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契約類型とは? 典型契約13類型と 重要な契約類型を解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2022/06/17)
この記事のまとめ

契約とは、「法的な効果が生じる当事者同士の約束」であり、その内容は、当事者同士で自由に決めることができるため、世の中には無数の契約類型が存在します。

民法では、このような無数の契約類型から13種類を典型的な契約類型として定め、権利義務に関する規定を置いています。

しかし、典型契約の枠組みを超えた契約も無数にあり、これらは非典型契約と呼ばれますが、ビジネスで用いられる契約の中には、非典型契約に当たるものも数多くあります。

これらの非典型契約は、用いられるビジネスシーンによりある程度類型化されますが、それぞれの契約類型毎に、目的や注意点が異なります。

この記事では、民法で定められている典型契約の内容や、ビジネスで多く用いられる契約類型(非典型契約)の目的と注意点について、基本から分かりやすくポイントを解説します。

契約類型って多すぎて、どの契約書がどの契約類型になるのか、頭で整理できていません…。
ジー
ムートン先生
契約類型の分類にはいくつか種類がありますが、今回は、大きく①典型契約、②非典型契約に分けて勉強していきましょう!

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※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 労働者派遣法…労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
  • 独占禁止法…私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

契約類型とは

契約とは、「法的な効果が生じる当事者同士の約束」です。

契約は、当事者同士の意思表示が合致することで成立しますが(民法522条1項)、その内容は当事者同士で自由に決めることができます。そのため、世の中には無数の内容の契約があり、契約類型も無数に存在することとなります。

民法では、無数にある契約類型から、日常的に使われることが多い13種類の類型について、規定を設けています。これを典型契約(有名契約)といいます。

締結した契約が典型契約に該当する場合、該当する典型契約についての民法の規定が適用されます。

民法の規定が適用されるとは、どういうことですか。
ジー
ムートン先生
契約書で定められていなくても民法の規定があれば、その規定により契約書に定めがない権利義務が発生するということです。
例えば、請負の契約書に契約不適合責任の取決めがなくとも、請負人は民法に規定された内容の契約不適合責任を負うことになります。
そこで、請負人が契約不適合責任を負いたくない場合には、契約書に「契約不適合責任を負わない」ことを規定する必要があります。

それでは、典型契約(有名契約)にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。


民法で定められている典型契約(有名契約)13種類とは

①贈与契約(民法549条~554条)

贈与契約とは、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾する契約です(民法549条)。

「財産を移転させる」ことを目的とする点では、「売買契約」「交換契約」と共通性がありますが、「無償」という点が異なります。

民法では549条から554条に贈与についての規定を置き、単純贈与(当事者双方の意思表示のみで成立する贈与)に加え、「負担付贈与(贈与される者が何らかの義務を負うことを条件として行う贈与)」「死因贈与」についても定めています。

②売買契約(民法555条~585条)

売買契約とは、当事者の一方が一定の財産権を相手方に移転することを約束し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約束する契約です。(民法555条)

「対価を支払う」点(対価性)が無償で行う「贈与」と異なります。また、「代金(お金)を支払う」点が、物々交換である「交換契約」と異なります。

売買契約は、社会生活上非常に多く用いられる契約類型であることから、契約不適合責任等多くの規定が置かれています。(民法545条~585条)

③交換契約(民法586条)

交換契約とは、当事者が互いに所有物(金銭を除く)の財産権を移転することを約する契約です。(民法586条)

いわゆる「ぶつぶつ交換」の契約ですが、金銭ではなく「もの」で交換する点以外は売買契約と性質が同一ですので、売買契約の規定が準用されます。(民法586条)

④消費貸借契約(民法587条~592条)

消費貸借契約とは、当事者の一方が金銭等の物を受け取る代わりに、同等の物を返還することを約束する契約です。(民法587条)

消費貸借契約には、以下の2種類あります。

① 物を引き渡すことではじめて成立する要物型の消費貸借契約(民法587条)
② 物を引き渡さなくても成立する諾成型の消費貸借(民法587条の2)

諾成型の消費貸借契約とするためには、契約を書面で締結する必要があります。

消費貸借契約は、賃貸借契約や使用貸借契約とは違い、借りたものは消費してしまい、その借りたものと同等のものを返す契約です。

なお、同等のものとは、同じ種類・品質・数量のものをいいます。

典型例としては、金銭を借りたのち、同額の金銭を返還する契約である「金銭消費貸借契約」があげられます。

⑤使用貸借契約(民法593条~600条)

