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契約審査業務とは? 契約審査のフロー・担当者に必要な能力・ レビューすべき条項などを解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

2022/09/20 (公開:2022/09/13)
この記事のまとめ

契約審査業務とは、会社が当事者として締結する契約書をレビューする業務です。主に法務担当者が契約審査業務を担当します。

契約審査業務は、会社を契約トラブルのリスクから守りつつ、契約管理を円滑化する観点から非常に重要です。法令遵守や自社の利益などに着眼して、契約内容を適正化するため隅々までレビューを行いましょう。

今回は契約審査業務について、契約審査のフロー・担当者に必要な能力・レビューすべき条項などを解説します。

法務部で、契約審査業務の担当になりましたが、そもそも契約審査の意味も流れも何も知りません。
ヒツジ
ムートン先生
安心してください。この記事で、法務部に配属になった方・契約審査の担当になった方向けに、契約審査業務の基本をわかりやすく解説していきますよ。

契約審査業務とは

契約審査業務とは、会社が当事者として締結する契約書をレビューする業務です。主に法務担当者が契約審査業務を担当します。

事業活動が活発になると、会社は日々さまざまな契約を締結します。その都度、法務担当者が中心となって契約審査業務を行うことになります。ただし、小さな会社では、法務担当者をおかず、契約書が発生する度に、外部弁護士に契約審査を依頼することもあります。

「契約」とは

そもそも「契約」とは、取引を行う当事者同士の法的な合意を意味します。契約が締結されると、権利と義務が発生し、当事者は契約に拘束されます。つまり、契約当事者は契約を守らなければならないのです。

一方で、契約が法的に成立するには、原則として、契約書の作成は必要ではありません(=口頭でも成立します)。しかし、ビジネスでは、時間的・人的・金銭的コストをかけてでも、契約書を作成し、法務担当者が契約審査を行うのが一般的になっています。

これは、契約書が、「リスク制御」の機能をもつためです。たとえば、契約が守られなかった場合・取引に関するトラブルが発生した場合などにつき、契約書にあらかじめ自社に有利なルールを定めておけば、リスクを最小限に抑え、解決を図ることができます。


契約審査業務が重要な理由

契約審査業務が重要である理由としては、主に以下の2点が挙げられます。

✅ 会社を契約トラブルのリスクから守る
✅ 契約管理を円滑化する

会社を契約トラブルのリスクから守る

契約審査業務のもっとも重要な目的は、会社を契約トラブルのリスクから守ることです。

契約書が「リスク制御」の機能をもつことは前述したとおりですが、このリスク制御を適切に働かせるためには、法務担当者が契約審査を行って、何がリスクなのかを洗い出し、必要に応じてリスクの低減を図る作業が必要です。

たとえば、自社が負う義務が極端に重い契約になっている場合、取引に当たって無理な対応を強いられたり、トラブル発生時に多額の損害賠償を請求されたりするリスクがあります。

リスクを排除して安全に取引を始めるためには、契約を締結する前の段階できちんと審査を行い、自社にとって不利益となる条項を削除するなどの対応を行うことが大切なのです。

契約管理を円滑化する

契約審査業務には、過去に締結した契約などとの間で整合性を確保して、契約管理を円滑化する目的もあります。

たとえば、同種の契約(秘密保持契約・業務委託契約など)を複数の取引先との間で締結する場合、できる限り同じ契約内容でそろえた方が、自社にとって契約の管理がしやすくなります。

そのため契約審査では、過去に締結した契約などの内容を確認しつつ、今後締結する契約をできる限り過去事例に合わせる作業が行われます。

また、過去に締結された契約(=原契約)に付随関連する契約書類(覚書合意書など)を締結する場合は、原契約との整合性の確認が必要です。この場合も、契約審査業務によって契約書間の整合性を確認することになります。


