請負とは?
準委任や雇用、労働者派遣との違い・法律のルール・請負契約の条項・収入印紙などを分かりやすく解説!

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この記事のまとめ

請負」とは、当事者の一方(=請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(=注文者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約です。工事請負契約、コンテンツ(動画・音楽・文章)の制作委託契約、ウェブサイトの制作委託契約などが請負に当たります。

請負は仕事の完成を目的としているのに対して、委任(または準委任)は仕事の完成を目的とせず、業務の遂行のみを目的とする点が異なります。
また、請負人は注文者から独立して業務を行うのに対して、雇用の場合は労働者が使用者の指揮命令下で働く点が異なります。名目上は請負としながら、実際には請負人を注文者の指揮命令下で働かせている場合、「偽装請負」として違法となるので注意が必要です。

請負については、民法によって報酬・契約不適合責任契約の解除などに関するルールが定められています。また、新築住宅の請負契約については、品確法によって契約不適合責任の特則(=10年間の瑕疵担保責任)が定められています。

請負契約には、以下の事項をはじめとして、請負の内容・条件を明確化するのに十分な規定を定めましょう。
・完成すべき仕事の内容
・納品・検収の手続き
・請負報酬の金額・支払い方法
・成果物の権利
・再委託の可否
・その他

請負契約書を書面(紙)で締結する場合は、収入印紙の貼付が必要です。

この記事では請負について、委任や雇用との違い・法律のルール・請負契約の条項・収入印紙などを解説します。

※この記事は、2023年9月28日に執筆され、同時点の法令等に基づいています。

※この記事では、法令名を次のように記載しています。

  • 品確法…住宅の品質確保の促進等に関する法律
  • 労働者派遣法…労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
ヒー

請負に関しての法律のルールも色々ありますね。

ムートン

そうですね。委任、準委任との違いや「偽装請負」となってしまう要件など、この記事で勉強しましょう。

請負とは

請負」とは、当事者の一方(=請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(=注文者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約です(民法632条)。

注文者は請負人に対して、何らかの仕事を発注します。請負人は仕事を完成させて、注文者に対して納品します。納品された成果物を注文者がチェックし、問題がなければ請負人に対して報酬を支払います。

請負契約の具体例

請負契約に当たるものとしては、以下の例が挙げられます。

工事請負契約
(例)建物の新築工事、増改築工事、外構の整備工事など

② コンテンツの制作委託契約
(例)動画、音楽、文章など

③ ウェブサイトの制作委託契約
など

請負のメリット

請負には、注文者および請負人のそれぞれにとって、主に以下のメリットがあります。

注文者にとってのメリット

・自社にはない請負人の技術や経験などを活用できる
・管理の手間が少ない(請負人に丸投げできる)
労働法の規制が適用されない
・社会保険料を負担する必要がない
など

請負人にとってのメリット

・自社の裁量で仕事を進められる
・兼職が制限されない
・交渉次第で報酬の増額も可能
など

請負のデメリット

その一方で請負には、注文者および請負人のそれぞれにとって、主に以下のデメリットもあります。

注文者にとってのデメリット

・成果物の質が請負人の仕事に依存する(想定した質に及ばない成果物が納品されるおそれがある)
・仕事について、自社にノウハウが蓄積されない
など

請負人にとってのデメリット

・仕事を完成しなければ報酬が支払われない
労働法の規制が適用されない(仕事の進め方や契約条件によっては、工数に見合った報酬を得られない場合がある)
・(個人事業主の場合)社会保険に加入できない
など

請負と準委任・雇用・労働者派遣の違い

請負と同じく、契約当事者の一方(または一方が使用する労働者)が、相手方のために仕事をする内容の契約として「準委任」「雇用」「労働者派遣」の3つがあります。

請負と準委任・雇用・労働者派遣の違いは、以下のとおりです。

請負と準委任の違い

準委任」とは、当事者の一方が相手方に対して法律行為でない事務を委託し、相手方がこれを受託する契約です。準委任には、民法の「委任」(=法律行為を委託する契約)に関する規定が準用されます(民法656条)。