使用貸借契約とは、当事者の一方からある物を受け取り、無償で使用(又は利用して利益を得る)して、契約が終了したときに返還することを約束する契約です。(民法593条)

「借りたものそのものを返す」点が消費貸借契約と異なります。

また、使用料を支払う必要がない点が賃貸借契約と異なります。(なお、いくばくかの使用料を支払っていたとしても、実質的に見て使用収益の対価と認められない額の場合には、使用貸借契約になります。)

⑥賃貸借契約(民法601条~622条の2)

賃貸借契約とは、当事者の一方がある物の使用(又は利用して利益を得ること)を相手方に許可し、相手方がこれに対して賃料を支払うこと及び引き渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約束する契約です。(民法601条)

「借りたものそのものを返す」点が消費貸借契約と、また、「借りることの対価を支払う」点が使用貸借契約と異なります。

建物賃貸借契約などが、賃貸借契約の代表例です。

⑦雇用契約(民法623条~631条)

雇用契約は、当事者の一方が労働に従事することを約束し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約束する契約です。(民法623条)

契約の相手方のために仕事をするという点では請負契約や委任契約と同様ですが、雇用契約では、使用者は被用者(労働者)に対し「指揮命令権限」を有している点が異なり、労働者は、使用者の指揮命令の下で労働した対価として報酬(賃金)を得ます。

一般に雇用関係下では、労働者は使用者より立場が弱いことが多いため、労働者保護の観点から、雇用契約については、労働基準法・労働契約法などの特別法も適用される点、注意が必要です。

⑧請負契約(民法632条~642条)

請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約です。(民法632条)

請負契約の場合、原則として、仕事を依頼する側は仕事を請け負う人に対して、業務のやり方や作業場所・作業時間などに関して具体的な指示を行うことができない点が雇用契約と異なります。

また、請負人は「仕事を完成させる」義務を負い、原則として、仕事を完成させなければ報酬を得られない点が雇用契約や委任契約と異なります。

⑨委任契約・準委任契約(民法643条~656条)

委任契約とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手がこれを承諾することによって効力を生じる契約です。(民法643条)

「法律行為」とは、当事者の意思表示により何らかの法的な効果を生み出す行為のことです。例えば、弁護士に訴訟の代理を依頼したり、エージェントに契約締結の代理を依頼したりする場合には、委任となります。

これに対し、「事実行為」をすることが契約内容となっている場合は、「準委任契約」といいます。(民法656条)例えば、医師に医療行為を依頼したり、コンサルタントに事業に関するアドバイザリー業務を依頼したりする場合には、「準委任」となります。準委任にも委任の規定が準用されます。(民法656条)

委任(準委任)では、「業務を善管注意義務をもって遂行する」義務を負います。
善管注意義務とは、行為者の階層、地位、職業に応じて要求される、社会通念上、客観的・一般的に要求される注意を払う義務をいい、受託者は、善管注意義務をはたしていれば、業務の結果について責任を負いません。

請負契約・委任契約(準委任契約)の違いについては、以下の関連記事でより詳細に解説しています。

⑩寄託契約(民法657条~666条)

寄託契約とは、当事者の一方があるものを保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することにより成立する契約です。(民法657条)

寄託契約は、相手にものを預かってもらう契約です。倉庫業者に寄託物を引き渡し、保管してもらう形式の倉庫契約などは寄託契約となります。

また、消費寄託契約(民法666条)に該当する場合、寄託物と種類・品質・数量の同じものを返還する義務を負う代わりに、保管者は預けられた寄託物を消費することができます。金融機関にお金を預ける預金契約は、消費寄託契約の代表的なものです。

⑪組合契約(民法667条~688条)

組合契約とは、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約する契約です。(民法667条1項)

民法上の組合の例としては、共同経営の法律事務所、映画などの製作委員会、建設業における共同事業体等があります。

なお、農業協同組合、漁業協同組合等の各種協同組合や労働組合などは、民法以外の法律に基づき設立された組織であり、民法上の組合ではありません。

組合契約では、当事者全員が出資することが必要です。また、民法上の組合では、組合員は組合が負う債務について、自分の財産をもって債務を支払う責任(無限責任)を負います。(民法675条2項)