契約審査業務を行う法務担当者に求められる能力

契約審査業務を行う法務担当者には、主に以下の能力が求められます。

✅ 契約リスクを分析・抽出する能力
✅ 過去事例における取り扱いを調査・把握する能力
✅ 契約書間の関係性を把握・理解する能力

契約リスクを抽出・分析する能力

まず、契約リスクを抽出・分析する能力が求められます。

契約書には、さまざまな権利義務に関する条項が定められています。

契約審査業務の担当者は、そのなかから、

会社に大きな影響を及ぼす可能性のある条項
自社にとって不利益・不公平な条項

が含まれていないか、含まれているとしたら許容すべきか・交渉し修正をすべきかなどを判断し、契約書を隅々までレビューしなければなりません。

そのため、自社にとっての契約リスクを正確に抽出・分析する能力が求められます。

過去事例における取り扱いを調査・把握する能力

契約管理を円滑化する観点からは、会社が締結する同種の契約は、できる限り同じ内容でそろえることが望ましいです。

契約交渉の段階では、相手方から契約内容の修正を求められる場合があります。その場合、過去に締結した同種の契約の内容を確認して、相手方の修正要求を受け入れるか否かを検討しなければなりません。もし整合性が失われるようであれば、修正要求を拒否すべきでしょう。

契約審査業務を行う担当者には、このように過去事例における取り扱いをスムーズに調査・把握し、これから締結する契約書のレビューに活かす能力が求められます。

契約書間の関係性を把握・理解する能力

同じ取引先との間で複数の契約書類を締結する場合、ある契約書によって別の契約書が参照されるケースもしばしば発生します。

(例)
「本覚書における用語の定義は、本覚書に別段の定めがない限り、原契約の定めに従う。」
→覚書と原契約を照らし合わせて確認する必要がある

そのため、契約審査業務を行う担当者には、契約書間の関係性を把握・理解する能力が求められます。

関連契約の保管場所を把握するとともに、どのような条項がどの辺りに置かれているかについても、大まかに頭に入れておくことが望ましいでしょう。


契約審査のフロー

契約審査業務は、おおむね以下のフローによって行います。

①担当部署から契約審査の依頼を受ける
②契約の全体像と論点を把握する
③修正案などのコメントを付す
④担当部署へフィードバックし、相手方と契約交渉を行う
⑤最終版の審査を行い、契約を締結する

①担当部署から契約審査の依頼を受ける

契約審査業務は、営業部などの担当部署から契約審査の依頼を受けることによってはじまります。

このとき、担当部署から案件の概要をヒアリングしておくことが大切です。

担当部署から、取引の目的や背景の説明がなかった場合は、法務担当者のほうから、

✅ 目的|なぜ、この取引をしたいのか
✅ 背景|この取引をするに至った経緯はどんなものか

といったことを聞き出してみましょう。

取引の目的や背景によって、自社にとって、

✅ 必ず勝ち取るべき事項
✅ 勝ち取ることが望ましい事項
✅ 妥協してよい事項

が変わってくるからです。

なお、受付の工程を効率化・平準化したい場合は、契約審査依頼書などを作成し、依頼の際に必要な情報をあらかじめ記入してもらうといったことも考えられます。どのような審査受付フローが適切かは、会社によって異なりますので、自社にとって最適なフローを考えていきましょう。

②契約の全体像と論点を把握する

契約審査業務を行う際には、まず、原則として契約書全体を確認する必要があります。

そのうえで、相手方や担当部署のコメント・質問などが記載されている部分を中心に、何が論点になっているのかを分析・把握しましょう。

なお、担当部署から確認箇所を限定する旨が指示される場合もあります。その場合、重点的に確認するのは指示された箇所だけで構いませんが、他の箇所についても念のため、形式面を中心に違和感がないかレビューすることが望ましいでしょう。

※契約審査において具体的に何を確認すべきかは、「契約審査で確認すべきポイント」にて解説しますので、そちらも参照ください。

③契約書ドラフトにコメントを付す

契約書ドラフトのなかで、自社に不利益な条項・法令違反の条項・明らかな誤記など、修正を要すると思われる箇所についてはコメントを付します。

法務担当者が自ら修正案を提案するか、又は取引の前提が不明であれば、担当部署宛の質問を記載するなど、状況に応じて適切なコメントを付しましょう。

その際、担当部署の方が理解しやすいよう、たとえば、以下のように重要度を設定して返答するなどの工夫をするとやりとりがスムーズになります。

A|契約書ドラフトに修正すべき点はなく、このまま締結してよい
B|修正が望ましい部分はあるが、修正できない場合は許容してもよい
C|修正しなければならない事項があるため、必ず交渉・修正しなければならない

