リーガルリスクとは?
ISO31022の概要・リスクの具体例・
対策などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

リーガルリスク」とは、法令契約に関するトラブルが顕在化し、企業が損害を被るリスクをいいます。具体的には、契約の相手方とのトラブル、知的財産権の侵害、製造物責任、法令違反による行政処分などがリーガルリスクの代表例です。

リーガルリスクへの対策としては、法令コンプライアンスに関する知識を備えることが非常に重要です。そのほか、社内のチェック体制や法務部門・コンプライアンス部門を充実させること、顧問弁護士と契約することなどがリーガルリスクへの対策となります。

従業員にリーガルリスクに関する知識を得させるためには、定期的にコンプライアンス研修を実施しましょう。Legal Learningを活用すれば、コンプライアンス研修を定期的かつ継続的に高頻度で実施することができます。

この記事では、リーガルリスクについて、具体例や対策などを分かりやすく解説します。

ヒー

「リーガルリスクの対策をまとめて」と言われたのですが、そもそも、どんなことがリーガルリスクに当たるのでしょうか?

ムートン

リーガルリスクは、法令違反や契約違反によるトラブルの発生や損害が想定されます。対策の方法なども解説していきましょう。

※この記事は、2025年2月26日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

リーガルリスクとは

リーガルリスク」とは、法令契約に関するトラブルが顕在化し、企業が損害を被るリスクをいいます。

企業は、法令や契約を遵守しながら事業を行わなければなりません。法令違反契約違反に当たる行為をすると、ペナルティを受けることになってしまいます。

リーガルリスクは、状況によっては大きな損失に繋がることもあります。企業経営を安定させるためには、リーガルリスクについて適切に対策を講じることが大切です。

 ISO31022:2020とは|リーガルリスクマネジメントの国際規格

リーガルリスクの管理マネジメント)については、国際的な標準規格である「ISO31022:2020」が設けられています。

「ISO31022:2020」では、リーガルリスクマネジメントのプロセス(手順)や、実施に当たっての注意事項などが定められています。企業がリーガルリスクを管理するに当たり、ガイドラインとして機能させることを目的としたものです。

「ISO31022:2020」を参考に社内体制を整備すれば、リーガルリスクを適切にコントロールすることができるでしょう。

リーガルリスクの具体例

リーガルリスクとして想定される事態にはさまざまなパターンがありますが、具体的には以下の例などが挙げられます。

  • 契約の相手方とのトラブル
  • 知的財産権の侵害
  • 製造物責任
  • 法令違反による行政処分

契約の相手方とのトラブル

企業は取引相手との間で契約を締結するところ、契約の相手方との間でトラブルが発生することがあります。

具体的には、以下のような契約トラブルが想定されます。

契約に関するトラブルの例

<業務委託契約>
・納品物や提供したサービスについての不備(契約不適合)
・報酬の不払い
・遵守事項違反
・秘密情報の漏洩
など

<売買契約>
・目的物についての不備(契約不適合)
・代金の不払い
・前提条件の不充足
・表明保証違反
など

<金銭消費貸借契約>
・前提条件の不充足
・表明保証違反
・返済の遅滞
・期限の利益の喪失
など

自社が契約違反に当たる行為をすると、損害賠償契約解除などのリスクが生じます。相手方に訴訟を提起されて、トラブルが拡大してしまうおそれもあります。

契約トラブルのリスクを抑えるためには、契約書を締結する前の段階できちんとチェックすることや、契約内容をよく確認したうえで業務を行うことなどが大切です。

知的財産権の侵害

他人の知的財産権を侵害すると、深刻なトラブルに発展するおそれがあります。

主な知的財産権としては、以下の例が挙げられます。

主な知的財産権の種類

特許権
→自然法則を利用した高度な技術的思想の創作(=発明)を保護する権利です。

実用新案権
→自然法則を利用した技術的思想の創作(=考案)を保護する権利です。

商標権
→商品やサービスの名称、ロゴ、マークなどを保護する権利です。

意匠権
→デザインを保護する権利です。

著作権
→文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する著作物を保護する権利です。

など

意図的であるか否かにかかわらず、他人の知的財産権を侵害した場合は、商品やサービスの販売の差止めや、すでに流通している商品の回収などを命じられるおそれがあります。差止めや回収には多大なコストがかかり、経営に大きな悪影響が生じてしまうでしょう。