このような無限責任が組合契約の積極的活用を阻害している面もあることから、2005年に有限責任事業組合契約に関する法律が制定され、組合員の責任を有限とする形式である有限責任事業組合(LLP)が認められています。

⑫終身定期金契約(689条~694条)

終身定期金契約とは、当事者の一方が、自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期的に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付する契約です。(民法689条)

現在ではほとんど使われていません。

⑬和解契約(民法695条~696条)

和解契約とは、当事者が互いに譲歩をして、当事者間に存する争いをやめることを約束する契約です。(民法695条)

和解契約が成立するためには、互いに譲歩すること(「互譲」)が必要であり、どちらか一方だけが譲歩する場合は和解契約には該当しません。交通事故などで行われる示談も「互譲」があれば、和解契約に該当します。


非典型契約(無名契約)とは

上で述べた典型契約に該当しない契約はすべて、非典型契約(無名契約)と呼ばれます。

契約内容は当事者間で自由に定めてよいとされていますので、非典型契約は、無数に存在します。

なお、非典型契約でも、典型契約と性質が近いものもありますので、そのような場合には、典型契約の各条文を類推適用することがあります。


ビジネスで多く使われる「契約類型」別の解説

ここまで解説したように、民法では、契約を法的な性質で分類し、典型契約として定めています。しかし、実際にビジネスで使われる契約には様々な内容が盛り込まれているため、一つの契約の中にいろいろな法的要素を詰め込まれた非典型契約となっているものも多くあります。

ここからは、ビジネスで多く使われる契約類型を契約の目的・内容別に解説していきます。

①取引基本契約

取引基本契約とは、企業間で継続的に取引をする場合に、反復継続される個々の取引に対し共通して適用される基本的な契約条件をあらかじめ合意する内容の契約です。

原材料の継続的な仕入れなど、同じ相手と同一の種類(例えば売買契約等)の取引を継続して行う場合、取引のたびに詳細な契約書を作成することはいずれの当事者にとっても、煩わしいことです。

そこで、あらかじめ取引基本契約を締結しておくことで、個別の取引では、そのつど異なる事項を決めるのみで済むようになります。

一般的に、取引基本契約では、以下の内容を定めます。

✅適用範囲
✅有効期限
✅秘密保持条項
✅契約の解除条項
✅損害賠償条項
など

なお、上記の条項のほか、それぞれの契約類型毎に特有の条件を定めることも一般化しています。
例えば、売買契約に関する取引基本契約では、売買代金の支払条件、納品方法、危険負担、契約不適合責任などを定めます。また、貸金契約に関する取引基本契約では、申込方法、利率、返済条件、限度額などを定めます。

②秘密保持契約(NDA)

秘密保持契約とは、秘密情報の取扱いを制限したい場合に、秘密情報の定義を定めたり、その取扱い方法などを規定したりする契約です。

秘密保持契約は、英語で「Non-Disclosure Agreement」というため、その頭文字をとって「NDA」とも呼ばれます。

ビジネスの中では、例えば業務提携や共同研究をするときや、自社開発製品の製造委託をするときなど、いろいろな場面で自社の秘密情報を他者に開示することが必要となります。

秘密保持契約は、こういった情報開示の場面で、開示する(される)秘密情報の取扱いについて、双方にとって適正かつ合理的な管理を実現するために締結されます。

秘密保持契約で定めるべき条項については、以下の関連記事で詳しく解説していますので、必要に応じてご参照ください。

③業務委託契約

業務委託契約は、委託者が受託者に対して、何らかの業務を委託する内容の契約です。
「業務委託契約」という用語自体は法律上の用語ではなく、委託する業務の法的な性質により、主に「請負契約」「委任契約(準委任契約)」「請負・準委任混合型」に分類されます。

請負型

業務委託契約で委託する業務が何らかの「仕事の完成」を目的とする場合は、請負契約に該当します。

例えば、部品の製作やWEB記事の執筆などの委託は、「部品」や「WEB記事」を完成させた上で、納品してもらうことが目的のため、請負型となります。

請負型では、受託者は「仕事を完成」する義務を負い、仕事が不完全な場合(部品が規格外である場合、WEB記事が完成していない場合等)には、債務不履行責任や契約不適合責任を負います。

