コンプライアンスリスクとは?
主な種類・リスクマネジメントにおける
注意点などを解説!

この記事のまとめ

コンプライアンスリスク」とは、企業の不祥事などが原因となり、法的責任や社会的評判の失墜が発生する危険性を意味します。

コンプライアンスリスクには、法令違反社内規程違反契約違反不法行為のリスクに加えて、社会的評判の失墜につながるレピュテーションリスクなどが含まれます。これらのコンプライアンスリスクが顕在化すると、企業は経営上大きなダメージを負いかねません。

安定的に企業経営を続けていくためには、コンプライアンスリスクを適切に管理することが重要です。自社にとってのリスク要因を分析した上で、二重・三重にリスク管理の仕組みを構築しましょう。必要に応じて、外部専門家やシステムを構築することも有用です。

この記事ではコンプライアンスリスクについて、主な種類・事例・顕在化の要因、さらにリスクマネジメントの重要性や企業の注意点などを解説します。

コンプライアンスリスクに備えねば、と思ってはいますが、コンプライアンスリスクって分かりにくいです。研修をしたり、社内に周知するほかに、何かしたほうがよいことはあるのでしょうか?

目に見えないリスクを制御可能にするためには、仕組みの整備や日々の積み重ねが必要です。コンプライアンスリスクの具体例を挙げながら、解説していきましょう。

※この記事は、2022年12月22日時点の法令等に基づいて作成されています。

コンプライアンスリスクとは

コンプライアンスリスク」とは、企業の不祥事などが原因となり、法的責任社会的評判の失墜が発生する危険性を意味します。

コンプライアンスとは

コンプライアンス」とは、法令をはじめとする社会的規範を遵守することです。企業が安定的に経営を続けていくためには、コンプライアンス強化が重要な課題となります。

コンプライアンスの観点から遵守すべき規範としては、法令のほか社内規程契約社会道徳などが挙げられます。

リスクとは

リスク」とは、何らかの悪い事象が発生する可能性・危険性を意味します。

企業がどのような活動を行うか、その活動内容が社会においてどのように評価されるかなどは、運にも左右される不確実な事柄です。不確実な状況において経営を行う中では、企業は常に何らかの損害を負うリスクに晒されています。
コンプライアンスリスクも、企業が抱えるさまざまなリスクの一つです。企業がコンプライアンス違反を犯し、それが発覚してしまった場合、コンプライアンスリスク顕在化して、企業は大きな損害を被る恐れがあります。

コンプライアンスリスクの主な種類・事例

コンプライアンスリスクには、主に以下の種類があります。

✅ 法令違反のリスク
✅ 社内規程違反のリスク
✅ 社会からの期待・要請・モラル違反のリスク
✅ 契約違反のリスク
✅ 第三者に対する不法行為のリスク

法令違反のリスク

企業に対しては、さまざまな法令が適用されます。各企業は、自社に適用される法令を遵守しなければなりません。

企業に適用される法令の例

✅ 労働基準法
→従業員を雇用する場合に適用

✅ 消費者契約法
→一般消費者向けに事業を行う場合に適用

✅ 独占禁止法
→市場における競争を制限する行為について、幅広い企業に適用

✅ 下請代金支払遅延等防止法(下請法)
→下請事業者に対して発注を行う場合に適用

✅ 金融商品取引法
→有価証券やデリバティブ取引に関する事業を行う場合に適用

✅ 電気通信事業法
→電気通信設備を提供する場合などに適用
など

法令違反した企業は、業務停止命令課徴金納付命令などの行政処分や、刑事罰の対象となる可能性があるので要注意です。

社内規程違反のリスク

各企業が定めている社内規程は、単なる内部のルールとして軽視できるものではありません。法令違反を犯さないための予防線として、あるいは従業員との契約関係を規律するルールとして、企業が十分に遵守・尊重すべきものです。

