リモートワークにおけるハラスメント
(リモハラ)とは?
具体例・リスク・企業の予防策などを
分かりやすく解説!
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- この記事のまとめ
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リモートワークをする従業員についても、企業はハラスメント防止のために必要な措置を講じなければなりません。
業務用チャットやオンライン会議でのハラスメント、勤務時間外の連絡強要や過度な監視など、さまざまなハラスメントのパターンを想定したうえで、その対策を講じることが求められます。リモートワークに特有の問題を考慮しつつ、実効性のあるハラスメント対策を行いましょう。この記事ではリモートワークにおけるハラスメントについて、具体例・リスク・企業が取り組むべき対策などを解説します。
※この記事は、2026年10月29日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。
※この記事では、法令名を次のように記載しています。
- ・労働施策総合推進法…労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
- ・男女雇用機会均等法…雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
目次
リモートワークにおけるハラスメント(リモハラ)とは
リモートワークにおけるハラスメント(リモハラ)とは、オフィスから離れた場所で働く従業員に対し、業務用チャットやオンライン会議などを通じて行われるハラスメントの通称です。在宅勤務などのテレワークについても、パワハラやセクハラなどのハラスメントがしばしば問題となります。
リモートワークについては、対面よりも相手の状況を把握しにくい、文字だけの連絡が強い叱責と受け取られることがあるといった特性があります。また、特に勤務時間外における連絡強要や、自宅での勤務状況に対する過度な監視、勤務時間外の私生活への干渉が行われるケースも見られます。
企業は従業員の勤務場所にかかわらず、ハラスメントを防止するための措置を講じることが求められます。リモートワーク特有のリスクを踏まえ、ハラスメントを防げるようなコミュニケーションの方法・ルールなどを整備しましょう。
リモートワークにおいて問題になり得るハラスメントの種類
リモートワークをする従業員に対しては、次に挙げるハラスメントなどが問題になることがあります。
① パワハラ(パワーハラスメント)
職場における優越的な関係を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動により、従業員の就業環境を害すること。
(例)上司がオンライン会議で、部下のミスを長時間にわたって執拗に叱責した。
② セクハラ(セクシュアルハラスメント)
職場における性的な言動への対応によって従業員を不利益に取り扱うこと、または職場における性的な言動によって従業員の就業環境を害すること。
(例)オンライン会議で、従業員の容姿や服装について性的な発言をした。
③ マタハラ(マタニティハラスメント)
妊娠・出産や、それに関する制度の利用などを理由とする嫌がらせによって、女性従業員の就業環境を害すること。
(例)妊娠中の従業員が体調不良を理由に在宅勤務を希望したところ、上司が業務用チャットで嫌がらせのメッセージを送った。
④ パタハラ(パタニティハラスメント)
育児休業などの制度の利用に関する嫌がらせによって、男性従業員の就業環境を害すること。
(例)男性従業員が育児休業を申し出たところ、上司がオンライン会議で「育休を取る人に重要な仕事は任せられない」と発言した。
⑤ ケアハラ(ケアハラスメント)
介護休業などの制度の利用に関する嫌がらせによって、従業員の就業環境を害すること。
(例)介護休業を申し出た従業員に対し、上司が業務用チャットで「介護を理由に休むなら評価を下げる」と伝えた。
会社はこれらのハラスメントを防止するため、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。
リモートワークにおけるハラスメントの具体例
リモートワークにおけるハラスメントとして、よく見られるパターンの具体例を紹介します。これらのハラスメントが社内で生じていないか点検しましょう。
① 人間関係・情報共有からの排除や無視によるハラスメント
② 業務用チャットによるハラスメント
③ オンライン会議でのハラスメント
④ 勤務時間外に連絡を強要するハラスメント
⑤ 過度な監視をするハラスメント
