員がコンプライアンスの重要性を正しく理解すれば、不正行為の未然防止に繋がります。

コンプライアンス違反発覚時の適切な対応

コンプライアンス違反による不祥事が発生した場合には、コンプライアンス委員会が中心となって事実関係の調査や原因分析を行い、事態の収拾や再発防止に向けた対応を行います。

コンプライアンスに関して専門性を有する委員が、第三者的な視点から知見を持ち寄ることにより、適切な対応が期待できます。迅速に事態を収拾できる可能性が高まりますし、検討の行き届いた再発防止策によって不祥事のリスクも抑えられます

対外的な企業イメージの向上

コンプライアンス委員会を設置したうえで、その旨を対外的に発信すれば、法令遵守ガバナンスを重視する姿勢を示すことができます。

その結果、取引先・顧客・投資家などから信頼を得やすくなり、企業価値の向上にも寄与することでしょう。不祥事のリスクに対してきちんと備えている企業だと評価され、長期的な事業の安定にも繋がります。

コンプライアンス委員会を設置するデメリット|人件費の負担

コンプライアンス委員会を設置する際には、人件費の負担が課題となります。専任の委員を設置する場合は、配置転換や新規雇用が必要です。弁護士など外部の有識者を招聘する際にも、報酬を支払う必要があります。

コンプライアンスに関する専門性や知見を有する人材は、人件費が高い傾向にあるため、特に中小企業においてはコスト負担が重くなりがちです。コンプライアンス委員会の設置に当たっては、その規模運営体制などを慎重に検討しなければなりません。

コンプライアンス委員会の委員

コンプライアンス委員会には、コンプライアンスに関する知見を備え、かつ多様なバックグラウンドを有する委員を選任することが求められます。

委員の人数|3~10人程度

コンプライアンス委員会の委員の人数は、コストや意思決定のスピード、委員会としての機能の充実などのバランスを考慮して決めましょう。

合議制とすることを考慮すると、少なくとも3人程度の委員が必要となります。その一方で、多すぎると意思決定のスピードが遅くなるなどのデメリットがあるため、特に規模の大きな企業を除けば10人程度までに抑えるのが適切と考えられます。

委員の人数が多い場合と少ない場合の主なメリット・デメリットは、次のとおりです。自社の実態に適した人数を設定してください。

メリットデメリット
委員が多い場合・幅広い知見やバックグラウンドを持った委員を揃えられる
・不祥事発生時には人員の多さを活かし、迅速に調査や対応を行うことができる
・委員相互間の監視が働きやすい
・人件費の負担が重くなる
・会議の開催等にコストがかかる
・議論が紛糾すると、意思決定のスピードが遅くなることがある
委員が少ない場合・人件費の負担が比較的軽い
・少人数の合議により、機動的な意思決定がしやすい
・知見やバックグラウンドの多様性を確保しにくい
・不祥事発生時に調査や対応を行う際、人手が不足することがある
・委員相互間の監視が働きにくい

委員を選定する際の着眼点

コンプライアンス委員会の委員を選定する際には、主に次の観点に着目するとよいでしょう。

① コンプライアンス実務に関する知見・経験
② バックグラウンドの多様性|職歴・性別など
③ 外部有識者(弁護士など)を含めることが望ましい

コンプライアンス実務に関する知見・経験

コンプライアンス委員会の委員には、法務・内部監査・人事などの分野において、コンプライアンスに関する知見や実務経験を有する人材を選定することが重要です。

法令社内規程などに対する理解に加え、不祥事対応リスク管理の経験があれば、不祥事の予防策や対応に関して実効性の高い議論や適切な判断が可能となります。机上の知識だけでなく、現場感覚を踏まえた対応力も重視して人選を行いましょう。

バックグラウンドの多様性|職歴・性別など

コンプライアンス委員会の各委員の間では、バックグラウンドの多様性を確保することも重要です。

職歴専門分野性別年齢などが異なる人材が委員に含まれていれば、多角的な視点からコンプライアンスに関するリスクや課題を検討できます。特定の価値観に偏らず、社会的常識に沿った意思決定を期待しやすくなります。

外部有識者(弁護士など)を含めることが望ましい

コンプライアンス委員会の委員には、弁護士公認会計士などの外部有識者を含めることが望ましいです。

外部有識者からは、社内の利害関係にとらわれない独立した立場からの助言や指摘を受けることができます。コンプライアンス委員会の客観性・透明性や専門性が向上し、信頼度の向上にも繋がります。

コンプライアンス委員会規程に定めるべき主な事項

コンプライアンス委員会の設置に当たっては、社内規程として「コンプライアンス委員会規程」を定めるのが一般的です(あるいは「コンプライアンス規程」を策定して、その中で委員会に関する規定を置くことも考えられます)。

コンプライアンス委員会規程には、主に次の事項を定めます。

① 規程の目的
② 委員会の構成・委員の任期など
③ 委員会の所管事項
④ 委員会の運営・議決・議事録

規程の目的

(例)
第1条(目的)
本規程は、○○株式会社(以下「会社」という。)において設置するコンプライアンス委員会(以下「委員会」という。)につき、その組織および運営等に関する事項を定めるものである。

