実労働時間とは?
その内訳・労働基準法のルール・
その他の労働時間との違いについての
注意点などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

実労働時間」とは、労働者が実際に働いた時間を言います。

所定労働時間のほか、法定内残業・時間外労働・休日労働の時間が実労働時間に含まれます。手待ち時間や業務中の移動時間も、実労働時間に当たります。
これに対して、休憩時間や通勤時間は実労働時間に含まれません。

実労働時間については、労働基準法によってさまざまなルールが定められています。主なルールは以下のとおりです。
労働時間の上限に関するルール|法定労働時間・36協定など
② 休憩に関するルール|実労働時間が一定以上なら、休憩の付与が必要
③ 賃金に関するルール|時間外手当・休日手当・深夜手当など

企業は、労働者の実労働時間を正確に把握する必要があります。機械的な記録ができる勤怠管理システムの導入などを検討しましょう。

この記事では実労働時間について、内訳や労働基準法のルール、管理に当たっての注意点などを解説します。

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「実労働時間」にはどのようなものが含まれるのでしょうか?

ムートン

使用者の指揮命令下にあれば、移動や手待ち時間も含まれます。実労働時間に関する労働基準法のルールや、所定労働時間との違いについても解説しましょう。

※この記事は、2025年11月22日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • ・改善基準告示…自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

実労働時間とは

実労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下で実際に働いた時間を言います。単に「労働時間」と呼ぶこともあります。使用者は労働者に対し、実労働時間に応じた額の賃金を支払わなければなりません。

拘束時間から休憩時間等を除いた時間が実労働時間

労働者が使用者に拘束されている時間は「拘束時間」と呼ばれることがあります。トラックドライバーなどに適用される改善基準告示では、「拘束時間」の用語が使われています。

改善基準告示における拘束時間の定義は、「労働時間、休憩時間その他の使用者に拘束されている時間」です。したがって、拘束時間から主に休憩時間を除いたものが実労働時間であると理解できます

実労働時間に含まれるか否かの判断基準|指揮命令の有無

実労働時間に当たるかどうかは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているか否かによって判断します
「使用者の指揮命令下に置かれている」という状況には、実際に使用者の業務に従事している場合に加えて、使用者の指示があればすぐに業務へ取りかかれる準備をしている場合なども含まれます。

実労働時間に含まれるものと含まれないものの具体例については、「実労働時間に含まれるもの」「実労働時間に含まれないもの」にて詳しく解説します。

実労働時間と所定労働時間・法定労働時間の違い

労働時間に関連する用語は数多く存在しますが、その中でも「所定労働時間」と「法定労働時間」は重要度の高いものです。
実労働時間と所定労働時間・法定労働時間の違いや関係性を解説します。

実労働時間と所定労働時間の違い

所定労働時間」とは、労働契約や就業規則で定められた労働時間です

労働者の基本給は、所定労働時間に対して支払われます。言い換えれば、基本給と残業代の境目となるのが所定労働時間ということです

実労働時間は、所定労働時間を超えることもあります。その場合、使用者は労働者に対して、所定労働時間を超える部分に対応した残業代を支払わなければなりません。

実労働時間と法定労働時間の違い

法定労働時間」とは、労働基準法によって定められた労働時間の上限です。原則として1日当たり8時間、1週当たり40時間とされています。

使用者は原則として、労働者に法定労働時間を超える労働をさせてはなりません(労働基準法32条)。法定労働時間を超えて労働させるには、労働組合等との間で36協定(後述)を締結する必要があります。

36協定を締結していれば、その規定の範囲内で、実労働時間が法定労働時間を超えることも認められます。この場合、超えた部分には時間外労働として割増賃金を支払わなければなりません(同法37条1項)。

実労働時間に含まれるもの

実労働時間に含まれるのは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間です。具体的にどのような時間が実労働時間に当たるのかを解説します。

実労働時間の内訳

実労働時間に含まれるのは、以下の時間です。

① 所定労働時間
② 法定内残業の時間
③ 時間外労働の時間
④ 休日労働の時間

所定労働時間

所定労働時間」とは前述のとおり、労働契約や就業規則で定められた労働時間を言います。所定労働時間は、労働者が使用者のために労働する義務を負う時間なので、実労働時間に含まれます

法定内残業の時間

法定内残業」とは、所定労働時間を超えるものの、法定労働時間を超えない範囲の残業時間です。

例えば1日の所定労働時間が7時間30分で、ある1日に9時間働いたとします。法定労働時間は1日当たり8時間です。
残業時間1時間30分のうち、法定労働時間を超えない30分が法定内残業に当たります。

