合意書とは?
同意書や契約書との違い・
テンプレート・書き方などを解説!

この記事のまとめ

「合意書」とは、当事者の間で、取引内容など何らかの事項を合意する際に締結する書面です。基本的には「契約書」や「覚書」と同じ意味ですが、当事者の一方から他方へ提出される「同意書」や「誓約書」とは異なります。

合意書を締結する際には、取引などの内容が適切に反映されているか、自分(自社)にとって不当に不利な内容が含まれていないかといったポイントを確認することが重要です。合意書に盛り込むべき内容は、個々の取引内容や状況などによって異なるため、事前に十分な検討を行ったうえで合意書を締結しましょう。

この記事では「合意書」について、契約書・覚書・同意書・誓約書との違い、ひな形、作成時の注意点などを解説します。

「合意書」「承諾書」「契約書」「覚書」…。いろいろな書面があって混乱します。

ほぼ同じ意味で使われている言葉もあれば、別の意味で使われている言葉もあります。この記事で詳しく解説していきますね!

(※この記事は、2022年2月25日時点の法令等に基づいて作成されています。)

「合意書」とは

合意書とは、当事者の間で何らかの事項を合意する際に締結する書面です。

合意書を締結する場合には様々なパターンが考えられます。一例としては、以下のとおりです。

合意書の例

✅  取引条件に関する合意書
✅  トラブルに関する和解合意書
✅  隣地間での境界確定に関する合意書
✅  離婚合意書
など

合意書を締結する主な目的は、現時点での法律関係を明確化し、後のトラブルの複雑化を防ぐことにあります。そのため、これから取引関係に入る事業者間、発生しているトラブルの当事者間で、合意書を締結するケースが多いです。

合意書の法的効力

多くの場合、合意書は、締結した当事者(以下「締結当事者」)を法的に拘束し、裁判(訴訟)になった際も重要な証拠として使用できます。したがって、締結当事者は合意書の内容を遵守しなければならず、違反があれば債務不履行責任等を負います。
ただし、合意書の内容が公序良俗に反する場合は、法律上無効となります(民法90条)。

公序良俗に反するとはどういう意味ですか?

「社会の道徳や秩序に背く」といった意味です。具体的には、人権を侵害する内容や犯罪行為となる内容などが無効になりますが、公序良俗に反するかどうかの最終判断は裁判所が行います。

また、当事者間の合意があれば、合意書の全部または一部について、法的拘束力を持たせないようにすることも可能です。その場合は、該当する条項に法的拘束力がないことについて、合意書の中に明記しておく必要があります。

合意書と契約書・覚書・同意書・誓約書の違い

合意書と比較されることの多い書面として、「契約書」「覚書」「同意書」「誓約書」などがあります。合意書とこれらの書面は、どのような点で共通しており、どのような点で異なるのかを以下にまとめました。

合意書と契約書の違い

「合意書」と「契約書」は、名称が違うだけで、法的な機能は同じです。いずれも締結当事者間で何らかの事項を合意し、その内容に法的拘束力を持たせることを目的としています。

「契約書」という名称は、特に取引に関する合意書面に付されることが多いです。

これに対して「合意書」は、取引関係にある当事者間で締結されることもありますが、必ずしも取引関係を前提にしていません。例えば不法行為や離婚など、取引以外の法律トラブルを解決するために、「合意書」という名称の書面を締結することが多くなっています。

合意書と覚書の違い

覚書」も契約書と同様に、「合意書」との間で法的な機能に違いはありません。やはりいずれも、締結当事者間で何らかの事項を合意し、法的拘束力を持たせることを目的とした書面です。

「覚書」という名称は、大元となる契約(原契約)を補足したり、変更したりする書面を締結する際に用いられることが多いです。ただし、必ずしも取引関係を前提としているわけではなく、取引以外の法律トラブルを解決する際に「覚書」を締結することもあります。

「合意書」と「覚書」は、締結されることの多い場面がおおむね共通しており、基本的にはどちらの名称を用いても問題ないでしょう。

合意書と同意書の違い

「合意書」が複数の当事者間で話し合って決めた内容をまとめた書面であるのに対して、「同意書」は一方の当事者から別の当事者に対して提出される書面であるという違いがあります。

