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契約書と印鑑の基本ルール (印鑑の種類・押印の方法など)を解説!

契約ウォッチ編集部

契約ウォッチ編集部

(公開:2022/07/06)
この記事のまとめ

基本的に、契約書に押印がなかったとしても、契約は成立します。しかし、契約書を締結する際には、当事者双方が印鑑を押すのが一般的です。これは一体、なぜなのでしょうか。

この記事では、
✅ 契約書に押印がなされる理由
✅ 押印のない契約書の効力
✅ 契約で用いられる印鑑・押印の種類
などの「契約書と印鑑の基本ルール」について、図解を交えて分かりやすく解説します。

電子契約が普及してきたものの、まだまだ紙での締結+押印を行う企業も多い印象です。
ジー
ムートン先生
法務担当者として、印鑑に関する知識は必須なので、この記事で勉強していきましょう。
ただ一方で、業務効率化などの観点から、脱ハンコを推進することも大切です。「会社で脱ハンコ・ハンコレスを実現するために必要なこと」についての解説記事もありますので、ぜひ併せて読んでみてくださいね。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 電子署名法…電子署名及び認証業務に関する法律

契約書に押印がなされる理由

契約そのものは、当事者間の意思表示の合致により成立するものであり、契約書の作成及び押印は契約が成立するための要件ではありません。

しかし、日本の商慣習上、契約書を締結する際には、当事者双方が印鑑を押すのが一般的です。(なお、契約書などの対外的な文書のみならず、社内の稟議や簡単な承認行為においても、押印が日本の商慣習に広く浸透しています。この点、「ハンコが押してある」文書は意思表示を行う文書として安心感がある、という共通認識が、法的な論点とは別に存在しています。)

契約書に押印がなされる理由としては、以下の2点が挙げられます。

当事者の同意があった事実を明確化するため
「二段の推定」の効果を発生させるため

当事者の同意があった事実を明確化するため

契約書は、当事者双方の合意内容を記載した書面です。

しかし、合意内容が印刷されているだけでは、当事者がその内容に本当に同意しているかどうか分かりません。そこで契約書について同意があったことを示すため、その当事者ならではの「印」を契約書に残しておく、という商慣習が日本では根付いています。

この点、(シャチハタなどの汎用的な印鑑を除き)実印などでは印鑑の字体に個別に特徴をつけることで容易に複製できないようになっており、当事者の同意を示す「印」として用いるのに適切と言えます。そのため、多くの契約書に当事者の印鑑が押されているのです。

「二段の推定」の効果を発生させるため

詳しくは、「押印のない契約書の効力」にて後述しますが、契約書に押印がなかったからといって、契約が成立しないわけではありません。しかし、契約書に当事者の押印がある場合、「二段の推定」という重要な法的効果が発生します。

「二段の推定」とは、契約を締結する当事者による押印がある文書は、以下の二段階によって真正な成立(=本人が作成したものであること)が推定されるというルールです。

二段の推定とは

✅ 作成者の押印がある場合、当該印影は作成者の意思に基づいて成立したと推定される(一段目の推定。最高裁昭和39年5月12日判決

✅ 作成者の押印がある場合、当該文書は真正に成立したものと推定される(二段目の推定。民事訴訟法228条4項)

二段の推定の効果により、契約書に押印をしておけば、裁判等において(偽造などを示す特段の事情がない限り)、契約が有効に成立したものとして取り扱われます。

つまり契約書への押印は、契約成立の有効性をより確実に証明するため、というリスクマネジメント的な観点から行われる側面があるのです。

なお、「二段の推定」については、電子署名法3条が定める電子署名がなされた場合にも同様に、認められます。

ムートン先生
まとめると、契約書に押印は必須ではありませんが、押印があることで二段の推定の効果を発生させることができ、契約の成立を証明しやすくなるため、日常的に押印が行われているということです。

