宣誓書とは?
誓約書との違い・提出を求められるケース・
宣誓違反のペナルティなどを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

宣誓書(せんせいしょ)」とは、記載された事項につき、作成者が宣誓を行う書面です。

宣誓書は、
✅ 行政機関に対する申立てや裁判における証言を行う場合
✅ 新たに公務員となる場合
✅ 新規上場を申請する場合
などに提出を求められます。

宣誓に違反すると、宣誓事項に応じて行政処分偽証罪懲戒処分上場廃止などのペナルティを受けるおそれがあるので注意が必要です。

なお、宣誓書と似ている「誓約書」は、民間の個人・法人間で授受される書面を指すのが一般的です。作成者が受領者に対して、誓約書に記載した事項を約束します。誓約書に違反した場合は、損害賠償責任などが発生します。

この記事では宣誓書について、誓約書との違い・提出を求められるケース・宣誓違反のペナルティなどを解説します。

ヒー

役員から「宣誓書」に署名していいか法務相談がありました。これって「誓約書」と同じですか?

ムートン

一般的には、宣誓書は行政機関などに提出するもので、誓約書は民間でやり取りするものです。具体例を見ていきましょう。

※この記事は、2024年3月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

宣誓書とは

宣誓書(せんせいしょ)」とは、記載された事項につき、作成者が宣誓を行う書面です。

宣誓とは

宣誓」とは、自らが述べる内容が真実であることや、自らの行動が遵守すべき規範に則っていることなどを、多数の人々に対して言明することをいいます。

特に公的な行為をする際には、不正行為がないことや、当該行為をする適格性などを確保する必要があります。そのため、一定の公的行為をする者に対しては、法令その他のルールによって宣誓が義務付けられています。

宣誓書と誓約書の違い

宣誓書と似ている用語として「誓約書(せいやくしょ)」が挙げられます。

誓約書とは、民間の個人・法人間で授受される書面を指すのが一般的です。作成者が受領者に対して、誓約書に記載した事項を約束します。
提出者が誓約書に違反した場合は、提出先に対して損害賠償責任などを負う可能性があります。

誓約書はあくまでも民間において授受される書面ですが、宣誓書は公的機関(証券取引所などを含む)に対して提出する書面です。
また、誓約書による誓約は提出先に対して行うものですが、宣誓書による宣誓は多数の人々に対して行うものである点も異なります。

宣誓書の提出を求められるケース

宣誓書は、例えば以下のような場面において提出が求められます。

① 行政機関に対する申立てを行う場合
② 裁判において証言をする場合
③ 新たに公務員となる場合
④ 新規上場を申請する場合
⑤ 信用保証協会に対して保証を申し込む場合

行政機関に対する申立てを行う場合

行政機関に対する申立てを行う際には、宣誓書の提出が求められることがあります。

一例として、外国人が帰化申請を行う場合や、一定の助成金・補助金の受給を申請する場合などにおいて、申請要件を確認するために宣誓書の提出が求められています。

裁判において証言をする場合

民事訴訟および刑事訴訟における証人には、法律上特別の定めがある場合を除き、宣誓が義務付けられています(民事訴訟法201条1項、刑事訴訟法154条)。
証人の証言は訴訟における重要な証拠となることを踏まえて、偽証を防止するために宣誓が課されています。
なお、鑑定人も宣誓義務を負います(民事訴訟法216条、刑事訴訟法166条)。

証人(鑑定人を含む)の宣誓は、宣誓書を作成した上で、その内容を法廷において朗読する形で行われます。宣誓をした証人が虚偽の陳述をしたときは「偽証罪」が成立し、「3カ月以上10年以下の懲役」に処されます(刑法169条)。

また民事訴訟においては、当事者本人に対する尋問の際にも、当事者に宣誓をさせることができます(民事訴訟法207条1項)。実務上は、裁判所が当事者に対して宣誓を指示するのが一般的です。

