企業のコンプライアンス相談窓口とは?
設置義務の有無・役割・
社内と社外での注意点などを
分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

企業の「コンプライアンス相談窓口」とは、社内で発生した違法行為などの通報を受け付ける窓口です。企業不祥事を初期段階で発見し、迅速な調査・対応へとつなげる役割などを担います。会社資金の横領や労働基準法違反、下請けいじめなど、さまざまな種類の相談が想定されます。

コンプライアンス相談窓口は、社内窓口と社外窓口の2つに大別されます。社内窓口には経営陣から独立した権限を与え、透明性や公正性を確保することが重要です。社外窓口は、外部弁護士などに依頼する例がよく見られます。

コンプライアンス相談窓口を設置・運用する際には、相談者を保護することが重要です。相談者の秘密を守ることや、相談を理由として不利益な取扱いをしないことを徹底しましょう。
対応手順のマニュアル化や相談担当者向け研修を通じて、あらゆる相談に適切に対応できる体制を整えることも大切です。
設置した相談窓口の存在は従業員に対して周知し、継続的に相談体制の見直しを行いましょう。

この記事では企業のコンプライアンス相談窓口について、役割・設置方法・運用上の注意点などを解説します。

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コンプライアンス相談窓口には、どのような役割がありますか? 設置したほうがよいでしょうか?

ムートン

コンプライアンス相談窓口は社内の問題を早期に把握し、適切な調査や対応につなげる役割があります。注意点なども見ていきましょう。

※この記事は、2026年9月30日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

企業のコンプライアンス相談窓口とは?

企業の「コンプライアンス相談窓口」とは、社内で発生した違法行為などの通報を受け付ける窓口です。企業不祥事を初期段階で発見し、迅速な調査・対応へとつなげる役割などを担います。

コンプライアンス相談窓口の役割・メリット

コンプライアンス相談窓口の役割の一つは、社内において発生した違法行為や不祥事、あるいはその原因となる事実を早期に発見し、迅速な調査・対応へとつなげることです。

近年ではSNSの発展などが影響して、企業に対する社会の監視が強まっているため、企業不祥事のリスクが高まっています。ひとたび不祥事が発生すると、企業の社会的評判が大きく低下し、業績に直結するダメージを受けてしまいかねません。

不祥事等を早期に発見して対処すれば、その影響を最小限に抑えることができ、社会的評判の低下や業績の悪化を防ぎやすくなります。そのためには、現場で働く従業員などからの相談を受け付けるコンプライアンス相談窓口を設置することが効果的です。
コンプライアンス相談窓口に寄せられた相談をきっかけとして、事実関係の調査や収拾に向けた対応を迅速に行うことにより、大規模な企業不祥事に発展するリスクを未然に防げます。

また、コンプライアンス違反によるリスクの顕在化を防ぐため、未然の予防策を検討することもコンプライアンス相談窓口の役割の一つです。
例えば、法令上の取扱いや世間の反応などが懸念される業務が生じた場合に、実務担当者がコンプライアンス相談窓口に相談するようなケースが想定されます。相談窓口の担当者は、コンプライアンスに関する知見に基づいて相談者に助言を行い、リスクを許容範囲内に抑える方策を協力して検討します。

コンプライアンス相談窓口の設置義務はある?内部通報窓口の関係は?

「コンプライアンス相談窓口」という名称の窓口の設置を、企業に対して義務付ける法令上の規定はありません。

ただし、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者には、従業員などから公益通報を受け付ける部門横断的な窓口を設置することが義務付けられています(公益通報者保護法11条1項・2項)。
これは一般に「内部通報窓口」あるいは「内部公益通報受付窓口」と呼ばれるものです。内部通報窓口において取り扱うことが求められる「公益通報」とは、刑事罰・過料・行政処分の対象となる違法行為がなされている事実、またはかかる事実が生じようとしている旨の通報を指します。