請負は、仕事の完成を目的としています。これに対して、準委任は仕事の完成を目的としておらず、事務(業務)を行うことそのものが目的である点が異なります。

一例として、以下の契約は準委任に当たります。

準委任の例

・プログラムの保守業務に関する委託契約
・コンサルティング契約
など

請負と雇用の違い

雇用」とは、労働者が使用者のために労働に従事し、使用者が労働者に対してその報酬を支払う契約です(民法623条)。

請負の場合、請負人は注文者の具体的な指示を受けず、自らの裁量で仕事を行います。これに対して雇用の場合、労働者は使用者の具体的な指揮命令下で働くという違いがあります。

また、雇用には労働基準法をはじめとした労働法の規制が適用されますが、請負には労働法が適用されない点も異なります。

請負と労働者派遣の違い

労働者派遣」とは、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令下でその他人のために労働させる契約です(労働者派遣法2条1号)。
労働者派遣によって労働する者を「派遣労働者」、派遣労働者の雇用主を「派遣元事業主」、派遣を受けた派遣労働者を自己の指揮命令下で働かせる者を「派遣先」といいます。

請負と労働者派遣の違いは、請負と雇用の違いと同じく、具体的な指揮命令関係の有無です
請負の場合、請負人は注文者の具体的な指示を受けず、自らの裁量で仕事を行います。これに対して労働者派遣の場合、派遣労働者は派遣先の具体的な指揮命令下で働くという違いがあります。

また、労働者派遣には労働基準法をはじめとした労働法のほか、労働者派遣法の規定が適用されます。労働者派遣を行うためには、労働者派遣法に基づく厚生労働大臣の許可を受けなければなりません(同法5条1項)。

偽装請負とは

請負契約を締結する際には、「偽装請負」に注意する必要があります。

偽装請負」とは、実質的に労働者派遣または労働者供給※であるのにもかかわらず、請負契約や業務委託契約に偽装することをいいます。
※労働者供給:自社と雇用関係にない者を供給契約に基づいて他社に派遣して、他社の指揮命令下で労働に従事させることです(職業安定法4条7項)。労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き、労働者供給は禁止されています(同法44条)。

請負が偽装請負に当たるかどうかの判断基準は、請負人が注文者の具体的な指揮命令を受けているか否かです。仕事の実態から判断して、具体的な指揮命令が行われている場合には、偽装請負に当たる可能性が高いと判断されます。

請負が偽装請負に当たる場合は、労働者派遣法職業安定法労働基準法違反の責任を問われるおそれがあるので要注意です。

偽装請負の詳細は、以下の記事を併せてご参照ください。

請負に関する民法のルール

請負契約については、民法でルールが定められています。

請負に関する主な民法のルールとして、以下の各点を解説します。

①仕事の完成義務
②請負報酬
契約不適合責任
④注文者による契約の解除
⑤注文者についての破産手続きの開始による解除

仕事の完成義務

民法では請負契約の本質的要素として、請負人が仕事を完成させる義務を定めています(民法632条)。
次に解説するように、請負人は仕事を完成させた後でなければ、注文者に対して報酬を請求できません。

請負報酬

請負報酬は、仕事の目的物(=成果物)の引渡しと同時に支払うものとされています。成果物の引渡しを要しないときは、請負人は仕事が終わってからでなければ、請負報酬を請求できません(民法633条、624条1項)。

なお、以下のいずれかの事由によって仕事が完成できない場合において、請負人がすでにした仕事によって注文者が利益を受けるときは、利益の割合に応じて請負報酬が発生します(民法634条)。

①注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき
②請負が仕事の完成前に解除されたとき

契約不適合責任

引き渡された成果物の種類・品質・数量が請負契約に適合していない場合、請負人は注文者に対して契約不適合責任を負います(民法559条、562条以下)。

注文者は請負人に対して、契約不適合責任に基づき、以下の請求等を行うことができます。

①履行の追完請求
②代金減額請求
③損害賠償請求
契約の解除

契約不適合責任一般についての解説は、以下の記事を併せてご参照ください。

なお注文者は、自ら供した材料の性質または自らの与えた指図によって生じた不適合を理由として、請負人の契約不適合責任を追及することはできません。ただし、請負人がその材料または指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、例外的に契約不適合責任を追及できます(636条)。