同意書の提出を求められるのは、主に法令や契約に基づいて、一方の当事者の同意を取得することが必要な場合です。例えば個人情報を提供するときや、病院で手術を受けるときなどです。

合意書と誓約書の違い

「誓約書」も同意書と同様に、一方の当事者から別の当事者に提出される書面です。したがって、当事者間で話し合って決めた内容をまとめた「合意書」とは、書面としての性質が異なります。

誓約書は、提出者が何らかの事項を約束し、提出先に対する義務を負う内容となっています。誓約書の例としては、秘密保持に関する誓約書、入社時の誓約書などがあります。

合意書の書き方|ひな形(テンプレート)と併せて紹介

合意書に規定すべき事項は、当事者が想定している取引や法律関係の内容によって、ケースバイケースです。

そのため、合意書の汎用的な書き方を紹介するのは難しいです。しかし、実務上よく用いられている体裁は存在するので、基本的にはその体裁を踏襲したうえで、個々の事情に応じて加筆するのがよいでしょう。

以下では、合意書のテンプレートとともに、基本的な体裁部分の書き方を解説します。

●●に関する合意書

株式会社●●(以下「甲」という)と▲▲株式会社(以下「乙」という)は、甲乙間の●年●月●日付「●●契約書」(その後の変更等を含む)に関して、●年●月●日付で下記のとおり「●●に関する合意書」を締結する。

第1条(●)
……

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、当事者双方署名又は記名押印のうえ、各1通を保有する。

●年●月●日

甲    東京都●●
      株式会社●●
      代表取締役 ●●   印

乙    東京都●●
      ▲▲株式会社
      代表取締役 ●●   印

表題を記載する

まずは、合意書の表題を記載します。単に「合意書」と記載するよりは、何に関する合意書であるかがわかるような表題にしておくのがよいでしょう。

合意書の表題の例

✅  賃貸借契約に関する合意書
✅  ●●取引に関する合意書
✅  隣地間紛争の解決に係る和解合意書
✅  離婚合意書
など

表題を決めるにあたって、特に守るべきルールはありませんので、当事者にとって分かりやすい表題にしておけばOKです。

前文(鏡文)を記載する

前文は、合意書の重要な要素を端的に要約し、一目で把握できるようにした前書き部分です。「鏡文(鑑文)」と呼ばれることもあります。

前文に記載すべき事項は、おおむね以下のとおりです。

合意書の前文に記載すべき事項

✅  当事者の氏名又は名称(合意書の条文で使えるように、「甲」「乙」などと凡例化しておく)
✅  合意書の締結日
✅  合意書を締結する目的(簡単に、省略してもよい)
✅  原契約がある場合は、原契約を特定できる事項
(例)甲乙間の●年●月●日付「●●契約書」(その後の変更等を含む)
など

細かい条文は本文の中で規定すればよいので、前文(鏡文)では、あくまでも合意書に関する基本的な情報のみを記載しておきましょう。

合意内容をまとめた条文を記載する

合意書の本文では、当事者間で合意する内容を、「第1条」「第2条」……という形で漏れなく規定しておきます。合意書の中で最も重要なパートになりますが、記載すべき事項はケースバイケースで異なるので、個々の事情を分析・検討することが必要不可欠です。

以下では、合意書の内容に応じて、規定しておくべきと思われる事項を、目安として紹介します。

取引に関する合意書に規定すべき事項

✅  想定されている取引の内容
✅  当事者の義務の内容、履行期限、履行方法
✅  合意書の解約・解除に関する事項
✅  規定されていない事項は原契約に従う旨(原契約がある場合)
✅  管轄・紛争解決条項
など

トラブルの解決に関する合意書に規定すべき事項

✅  当事者の義務の内容、履行期限、履行方法
✅  清算条項(合意書に規定される事項のほか、当事者間に債権債務が一切存在しないことを確認する条項)
✅  強制執行認諾文言(公正証書の場合のみ。債務不履行が発生した場合には、直ちに強制執行に服する旨を陳述する規定)
✅  管轄・紛争解決条項
など

離婚合意書に規定すべき事項

✅  財産分与(年金分割を含む)
✅  慰謝料
✅  婚姻費用
✅  親権
✅  養育費
✅  面会交流の方法
✅  清算条項
✅  強制執行認諾文言(公正証書の場合のみ)
✅  管轄・紛争解決条項
など