また、故意または過失によって他人の知的財産権を侵害した場合は、権利者に生じた損害賠償しなければなりません。

さらに、故意に他人の知的財産権を侵害した場合は、刑事罰の対象となります。実際に侵害行為をした者だけでなく、企業(法人)も処罰(罰金)の対象となるので要注意です。

他人の知的財産権を侵害しないようにするためには、商品やサービスをリリースする前に、似たようなものを他人(他社)が公開していないかどうかよく調べることが大切です。
また、他人(他社)が公開しているコンテンツなどを参考にするのは構いませんが、あまりにも似通ったものを制作しないように注意しなければなりません。

製造物責任

動産(さまざまな物のこと)の製造、加工または輸入を行う事業者などは、その動産の欠陥によって他人が被った損害を賠償しなければなりません(製造物責任法3条)。このことを製造物責任といいます。

例えば車、機械、家電、道具など、幅広い製品が製造物責任の対象です。製造物責任の免責が認められるケースは非常に稀であるため、自社製品の欠陥が発見されれば、かなりの高確率で損害賠償責任を負うことになってしまいます。

製造物責任に関わるトラブルの発生をできる限り防ぐためには、製品について厳格な安全基準を定めたうえで、検品を丁寧に行うことが必要不可欠です。

法令違反による行政処分

企業に対しては、事業内容に応じて「業法」と呼ばれる法令が適用されることがあります。

一例として、以下のような業法が定められています。

業法の例

金融商品取引法
→証券会社、投資助言会社、資産運用会社など、金融サービスを取り扱う事業者に対して適用されます。具体的には、上場企業の開示規制、金融商品取引業者の登録制や遵守事項、インサイダー取引の禁止などが定められています。

建設業法
→主に建設業者に適用される法律です。一例として、建設業の許可制や建設工事請負契約に関する遵守事項などが定められています。

宅地建物取引業法
→宅地や建物の売買・交換・貸借に関与する事業者に適用される法律です。契約締結時の重要事項説明など、顧客を保護するための規制が定められています。

電気通信事業法
→電気通信事業を営む者に適用される法律です。携帯電話やインターネットサービスの提供について、通信の秘密や外部送信規律(Cookie規制)などの規制が定められています。

など

企業が各種業法に違反すると、監督官庁による行政処分行政指導の対象になります。特に行政処分を受けると、その旨が公表されたり、課徴金が課されたりするなどの具体的な不利益を受けてしまいます。
また、悪質なケースについては刑事罰の対象となり、役員や主要な関係者が処罰されるおそれもあるので要注意です。

業法の規制内容は専門的かつ詳細にわたるため、顧問弁護士などの法務専門家との連携が推奨されます。

リーガルリスクへの対策

リーガルリスクが顕在化して思わぬ損失を被らないようにするため、企業は以下の対策などを適切に講じることが求められます。

  • 法令やコンプライアンスに関する知識を備える
  • 社内のリスクマネジメント体制を整備する
  • 法務部門やコンプライアンス部門を充実させる
  • 顧問弁護士と契約する

法令やコンプライアンスに関する知識を備える

リーガルリスクに備えるためには、どのようなリーガルリスクが想定されるのか、リスクの顕在化を防ぐためにはどのような対応が求められるのかなどについて、必要な知識を備えることが大切です。

そのためには、自社に適用される法令コンプライアンスについて深く理解することが欠かせません。後述する方法を通じて、役員や従業員が必要な知識を備えられるような取り組みを行いましょう。