したがって、公益通報を取り扱うという限度においては、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者にはコンプライアンス相談窓口の設置義務が課されているといえるでしょう。

ただし、コンプライアンス相談窓口において取り扱うべき相談内容には、社内における違法行為だけにとどまらず、潜在的なコンプライアンスリスクに関する予防策なども含まれます。
公益通報以外の相談への対応は任意であるものの、コンプライアンス違反の予防を図る観点から、幅広い相談を受け付ける窓口を設置することが望ましいでしょう。

コンプライアンス相談窓口に寄せられる相談の具体例

コンプライアンス相談窓口では、社内における違法行為や潜在的なコンプライアンス違反のリスクについて、幅広い相談を取り扱います。例えば、次のような相談などが想定されます。

相談の具体例

・上司からハラスメント(パワハラ、セクハラなど)を受けている
・長時間労働やサービス残業など、労働基準法に違反する働き方をしている
・不正会計や横領が疑われる
・製品の品質や安全性の検査につき、改ざんや隠蔽が行われている
・個人情報や営業秘密が漏えいしたおそれがある
・取引先との関係について、取適法や独占禁止法に関する法的検討を行いたい
・広告について、景品表示法違反のリスクをあらかじめ検討したい
・新しく販売を検討する商品やサービスについて、法令上の問題点を多角的に検討したい
など

上記以外にも、実際に発生した企業不祥事や、不祥事につながり得る潜在的なリスクに関する事柄であれば、幅広く相談を受け付けましょう。その対応の性質上、窓口担当者は法務・コンプライアンス部門や人事部門などと緊密に連携することが求められます。

コンプライアンス相談窓口の設置方法

コンプライアンス相談窓口は、社内窓口と社外窓口の2つに大別されます。社内窓口には経営陣から独立した権限を与え、透明性や公正性を確保することが重要です。社外窓口は、外部弁護士などに依頼する例がよく見られます。

社内窓口|独立した権限を持つ部署を整備する

社内にコンプライアンス相談窓口を設ける場合、自社の業務や組織事情などを踏まえた迅速な対応がとりやすいなどのメリットがあります。法務・コンプライアンス部門や人事部門など、社内の各部署との連携をスムーズに行いやすい点もメリットの一つです。

ただし、社内窓口と経営陣の距離が近すぎると、経営陣に忖度して事実調査や対応を適切に行えないことが懸念されます。社内窓口の透明性や公正性が確保されていないと、従業員は不信感を覚えて相談をためらうようになってしまうでしょう。
社内窓口は独立した権限を与えた部署に設置し、経営陣の意向に縛られず活動できるようにすることが大切です。

社外窓口|外部弁護士などに依頼する

弁護士などの外部専門家に、コンプライアンス相談窓口を委託することも考えられます。外部専門家は社内の利害関係から独立しているため、事実調査や対応を公平かつ適切に行いやすいのが社外窓口の大きなメリットです。

その一方で、外部専門家は必ずしも社内事情に十分精通しているとは限りません。社外窓口が受け付けた相談を、会社の実情に合わせた適切な対応へとつなげるためには、社内担当者からの情報共有が重要になります。

コンプライアンス相談窓口を設置・運用する際の注意点

コンプライアンス相談窓口を設置・運用する際には、相談者を保護することや、さまざまな相談に対応できる体制を整備することなどが重要です。具体的には、次のポイントに注意しましょう。

① 相談者の秘密を守る
② 相談を理由として、相談者を不利益に取り扱わない
③ 相談対応の手順や注意点などをマニュアル化する
④ 相談担当者を対象とする研修を実施する
⑤ 従業員に対して相談窓口の存在を周知する
⑥ 相談窓口の運用体制を継続的に見直す

相談者の秘密を守る

従業員が安心して相談できるように、相談者の氏名や相談内容、相談した事実などの秘密を厳守しましょう。
相談の秘密がきちんと守られていれば、従業員は報復や人間関係への影響を心配することなく相談ができるため、違法行為などの早期発見につながります。

