コンプライアンス研修とは?
目的・テーマ・実施方法・eラーニング活用・
ポイントなどを分かりやすく解説!

この記事のまとめ

コンプライアンス研修」とは、法令や社会的ルールなどの遵守を促すために、企業が役員・従業員に対して実施する研修です。

コンプライアンス違反を犯すと、行政処分や刑事罰を受けるおそれがあるほか、企業としての社会的評価が低下して業績の悪化につながるリスクもあります。こうした事態を防ぐため、定期的にコンプライアンス研修を実施して、従業員の意識向上を図ることが重要です。

コンプライアンス研修の主なテーマとしては、情報セキュリティハラスメント労働法知的財産の利用下請法などが挙げられます。従業員の職種などに応じて、適切な研修テーマを設定しましょう。

この記事ではコンプライアンス研修について、目的・主なテーマ・実施時の流れ・効果を高めるためのポイントなどを解説します。

ヒー

コンプライアンスに注目が集まっており、色々な研修を行いたいのですが、ノウハウがありません…

ムートン

コンプライアンス研修は種類によって話す内容が変わります。まずはどのような研修を行いたいのかを決めていきましょう!

※この記事は、2024年9月24日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 下請法…下請代金支払遅延等防止法

コンプライアンス研修とは

コンプライアンス研修」とは、法令や社会的ルールなど遵守を促すために、企業が従業員に対して実施する研修です。

コンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)」とは、法令や社会的ルールなどを遵守することをいいます。

従来は、コンプライアンスは「法令遵守」という意味で用いられるのが一般的でした。しかし、近年では法令に限らず、企業倫理・社内規程・社会規範など、幅広いルールを遵守するという意味で用いられるようになっています。

コンプライアンス違反のリスク

コンプライアンス違反を犯した企業は、以下のようなリスクを負います。

コンプライアンス違反のリスク

① 行政処分
監督官庁に法令違反を指摘され、改善や課徴金の納付などを命じられることがあります。

② 刑事罰
悪質なコンプライアンス違反については、関係者や法人が訴追され、刑事罰を科されるおそれがあります。

③ 社会的評価の低下
行政処分に伴う公表や内部告発によってコンプライアンス違反の事実が拡散されると、企業の社会的評価は大幅に低下してしまいます。

コンプライアンス研修の目的

コンプライアンス研修の目的は、企業内におけるコンプライアンス違反を未然に防ぐことです。

コンプライアンスを徹底するためには、経営層だけでなく、末端の従業員までコンプライアンスの意識や正しい理解を浸透させる必要があります。そのためには、役員・従業員を対象としたコンプライアンス研修を定期的に行うことが効果的です。

コンプライアンス研修の効果が表れれば、法令違反や企業倫理違反などによるリスクを最小限に抑えることができます。

コンプライアンス研修の実施方法|講義・eラーニング

コンプライアンス研修を実施する際の方法は、主に「講義」と「eラーニング」の2つがあります。

コンプライアンス研修の実施方法

① 講義
コンプライアンスについて知見を有する講師(弁護士など)が、従業員に向けて対面やオンラインで講義を行います。

② eラーニング
コンプライアンスに関する講義プログラムが搭載されているソフトやアプリを活用して、動画の視聴・スライドの閲覧・設問への回答などを通じて学習します。

コンプライアンス研修の主なテーマ

コンプライアンス研修で取り上げるべき主なテーマとしては、以下の例が挙げられます。

① 情報セキュリティ|個人情報保護・営業秘密の流出防止など
② ハラスメント|セクハラ・パワハラ・マタハラなど
③ 労働法|残業のルールなど
④ 知的財産の利用|著作権・肖像権など
⑤ 下請法|外注時の注意点など

情報セキュリティ|個人情報保護・営業秘密の流出防止など

個人情報営業秘密などの情報セキュリティを強化することは、企業コンプライアンスの重要な柱の一つです。
企業が保有する情報の取り扱いに当たって留意すべきポイントや、情報漏えいが生じてしまった場合の対応などについては、コンプライアンス研修を通じて従業員に周知する必要があります。