社内のリスクマネジメント体制を整備する

リーガルリスクの顕在化を防ぐためには、社内のリスクマネジメント体制を整備することが効果的です。

例えば契約トラブルは、前線の担当者とバックオフィス(法務部門など)がそれぞれ、実際の業務と契約内容を照らし合わせて確認すれば大部分を防ぐことができます。
知的財産権の侵害についても、複数の担当者が先行コンテンツなどの調査を行えば、そのリスクを大幅に抑えられるでしょう。

ダブルチェックトリプルチェックの体制を適切に整備すれば、リーガルリスクの顕在化による損失を最小限に抑えることができます。

ムートン

リスクマネジメントの手法などを学ぶことも参考になります。

法務部門やコンプライアンス部門を充実させる

リーガルリスクをコントロールするに当たっては、法務やコンプライアンスに関する知識に優れた人材を雇用することが望ましいです。

法務部門コンプライアンス部門を充実させれば、リーガルリスクが顕在化する可能性を抑えることができます。
人件費はかかるものの、企業が安定的に成長を続けていくために必要な経費と割り切るべきでしょう。特に企業の規模が大きくなればなるほど、法務部門やコンプライアンス部門がより重要になります。

顧問弁護士と契約する

リーガルリスクへの対策を講じる際には、法律の専門家である弁護士のアドバイスが役に立ちます。

顧問弁護士と契約すれば、リーガルリスクについて日常的に相談することができます。
また、顧問弁護士とコミュニケーションをとる中で、自社の事業内容や実態をよく理解してもらえるので、スポットで相談するよりも有益なアドバイスを受けられる可能性が高くなるでしょう。

特に法務部門が手薄な企業においては、顧問弁護士がその弱点をカバーする役割を担います。従業員を雇用するよりは、弁護士の顧問料の方が安価に済むことが多い点もメリットの一つです。

リーガルリスクに関する知識を得る方法

ヒー

リスクは分かりましたが、うちの会社には人もノウハウも全然足りません。何から取り組めばいいですか?

リーガルリスクに備えるために必要な知識を得る方法としては、以下の例が挙げられます。

① 弁護士などによるセミナーに参加する
② 法改正情報をチェックする
③ コンプライアンス研修を実施・受講する

弁護士などによるセミナーに参加する

企業においてよく問題になるリーガルリスクについては、弁護士などがセミナーを開催していることがあります。最前線で活躍する専門家のセミナーを受講すると、実務上問題になりやすいリーガルリスクについて、効率よく理解を深めることができます。

セミナーに関する情報は、大手法律事務所のウェブサイトや、その他のインターネット上のウェブサイトなどで入手可能です。

法改正情報をチェックする

自社に適用される法令改正された場合は、その情報をタイムリーに入手するよう努めましょう。古い知識のままアップデートを怠ると、知らないうちに法令違反を犯してしまうおそれがあるので注意が必要です。

法改正に関する情報は、官公庁のウェブサイトや法律事務所のニュースレター、実務書籍などで確認できます。

ムートン

契約ウォッチの法改正カレンダーもご活用ください!

コンプライアンス研修を実施・受講する

従業員にリーガルリスクに関する知識を得させるためには、定期的にコンプライアンス研修を実施しましょう。少なくとも半年に1回程度コンプライアンス研修を実施すると、知識をアップデートしながらコンプライアンスに対する意識を保つことができます。

コンプライアンス研修は、弁護士などの専門家を講師に呼んで実施するケースが多く見られましたが、近年ではeラーニングが積極的に活用されています。

ヒー

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Legal Learningの「コンプライアンス推進プラン」でリーガルリスクをコントロール

Legal Learningの「コンプライアンス推進プラン」を活用すれば、社内の貴重なリソースを割くことなく、コンプライアンス研修を定期的かつ継続的に高頻度で実施することができます。
丁寧なスライド資料、学習リマインド機能、理解度確認テスト、進捗確認機能などにより、コンプライアンスに関する効率的な知識の習得をサポートします。

ムートン

契約リスクのドラマや、「リスクマネジメント研修」の講座などが適切です。他にも多数の研修講座が揃っています。

リーガルリスクに備えるためにコンプライアンス研修の実施を検討している企業は、Legal Learningの導入をご検討ください。

ムートン

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