社内規程違反を犯した企業は、さらに進行すれば法令違反のリスクを負うほか、従業員との間の労務トラブルに巻き込まれる可能性があります。

契約違反のリスク

取引先や顧客と締結している契約は、企業にとって遵守すべき重要な規範の一つです。取引関係を安定的に続けていくためには、契約内容の遵守に努め、取引先・顧客からの信頼を得る必要があります。

契約違反を犯した企業は、取引先・顧客から損害賠償を請求されたり、重要な契約解除されたりするリスクを負うので注意が必要です。

第三者に対する不法行為のリスク

企業が事業を運営するに当たっては、第三者の権利を侵害する「不法行為」のリスクにも注意しなければなりません。

企業による不法行為の例

・他社の知的財産権の侵害(特許権侵害、著作権侵害、商標権侵害など)
・汚染物質の排出による公害
・店舗や施設における設備の欠陥に起因する事故
など

不法行為を犯した企業は、被害者に対して損害賠償責任を負います。不法行為の内容によっては、巨額の損害賠償を請求されることもあるので十分ご注意ください。

社会からの期待・要請・モラル違反のリスク

企業が遵守すべき規範は、明文化されたルールに限りません。例えば社会からの期待・要請、モラルなどに由来する「不文律」についても、社会的評判(レピュテーション)の観点から、十分に意識して事業を運営する必要があります。

仮に法令・社内規程・契約などで禁止されていないとしても、レピュテーションリスクを考慮すると、何でもやっていいわけではありません。一般市民の視点から見て、会社の信頼を損なう可能性がある行為については、極力避けることが求められます。

コンプライアンスリスクが顕在化する主な要因と対策

コンプライアンスリスクが顕在化する主な要因としては、以下の例が挙げられます。それぞれの要因に応じて、適切な対策を実行しましょう。

✅ 人為的ミス(ヒューマンエラー)
✅ システムの不具合
✅ 社内ルールの不備
✅ 故意による背信行為

人為的ミス(ヒューマンエラー)

個々の役員・従業員などによる人為的ミス(ヒューマンエラー)は、コンプライアンスリスクを顕在化させる主要な要因の一つです。

人為的ミス(ヒューマンエラー)の例

・メールの誤送信により、機密情報を流出させてしまった
・法務担当者のチェック漏れにより、法令上規定が必須とされている条項が、契約書に規定されなかった
など

人為的ミスによるコンプライアンス違反を避けるためには、ダブルチェック体制の整備や、システムによるチェックの併用などが効果的です。

システムの不具合

自社において導入しているシステムの不具合が、コンプライアンスリスクの顕在化につながってしまうこともあります。

システムの不具合の例

・サーバーの不調により、自社のウェブサービスの提供を長期間にわたり停止せざるを得ず、顧客に対する返金などの対応を迫られた
・自社システムのセキュリティホールを突いたハッキングにより、機密情報が流出してしまった
など

システムの不具合は予測が難しい面があるものの、バックアップのシステムを準備するなど、できる限りの対応策を整えておきましょう。

社内ルールの不備

従業員などが、不備のある社内ルールに従って業務を行った結果、コンプライアンス違反が発生してしまうケースもあります。

社内ルールの不備の例

・社内規程に重要な法改正を反映されておらず、その社内規程に従って業務を行った結果、法令違反の状態が発生してしまった
・業務マニュアルを制定する際、注意すべきリスクについて十分な検討がなされておらず、実際の業務において、さまざまな予期せぬリスクが顕在化してしまった
など

社内ルールをきちんと整備することは、企業におけるコンプライアンスを徹底する上で極めて重要です。各担当者が知恵を持ち寄り、弁護士などの専門家のチェックも受けつつ、できる限り充実した社内ルールを整備しましょう。

故意による背信行為

役員・従業員の故意による背信行為が、会社にとって重大な不祥事を引き起こすケースもしばしば報道されています。

故意による背信行為の例

・従業員が会社の資金を横領した
・従業員が会社の機密情報を週刊誌にリークした
・従業員が店舗で悪質ないたずらをしている様子を撮影し、SNSにアップしたところ炎上した(いわゆる「バイトテロ」)
など