押印のない契約書の効力

契約を締結する方式は、原則として当事者が自由に決められるため、法令で書面での締結が求められている一部の契約を除けば、口頭での締結も可能です。

また、契約書に押印がなかったからといって、契約の成立が認められないわけではなく、押印のない契約書であっても、当事者の合意が成立していれば、その効力は問題なく発生します。

ただし、理論上、契約の成立に押印が必要ないとしても、当事者間の合意を証明するための措置をとらないと、裁判等で契約の成立が認められにくくなってしまいます。

そのため、たとえ押印をしない場合であっても、何かしらの代替手段(サインなど)で、合意を証明できるようにすることが望ましいです。


契約で用いられる印鑑の種類

印鑑には様々な種類があり、契約書にも実務上、状況に応じて異なる種類の印鑑が押されています。

契約締結に用いられる印鑑の種類は以下のとおりです。

実印|印鑑登録されている印鑑
認印|印鑑登録されていない個人の印鑑
銀行印|銀行に対して届出を行った印鑑
角印(社印)|印鑑登録されていない法人の印鑑(法人の認印)
代表者印|法人名と併せて「代表取締役印」などと彫られている法人の印鑑(法人の実印)

それぞれ詳しく解説していきます。

実印

「実印」とは、印鑑登録されている印鑑を意味します。個人・法人のいずれも実印を持つことができます(法人は印鑑登録必須)。

実印は、公的に認められた印鑑と位置付けられます。同じ印鑑が存在しないように、実印の字体は複雑に作られるケースが多いです。

その信頼性の高さゆえに、不動産取引や金銭消費貸借取引など、高額の金銭が関係する契約では、実印による押印が求められるのが一般的です。また、法人が他者と締結する契約では、基本的に実印が用いられます。

認印

「認印」とは、印鑑登録されていない個人の印鑑を意味します。実印に比べると、認印の字体は簡易的なものとされるケースが多いです。

実印は重要な取引のみに用いる一方で、簡易的な契約の締結には認印を用いる使い分けがよく見られます。

また、印鑑登録をしていない場合、基本的には全ての契約を認印で締結することになります(ただし、不動産取引や金銭消費貸借の契約を締結する場合には、事前に印鑑登録を求められます)。

ムートン先生
なお、前述した二段の推定は、実印ではない(認印や角印などの)場合にも適用されます。ただ、認印等での押印が本人の印鑑によるものであることが証明できないと、二段の推定の効果は発生しません。
そのため、契約締結の際は、印鑑登録書によって本人の印鑑によることを証明できる実印を使用するのが望ましいです。

銀行印

銀行印とは、銀行に対して届出を行った印鑑を意味します。個人・法人のいずれも、銀行口座を有していれば銀行印を持つことになります。

口座開設や窓口振込など、銀行との間で行う取引に当たっては、銀行印による押印が必要です。なお、銀行印としては実印又は認印のいずれかを届け出ることになりますが、認印を届け出るケースが大半です。

角印(社印)

角印(社印)とは、印鑑登録されていない法人の印鑑を意味します。「角印」と呼ばれているのは、輪郭を四角い形状に作ることが多いためです。

角印は法人の「認印」に相当し、契約書以外の書面(見積書・請求書・領収証・内部の決裁書類など)への押印に広く用いられます。

代表者印

「代表者印」とは、法人名と併せて「代表取締役印」などと彫られている法人の印鑑のことです。

日本の企業では、代表者印を実印として登録し、それとは別に銀行印と角印(社印)を作っておくのが主流となっています。

代表者印は法人の実印に相当し、重要な契約を締結する際などに使用されます。


契約書にはどの印鑑で押印すべきか

契約書への押印は、法的にはどの印鑑で行っても構いません。

「二段の推定」の効果も、実印に限らず、当事者のものであればどの印鑑でも発生します。ただ、認印等での押印が本人の印鑑によるものであることを証明できないと、二段の推定の効果は発生しません。