人間関係・情報共有からの排除や無視によるハラスメント
無視などによって職場の人間関係から切り離すことや、業務を遂行するために必要な情報を連絡しないことはパワハラに該当するおそれがあります。リモートワークにおいては、次のような行為が問題となります。
・チャットで受けた質問や報告を意図的に無視する
・必要なオンライン会議への参加を正当な理由なく認めない
・業務連絡のチャットグループから正当な理由なく外す
など
特に出社している従業員だけで重要な決定を済ませ、在宅勤務者に変更事項を伝えない運用などが続くと、業務に支障が生じてしまいます。勤務場所にかかわらず、重要な情報をオンライン上で共有・確認できる仕組みを整えましょう。
業務用チャットによるハラスメント
業務用チャットで相手の人格を否定する発言をする、業務上のミスを大勢が参加するグループで公然と非難する、威圧的な文面を送るなどの行為はパワハラに当たる可能性が高いです。
業務上の指導を行うべき場合もありますが、必要性や表現などの観点から、パワハラに当たらないような方法を検討する必要があります。客観的な事実に基づいて改善点を伝えつつ、感情的な表現などは避けましょう。
チャットなどのオンライン上のやり取りでは、文面から真意を読み取るのが難しいことが少なくありません。「自分で考えて」「全然ダメ」といった短い指示や否定的な文言などは、意に反して強い非難と受け取られることもあります。必要に応じて電話やオンライン面談でフォローするなど、相手の受け止め方に配慮したコミュニケーションに努めましょう。
また、チャットで性的な言動をすることは、セクハラに当たり得る点にも留意すべきです。
オンライン会議でのハラスメント
オンライン会議で長時間叱責する、他の出席者が見ている前で人格を否定するような叱責をする、外見や私生活について執拗に質問するといった行為はパワハラに該当するおそれがあります。
特にオンライン会議では、従業員の自宅の様子が映り込むことがあります。例えば、部屋の様子や家族の映り込みをからかうことは、プライベートに対する過度な干渉と捉えられることがあるので要注意です。
また、必要がないのにカメラの常時オンを強要することも、プライベートに対する過度な干渉としてパワハラに当たる可能性があります。
加えて、オンライン会議の場で性的な言動をすることは、セクハラに当たり得る点にも注意してください。
勤務時間外に連絡を強要するハラスメント
終業後や休日にも即時返信を求め、それに応じない従業員を責める行為は、私生活を不当に侵害するパワハラに当たることがあります。また、勤務時間外の対応を強要すると、労働時間の管理や残業代の支払いなどに関して、労働基準法違反の問題も生じ得るので注意が必要です。
業務上の連絡を勤務時間外に行う場合があるとしても、その対応に関する合理的なルールをあらかじめ定めておきましょう。
例えば、夜間に上司から連絡が来ても、翌営業日の返信で差し支えない運用を徹底すれば、従業員の負担を軽減できます。緊急対応が必要となり得る部署では、当番制を採用するなどして、従業員に予期せぬ負担がかからないように工夫しましょう。
過度な監視をするハラスメント
次に挙げるような行為は、従業員に強い心理的負担を与えるおそれがあります。業務上必要な範囲を超えて行うと、パワハラに該当する可能性があるので注意が必要です。
- 従業員のパソコン画面を管理者が常時監視する
- パソコンのカメラを使って勤務中の様子を頻繁に撮影する
- 離席の理由や時間を細かく問いただす
- 自宅の内部を撮影させる
勤怠管理や情報セキュリティのため、勤務状況に関する一定の確認が必要な場合はありますが、その目的や実施する確認の範囲・方法などをあらかじめ明確化しておきましょう。
リモートワークにおけるハラスメントを放置するリスク
リモートワークにおけるハラスメントを放置すると、従業員の心身の不調や離職、職場における生産性低下、企業への信頼の失墜などにつながることがあります。こうした事態は、中長期的な企業価値の向上を妨げる要因となります。
また、企業は労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法などの法令に基づき、ハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講ずる義務を負っています。必要な措置を怠ったため従業員に損害が生じた場合は、安全配慮義務違反(労働契約法5条)や使用者責任(民法715条)等に基づく損害賠償責任を負うこともあるので要注意です。
健全な職場環境を整え、企業として安定的な成長を目指すために、リモートワークにおけるハラスメントの防止に取り組みましょう。
リモートワークにおけるハラスメントを防止するため、企業が取り組むべきこと