④担当部署へフィードバックし、相手方と契約交渉を行う

法務担当者が契約書ドラフトに付したコメントは、担当部署にフィードバックしたうえで、営業部などの担当部署が相手方と実際の契約交渉を行うのが一般的です。

修正コメント等については、法的な知識のない人でも正しく理解できるように、わかりやすい言葉で補足説明を行うように努めましょう。

また、交渉が必要な部分については、担当部署が、相手方に説明をしやすいよう、なぜ修正をするのかという理由・根拠も踏まえ、丁寧に伝える必要があります。

⑤最終版の審査を行い、契約を締結する

何往復か相手方と契約交渉のやりとりした後、契約書全体について合意に至った場合は、最終版の締結へと進みます。

最終版の段階では、契約上の重要な論点はほぼ解消されているため、形式面の審査が中心になります。後述する形式面の審査項目を念頭に置いて、不備のない契約書に仕上げていきましょう。


契約審査で確認すべきポイント

契約審査では、内容・形式の両面から契約書全体をレビューする必要があります。

内容面の審査

内容面での主な審査事項は、以下のとおりです。

✅ 契約類型に応じた重要な条項
✅ ひな形や過去事例とは異なる条項
✅ 相手方が追加してきた条項

契約類型に応じた重要な条項

契約類型に応じた重要な条項や、法令の規制に関する条項などは、契約審査において特に重点的にレビューすべきです。

契約類型に応じた重要な条項の例

✅ 金銭消費貸借契約の場合
・貸付金額
・返済期日
・利率(利息制限法との関係に注意)
・遅延損害金
・期限の利益喪失条項
など


✅ 不動産賃貸借契約の場合
・不動産の表示
・賃料の金額、支払方法
・契約期間
・原状回復のルール
・解除事由
・借地借家法との整合性
など

どの条項が重要であるかを見極めるためには、法令・契約に関する正しい理解と実務経験が求められます。

最初は経験のある上司などに相談しながら、重要な条項に関する不備を見落とさないようにしましょう。また、法務担当者が自分一人しかいない場合は、外部の弁護士などを活用することも考えられます。

一般条項

一般条項とは、契約の種類に関係なく、一般的にどのような契約においても規定されることが多い標準的な条項をいいます。

一般条項は、契約の主要な要素ではないため、ついついメインの条項に気を取られてしまい、うっかり読み飛ばしてしまったり、深く検討しないまま契約を締結してしまったりするかもしれません。