当事者による宣誓も、証人と同様に、宣誓書を作成した上で、その内容を法廷において朗読して行います。
宣誓をした当事者が虚偽の陳述をしたときは10万円以下の過料に処されます(民事訴訟法209条1項)。なお、当事者について偽証罪は成立しません。

民事訴訟とは異なり、刑事訴訟においては、被告人本人による宣誓は行われません。被告人には、刑事責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されない権利(=自己負罪拒否特権)があるためです。

新たに公務員となる場合

新たに国家公務員となる者には、宣誓書の提出が義務付けられています(国家公務員法97条、職員の服務の宣誓に関する政令1条)。
また、新たに地方公務員になる者にも、宣誓書の提出が義務付けられています(地方公務員法31条、各地方公共団体の条例)。

公務員は、国民または住民全体の奉仕者として、公共の利益のために職務を行うべき者です。その職務の公共性から、公務員には高度の職業倫理が求められるため、宣誓書の提出が課されています。

新規上場を申請する場合

証券取引所に対して新規上場を申請する際には、宣誓書の提出が求められます。
上場申請時の宣誓書には、申請書類に記載された内容が必要十分かつ真実であり、違反が判明した場合には取引所の措置に従うべき旨などが記載されます。

信用保証協会に対して保証を申し込む場合

性風俗関連特殊営業は、信用保証協会による保証の対象外とされています。
そのため、信用保証協会に対して借入れの保証を申し込む際には、性風俗関連特殊営業を営んでいないことなどに関して宣誓書を提出しなければなりません。

参考:東京信用保証協会「宣誓書

宣誓書のテンプレート

宣誓書は、提出を求める公的機関等が様式を準備するのが通常で、基本的には提出者の側で細かく内容を作成する必要はありません。提出先の指示に従って、形式的な事項を記載すれば足ります。

参考までに、以下の宣誓書の様式(フォーマット)を紹介します。

① 裁判における証人の宣誓書
② 国家公務員の宣誓書
③ 新規上場申請時の宣誓書

裁判における証人の宣誓書

裁判における証人は、裁判所の法廷において以下の様式の宣誓書に署名し、朗読することになっています。

宣誓

良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。

証人     ○○ ○○

国家公務員の宣誓書

新たに国家公務員となる際に提出する宣誓書は、以下の様式に従って作成・提出すべき旨が定められています(職員の服務の宣誓に関する政令1条1項、別紙様式)。

宣誓書

私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。

○年○月○日
 
氏名     ○○ ○○

新規上場申請時の宣誓書

東京証券取引所に新規上場を申請する際に提出する「新規上場申請に係る宣誓書」の様式は、日本取引所グループのウェブサイトに掲載されています。

同宣誓書における本文の内容は、以下のとおりです。

  1. 新規上場申請及び上場審査において取引所に提出する書類に関し、必要となる内容を漏れなく記載してあり、かつ、記載した内容はすべて真実であります。
  2. 前項その他適用のある取引所の有価証券上場規程その他の規則及びこれらの取扱いに関する規定について、違反事実が判明した場合には、それに関して取引所が行う一切の措置に異議を申し立てません。
参考:日本取引所グループウェブサイト「提出書類フォーマット

宣誓書に違反した場合のペナルティ

宣誓書に違反した場合には、宣誓の種類に応じた以下のペナルティを受けるおそれがあります。

① 行政機関に対する申立時の宣誓違反|各種の行政処分
② 証言時の宣誓違反|偽証罪・過料
③ 公務員の宣誓違反|懲戒処分
④ 新規上場時の宣誓違反|再審査・上場廃止
⑤ 信用保証協会に対する宣誓違反|保証契約の解除・期限の利益の喪失