リモートワークにおけるハラスメントを効果的に防止するには、リモートワークの特性を踏まえた対策を行うことが重要です。次の取り組みなどを検討し、ハラスメントの防止を図りましょう。
① ハラスメント防止に関する方針の明確化・周知
② リモートワークに関するルールの整備・周知
③ ハラスメント防止につながるシステム上の措置
④ オンラインで相談できる窓口の設置
⑤ 従業員に対する面談の実施
⑥ ハラスメント発生時の適切な対処
ハラスメント防止に関する方針の明確化・周知
ハラスメントを許さない厳格な方針を掲げるとともに、禁止される行為や懲戒処分の基準などを明確にし、従業員に対して周知しましょう。
リモートワークに関しては、チャットやオンライン会議での侮辱・威圧・性的な言動、プライベートに対する過度な干渉・監視などが問題になり得ます。これらの行為を禁止する旨、および違反した者は懲戒処分の対象となり得る旨などを明示し、日々の業務における心がけを促しましょう。
ハラスメント研修などを通じて、管理職を含む従業員に、適正な指導とハラスメントの違いや相談窓口の利用方法を繰り返し周知することも有効です。
リモートワークに関するルールの整備・周知
リモートワークに適用されるルールを、社内規程などによって明文化しましょう。策定した社内ルールを適切に運用することによって、従業員に予期せぬ負担がかかることを防げます。
リモートワークに関するルールとしては、例えば次の事項などを定めます。
・始業、終業時刻
・休憩時間
・業務連絡が可能な時間帯
・勤務時間外の連絡への対応方法
・緊急時の連絡手順
・進捗報告の方法、頻度
・オンライン会議でのカメラ利用
・勤務状況を確認する方法、範囲
など
特に業務上の必要性を超えて、私生活へ過度に干渉する行為を防げるルールを整備することが重要です。整備したルールはリモートワークを行う従業員だけでなく、上司や出社している従業員にも周知しましょう。
ハラスメント防止につながるシステム上の措置
リモートワークにおけるハラスメントを防止するためには、システム上の機能を活用することも効果的です。
例えば、会議の録画や勤怠ログの閲覧権限を必要最小限に限定すれば、不必要なプライベートへの干渉等を防げます。オンライン会議のカメラについては、ぼかしや仮想背景を利用できるようにすると、自宅の映り込みも防ぐことができます。
業務用チャットの通知が勤務時間外に自動でオフになるように設定すれば、退勤に伴って従業員が仕事から離れやすくなるでしょう。
こうしたシステム上の措置については、情報システム部門や人事部門、法務・コンプライアンス部門などが連携し、適切なあり方を検討することが求められます。
オンラインで相談できる窓口の設置
リモートワークについてトラブルや不安を抱えている従業員が、勤務場所にかかわらずオンラインで相談できる窓口を設けましょう。
従業員に遠慮なく窓口へ相談してもらうには、相談の秘密・プライバシーを守り、相談を理由とする不利益な取扱いを受けないようにすることが大切です。所属部署から独立した相談窓口を設け、窓口担当者に対しては相談対応に関する研修を実施しましょう。
従業員に対する面談の実施
管理職は、リモートワークで働く従業員が孤立や重い負担を感じていないかを把握することが大切です。そのために、オンラインで定期的な個別面談を実施するなど、コミュニケーションの機会をこまめに設けましょう。
面談では話を遮らず、負担や困りごとなどを具体的に聞くことが大切です。従業員に心身の不調や過度な負担が見られる場合は、必要に応じて産業医・人事担当者などと連携してケアを行いましょう。
ハラスメント発生時の適切な対処
リモートワークで働く従業員からハラスメントの相談を受けた場合は、客観的事実を把握したうえで適切に対応することが求められます。
まずは相談者と加害者とされる従業員の双方から事情を聞いたうえで、チャット履歴や会議記録などの資料を精査し、事実関係を把握しましょう。必要に応じて、当事者以外の関係者に対してもヒアリングを行います。
被害を訴える従業員に対しては、人事部門などが中心となってケアを行います。加害者とされている従業員から引き離す、産業医との面談を設けるなどの対応を検討しましょう。
ハラスメントの事実が認められる場合には、加害者に対する指導や懲戒処分を検討します。ただし懲戒処分は、ハラスメントの性質・態様などに照らして重すぎる場合は無効となり得るので注意が必要です。
同じようなハラスメントが再び起こらないように、再発防止策を検討することも求められます。原因を分析したうえで適切な再発防止策を講じましょう。
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