しかし、一般条項のなかでも、一歩間違えてしまうと契約を不安定にさせてしまったり、不測の損害を被ったりしてしまう条項も少なくありません。

そのため、一般条項のなかでも、特に重要な条項については、きちんと審査をする必要があります。

特に重要な一般条項の例

契約解除条項
中途解約条項
損害賠償条項
秘密保持条項

ひな形や過去事例とは異なる条項

取引に関する事情を踏まえて、あえてひな形や過去の契約書とは異なる条項をドラフトに盛り込む場合があります。

この場合、追記・変更箇所について新たに法的な検証を行わなければなりません。関連する法令などのリサーチを行いつつ、内容に問題がないか慎重に検討・判断しましょう。

相手方が追加してきた条項

契約書ドラフトに相手方が追記してきた条項は、誤植の訂正などを除けば、自社にとって不利益な内容である可能性が高いです。

追記内容が自社のどのような影響を及ぼし得るのか、十分に検討を行ったうえで受け入れの可否を判断しましょう。

形式面の審査

形式面での主な審査事項は、以下のとおりです。

✅ 契約書タイトル
✅ 契約書の調印者
✅ 契約締結日
✅ 誤植・条ズレの有無など
✅ 印紙税の有無

契約書タイトル

契約書のタイトルについて、法的なルールはありませんが、どのような取引が行われるのかが一見してわかるようにすることが望ましいです。

なお、ビジネス上、よく使われる契約書については、

✅ 業務委託契約
✅ 取引基本契約
✅ 秘密保持契約

など、既に「型」がありますので、基本的にはそうした慣習に従ってタイトルをつけるという運用で問題ありません。

ただし、上記のような典型的なタイトルだけでは取引の内容がわかりにくい場合は、以下のように、補足説明を追加するケースもあります。

(例)商品製造に関する業務委託契約書

取引の内容に応じて、契約書に適切なタイトルが付されているかどうかをレビューしましょう。

契約書の調印者

この契約書は、誰と誰との間で締結されるのかを明確化するため、契約書には、必ず「調印者(契約の当事者)」を正確に記載します。

調印者についての記載をするのは、主に「契約の前文」と「署名欄」の2箇所です。前文と署名欄で調印者が異なっていないか、調印者の住所や名称は正確かなどを、念のため確認しましょう。

契約締結日

契約締結日は、実際に契約を締結する日(=署名・押印の日)とするのが原則です。

なお、契約締結日の記載を忘れたとしても、その契約書は無効になるわけではありません。しかし、契約成立の日を証明することが難しくなるので、きちんと記載するのがベストです。

誤植・条ズレの有無など

契約内容に影響を及ぼすことは稀ですが、体裁を整える観点から、誤植や条ズレが生じていないかについても、念のため契約書全体を確認すべきです。

特に、残存条項(存続条項)については、条ズレが生じてしまうと、後のトラブルのもとになりますので、要注意です。

「残存条項(存続条項)」って何ですか?
ヒツジ
ムートン先生
「契約終了後も有効にしておきたい条項について、その効力を残存(存続)させるために定める条項」です。残存条項で条ズレが起きてしまうと、有効にしておきたいと思っていた条項が想定と違っていたという事態になりかねないので、注意する必要があるのです。

誤植や条ズレは、最終版の審査段階だけでなく、契約交渉の途中でも、気づいた段階で修正しておきましょう。

印紙税の有無

印紙税の課税文書に該当する契約を締結する場合、原本に収入印紙を貼付する必要があります(写しには不要)。

収入印紙の貼付を怠ると、刑事罰や過怠税の対象になるため、契約審査の段階で貼付漏れがないかを確認しましょう。

印紙税の要否は、主に以下の流れで確認します。

印紙税の要否の確認フロー

①課税文書に該当するかどうか(+号数)を確認する
②非課税文書に該当するかどうかを確認する
③文書に記載された取引金額を確認する

より詳細に知りたい方は、以下の記事を参照ください。


契約審査の際にもつべき視点

契約審査を行うに当たっては、特に以下の3つの視点を意識することが大切です。

✅ 法令に違反していないかどうか
✅ 法律上必要な条項が含まれているかどうか
✅ 自社にとって不利益な条項が含まれていないかどうか

法律の強行規定に違反していないかどうか

法律には、強行規定と任意規定というもの存在します。

✅ 強行規定
契約で法律と別の内容を定めたとしても、法律が強制的に優先して適用される規定


✅ 任意規定
契約で法律と異なる内容を任意で定めた場合、法律よりも契約の内容が優先して適用される規定
(ただし契約で別の内容を定めない場合は、自動的に法律のルールが適用される)

強行規定に違反する条項は無効となります。

契約審査業務の担当者は、契約に適用される法律(民法など)の内容を十分に理解したうえで、強行規定違反の条項が含まれていないかを慎重に確認することが大切です。

法律上必要な条項が含まれているかどうか

各種業法では、契約中に定めるべき内容がルール化されているケースもあります。

(例)
✅ 宅地建物取引の媒介契約
→宅地建物取引業法34条の2


✅ 訪問販売による売買契約・役務提供契約
→特定商取引に関する法律4条


など

契約審査の際には、契約の種類・内容に応じて適用される業法を確認して、規定が義務付けられている条項がきちんと盛り込まれていることを確認しなければなりません。

自社にとって不利益な条項が含まれていないかどうか

契約のなかで、

自社だけに重い義務を課す条項
標準的な取引条件に比べて自社に不利な条項

が含まれている場合には、修正を求める必要があります。

契約審査業務の担当者は、自社にとって不利益な条項を見逃さないように、契約書全体を隅々までレビューすることが求められます。


この記事のまとめ

契約審査業務の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!


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