委任・準委任型

業務委託契約が、「何らかの法律行為(事実行為)の委託」を目的とする場合は、委任型(準委任型)に該当します。

例えば、弁護士に損害賠償請求の代理を依頼することは「法律行為の委託(=委任)」、コンサルタント業者に事業についてのコンサルタントを依頼することは「事実行為の委託(=準委任)」に当たります。

委任契約(準委任契約)は、委託された法律行為(事実行為)を善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)をもって行えば債務の履行となります。

そこで、例えば、善管注意義務をもってコンサルタント業務を行っていれば、そのコンサルタントの成果がでなくとも契約違反になりません。

混合型

混合型とは、一つの業務委託契約の中に、請負部分と準委任部分が混在しているものをいいます。次に解説するソフトウェア開発委託契約では、混合型も多く見られます。

④ソフトウェア開発委託契約

ソフトウェア開発業務委託契約は、委託者(ユーザ)が受託者(ベンダ)に対し、ソフトウェアの開発に関する業務を委託する場合に締結する契約です。

ソフトウェア開発では、開発完了までの間に

①企画・要件定義
②システム設計
③プログラミング
④運用テスト

といった複数のフェーズ(段階)があります。

このうち、①企画・要件定義や④運用テストといったフェーズは、成果物の内容を明確に定義することはできないため、準委任としての性質を有します。

これに対し、②システム設計や③プログラミングのフェーズは、要件定義等によって定められたものをソフトウェアの形に具体化させる段階であり、成果物の内容を定義しやすいため、請負型となることが多くなります。

そこで、各フェーズ毎に別個に契約を結ぶ場合には、それぞれの契約について請負か準委任かを明確にできますが、企画から運用テストフェーズまでを一括で契約する場合、請負型と準委任型が混在した混合型となります。

このような一括契約はビジネス上よく見受けられますが、請負と準委任では、業務の範囲や責任の範疇が異なります。

経済産業省や一般社団法人電子情報技術産業協会はソフトウェア開発に関するモデル契約書を策定しており、その策定に当たり、システム開発の各フェーズ(段階)と契約類型について整理を行っていますので、一括契約をする際には、それらを参考に、契約の中で、各フェーズの業務が請負と準委任のどちらに当たるのかを明確にしておくとよいでしょう。

⑤OEM契約

OEM契約」とは、ある企業(委託者)が自社ブランド製品の製造を他社(受託者)に委託する契約をいい、請負型の業務委託契約の一種です。

「OEM」は「Original Equipment Manufacturing」の略称で、日本語では「自社製品の製造」という意味になります。

OEM契約では、受託者は委託者が指定した内容どおりに製造する義務を負い、また、委託者は製造業務の対価として業務委託料を支払う義務を負います。

OEM契約は、請負契約ですので、契約条項として、製造する製品の仕様、発注数、業務委託料、製品の納期、検収方法、契約不適合責任などを定めることとなります。

OEM契約においては、自社の定める規格・品質に適合した製品の確保が重要となりますので、特に製品の仕様については細かく規定するとよいでしょう。

また、製品製造に当たり、重要なノウハウ等を開示することもありますので、秘密保持条項を設けることも重要です。

なお、OEM契約は、場合によっては下請法の適用がありますので、この場合、下請法に反しない契約内容となるように注意する必要があります。

⑥派遣契約・人材紹介契約

派遣契約と人材紹介契約は、自社で働く人材を確保するために派遣会社や人材紹介会社と交わす契約です。
それぞれの契約の特徴を見ていきましょう。

派遣契約

(労働者)派遣契約とは、当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約束する契約をいい、人材派遣会社と派遣先企業との間で締結されます。(労働者派遣法26条)

派遣契約では、派遣元会社が雇用する労働者を、その雇用契約を維持したまま、派遣先会社で働かせることとなります。

労働者派遣法では、派遣社員の権利の確保等の観点から派遣契約で規定すべき19の項目が定められており、派遣契約を締結する際には、これらの必須記載項目がきちんと定められているか、確認する必要があります。

人材紹介契約

人材紹介契約は、人材紹介会社が求人企業に人材を紹介し、求人企業が紹介した人材と正式に雇用契約が締結したことを条件として報酬を受け取る契約です。人材紹介会社と求人企業の間で締結します。

労働者派遣の場合、派遣社員は派遣元会社の従業員であり、実際に派遣先で働くことになっても、従業員と派遣元会社の雇用関係は維持されますが、人材紹介契約の場合、そもそも人材紹介会社と紹介する人材との間に雇用関係はなく、あくまでも企業と人材の間を「仲介」する立場に過ぎません。

