契約の変更に関する条項とは?
民法上のルール・書き方・例文などを解説!

この記事のまとめ

契約の変更に関する条項は、契約を変更する場合のルールや手続きを定めた条項です。一般条項として、幅広い契約に定められています。

契約の変更に関する条項を定める主な目的は、契約変更のルールを確認・明確化することと、契約変更の方式を書面に限定することです。また、不特定多数の顧客と締結する契約の場合、約款変更による契約変更についての手続き等を定める目的もあります。

したがって、契約の変更に関する条項をレビューする際には、これらの目的を意識した確認・検討が必要です。

今回は契約の変更に関する条項について、民法上のルール・書き方・例文などを分かりやすく解説します。

契約の変更に関する条項がないと、契約変更はできないのでしょうか。

そんなことはないですよ。ただ、契約の変更に関する条項があると、契約変更のルールが明確化されるなどのメリットがあるので、実務上定めておくことが多いのです。

※この記事は、2022年11月1日時点の法令等に基づいて作成されています。

契約の変更に関する条項とは

契約の変更に関する条項は、契約を変更する場合のルールや手続きを定めた条項です。

どのような契約であっても、当事者の間で事情が変わり、変更が必要となることはあり得ます。そのため、契約の変更に関する条項は、一般条項として幅広い契約に定められています。

契約変更に関する民法上のルール(原則)

契約書において、契約の変更に関する条項を定めることは必須ではありません。特に定めを置かない場合、法律上の原則的なルールが適用されるからです。

契約変更に関する民法上のルール(原則)としては、以下の2つがあります。

契約変更は当事者全員の合意による

契約の変更は、当事者全員の合意によることが大原則です。

契約を変更することは、変更後の内容で契約を締結し直すととらえることもできます。契約は、当事者全員の合意により成立します。したがって、契約の変更についても、当事者全員の合意を要するのが原則となります。

契約変更の合意は方式を問わない|口頭・メールなどでも変更可能

当事者の合意によって契約を変更する場合、合意の方式については、原則として法律上の制限がありません。

契約は、当事者の合意があればよく、口頭でも書面でも成立します。これは契約変更の際も同様です。
ただし、ビジネス上は、変更内容を明確化するため、変更覚書などの書面によるケースが多いです。

また、法律上書面での締結が必須とされている契約については、変更についても書面で行う必要があります(例:保証契約(民法446条2項))。

例外|定型約款の変更による契約変更は合意が不要

ただし例外的に、契約変更に当たって当事者全員の合意を要しない場合があります。それは、定型約款の変更によって契約を変更する場合です。

「定型約款」とは、約款の中でも、2020年4月1日施行の改正民法で新設された、「定型約款」に関する要件を満たしたものです(民法548条の2第1項)。

そもそも、「約款」って何ですか?

約款は、事業者が不特定多数の者と同じ契約をする際に用いる、定型的な契約条項です。電気供給約款・ガス供給約款などが典型例ですね。

約款の提示を受ける側は、あらかじめ用意された約款に同意するかどうかを選ぶことしかできません。

約款のうち、民法の要件を満たすものが定型約款と呼ばれます。

定型約款の要件

1.「定型取引(※)」において使用されること
2.特定の者(事業者)により準備されたものであること

※定型取引とは、以下2つを満たした取引
・特定の者が、不特定多数の者を対象として行う取引であること
・定型約款を利用することが、双方の当事者にとって合理的であること

事業者は以下のいずれかに該当する場合であれば、定型約款を変更することで、契約内容を変更できます。その際、相手方の同意を個別に取得することは不要です(民法548条の4第1項)。

定型約款の変更により、契約を一方的に変更するための要件

✅ 内容の変更が、相手方にとって利益となるとき

✅ 内容の変更が契約の目的に反せず、かつ以下の事情に照らして合理的なものであるとき
・変更の必要性(変更する必要はあるか)
・変更後の内容の相当性(変更後の内容は理にかなっているか)
・定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無
・その他の変更に係る事情