そのため、契約締結などビジネス上重要な場面では、印鑑登録書によって本人の印鑑によることを証明できる実印を使用するのが望ましいです。

なお、締結する契約の種類や取引の内容に応じ、実務上用いられる印鑑が、ある程度決まっているケースがあります。その場合には、慣行に従った印鑑を選択するのが取引上スムーズでしょう。


押印を必要とする契約締結の方式とは

契約書の締結を紙ベースで行う際は、主に以下の3つの方法で契約を締結します。

✅記名押印
✅署名捺印
✅署名(いわゆる「サイン」)

このうち、印鑑による押印を必要とするのは「記名押印」「署名捺印」の2つです。

記名押印とは

「記名押印」とは、署名以外の方法(例:PCで入力したものを印字)によって当事者の氏名(名称)を記載し(記名)、そこに印鑑を押すこと(押印)を意味します。

<記名押印のイメージ>

二段の推定の効果は、当事者の印鑑による押印のみによって発生します。そのため、氏名(名称)を印字する記名押印方式で契約書を締結しても問題ありません。

特に法人が契約を締結する場合には、記名押印方式が広く用いられています。一般的には、PCで作成された契約書案の中に、あらかじめ当事者の住所・名称・代表者名を印字しておき、締結当日に押印のみを行うケースが多いです。

署名捺印とは

「署名捺印」とは、自署によって当事者の氏名(名称)を記載し(署名)、そこに印鑑を押すこと(捺印)を意味します。「捺印」は「押印」と同じ意味ですが、記名の場合は押印、署名の場合は捺印と使い分けます。

<署名捺印のイメージ>

署名捺印方式の場合、以下のとおり効果が発生します。

✅署名部分|文書の真正な成立を推定させる効果が発生(民事訴訟法228条4項)
✅押印部分|二段の推定の効果が発生

つまり押印の効果に加え、署名がもつ効果もプラスされるため、署名捺印は、より確実に契約を成立させたい場合に適した締結方式と言えるでしょう。

特に個人間で契約を締結する場合には、署名捺印方式が広く用いられています。

海外企業が当事者の場合、サイン方式が一般的

海外では、日本の印鑑に相当する文化や制度が基本的に存在しません。そのため、記名押印方式や署名捺印方式による契約の締結はできないケースが大半です。

海外企業が当事者となる場合には、一般的にサイン方式が用いられています。サイン方式では、本人(法人の場合は契約締結権限を持つ者)が自署により契約書へサインを行います。

契約書に本人がサインをすれば、契約書の真正な成立が推定されます(民事訴訟法228条4項)。ただし、サインが本人の自署によることは別途確認する必要があるため、サイン証明書などを事前にやり取りするケースも多いです。


契約書で用いられる押印の種類

契約書を締結する際には、署名欄だけでなく、複数の箇所へ押印すべき場合があります。各種類の押印が持つ意味合いは、それぞれ以下のとおりです。

✅署名欄への押印
✅契印
✅割印
✅消印
✅止印
✅訂正印
✅捨印

それぞれ詳しく解説していきます。

署名欄への押印

署名欄への押印は、契約締結に向けた当事者の意思を表すものであり、契約書への押印の中でもっとも重要性が高いと言えます。

<署名欄への押印のイメージ>

記名押印方式・署名捺印方式のいずれであっても、氏名(名称)の右側部分に押印するのが一般的です。

契印

「契印」とは、契約書が複数ページにわたる場合において、製本後に各ページにまたがって行う押印を意味します。全ての当事者がそれぞれ、ページが重なっている見開き部分に1枚ずつ契印を行います。

<契印のイメージ>

契印には、契約書のページが正しく連続していること(抜き取りや差し替えが行われていないこと)、契約書全体が当事者によって承認されていることを示す意味があります。そのため契印を行う際には、署名欄へ押印したものと同じ印鑑を使用します。