そのため、人材紹介契約の法的性質は、「求人会社が人材紹介会社に対し紹介業務を委託する」準委任契約となります。

人材紹介会社が行う人材紹介業務は、通常、企業から報酬を受け取って人材を紹介するという「有料職業紹介事業(人材紹介事業)」に該当し、厚生労働大臣の許可を受けた上で(職業安定法30条1項)、職業安定法のルールを遵守する必要があります。

人材紹介契約を締結するに当たっては、人材紹介業務の内容、人材紹介手数料の計算方法や発生条件、短期間で退職した場合の取扱い、直接取引の禁止、職業安定法上明示が必要な事項などを定める必要があります。

⑦ライセンス(使用許諾)契約

ライセンス(使用許諾)契約とは、知的財産権の対象となっているもの(対象物)について、ライセンサー(対象物について知的財産に関する権利を有するもの)がライセンシー(対象物の使用者)に対し、使用を許諾する場合に締結します。

知的財産権の対象となっているものとは、具体的には、著作権・商標権の対象となっているソフトウェアやキャラクター、特許権の対象となっている技術や製造方法等です。各ライセンス契約の詳細については、以下の関連記事をご参照ください。

ライセンス(使用許諾)契約は民法上に規定がない非典型契約ですが、通常、ライセンシーがライセンサーに対して対価を支払って対象を使用させてもらう有償契約であるため、民法の売買に関する規定が準用されます(民法559条)。

また、対象となる知的財産権に関する法律(著作権法、商標法、特許法等)が適用されます。

ライセンス契約では、契約の一般的な条項のほか、使用許諾の対象物、使用許諾の範囲・条件・期間、対象物の表明保証、ライセンシーの遵守事項(禁止事項)、対価、契約終了時の処理等の規定を設けます。
使用許諾の対象が何なのか、また、どの範囲まで使用できるのかは非常に重要ですので、明確に規定する必要があります。

特許庁では、オープンイノベーションポータルサイトにおいてケース別にモデル契約書を公表しているので、契約書作成の際には、参考にするとよいでしょう。

⑧販売代理店契約・販売仲介契約

販売代理店契約と販売仲介契約は、ともに、メーカーや販売元が商品の販売を行うに当たり販路拡大のために締結する契約ですが、契約先が販路拡大のために行う業務が異なります。

それぞれの契約がどのようなものか見ていきましょう。

販売代理店契約

販売代理店契約とは、メーカーが販売代理店に対して、自社商品の販売を委託又は許諾する内容の契約です。ディストリビューター方式(販売店契約)とエージェント方式(代理店契約)の2種類があります。

ディストリビューター方式(販売店契約)では、販売代理店がメーカーから商品を買い取り、自ら顧客に対して販売します。販売代理店の利益は、購入時と売却時の商品価格の差によって生まれます。
一般的なディストリビューター方式では、売れ残った場合の損失は販売代理店が負担します。
なお、独占禁止法により、販売代理店が販売する商品の価格について、メーカーが指定等を行うことはできません。(再販売価格の拘束の禁止、独占禁止法2条9項4号)

エージェント方式(代理店契約)では、販売代理店は、メーカーの代理人として取引に関与します。この方式の場合、販売代理店は、商品の売約数等に応じて、メーカーから手数料の支払を受けます。
一般的なエージェント方式は、販売代理店は代理人にすぎず、自らは商品を保有しないため、売れ残った場合の損失を負担することはありません。

販売代理店契約を締結する際には、ディストリビューター方式とエージェント方式のいずれに当たるかを明確にした上で、販売を行う商品、地域の範囲や独占性、排他性の有無、販促活動時の遵守事項等を記載するとよいでしょう。

販売仲介契約

販売仲介契約は、販売する物について、売主が販売仲介者に対し、購入希望者との間の仲介(間に入って話をまとめること)を依頼する契約です。

販売仲介契約では、販売仲介者は、購入希望者を探索し、見つけた購入希望者と売主との間で契約条件等の調整を行って成約に導き、その対価として仲介手数料を受け取ります。(販売契約自体は、売主と購入者の間で直接行います。)