具体的には、相談記録にアクセスできる者を必要最小限の範囲に絞り、情報管理のルールを明確化することが重要です。

相談を理由として、相談者を不利益に取り扱わない

コンプライアンス相談窓口に相談したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを受けることがないよう、相談者を保護するルールを整備しましょう。相談によって不利益を受けないことが保障されれば、従業員は早い段階で問題点を申告しやすくなり、重大なコンプライアンス違反への発展を防ぐ効果が期待できます。

相談対応の手順や注意点などをマニュアル化する

担当者によって対応にばらつきが生じないように、従業員から相談を受けた際の対応手順や注意点などをマニュアル化しておきましょう。
適切な形でマニュアルを整備すれば、対応に漏れが生じることを防げるとともに、初動対応のスピードも向上させることができます。

具体的には、次の各段階における対応事項や注意点などをマニュアルに明記します。相談者に対して説明や質問をすべき事項、相談の秘密を守るためのルールなども定めておきましょう。

・相談の受付
・事実の調査、確認
・証拠の保全、保管
・関係者へのヒアリング
・調査結果の報告
・是正措置、再発防止措置
など

相談担当者を対象とする研修を実施する

相談を受けた窓口担当者が適切に対応できるように、定期的に研修を実施しましょう。担当者の対応力を高めることで、相談者から必要な情報を適切に聞き取り、問題状況を迅速かつ正確に把握しやすくなる効果が期待できます。

例えば、次の事項などを研修によって担当者に学ばせましょう。

・相談者への接し方
・事実確認のために行うべき質問、実施すべき調査
・相談の秘密を守るための留意事項
・公益通報制度に関する法令のルール
・相談内容に応じた報告先の役員、部署
など

一方的に情報を伝える講義だけでは、相談対応の具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。そのため、ケーススタディやロールプレイなどを取り入れて実践的な想像力や対応力を身につけさせましょう。

コンプライアンス相談窓口を実効的に機能させるためには、相談の秘密を厳守することが重要です。窓口担当者には研修を通じて、相談の秘密の重要性を繰り返し伝えるとともに、NG行動を具体的に示すなどして理解を深めさせましょう。

従業員に対して相談窓口の存在を周知する

コンプライアンス相談窓口が設置されていても、従業員がその存在や利用方法を知らなければ機能しません。相談窓口を設置したら、社内広報やイントラネットなどを通じて、従業員全員にその存在を周知しましょう。

相談窓口の周知に当たっては、従業員の相談に対する不安を解消できるような伝え方を心がけるべきです。少しでも違和感を覚えたら相談してよい旨や、相談を理由に不利益な取扱いを受けることは一切ない旨を明確に伝えると、従業員の心理的なハードルを下げることができます。

相談窓口の周知を一度行っただけでは、従業員の間でその存在が定着するには至らないことが多いです。繰り返し周知を行い、相談窓口の認知度を高めていきましょう。定期的に実施するコンプライアンス研修の中で、相談窓口の存在を毎回周知することをお勧めします。

相談窓口の運用体制を継続的に見直す

コンプライアンス相談窓口の運用を開始した後も、相談件数や相談内容、対応に要した期間などを定期的に確認し、運用体制の見直しを検討しましょう。利用状況に応じて運用上の問題を継続的に改善することで、相談対応の質が高まり、企業不祥事の予防につなげることができます。

実際に寄せられている相談について検討することに加え、従業員全体に対するアンケート調査も行うと、コンプライアンス相談窓口に対するリアルな従業員の認識を知ることができます。
相談に対して高いハードルを感じている従業員が多いようであれば、改めて相談内容の幅広さや不利益な取扱いを受けない旨の保障を強調して周知するなど、相談窓口に対する正しい理解を促す取り組みを行いましょう。

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