なお、契約書の枚数が多い場合(数十ページ、数百ページに及ぶ契約書もあります)、1枚ずつ契印を行うのは非常に大変です。その場合には、契約書全体をテープで袋とじして、テープと紙面にまたがる形で、各当事者が1か所ずつ契印を行う方法で代替できます。

<製本した場合の契印のイメージ>

割印

「割印」とは、契約書を複数部作成する場合に、各部を互いに重ね合わせた部分に行う押印を意味します。

<割印のイメージ>

割印には、複数部作成された契約書が関連している(同一である)ことを示す意味があります。契印とは異なり、署名欄へ押印したものとは違う印鑑によって割印を行っても構いません。

✅例:実印で調印した契約書について、認印を用いて割印を行う

消印

「消印」とは、収入印紙が使用済みであることを示す押印であり、再使用を防ぐために行われます。

<消印のイメージ>

印紙税の対象となる契約書(金銭消費貸借契約書、不動産売買契約書など)を締結する際には、貼付された収入印紙と紙面にまたがる形で消印を行うことが必要です。

なお、消印は当事者の誰かが行えばよく、全員が消印を行う必要はありません。また、署名欄に押印したものとは違う印鑑を用いても構いません。

止印

「止印」とは、契約書本文の末尾に行う押印を意味します。契約書の条文が後から不正に追記されることを防ぐために行われますが、実務上は省略されることも多いです。

止印は当事者の誰かが行えばよく、全員が消印を行う必要はありません。ただし、止印を行う際には、署名欄に押印したものと同じ印鑑を使用します。

訂正印

「訂正印」とは、契約書の締結後に文言を訂正する必要が生じた場合に、訂正箇所に行う押印を意味します。

<訂正印のイメージ>

誤っている文言を二重線で削除し、正しく追記すべき文言があればそれを追記したうえで、同じ箇所に訂正印を押します。「○文字削除○文字追加」など、削除・追加した文字数を明記するケースもあります。

訂正印は当事者全員が、署名欄に押印したものと同じ印鑑によって行います。

捨印

「捨印」とは、文書の余白部分に行われ、契約締結後に誤りが判明した際には訂正印として利用できるようにした押印を意味します。契約書冒頭の上部余白に捨印を押し、後日を捨印の隣に記載するのが一般的な利用方法です。

<捨印のイメージ>

捨印は、通常、原本が一部しかないケースなどにおいて、文書を修正する必要(内容誤りなど)が発生したときに、相手方で訂正してもらえるよう備えておくものです。

しかし、捨印を押すということは、原本を所有する相手に一方的に訂正の権限を与えることになります。軽微な誤字・脱字の修正程度であれば問題ありませんが、重要な条項を書き換えられてしまうおそれもあるので注意が必要です。


契約書への押印は電子印鑑でも可能か

最近では、契約書の締結に電子データによる印影(電子印鑑)を用いるケースが増えています。

これまで繰り返し述べてきたとおり、印鑑の有無や種類が、契約の成否に影響を及ぼすわけではありません。したがって、当事者の合意さえあれば、電子印鑑でも有効な契約締結は可能です。

ただし、電子印鑑は偽造されやすいため、契約の成立を確実なものとする観点からは、通常の印鑑に劣ります(電子署名が付されたものを除く)。

また、電子署名法上、「真正に成立したものと推定」されるためには、同法が求める要件を満たした電子署名が必須となる点に注意が必要です(電子署名法3条)。(電子署名の要件を満たさない電子印鑑のみでは、真正に成立したものと推定されません。)

第3条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

引用元│電子署名及び認証業務に関する法律」e-gov法令検索 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

電子署名法については、以下の記事でより詳細に解説していますので、必要に応じて参照ください。


この記事のまとめ

契約書と印鑑の記事は以上です。最新の記事に関する情報は、契約ウォッチのメルマガで配信しています。ぜひ、メルマガにご登録ください!


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