このように、「販売仲介者は、販売契約を締結せず、仲介だけ行う」点が、販売代理店契約と異なります。

不動産の持主が、売却を依頼するために不動産仲介業者との間で締結する媒介契約も販売仲介契約の一種です。

販売仲介契約においても、販売仲介を行う商品と手数料額のほか、地域の範囲や独占性、排他性の有無、販促活動時の遵守事項等の仲介条件を記載します。

⑨M&Aに関する契約

M&Aとは、『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略で、企業の合併や買収等の手法による「会社もしくは経営権の取得」を意味します。

M&Aの手法としては、主に以下の2つがあります。

✅合併|会社組織自体を一体化する方法
✅買収|対象企業の株式や事業を取得する方法

また、広義のM&Aとして、株式の持ち合い、合弁企業の設立等による資本提携を含めることもあります。

M&Aのやり方により締結する契約も異なります。M&Aの代表的な方法とその際に締結される契約についてみていきましょう。

合併に関する契約

合併とは、複数の会社が、契約によって一つの法人となることをいいます。吸収合併と新設合併の2つの手法があります。

✅吸収合併|一方の会社が解散し、解散した会社が有する権利義務の全部を、合併後に存続する会社に包括的に承継させる手法
✅新設合併|2つ以上の会社の全部が合併により消滅し、消滅する会社が有する権利義務すべてを、合併により新たに設立される会社に包括的に承継させる手法

吸収合併・新設合併ともに、合併する会社間で合併契約(会社法748条)を締結した上で、会社法の手続に従い行います。

買収に関する契約

M&Aにおける買収とは、①株式の取得又は②事業資産の取得を通して、対象企業の経営権や事業を譲り受けることをいいます。

①株式取得の方法としては、株式譲渡・株式交換・株式移転・株式交付があります。
②事業資産の取得の方法としては、事業譲渡・会社分割があります。

①株式取得の方法の詳細

✅株式譲渡|買収先の会社の株式の全部又は一部を取得することによって、その会社の支配権を取得するもので、売り手会社と買い手会社の間で株式譲渡契約を締結して実行します。他のM&Aの手法と比較しても手続が簡易なため、中小企業のM&Aではよく用いられる方式です。

✅株式交換|会社法の規定により、株式を取得させる会社と取得する会社の間で株式交換契約を締結する必要があります。(会社法767条)

✅株式移転・株式交付|会社法の規定では、株式移転契約や株式交付契約の締結は必須ではありませんが、当事者間の合意事項を明確にするため、合意書や契約を締結することもあります。

②事業資産の取得の方法の詳細

✅事業譲渡|売り手会社が買い手会社に事業の全部又は一部を譲渡する方法です。
売り手会社と買い手会社との間で事業譲渡契約を締結して行います。
事業譲渡では、事業譲渡契約において、譲渡対象となる債権・債務、会社設備や人材、のれんといった会社の資産価値まで、譲渡対象を比較的自由に選別することができます。

✅会社分割|会社法の手続に則り、売り手会社がその営む事業について有する権利義務の全部又は一部を分割し、買い手会社(新設分割の場合には新会社)に承継させる方法です。
会社分割の中でも、ある会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を他の会社に承継させる手続を「吸収分割」といい、一又は二以上の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により新たに設立する会社に承継させる手続を「新設分割」といいます。
※吸収分割では、会社法の規定により、売り手会社と買い手会社間で吸収分割契約(会社法758条)を締結しなければなりません。
※新設分割では、会社法の規定では分割契約の締結は必須ではありませんが、売り手会社と買い手会社との間の合意事項を明確にするため、合意書や契約を締結することもあります。

資本提携に関する契約

資本提携とは、2社以上の会社が資本面で協力することをいいます。一方の会社が他の会社の株式を取得する、又はお互いの株式を持ち合う等の方法により行われます。

合併や買収と異なり、会社の経営権を取得する目的がないため、狭義の意味ではM&Aには含まれません。しかし、強い協業関係を構築できれば、合併・買収と同じような相乗効果(シナジー効果)が期待できる場合もあり、また、合併・買収の前段階として行うこともあるため、資本提携も広義の意味のM&Aとして扱われる場合があります。

資本提携に当たっては、契約書や合意書を作成し、提携内容について当事者間で合意内容を確認します。

資本提携契約(合意書)には、一般的に、資本提携の目的、提携の内容・役割、スケジュール、取得する株式の比率、取得方法、費用負担、秘密保持等の合意事項が記載されます。