ハラスメント|セクハラ・パワハラ・マタハラなど

近年では、「ハラスメント(=相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般)」が社会的に強く問題視されています。

企業においても、主に以下のようなハラスメントが発生しています。

パワハラ(パワーハラスメント)
職場における優越的な関係を背景とした言動により、労働者の労働環境を害するハラスメントです。

セクハラ(セクシュアルハラスメント)
職場における性的な言動により、労働者に対して不利益を与えるハラスメントです。

マタハラ(マタニティハラスメント)
妊娠・出産・育児に関する言動により、女性労働者の就業環境を害するハラスメントです。

これらのハラスメントを防止するために必要な措置を講じることは、事業主にとって法令上の義務であるとともに、職場環境を改善して従業員の定着率を高める観点からも重要です。
コンプライアンス研修を通じて、ハラスメントのよくある事例や予防策、発生時の対応などを従業員に周知すべきでしょう。

労働法|残業のルールなど

労働基準法などの労働関係法令では、従業員の労働条件や雇用契約に関するルールなどが定められています。

労務管理は一義的には使用者側(会社側)の役割ですが、従業員にも労働法のルールをよく理解してもらえば、違法残業などのコンプライアンス違反を予防することができます。コンプライアンス研修を通じて、残業などに関する基本的なルールを従業員に周知しましょう。

知的財産の利用|著作権・肖像権など

従業員がインターネット上からダウンロードしたコンテンツを無断で利用し、経営層が認識していないところで他者の知的財産権著作権肖像権など)を侵害してしまうトラブルが頻発しています。

従業員の行為による知的財産権の侵害を予防するため、コンプライアンス研修を通じて、知的財産の適切な利用方法を周知しましょう。

下請法|外注時の注意点など

下請法は、親事業者と下請事業者の間の取引について、親事業者が遵守すべき事項を定めた法律です。親事業者の下請事業者に対する不当な搾取を防止することを目的としています。

他社に対して業務を発注する際には、自社が親事業者として下請法の義務を負うケースがあります。
反対に、他社から業務を受注する際には、相手方から下請法違反の取り扱いを受けていないかどうかに気を配る必要があります。

外部との取引を行う担当者を対象としてコンプライアンス研修を行い、下請法に関する留意事項を周知しましょう。

コンプライアンス研修を実施する方法

コンプライアンス研修を実施する際の手順は、大まかに以下のとおりです。

コンプライアンス研修実施の手順

① ネタを集めて取り上げるテーマを決定する
② 実施方法・講師を決定する
③ コンプライアンス研修を実施する
④ 従業員からフィードバックを受ける

ネタを集めて取り上げるテーマを決定する

まずは、コンプライアンス研修において取り上げるテーマを決定します。

候補となるテーマは、以下のような観点から選ぶのがよいでしょう。

・情報管理、ハラスメント、労働法など、幅広い企業で問題となる事項
・自社の業務において問題になりやすい法令のルール
・時事的に問題となっているコンプライアンス違反
など

対象・実施方法・講師を決定する

コンプライアンス研修のテーマが決まったら、研修の対象実施方法(講義またはeラーニング)を決定しましょう。

講義形式で実施する場合は、講師を決める必要があります。講師の候補者となるのは、社内の法務担当者やコンプライアンス担当者、外部の弁護士などです。
日時に融通をきかせたい場合や、講師を依頼するだけの人員的または経済的な余力がないときは、eラーニングの利用も検討しましょう。

コンプライアンス研修を実施する

事前の準備が整ったら、予定されたスケジュールに従ってコンプライアンス研修を実施しましょう。

講義形式の場合、従業員は所定の日時に聴講するのが原則です。ただし、アーカイブを残しておく場合は、後日動画を視聴させることも考えられます。

eラーニングについては、従業員に対してログイン方法などを周知し、所定の期間内に各々のタイミングで受講させるのが一般的です。

従業員からフィードバックを受ける

コンプライアンス研修が完了したら、従業員からフィードバックを受けましょう。

講義の場合は、会場においてアンケート用紙を配付するか、またはウェブ上のフォームなどを通じてアンケートへの回答を求める方法が考えられます。

eラーニングの場合は、ソフトやアプリに搭載されたアンケート機能などを適宜利用して、フィードバックを受けましょう。

コンプライアンス研修にeラーニングを活用するメリット

ヒー

研修の準備ってすごく時間がかかるんですよね…ネタもないし、活用できるものはないでしょうか?