契約の変更に関する条項を定める主な理由・目的

前述のとおり、契約の変更に関する条項を定めなくとも、契約の変更は可能であるにもかかわらず、実務上定めるケースが多いのは、主に以下の理由・目的によります。

✅ 契約変更のルールを確認・明確化するため
✅ 契約変更の方式を書面に限定するため
✅ 約款変更による契約変更を認めるため

契約変更のルールを確認・明確化するため

契約書に契約の変更に関する条項を定めておけば、法律上のルールにかかわらず、その条項の内容に従って契約変更が行われます。

つまり、契約変更のルールが明確になり、当事者間のトラブルを防止する効果が期待できるのです。

契約変更の方式を書面に限定するため

法律上は一部の契約を除いて、契約変更に関する当事者の合意の方式は、何でもよいことになっています。したがって、口頭やメールなどにより契約を変更することもできますが、それでは不都合が生じることもあります。

特に懸念されるのは、口頭やメールなどによる契約変更があった旨を、当事者の一方が主張し、他方が否定するような事態です。この場合、契約変更の有無を巡るトラブルに発展してしまいます。

このような事態を避けるためには、契約の変更に関する条項を定めて、変更の方式を書面に限定することが効果的なのです。そうすれば口頭やメールなど、書面によらない契約変更を排除できるため、契約トラブルのリスクを抑えられます。

約款変更による契約変更を認めるため

定型約款の変更により、契約を一方的に変更することを認める場合は、その旨を契約に定めておくべきです。

前述のとおり、定型約款の変更による一方的な契約変更は、「内容の変更が、相手方にとって利益となるとき」であれば可能です。(民法548条の4第1項1号)

しかし中には、相手方にとって不利益な内容の変更を行いたい場合も出てきます。その際は、「内容の変更が契約の目的に反せず、かつ以下の事情に照らして合理的なものであるとき」に該当させる必要があります。(同条第1項2号)

(定型約款の変更)
第548条の4 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

「民法」– e-Gov法令検索 – 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

合理的であるかどうかは、「定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容」も考慮して判断されます。

つまり、不利益な変更を有効とするためには、契約の変更に関する条項を定め、約款変更による契約変更があり得る旨を定めておくべきなのです。

契約の変更に関する条項の条文例(例文)

契約の変更に関する条項の、標準的な条文例を紹介します。シンプルな内容ですが、契約変更の方法を書面に限っている点がポイントです。

契約の変更に関する条項(標準)

第○条(契約の変更)
本契約の条項は、当事者全員の書面による合意によってのみ変更されるものとする。

約款変更による契約変更について定める場合は、民法548条の4のルールを踏まえて条文を作成する必要があります。

契約の変更に関する条項(約款変更について定める場合)

第○条(契約の変更)
1. 本契約の条項は、当事者全員の書面による合意によってのみ変更されるものとする。
2. 前項にかかわらず、甲は、民法第548条の4第1項に基づき、本約款を変更することにより本契約の内容を変更することができるものとする。この場合、甲は、当該変更に係る効力発生時期を定め、かつ、本約款を変更する旨および変更後の本約款の内容ならびにその効力発生時期を、甲のホームページに掲載する方法により、乙に対して周知するものとする。

契約の変更に関する条項をレビューする際の注意点

契約の変更に関する条項をレビューする場合には、条項の目的を踏まえて、以下の各点を意識しましょう。

✅ 契約の変更に関する条項は本文の後半に定める
✅ 契約変更の方式を明記する
✅ 民法の定型約款に関する規定に注意する

契約の変更に関する条項は本文の後半に定める

契約の変更に関する条項は、契約の中でメインの内容ではなく、あくまでも一般条項という位置づけです。そのため、他の一般条項とまとめて、本文の後半で定めることが適切でしょう。