⑩コンサルティング契約

コンサルティング契約とは、委託者がコンサルタントに対し事業や経営に関するコンサルティング(アドバイス)の提供を委託し、コンサルタントがコンサルティング(アドバイス)を提供する内容の契約です。
コンサルタントが委託に基づきコンサルティングの提供という事実行為を行う契約ですから、準委任契約に当たります。アドバイザリー契約と呼ばれることもあります。

コンサルティング契約は、自社だけでは解決が難しい経営課題などを、外部のコンサルタントの協力を得ながら解決することを目的として締結されます。

内容としては、コンサルティングの内容・範囲、提供方法、報酬規定、成果物に関する知的財産権の帰属、契約期間、秘密保持規定等を記載します。

⑪共同研究契約・共同出願契約

新たな製品や技術を開発するに当たり、他の企業や大学の研究室など複数の当事者が共同して研究開発を行うことがあります。
そのような共同研究開発を開始する際に締結するのが共同研究契約です。

また、共同研究から何らかの発明等が生じた場合、その発明等を知的財産権として登録するための出願手続や知的財産権の帰属等について取り決める必要があります。そのような取り決めを定める目的で締結するのが共同出願契約です。

それぞれの契約についてみていきましょう。

共同研究契約

共同研究契約は、技術や知識、設備、資金力など、自社にはない部分を補いあいたい場合、製品開発のスピードアップを図るために技術力を早期に確保する必要がある場合などに行われます。

共同研究では、複数の当事者が共同して研究開発を行うことから、後日の紛争をさけるため、当事者間で研究開発の具体的なすすめかたや共同研究開発で生じた成果物の利用方法等をあらかじめ合意しておく必要があります。そのために締結するのが、共同研究契約です。

共同研究契約では、役割分担、費用負担、進捗状況などの報告方法、研究開発期間など、研究開発の過程についての事柄や、研究成果の知的財産権の帰属、成果物の利用方法、研究結果の公表方法等、研究開発の成果についての事柄を規定します。

特許庁では、オープンイノベーションポータルサイトでケース別に共同研究開発についてのモデル契約書を公表しています。

また、文部科学省では、産学連携での共同研究について、研究結果の帰属別に契約モデル集を公表しています。

共同研究契約を締結するに当たっては、希望する共同研究開発の形態に近いモデル契約を参考にするとよいでしょう。

共同出願契約

共同出願契約とは、複数の者の間で共同研究が行われ、その研究に基づき発明等が生じた場合などに、その発明等を知的財産権として登録するための出願手続・権利の取決めなどを定める契約です。

共同出願契約では、対象となる発明等について、権利の持分比率、出願手続、権利の利用、権利の維持・保全、第三者との間で紛争が生じたときの取決め等について規定します。

独立行政法人工業所有権情報・研修館では、「知っておきたい知的財産契約の基礎知識」別冊において、特許共同出願契約のひな形を公表していますので、参考にするとよいでしょう。

⑫合弁契約

合弁契約とは、複数の会社が共同して、新しく事業(合弁事業)を行う際に締結される契約です。

合弁事業の方法としては、

①合弁事業用の会社を設立する方式
②法人格を有しない組合を形成する方式

があり、合弁形態により、合弁契約で定める内容が異なります。

①合弁会社を設立する方式の場合、当事者間で合弁契約を締結し、合弁会社により合弁事業を行います。

合弁契約では、合弁事業の内容、役割分担、設立する会社についての事項(会社名・出資比率・機関・役員の選解任、重要事項の決定方法、資金調達方法、剰余金の配当等)等を定めます。また、共同事業について当事者間の意見が一致せず、会社の意思決定ができないまま膠着状態となった場合(いわゆる「デッドロック」)の解消方法についても定めておくとよいでしょう。

②法人格を有しない組合を形成する方式をとる場合、当事者間で組合契約を締結し、組合により合弁事業を行います。


おわりに

民法には、13種類の典型契約が定められていますが、会社が締結する契約には、目的・内容別に様々な類型があり、民法上の典型契約に該当しないものも数多くあります。

これらの契約は類型別に規定すべき条項や注意すべきポイントが異なりますので、締結しようとする契約はどの類型なのかを確認し、その類型で特に注意すべきポイントについては慎重に確認するとよいでしょう。

契約類型の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!


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