故意による背信行為は、個々の役員・従業員の単独行動による場合が多いため、企業として完全に防ぐことは困難です。それでも、役員・従業員間で相互監視の仕組みを整えるなどして、できる限りの予防を図りましょう。

コンプライアンスリスクマネジメントの重要性

コンプライアンスリスクの顕在化を防ぐため、適切なリスクマネジメント(管理)を行うことは、企業にとって以下の観点から非常に重要です。

・損害賠償・行政処分などによる不測の損害を防ぐ
・社会的な評判の失墜を防ぐ
・ブランドイメージの向上につながる
・働きやすい職場づくりにつながる

損害賠償・行政処分などによる不測の損害を防ぐ

契約違反や不法行為を犯した場合は損害賠償など、法令違反を犯した場合は行政処分刑事罰などのリスクを負うことになります。これらのペナルティが課されると、企業にとっては経営上の大打撃となりかねません。

ペナルティによる不測の損害を避けるためには、コンプライアンスリスクの顕在化を防ぐため、会社全体で各種規範の遵守を徹底することが大切です。

社会的な評判の失墜を防ぐ

コンプライアンス違反の発生がSNSや報道などで広まると、企業の社会的な評判は失墜してしまいます。そうなると、取引先や顧客が離れることによる業績の低迷や、人材採用の不調、離職率の上昇などを招く可能性が高いです。

企業に対する社会の信頼を維持するためには、コンプライアンスを強化して、不祥事の発生を防ぐ取り組みが重要になります。

ブランドイメージの向上につながる

コンプライアンスを重視する姿勢を発信することは、企業にとってブランドイメージの向上につながります。不祥事のリスクが低い、安心感のある企業として社会に認知されやすくなるためです。

コンプライアンスの強化は、即効的に業績を向上させるものではありませんが、中長期的な視点では必ず好影響をもたらします。

働きやすい職場づくりにつながる

コンプライアンスの強化によって事業運営をクリーンに行うことは、従業員にとって働きやすい職場づくりにもつながります。

各種労働法に沿って良好な労働条件を提供すれば、より魅力的な職場となって、人材採用や従業員の定着に好影響が生じます。また、会社の中から違法またはグレーな業務をなくすことで、従業員が後ろ暗いところなく業務に取り組めるようになり、モチベーションの向上も期待できるでしょう。

コンプライアンスリスクを制御する際のポイント

企業がコンプライアンスリスクの顕在化を防ぐためには、以下のポイントに留意して対策を実施することが求められます。

・自社にとってのリスク要因を分析・評価する
・二重・三重にリスク回避の仕組みを構築する
・外部専門家やシステムを活用する

自社にとってのリスク要因を分析・評価する

まずは、自社の事業運営において、どのようなコンプライアンスリスクが存在し、それが自社にとってどの程度深刻であるのかを分析・評価する必要があります。

特に、新たに契約を締結する場合や、社内規程・業務マニュアルなどを作成する際には、コンプライアンスリスク要因の分析・評価を欠かさずに行いましょう。その際、所管部と法務担当者の連携が重要になります。

二重・三重にリスク回避の仕組みを構築する

人為的ミスによるコンプライアンスリスクの顕在化は、ダブルチェックトリプルチェックの仕組みを整えることで、回避できる可能性が高まります。

少なくとも重要な業務については、実際の業務を取り扱う所管部において複数人がチェックを行い、さらに法務部を中心としたバックオフィスの担当者がチェックを行うなど、人為的ミスを最大限排除できるようなチェック体制を整えましょう。

外部専門家やシステムを活用する

コンプライアンス違反のリスクを減らすには、外部専門家システムを活用することも効果的です。

例えば契約書のリーガルチェックは弁護士、税務面の取り扱いについては税理士にアドバイスを求めるなど、場面に応じて外部専門家を使い分けるのがよいでしょう。
また、契約書のレビューについてAIを用いたシステムを導入するなど、「人の目」に加えて「機械の目」によるチェックを行うことは、コンプライアンスリスクの最小化につながります。

この記事のまとめ

コンプライアンスリスクの記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!