行政機関に対する申立時の宣誓違反|各種の行政処分

行政機関に対して申立てを行う際の宣誓に違反した場合は、各種の行政処分を受ける可能性があります。

例えば補助金や助成金の申請を行う際の宣誓に違反すると、補助金・助成金の支給が停止され、すでに支給された金額については返還を求められることがあります。

証言時の宣誓違反|偽証罪・過料

民事訴訟または刑事訴訟において、証人または鑑定人が宣誓に違反して虚偽の陳述をした場合は、偽証罪の責任を問われます(刑法169条)。偽証罪の法定刑は「3カ月以上10年以下の懲役」です。

偽証罪を疑われた者は、逮捕・勾留によって身柄を拘束される可能性があります。ただし、罪証隠滅や逃亡のおそれがない場合には、在宅で捜査が進められることもあります。
検察官によって起訴された場合は、公開法廷で行われる刑事裁判によって、偽証罪の成否および量刑が判断されます。

これに対して、民事訴訟における当事者が宣誓に違反して虚偽の陳述をした場合には、「10万円以下の過料」に処されるにとどまります(民事訴訟法209条1項)。偽証罪は成立せず、逮捕・起訴や刑事裁判の対象にもなりません。

公務員の宣誓違反|懲戒処分

国家公務員および地方公務員の宣誓違反は、懲戒処分の対象となります(国家公務員法82条、地方公務員法29条)。

国家公務員および地方公務員に対する懲戒処分が行われるのは、以下のいずれかに該当する場合です。

国家公務員の懲戒事由

(a) 国家公務員法もしくは国家公務員倫理法、またはこれらの法律に基づく命令に違反した場合
(b) 職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
(c) 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

地方公務員の懲戒事由

(a) 地方公務員法もしくはその特例を定めた法律、またはこれらに基づく条例・地方公共団体の規則・地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
(b) 職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
(c) 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

国家公務員および地方公務員に対する懲戒処分は、免職停職減給戒告の4種類とされており、非行等の内容によって懲戒処分の可否および種類が決定されます。

ムートン

公務員に対する懲戒処分については、以下の記事で言及している部分があるので、必要に応じてご参照ください。

新規上場時の宣誓違反|再審査・上場廃止

証券取引所への新規上場に係る申請書類に虚偽の記載を行うなど、申請時における宣誓に違反した上場会社が、新規上場基準等に適合していなかったと証券取引所が認めた場合には、再審査の対象となります。

東京証券取引所では、以下の流れで宣誓書違反による再審査が行われます。

(a) 猶予期間入り
宣誓書違反および新規上場基準等への不適合を取引所が認めた場合、1年間の猶予期間に入ります。対象会社は、猶予期間内に新規上場基準へ適合させ、再審査の申請を行わなければなりません。
猶予期間に入った旨は、投資家に周知されます。

(b) 再審査
猶予期間内に対象会社から再審査の申請があった場合、取引所は新規上場基準等への適合性を改めて審査します。
猶予期間の終了日において再審査が継続している場合には、対象会社の株式が監理銘柄に指定されます。監理銘柄に指定された旨は、投資家に周知されます。

(c) 再審査の合格 or 上場廃止
再審査に合格した場合は、上場維持となります。

これに対して、猶予期間内に再審査の申請がなかった場合、および猶予期間の終了後に再審査不合格となった場合は、上場廃止が決定され、整理銘柄に指定されます。
整理銘柄の指定から1カ月程度が経過した段階で、上場廃止となります。

参考:日本取引所グループウェブサイト「上場廃止基準の詳細

信用保証協会に対する宣誓違反|保証契約の解除・期限の利益の喪失

信用保証協会に対する宣誓に違反し、債務者が性風俗関連特殊営業を行っていた場合には、保証契約の解除事由に該当します。

信用保証協会によって保証が解除されると、金銭消費貸借契約に基づく期限の利益喪失事由に該当し、借入金全額の一括返済を求められることになります。

ムートン

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参考文献

参考:東京信用保証協会「宣誓書」

参考:日本取引所グループウェブサイト「提出書類フォーマット」

参考:日本取引所グループウェブサイト「上場廃止基準の詳細」