年間休日の最低日数は104日?105日?
高度プロフェッショナル制度での義務化が
いつからかや企業のとるべき
休日確保の対応について解説!

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この記事のまとめ

労働基準法では、労働者の健康を保護するため、休日や労働時間に関する制限が設けられています。

法定労働時間は原則として週40時間とされているため、1日の所定労働時間が8時間であれば、週休2日制とするのが一般的です。週休2日制の場合、1年間の休日は104日または105日以上となります
ただし、36協定を締結して時間外労働や休日労働をさせる場合は、1年間の休日が104日を下回ることもあり得ます

高度プロフェッショナル制度の労働者については、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日を与えることが義務付けられています。制度の対象は高度の専門的知識等を有し、年収が1075万円以上で一定の職種に就いている労働者です。
高度プロフェッショナル制度を導入するには、労使委員会決議で法令所定の事項を定める必要があります。

この記事では、年間休日の最低日数や、高度プロフェッショナル制度における取り扱い、企業が行うべき休日確保の取り組みなどを解説します。

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年間休日を104日以上付与することが義務付けられたと聞いたのですが、なんのことでしょうか?

ムートン

それは、法定労働時間を遵守した場合の年間休日の最低ラインのことですね。義務化というのは、高度プロフェッショナル制度の労働者に関することでしょう。どちらも詳しくみていきましょう。

※この記事は、2025年10月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

年間休日の最低日数は?

労働基準法では、労働者の健康を保護するため、休日や労働時間に関する制限が設けられています。

法定労働時間は原則として週40時間とされているため、1日の所定労働時間が8時間であれば、週休2日制とするのが一般的です。週休2日制の場合、1年間の休日は104日または105日以上となります。
ただし、36協定を締結して時間外労働や休日労働をさせる場合は、1年間の休日が104日を下回ることもあり得ます。

最低でも週1日、法定休日を与える必要がある

使用者は労働者に対し、最低でも週1日、または4週間を通じて4日の休日を与えなければなりません(労働基準法35条)。法律によって付与が義務付けられている休日という意味で、「法定休日」と呼ばれています。

多くの企業では、法定休日を週1日付与しています。なお、週2日以上の休日を付与している場合は、そのうち1日のみが法定休日として取り扱われます。

法定労働時間は原則として「週40時間」|1日8時間なら週休2日制

労働時間は、原則として1日当たり8時間以内、1週間当たり40時間以内とされています(労働基準法32条)。これは「法定労働時間」と呼ばれるものです。

法定休日は週1日ですが、法定労働時間の範囲内で1日8時間労働させる場合は、週2日の休日を与える必要があります。このような理由から、週休2日制を採用している企業が多く見られます。

週休2日制の場合、1年間の休日は104日or105日以上

1年間(365日)は52週と1日です。したがって週休2日制を採用する場合、1年間の休日は104日または105日となります

実際には、カレンダーに従って祝日を休日としたり、夏季休暇・年末年始休暇を付与したりするなどの関係で、104日または105日を上回る日数の休日を設けているケースが多いです。

36協定を締結すれば、年間休日104日未満もあり得る

労働組合などとの間で「36協定」と呼ばれる労使協定を締結すれば、その規定の範囲内で、労働者に時間外労働や休日労働をさせることが認められます

36協定を締結していれば、休日に労働者を働かせることによって、年間休日が104日を下回ることもあり得ます。

ただし、労働時間が長くなり過ぎたり、休みなしで連勤を続けさせたりすると、労働災害やパフォーマンス低下などのリスクが高くなるので十分ご注意ください

高度プロフェッショナル制度の労働者は、年間104日以上の休日確保が必要

2019年4月の労働基準法改正により導入された「高度プロフェッショナル制度」では、対象となる労働者につき、年間104日以上の休日を確保することが義務付けられています

高度プロフェッショナル制度とは|2019年4月施行

高度プロフェッショナル制度」とは、高度な専門知識を有する労働者に、働き方に関する広い裁量を認める制度です(労働基準法41条の2)。2019年4月1日から施行された労働基準法改正によって新たに導入されました。

高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者には、労働時間・休憩・休日・深夜の割増賃金に関する規定が適用されません。自由な働き方を認めることにより、生産性の向上などが期待されます。

高度プロフェッショナル制度の対象となる業務

高度プロフェッショナル制度の対象となるのは、以下の業務です(労働基準法41条の2第1項第1号、労働基準法施行規則34条の2第3項)。

① 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(例)アクチュアリー

② 以下の業務
・投資判断に基づく資産運用の業務
・投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務
・投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
(例)アセットマネージャー、ファンドマネージャー

③ 有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析・評価、またはこれに基づく投資に関する助言の業務
(例)証券アナリスト

④ 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査・分析、およびこれに基づく当該事項に関する考案・助言の業務
(例)コンサルタント

⑤ 新たな技術・商品・役務の研究開発の業務
(例)企業の研究職

なお、高度プロフェッショナル制度の対象とすることができるのは、年収の見込額が1075万円以上である労働者に限られます(労働基準法41条の2第1項第2号ロ、労働基準法施行規則34条の2第6項)。

高度プロフェッショナル制度の導入手続き|労使委員会決議など

高度プロフェッショナル制度を導入する際の手続きの流れは、以下のとおりです。

① 労使委員会の設置
高度プロフェッショナル制度の導入について議論をするための労使委員会を設置します。委員は3名以上で、そのうち半数以上は過半数労働組合または労働者の過半数労働者が指名した者でなければなりません。
労使委員会の設置に当たっては、招集・定足数・議事などを定めた運営規程の作成が必要です。