注文者による契約の解除

請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも契約を解除できます(民法641条)。この場合、注文者は請負人に生じた損害を賠償しなければなりません。

注文者についての破産手続きの開始による解除

注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人は、請負契約を解除できます(請負人による解除は、仕事の完成前に限ります。民法642条1項)。

この場合、請負人はすでにした仕事の報酬や費用について、破産財団から配当を受けられます(同条2項)。破産管財人が請負契約を解除した場合は、損害賠償についても破産財団からの配当の対象となります(同条3項)。

新築住宅の請負契約に関する特則|10年間の瑕疵担保責任

住宅を新築する建設工事の請負契約については、契約不適合責任の特則として、10年間の瑕疵担保責任が定められています(品確法94条)。

新築住宅の瑕疵担保責任の対象となるのは、住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものです。責任期間は住宅の引渡しから10年間で、短縮は認められません。

請負契約に定めるべき主な事項

請負契約に定めるべき主な条項は、以下のとおりです。そのほかにも、請負の内容に照らして必要な条項を定めましょう。

①完成すべき仕事の内容
②納品・検収の手続き
③請負報酬の金額・支払方法など
④成果物の権利(知的財産権の帰属)
⑤再委託の可否など
⑥その他(契約不適合責任・損害賠償・契約解除など)

完成すべき仕事の内容

以下に挙げる事項を中心に、請負人が完成すべき仕事の内容を明確に特定しましょう。

・成果物が備えるべき仕様
・成果物の納期
など

納品・検収の手続き

成果物の納品と検収について、以下の事項を定めておきましょう。

・納品の方法
・検収にかけてよい期間
・修正などの上限回数
・検収結果の通知方法
など

請負報酬の金額・支払方法など

請負報酬については、以下の事項を定めておきましょう。

・請負報酬の金額や計算方法
・請負報酬の支払時期
・請負報酬の支払方法
など

成果物の権利(知的財産権の帰属)

請負による成果物の権利(知的財産権など)が、注文者と請負人のどちらに帰属するかを定めておきましょう。基本的には、注文者に帰属させるケースが多いと考えられます。

成果物が著作物に当たる場合において、著作権を注文者に帰属させるときは、トラブルを避けるために以下の事項も定めておきましょう。

  • 著作権法27条および28条に規定する権利も譲渡の対象になること(著作権法61条2項参照)
  • 請負人は、著作者人格権を行使しないこと(著作権法59条参照)

再委託の可否など

再委託については、以下の事項を定めておきましょう。

・再委託の可否
・再委託先の選定基準または指定
・再委託先の行為について、請負人が責任を負う旨
など

その他(契約不適合責任・損害賠償・契約解除など)

請負契約には上記のほか、以下の事項を定めるのが一般的です。

・契約不適合責任
→民法とは異なる責任期間を定めることもできますが、法律の規定により、短縮は認められない場合もあります。

・損害賠償
→民法とは異なる損害賠償のルールを定めることもできます。違約金を定めることも考えられます。

・契約の解除
→請負契約を解除できる場合について、民法の規定のほかにも解除事由を追加する場合があります。解除の手続きについても明記しましょう。

など

請負契約書に貼付すべき収入印紙

請負契約書は印紙税法上の第2号文書に当たるため、書面(紙)で締結する場合は収入印紙を貼付する必要があります。

請負契約書に貼付すべき収入印紙の金額は、契約金額に応じて以下のとおりです。

契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下1,000円
300万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下1万円
1,000万円超5,000万円以下2万円
5,000万円超1億円以下6万円
1億円超5億円以下10万円
5億円超10億円以下20万円
10億円超50億円以下40万円
50億円超60万円
契約金額の記載のないもの200円

なお、請負契約を電子契約で締結する場合には、収入印紙の貼付は不要です。

ムートン

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