署名欄を作成し、当事者全員が署名・押印等を行う

合意書の末尾には、当事者全員の署名欄を作成します。署名欄に記載すべき事項は、以下のとおりです。

署名欄に記載すべき事項

✅  当事者の住所
✅  当事者の氏名又は名称
✅  法人の場合は、契約締結権限者(通常は代表者)の肩書と氏名
✅  当事者の押印
✅  合意書の作成通数と保管者、締結方式
(例)本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、当事者双方署名又は記名押印のうえ、各1通を保有する。

締結方式については、実務上、おおむね以下の3つが用いられています。基本的にはどの方式を選択しても構いません。

合意書の締結方式

✅  署名方式
→契約締結権限者が氏名を手書きする方式です。押印は行いません。印鑑の文化がない海外の企業などが当事者となる場合によく用いられます。

✅  署名・捺印方式
→契約締結権限者が氏名を手書きしたうえで、押印も行う方式です。個人が当事者となる場合によく用いられます。

✅  記名・押印方式
→氏名または名称についてはあらかじめ印字(記名)しておき、押印のみを行う方式です。企業間取引に関する合意書でよく用いられます。

合意書を締結する際に確認すべき事項

合意書を締結すると、締結当事者は、相手方に対して義務を負うことになります。そのため、締結前に合意書の内容をよく確認することが大切です。

特に以下の3点は重要なポイントとなるので、予期せぬ条項が含まれていないか、きちんと確認しましょう。

取引の内容が正しく記載されていることを確認する

何らかの取引を行う目的で合意書を締結する場合、今後実際に行われる取引は、合意書の規定に準拠して行われます。

想定している取引とは異なる内容が規定されていたり、決めておくべきルールが漏れていたりすると、実際の取引においてトラブルに発展しかねません。取引に関する合意書を締結する際には、取引内容が正しく反映されていることを確認しましょう。

不当に不利な条項が含まれていないかを確認する

相手方が合意書のドラフトを提示してきた場合、自分(自社)にとって不利な条項が含まれているおそれがあります。

不当に不利な内容の条項を見過ごし、そのまま合意書を締結してしまうと、トラブルに発展した際、過大な義務を負うことになりかねません。法的な相場観を踏まえたうえで、自分(自社)にとって不当に不利であると思われる内容は、コメントを付したうえで削除を提案しましょう。

解約・解除に関する条件を確認する

リスク管理の観点から、合意書に基づく取引を継続することが適当でないと判断される場合には、合意書を解約・解除できるよう定めておく必要があります。

解約・解除に関する規定については、「どのような場合に解約・解除ができるのか」「解約・解除時に何らかのペナルティ(違約金など)は発生するのか」といったポイントをチェックしておきましょう。

合意書を締結する際の注意点

最後に、合意書を作成する際の注意点として、印紙税(収入印紙)と電子締結の2点にふれておきます。

印紙税(収入印紙の貼付)が必要な場合がある

合意書を紙ベースで締結する場合、収入印紙の貼付が必要となる場合があります。

収入印紙の貼付が必要となるのは、印紙税法において課税文書とされている、第1号から第20号までの文書(合意書)です。課税文書の具体的な種類については、国税庁のウェブサイト(末尾参考文献)をご参照ください。

印紙税のかかる合意書に収入印紙を貼付していないことが、税務調査で発覚した場合、本来の3倍にあたる税が徴収されます(印紙税法20条1項)。合意書を締結する際には、収入印紙の貼付が必要でないか、必ず確認しましょう。

合意書は電子締結も可能|ただし締結の有効性等に注意

合意書は紙ベースのほか、電子契約システム等を利用して、電磁的方法により締結することも可能です。

電子締結の場合、リモートで合意書を締結できるため、コロナ禍の昨今の状況にもマッチした締結方式と言えるでしょう。また、電子締結なら印紙税がかからない点もメリットです。

ただし、合意書を電子締結する場合、相手方にて締結処理を行った者が、本当に契約締結権限を有しているのかどうかが懸念されます。

この懸念を解消するには、相手方に電子署名等を要求することが考えられます。また、契約締結権限があることについて、相手方に表明保証してもらうなどの対応も有力でしょう。

この記事のまとめ

「合意書」の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!

参考文献

・国税庁ウェブサイト「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
・国税庁ウェブサイト「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」