② 高度プロフェッショナル制度の導入に関する労使委員会決議
高度プロフェッショナル制度の内容を、労使委員会において決議します。決議の成立には、出席委員の5分の4以上の賛成が必要です
労使委員会決議においては、対象業務や対象労働者の範囲、労働者の健康・福祉を確保するための措置など、幅広い事項を定める必要があります。

③ 労働基準監督署長への届出
労使委員会決議の内容を、労働基準監督署長に対して届け出ます(様式第14号の2)

参考:厚生労働省ウェブサイト「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」

④ 対象労働者の同意の取得
高度プロフェッショナル制度が適用されることにつき、対象労働者の書面または電磁的記録による同意を取得します

高度プロフェッショナル制度の労働者の健康への配慮|年間104日以上の休日確保など

高度プロフェッショナル制度の対象となる労働者には、労働時間・休憩・休日・深夜の割増賃金に関する規定が適用されません。そのため、通常の労働者よりも長時間労働や連続出勤などによる健康被害のリスクが高いと考えられます。

そこで労働基準法では、高度プロフェッショナル制度の労働者の健康に配慮するため、使用者に以下の措置を義務付けています

健康管理時間を把握する
健康管理時間」とは、事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計です。使用者には、労使委員会決議で定めた方法により、対象労働者の健康管理時間を把握することが義務付けられます。

② 一定日数以上の休日を確保する
1年間で104日以上、かつ4週間を通じて4日以上の休日を確保しなければなりません。

選択的措置を講じる
労使委員会決議や就業規則の定めにより、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
・11時間以上の勤務間インターバルの確保+深夜業の回数制限(月4回以内)
・週40時間を超える健康管理時間の制限(月100時間以内、または3カ月合計240時間以内)
・連続2週間(本人が請求したときは連続1週間×2回)の休日の付与(年1回以上)
・臨時の健康診断の実施(週40時間を超える健康管理時間が月80時間超、または申出があった労働者が対象)

健康・福祉確保措置を講じる
選択的措置とは別に、労使委員会決議の定めによって以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
・選択的措置のうち、③によって選択したもの以外のもの
・医師による面接指導(健康管理時間が一定時間を超えた労働者が対象)
・代償休日または特別な休暇の付与
・心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
・適切な部署への配置転換(勤務状況や健康状態に配慮して必要な場合)
・産業医等による助言、指導、対象労働者に対する保健指導

労働者の休日を少なくしすぎるのは危険|企業が負うリスク

高度プロフェッショナル制度が適用される労働者を除き、36協定を締結すれば、休日が年間104日を下回ることも一応認められます。

しかし、労働者の休日をあまりにも少なくしすぎると、以下のようなリスクが生じます。使用者としては、十分な休日を付与するよう努めましょう。

① 仕事のパフォーマンスが低下する
② 休職により従業員が離脱し、人手不足に陥る
③ レピュテーションが低下し、採用活動が難航する
④ 労働災害が発生し、損害賠償責任を負う

仕事のパフォーマンスが低下する

休日が少ないと、睡眠時間やリフレッシュに充てる時間などが減少し、労働者の仕事のパフォーマンスが低下する可能性が高いです。ミスが増えたり、仕事が遅々として進まなくなったりして、所属部署の業務に支障が生じてしまいます。

休職により従業員が離脱し、人手不足に陥る

休日が少ない労働者は、心身共に疲弊してしまい、休職に追い込まれるリスクがあります。休職によって予期せず労働者が離脱すると、所属部署が人手不足に陥り、他の労働者に大きな負担がかかってしまうおそれがあるので要注意です。

レピュテーションが低下し、採用活動が難航する

「休日が少ない」ことは、現代では職場の魅力の大幅な低下につながり得る要素です。休日出勤が多い、休ませてもらえないといった評判が広まると、新たな人材を採用しにくくなるおそれがあります

労働災害が発生し、損害賠償責任を負う

激務によって長時間労働や連勤を強いられた労働者が健康を害した場合、高い確率で労働災害(労災)の認定がなされます。

労災によって被災労働者が受けた損害の一部は労災保険によってカバーされますが、全額が補償されるわけではありません。労災保険によって補償されない部分については、使用者が損害賠償責任を負う恐れがあるので十分ご注意ください

適切に休日を確保するため、企業に求められる取り組み

労働者の休日を適切に確保するため、企業は以下の取り組みなどを行いましょう。

① 休日に関するルールの明確化・周知
② 「持ち帰り残業」の制限

休日に関するルールの明確化・周知

管理職の従業員が、部下に対して安易に休日出勤を指示することがないように、休日に関するルールを明確化して社内全体に周知しましょう。例えば、以下のような事項を定めることが考えられます。

  • 休日出勤の原則禁止、事前許可制
  • やむを得ず休日出勤をさせる場合のルール(時間制限、回数制限、上司による業務内容の報告など)

「持ち帰り残業」の制限

従業員が自宅などに業務を持ち帰ること(=持ち帰り残業)は、違法な長時間労働や休日労働の温床になりやすいので注意が必要です
使用者としては以下のような対応を検討し、持ち帰り残業の時間が際限なく増えないように管理を行いましょう。

  • 持ち帰り残業を原則禁止とする
  • やむを得ず持ち帰り残業をさせる場合は、上司などによる報告を義務付ける
  • 持ち帰り残業をしている時間を、機械的に把握できるシステムを導入する
ムートン

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