ムートン

コンプライアンス研修を行う際には、eラーニングを活用することが効果的です。

Legal Learning」の「従業員コンプライアンス教育プラン(ビジネスプラン)」は、コンプライアンス研修にも活用できるeラーニングサービスです。「Legal Learning」の活用には、主に以下のメリットがあります。

① 研修を最小限のリソースで実施できる
② 研修のネタ探しが不要になる
③ コンプライアンス推進体制を素早く構築できる

研修を最小限のリソースで実施できる  

講師が講義を行う形式をとる場合、資料を自ら準備しなければならず、当日の講師の手配も必要になるため、労力や人件費の負担が大きくなります。

「Legal Learning」を活用すると、すでに用意された講座の中から受けさせたい講座を選択するだけで、簡単にコンプライアンス研修を実施できます。

研修のネタ探しが不要になる

定期的にコンプライアンス研修を実施していると、研修ごとに合わせて毎回新鮮な講義の題材ネタを探すのは大変です。

「Legal Learning」では、毎月新しい講座が追加されていくため、コンプライアンス研修の題材に困ることがありません。

コンプライアンス推進体制を素早く構築できる

企業のコンプライアンスを強化するためには、コンプライアンス研修の実施体制を構築することが最も重要な要素の一つです。
しかし、コンプライアンス強化に取り組みたいと考えているものの、何から手を付けるべきか分からないし、大きなリソースを割くこともできずに悩んでいる企業もあるかと思います。

「Legal Learning」を活用すれば、コンプライアンス強化に当たって最も重要となる研修の実施体制を、少ないコストでスムーズに構築することができます。

ヒー

これなら、必要な研修を漏れなく実施できそうです!

コンプライアンス研修の効果を高めるためのポイント

コンプライアンス研修の効果を高めるためには、以下のポイントに留意して研修内容の設計や改善を行いましょう。

① 職種などに応じた適切なテーマを設定する
② 身近な具体例を示す
③ 定期的に繰り返し実施する
④ フィードバックを受けて研修内容を見直す

職種などに応じた適切なテーマを設定する

コンプライアンス研修の効果を最大化するためには、個々の従業員の業務において問題になりやすいテーマを取り上げるべきです。

情報管理・ハラスメント・労働法などの幅広い企業に当てはまるテーマに加えて、建設業法宅地建物取引業法など、特定の業種・職種に適用されるテーマについても理解を深める必要があります。
自社や各従業員に適用される法令などを踏まえた上で、コンプライアンス研修のテーマを適切に選定しましょう。

身近な具体例を示す

コンプライアンス研修では、理論的な内容に終始すると、従業員の理解が十分に深まりません。

従業員の理解を深めるためには、コンプライアンス違反の身近な具体例を分かりやすく示すことが大切です。ケーススタディなどを活用して、イメージしやすい形でコンプライアンスに関する知識を伝えましょう。

定期的に繰り返し実施する

コンプライアンス研修は、一度実施すれば終わりというわけではありません。何度も繰り返し実施することで従業員の理解が深まり、コンプライアンスを徹底する企業文化を浸透させることができます。

できれば半年に1回程度、少なくとも1年に1回程度は、定期的にコンプライアンス研修を実施することをおすすめします。

フィードバックを受けて研修内容を見直す

従業員からのフィードバックは、コンプライアンス研修の効果を高める観点から大いに役立ちます。
「分かりにくかった」「○○を取り上げた方がよいのではないか」などの意見があれば積極的に検討し、次回以降のコンプライアンス研修の改善につなげましょう。

ムートン

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