コンプライアンス委員会規程の位置づけや役割を、冒頭において明示します。

委員会の構成・委員の任期など

(例)
第2条(委員会の構成等)
1. 委員会は3人以上5人以下の委員で構成し、委員の中から委員長1人および副委員長1人を選出する。
2. 委員には、必ず男性1人以上、女性1人以上および外部有識者1人以上を含むものとする。
3. 委員長は、委員会を代表し、その運営を統括する。副委員長は、委員長を補佐し、委員長が欠けた場合その他必要な場合には委員長の職務を代行する。
4. 委員の任期は選任後1年間とし、再任を妨げない。

委員の人数や役職、任期などを定めます。構成の多様性を確保するため、男女双方を含むべき旨や外部有識者を含むべき旨などを定めることも考えられます。

委員会の所管事項

(例)
第3条(委員会の所管事項)
委員会は、次に掲げる事項を所管する。
(1) コンプライアンスに関する方針の策定、ならびにその周知および啓発
(2) コンプライアンスの遵守状況の監督
(3) コンプライアンス違反に関する調査および対応、ならびに再発防止策の検討および実施
(4) 前各号のほか、コンプライアンスに関して必要な事項

コンプライアンス委員会が所管する事項を明記します。委員会の役割を宣言し、責任の所在を明らかにする意味があります。

委員会の運営・議決・議事録

(例)
第4条(委員会の運営等)
1. 委員会は、委員長が招集する。ただし、委員長が欠けた場合その他必要な場合には、副委員長が委員会を招集することができる。さらに副委員長も欠けた場合その他必要な場合には、各委員が委員会を招集することができる。
2. 委員会の開催には、議決に加わることができる委員の過半数の出席を要する。
3. 委員長は委員会の議長を務め、その議事進行を行う。ただし、委員長が欠けた場合その他必要な場合には、出席した委員の互選による議長を定める。
4. 委員会が必要と認めるときは、議事に関係する者を委員会に出席させることができる。
5. 委員会における決議は、議決に加わることのできる出席委員の過半数をもって行う。ただし、決議事項について特別の利害関係を有する委員は、議決権を行使することができない。
6. 委員会の議事については議事録を作成し、3年間保存するものとする。

委員会の運営や議決、議事録の作成・保存に関する事項を定めます。公正かつ円滑に議事が進行するように、必要な事項を定めましょう。

コンプライアンス委員会の活動と注意点

コンプライアンス委員会の平時・有事における活動注意点、人件費等に充てるリソースに乏しい中小企業がコンプライアンス委員会を設置する際の対応について解説します。

平時の活動|コンプライアンスに関する方針や計画の立案、啓発など

具体的な不祥事等が発生していないときは、コンプライアンス委員会は次のような活動を行います。

コンプライアンス委員会の活動内容(例)

・コンプライアンスに関する方針や行動規範の策定、見直し
・不祥事発生時に備えた対応マニュアルや体制の整備
・法令改正等の動向の把握、社内規程等への反映
・従業員向けのコンプライアンス研修の企画、実施
・内部通報制度の運用状況の確認
・コンプライアンスに関する相談等への対応
・コンプライアンスに関する各部門との連携
・経営層への定期報告、改善の提案
など

これらの活動を継続的に行うことで、不祥事の未然防止や、企業全体でのコンプライアンス意識の維持・向上を図ります。他の部門や経営層と適切に連携することが必要不可欠です。

有事の活動|不祥事に関する調査、対応、再発防止

企業内で不祥事等が発生したときは、コンプライアンス委員会は次のような活動を行います。

コンプライアンス委員会の活動内容(不祥事が発生したとき・例)

・初動対応に関する関係部門への指示、情報統制
・事実関係の調査(社内ヒアリング、資料収集、外部専門家への依頼など)
・証拠の保全、情報漏えい防止措置の実施
・法令違反の有無の検証、法的リスクの評価
・経営層への報告、意思決定のサポート
・関係当局への報告、対応
・被害者、取引先、株主等への対応方針の検討
・関係者の処分の検討、実施
・再発防止策の検討、実施
など

不祥事発生時の対応は、迅速かつ多角的な観点から行うことが求められます。コンプライアンス委員会の委員だけでなく、経営層や各部門の責任者などと連携して、不祥事による影響を最小限に食い止めましょう。

中小企業の場合|リソースが少ないときの対応

中小企業においては、コンプライアンス委員会の設置に当たって人件費などのコストが大きな課題となります。

最初は、他業務との兼任者を含めて3人程度の委員で構成される、小規模なコンプライアンス委員会を設置することから始めてみましょう。役員、法務担当者、外部弁護士といった構成が考えられます。
小規模なコンプライアンス委員会でも、設置すれば役割が明確になり、社内に向けた周知・啓発などの活動へ徐々に取り組むことができます。

企業の規模が大きくなってきたら、委員の人数を増やしたり、専任の委員を置いたりすることを検討しましょう。コンプライアンス体制がより強化され、企業不祥事のリスクを抑えることができます。

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