なお、その他の一般条項としては、以下の例が挙げられます。

一般条項の例

契約期間に関する条項
✅ (契約上の地位)譲渡禁止条項
反社条項
秘密保持条項
契約解除条項
損害賠償条項
準拠法条項
合意管轄条項
✅ 誠実協議条項
など

契約変更の方式を明記する

契約の変更に関する条項を定めることの主な意義は、変更の方式を限定・明確化する点にあります。そのため、契約変更の方式は必ず明記しておきましょう。

具体的には、書面による合意に限るとするのが一般的です。「書面による」という文言を忘れがちなので、盛り込まれていることを確実に確認してください。

民法の定型約款に関する規定に注意する

不特定多数の利用者を想定したサービスでは、定型約款+利用に関する契約を締結することが一般的です。この場合の契約書をレビューする際には、約款変更による契約の変更を想定しておかなければなりません。

具体的には、民法548条の4の規定を踏まえ、契約の変更に関する条項において以下の事項を定めるべきです。

約款変更について定めるべき事項

✅ 民法548条の4の規定により、定型約款の変更をすることがあり得る旨
✅ 以下の事項を周知する方法

・定型約款を変更する旨
・変更後の定型約款の内容
・効力発生時期

特に周知の方法については、周知を行う担当部署と連携して、実務上のフローを確認した上で契約に反映しましょう。

実際に契約を変更する際の手続き

実際に契約変更を行う場合は、契約の変更に関する条項の有無・内容にかかわらず、当事者間で書面を締結することが推奨されます。

契約変更には、「全面変更」「一部変更」の2パターンがあります。

✅ 全面変更
→契約内容を全面的に変更する手続き

✅ 一部変更契約
→契約内容を一部のみ変更する手続き

それぞれ、「全面変更契約」や「一部変更契約」を締結して行う場合が多いです。以下では全面変更契約と一部変更契約の例文を紹介します。

全面変更契約

全面変更契約では、前文で全面変更を行う旨を明記した上で、本文全てを改めて記載するかたちをとります。

全面変更契約の例文

○○株式会社(以下「甲」という。)と△△株式会社(以下「乙」という。)は、甲及び乙の間の×年×月×日付□□契約書(その後の変更等を含み、以下「原契約」という。)に関して、以下のとおり全面変更契約書(以下「本変更契約」という。)を締結する。

第1条(定義)
……

一部変更契約

一部変更契約では、変更する条文の番号と、変更前・変更後の条文内容を列挙するかたちをとります。条文の削除や追加についても、既存の条文の変更と同様に、変更内容として列挙します。

一部変更契約の例文

○○株式会社(以下「甲」という。)と△△株式会社(以下「乙」という。)は、甲及び乙の間の×年×月×日付□□契約書(その後の変更等を含み、以下「原契約」という。)に関して、以下のとおり一部変更契約書(以下「本変更契約」という。)を締結する。本変更契約で用いられる用語は、本変更契約で別途定義される場合を除き、原契約において定義された意味を有する。

第1条(原契約の変更)
1. 原契約第○条を以下のとおり変更する。
(変更前)
……
(変更後)
……

2. 原契約第○条第○項を削除する。

3. 原契約第○条として、以下の条文を追加する。
……

第2条
……

変更の効力について

全面変更契約・一部変更契約のいずれでも、変更の効力が将来に向かってのみ生じ、過去にさかのぼるものではないことを明記しておきましょう。

変更の効力に関する例文

第2条(変更の効力)
1. 本変更契約に基づく原契約の変更の効力は、本変更契約締結日から将来に向かって生じるものとし、原契約に基づき既に行われた行為の効力に何らの影響も与えるものではない。
2. 本変更契約に基づき明示的に変更された原契約の条項を除き、原契約の他の条項は、引き続き有効にその効力を維持する。

※2項は一部変更契約のみ

この記事のまとめ

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