法定内残業の時間は、労働者が使用者の指示に従って残業をする義務を負っているので、実労働時間に含まれます

時間外労働の時間

時間外労働」とは、法定労働時間を超える残業時間です。

例えば1日の所定労働時間が7時間30分で、ある1日に9時間働いたとします。法定労働時間は1日当たり8時間です。
残業時間1時間30分のうち、法定労働時間を超える1時間が時間外労働に当たります。

使用者が労働者に時間外労働をさせるには、36協定を締結していなければなりません。また、時間外労働には通常の賃金に対して25%以上の割増賃金に支払いを要します。

時間外労働も、労働者が使用者の指示に従って行うものなので、その時間は実労働時間に含まれます

休日労働の時間

休日労働」とは、法定休日に行われる労働です。

使用者には労働者に対し、週1回または4週間を通じて4日以上の休日を与えることが義務付けられています(労働基準法35条)。この規定によって付与が義務付けられた休日を「法定休日」といい、法定休日における労働は休日労働に当たります。

使用者が労働者に休日労働をさせるには、時間外労働と同じく36協定の締結が必要です。また、休日労働には通常の賃金に対して35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

休日労働も、労働者が使用者の指示に従って行うため、その時間は実労働時間に含まれます

なお、法定休日以外の休日は「法定外休日」と呼ばれています。法定外休日における労働は、法定内残業または時間外労働に当たるため、やはり実労働時間に含まれます。

手待ち時間や業務中の移動時間も、実労働時間に含まれる

実際に業務を行ってはいないものの、使用者の指示があれば対応できるように待機している時間は「手待ち時間」と呼ばれることがあります。
手待ち時間においては、労働者は労働の義務から解放されておらず、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できます。したがって、手待ち時間は実労働時間に含まれます

また、業務に必要な移動の時間も、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるので、実労働時間に含まれます

着替えや清掃は実労働時間に含まれる?

業務の前後に服を着替える時間は、その着替えが業務に必要なものであれば、実労働時間に含まれると考えられます
例えば、接客を担当する店舗スタッフが私服から制服に着替える時間や、制服から私服に着替える時間は、実労働時間に当たる可能性が高いです。
これに対して、私服での勤務が認められている人が、出勤時とは別の私服に着替える時間などは、業務に必要なものとは認められないので、実労働時間に含まれないと思われます。

清掃の時間は業務の一環であり、労働者が使用者の指揮命令下にあると考えられるので、実労働時間に当たります

実労働時間に含まれないもの

労働者が使用者の指揮命令下にない時間は、実労働時間に含まれません。具体的には、以下の時間は実労働時間に当たりません。

① 休憩時間
② 通勤時間

休憩時間

休憩時間は、労働者が自由に利用できるものとされています(同条3項)。労働者が労働の義務から解放されており、使用者の指揮命令に服していないため、休憩時間は実労働時間に当たりません

ただし、実際には使用者の指示があれば対応しなければならない「手待ち時間」であるケースもよく見られます。この場合は、休憩時間という名目でも実労働時間に含まれるのでご注意ください。

通勤時間

通勤時間は一般に、労働者は業務に従事する義務を負いません。すなわち、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないので、通勤時間は実労働時間に含まれないのが原則です

ただし、通勤中もオンライン等で業務を行うよう指示されている場合などには、通勤時間も実労働時間に含まれます。

実労働時間の計算に関する注意点

企業が実労働時間に管理する際には、特に以下のポイントに注意してください。

① 実労働時間は1分単位で集計するのが原則|ただし端数処理に注意
② 遅刻・早退時の賃金の取り扱い

実労働時間は1分単位で集計するのが原則|ただし端数処理に注意

実労働時間は原則として1分単位で集計し、その分数に応じた賃金を支払わなければなりません。タイムカードや勤怠管理システムを活用して、正確に実労働時間を記録しましょう。

ただし、以下に挙げる端数処理を行うことは認められています。

(a) 1時間当たりの賃金額や割増賃金額に生じた1円未満の端数につき、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる。
(例)
1時間当たり2025円49銭→2025円
10時間働いたので、2万0250円

(b) 1カ月間の時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金の総額に生じた1円未満の端数につき、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる。
(例)
7万5025円49銭→7万5025円

(c) 1カ月間の時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数につき、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる。
(例)
時間外労働10時間25分→10時間
1時間当たり2025円なら、2万0250円

遅刻・早退時の賃金の取り扱い

労働基準法では、賃金は実労働時間に応じて支払うものとされています。したがって、遅刻や早退によって実労働時間が減った場合には、その分の賃金を基本給から控除して構いません

ただし、遅刻や早退をした場合でも、その日の実労働時間が所定労働時間を超えていれば、超過分について残業代を支払う必要があります。

実労働時間に関する労働基準法のルール

実労働時間については、長時間労働抑制などの観点から、労働基準法によって以下のルールなどが定められています。

① 労働時間の上限に関するルール|法定労働時間・36協定など
② 休憩に関するルール|実労働時間が一定以上なら、休憩の付与が必要
③ 賃金に関するルール|時間外手当・休日手当・深夜手当など

労働時間の上限に関するルール|法定労働時間・36協定など

使用者は原則として、労働者に法定労働時間を超える労働をさせてはなりません(労働基準法32条)。法定労働時間は原則として、1日当たり8時間、1週当たり40時間とされています。

事業場ごとに「36協定」を締結すれば、法定労働時間を超えて労働者を働かせることも認められます(同法36条)。
36協定は、時間外労働の上限時間などのルールを定めたうえで、使用者と労働組合等の間で締結します。36協定を発効させるには、労働基準監督署に対する届出が必要です。

休憩に関するルール|実労働時間が一定以上なら、休憩の付与が必要

使用者は労働者に対し、少なくとも以下の時間の休憩を与えることが義務付けられています(労働基準法34条1項)

(a) 労働時間が6時間を超える場合
→45分

(b) 労働時間が8時間を超える場合
→1時間

※労働時間が6時間以下の場合は、休憩の付与は不要

休憩に関して、使用者は以下の3原則を遵守しなければなりません。

(a) 途中付与の原則(労働基準法34条1項)
休憩時間は、労働時間の途中に与えなければなりません

(b) 一斉付与の原則(同条2項)
休憩時間は原則として、事業場の労働者全員に対して一斉に与える必要があります。ただし、労使協定の定めに従って分散付与をすることは可能です。

(c) 自由利用の原則(同条3項)
休憩時間は、労働者の自由に利用させなければなりません。指示を受けたらすぐ対応できるように待機させている場合は、休憩時間として認められません。

賃金に関するルール|時間外手当・休日手当・深夜手当など

時間外労働・休日労働・深夜労働に対しては、以下の割合による割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条1項・4項)

概要割増率
時間外労働法定労働時間を超える残業通常の賃金に対して25%以上
※月60時間を超える部分は、通常の賃金に対して50%以上
休日労働法定休日の労働通常の賃金に対して35%以上
深夜労働午後10時から午前5時までに行われる労働通常の賃金に対して25%以上

実労働時間に関する労働基準法のルールが適用されないケース

以下のいずれかに該当する労働者には、これまで解説した労働基準法の各ルールが適用されません。

(a) 農林の事業・水産の事業の労働者
→以下の事業に従事する者
・土地の耕作、開墾の事業
・植物の栽植、栽培、採取、伐採の事業
・その他農林の事業(林業を除く)
・畜産の事業
・養蚕の事業
・水産の事業

(b) 管理監督者
→経営者と一体的な立場にある労働者
※単に「管理職」であるだけでは、管理監督者に当たるとは限りません。

(c) 機密の事務を取り扱う労働者
→経営者または管理監督者の活動と一体不可分の職務を行う労働者
(例)経営者専属の秘書など

(d) 監視・断続的労働に従事する労働者
→通常時は身体または精神的緊張の少ない監視の業務、または休憩時間は少ないものの手待ち時間が多い業務を行う労働者(使用者が労働基準監督署長の許可を受けた場合に限ります)
(例)
監視:守衛・門番・計器類の監視員・踏切番など
断続的労働:炊事番・用務員・専属運転手・マンション管理人など

(e) 高度プロフェッショナル制度が適用される労働者
→労使委員会決議に基づき、業務の進め方などについて広い裁量が与えられている年収1075万円以上の労働者

ただし、高度プロフェッショナル制度が適用される労働者を除き、深夜労働の割増賃金に関する規定は適用されます。

労働安全衛生法による労働時間の把握義務|勤怠管理システムなどの導入を

労働時間を把握することは、労働基準法の残業代や労働時間規制を遵守するために必要不可欠です。また、労働安全衛生法66条の8の3においても、事業者(使用者)には労働時間の把握が義務付けられています。

労働時間を正確に把握するためには、タイムカードや勤怠管理システムによって機械的に記録することが効果的です。労働者の自己申告に委ねている企業は、タイムカードや勤怠管理システムの導入を積極的にご検討ください。

ムートン

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